このページでは、『アレックスキッドwithステラ ザ・ロストスターズ』及びその移植版である『アレックスキッド ザ・ロストスターズ』(判定はAC版が「不安定」、SMS版が「シリーズファンから不評/良作」)を取り扱う。
アレックスキッドwithステラ ザ・ロストスターズ
【あれっくすきっど うぃず すてら ざ ろすとすたーず】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | アーケード(SYSTEM16) | 
| 発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | 
| 稼働開始日 | 1986年12月 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | ゲームバランスが不安定 | 
| アレックスキッドシリーズ | 
 
概要
1980年代のセガの看板キャラであるアレックスキッドの第2作。
本作はマークIII版『ミラクルワールド』と同時に開発がされており、『ミラクルワールド』のスタッフとは異なる部署のスタッフが制作している。
システム
一般的な残機制+時間制の2ボタンジャンプアクションのシステムを踏襲しているが、以下のシステムが特徴。
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敵に接触するか穴に落下してしまうと残機が減ってタイムが初期値に戻りその場復活。ただし時間切れになると残機に関係なく即ゲームオーバーとなる。
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以下のアイテムが存在。パワーアップアイテムは時間制で一定時間経過で効果が消滅する。
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ショット:一定時間ショットを撃てるようになる。連射不可。通常弾と貫通弾の2種類がある。
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ジャンプ:一定時間ジャンプ力がアップ。
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スピード:一定時間移動速度がアップ。
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タイム:タイムが10~30秒回復。上限は90秒まで。
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ボーナス:スコアが加算。
 
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2人同時プレイが可能。
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タイムに関してはそれぞれのプレイヤーで管理する形となる。
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2人同時プレイの際にはお互いに接触判定があるので重なることはできない代わりにお互いの頭に乗ることが可能。
 また、取得・利用できるアイテムは各プレイヤーで決まっている。
 
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ステージの最後にあるオブジェクトまで到達するとクリア。ミラクルボールを取得となる。
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ステージ6クリア後にはジグラットと呼ばれるステージとなり、女神像にミラクルボールをささげることで星座が復活し1周クリアとなる。
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2周目は敵数の増加、アイテムの出現パターンの変更などでさらに難易度が上昇している。
 
評価点
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ファンタスティックな世界観の演出
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当時のセガお得意のパステル調の色彩で描かれたステージは本作の幻想的な世界観をしっかり表現している。
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ステージのバリエーションも実質的に全7面ながら全く異なる世界の魅力を演出しており、高評価。ぱっと見の印象で女性でも食いついていきそうな雰囲気にしているのも良い。
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2Pキャラクターのステラ姫のデザインも好評。
 
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BGMの評価も良好。
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Hiro師匠の作曲したBGMは耳に残りやすいファンタジックなBGMで印象に残りやすく高評価。
 
問題点
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難易度が非常に高い。
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こちらの攻撃手段がアイテムによる一時的なショットのみで連射もできないうえに効果時間も短く出現ポイントも限られるため大概は回避に徹しなければいけない。
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さらに敵の配置も非常にいやらしく、こちらの当たり判定も大きめなこともあって事故が多発しやすい。
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加えてタイムにも余裕があまりなく、常にタイムアウトと隣り合わせでのんびり攻略していくというのも厳しい。
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救いはミスした際のリカバリーは無敵時間でごり押しできる点とミス及びコンティニューした場合はその場からの復帰という点。そのため連コインすれば残機に任せてのごり押しが可能。
 
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2P同時プレイのメリットが薄い
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2P同時プレイの際にはお互いの体に接触判定があるため重なることができず、スクロールも先行しているプレイヤーにあわせて進むので事故が頻発しやすい。
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一応頭乗りを利用してジャンプの補助を行えるというメリットはあるものの、あまりのんびりしていられないゲームデザインも相まって利用できる局面は少ない。
 
総評
アーケード作品ということもあってグラフィックはとても可愛らしい見た目なのだが、そんな雰囲気とは裏腹に極悪な難易度でプレイヤーを驚愕させた作品。
作品の雰囲気がとても良いだけに難易度設定がもう少し適切であったならとっつきやすい作品になっていたのではと感じさせるだけに惜しい作品。
余談
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本作がここまで高難易度になった原因は、ロケテストの段階であまりにも簡単すぎてクリアするプレイヤーが続出したためであるといわれている。
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もっとも、こういった経緯で難易度が超絶的に跳ね上がった作品というのもこの時期では珍しくない話ではあったが。
 
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本作は海外では展開されることはなかった。本作が海外で展開されたのは後述のセガマークIII/マスターシステム版となる。
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本作そのままの移植は長らく実現されなかったが、2020年12月17日発売のアストロシティミニに初めて収録された。
アレックスキッド ザ・ロストスターズ
【あれっくすきっど ざ ろすとすたーず】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | セガ・マークIII/マスターシステム | 
| メディア | 2MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | セガ・エンタープライゼス | 
| 発売日 | 1988年3月10日 | 
| 定価 | 5,500円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | シリーズファンから不評 | 
| 良作 | 
 
概要(移植版)
前述の『アレックスキッドwithステラ ザ・ロストスターズ』の家庭用機移植作品。
システム(移植版)
アーケード版との差異は以下の通り。
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2人同時プレイの廃止。
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残機制+時間制から時間制のみに変更。時間が無くなった時点で即ゲームオーバーとなる。
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制限時間は時間経過のほか敵に接触することで大きく減少。
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敵に接触した場合はパワーアップは維持したままその場で復活するが、穴に落下した場合はパワーアップをすべて失いその場復活ではなく復活ポイントまで戻される。
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また、コンティニューした場合はステージの最初からとなる。なお、コンティニュー使用回数については無制限。
 
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アイテムの仕様変更
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ショットアイテムが時間制から弾数制に変更され、さらに2連射可能になった。ただし貫通弾は廃止。
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時間制アイテムの効果時間もAC版に比べ長くなった。
 
評価点(移植版)
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とっつきやすくなったゲーム性
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アーケード版は極悪レベルの難易度であったものの、本作ではショットの弾数制への変更による攻撃手段の強化、時間が実質的な耐久力制を兼ねていることもあり大幅にとっつきやすくなった。
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敵の動きもアーケード版に比べおとなしくなり、理不尽さは大きく軽減され遊びやすさは格段に向上した。
 
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当時としては頑張った再現度
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色数制限や機能制限で省略・廃止されたギミックはあるものの、おおむねアーケード版を再現している。
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またアーケード版にはなかった本作の事件が発生した元凶となる存在をゲーム中に登場させている点も評価できる。
 
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BGMの評価も良好。
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BGMの再現度は良好。アーケードにあった音声合成も続投している。
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FM音源にも対応しており、PSG版よりもアーケードに近いBGMを提供している。
 
賛否両論点(移植版)
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難易度が下がったことによるやりこみ度の低下
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低下した難易度で一般プレイヤーにもとっつきやすくなっており初心者にはとっつきやすくなっている反面、高難易度に魅せられたアーケード版のプレイヤーからはあまりにも低下した難易度には不満の声も。
 
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作風の変化
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じゃんけん要素がなくなったことに関してはルール的にとっつきやすくなった反面、『ミラクルワールド』からのファンにとっては作風の違いから評価を落としてしまった側面も。
 
問題点(移植版)
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2人同時プレイのカット
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これに伴い2Pキャラのステラ姫がマークIII版で存在が抹消されてしまう羽目に。このことに嘆いたファンは多かった。
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当時のセガのゲームではまだ数少ない女性プレイヤーキャラであり人気も高いキャラだったため、同時プレイはできなくともせめてプレイヤー選択などで残しておいてほしかったとの声も多かった。
 
総評(移植版)
あまりにも極悪だったアーケード版の難易度を易化してとっつきやすくし、性能面でアーケードよりも制限のあるマークIIIでできる限りのアーケードの雰囲気を再現しているので完成度は十分であり良移植であるのは間違いない作品である。
しかし家庭用機からのファンにとっては作風の変化で、アーケード版からのファンは難易度の低下と2P同時プレイの廃止で辛口の評価を下される傾向にあったため、完成度の高さに反してあまり評価されなかった不遇の作品となってしまった。
とはいえゲームの出来自体は堅実に楽しめる作品なので、ミラクルワールドとはまた違ったアレクの冒険を楽しみたいのであれば十分お勧めできる。
余談(移植版)
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国内で展開された関連作品を含むシリーズの時系列としては、『ピットポット』→『ミラクルワールド』→『BMXトライアル』→『天空魔城』→『ロストスターズ』の順と推測される。
最終更新:2025年08月05日 14:42