アレックスキッドのミラクルワールド

【あれっくすきっどのみらくるわーるど】

ジャンル アクション
対応機種 セガ・マークIII
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
発売日 1986年11月1日
定価 5,000円(税別)
プレイ人数 1人
判定 良作
アレックスキッドシリーズ


概要

1980年代のセガの看板キャラであるアレックスキッドのデビュー作。
本作はライバル機種であるファミコンの『スーパーマリオブラザーズ』に対抗する作品として作られ、マリオのような代表的キャラクターを必要としたために生まれた作品であった。


システム

一般的な2ボタンジャンプアクションのシステムを踏襲しているが、以下のシステムが特徴。

  • 攻撃は横方向へのパンチとなる。アイテムを使うことで衝撃波を飛ばすことも可能。
  • 各所のブロックを破壊することでお金を得られ、各所のショップでアイテムを購入することが可能。
    • アイテムは購入後即使用するものとポーズ後にメニューから呼び出して使われるものがある。
    • また、所持金が一定以上ある場合は隠しコマンドを入力することでコンティニューが行える。
  • 一部のボス戦ではじゃんけんでの勝負となる。
  • 敵に接触するとアレックスキッドの魂(透明)が昇天して1ミスになる。
    • 残機が0のままミスするとゲームオーバー。

評価点

  • ミラクルワールドの名にふさわしい豊富な面構成
    • 本作の面構成は山からの下山、水中面、洞窟など多彩。スクロール方向も最初の面が下スクロールと意表を突く作りになっていたりとバリエーションは豊富。
      • ステージクリアの際にはマップが表示されバリエーションの多彩さを感じさせる演出も地味ながら良い。
    • ステージの長さも比較的短めなものが多く、また後述の操作性が軽快なこともあってゲームのテンポも良い。
      • 一部のステージには分岐ポイントも存在しているので、プレイバリューは十分高い。
    • 終盤の城に関しては探索要素も兼ね備えており、やりごたえも十分。
  • 多彩なアイテムによるサポート
    • アイテムのバリエーションも豊富で、攻撃に利用するアイテムのほかにもスコパコサイクルやプチコプターなどの乗り物もある。
    • またこれらのアイテムはショップでの購入が可能であり、初心者への救済策としても機能している。
  • 後述の問題点があるとはいえ操作レスポンスも非常に良好。
    • アレク自身の移動速度も速い点も前述のゲームのテンポの良さに寄与している。
  • BGMの評価も良好。
    • 道中のメインテーマはシリーズを代表する曲として親しまれており、公式で歌詞も付属しているなど豪華仕様。

問題点

  • キーアサインの問題
    • ジャンプが左ボタン、攻撃が右ボタンに設定されているため、特にファミコン系の操作体系に慣れている場合は操作に戸惑いやすい。
      • 海外版では後期バージョンにて改定が行われ、一般的な操作体系であるジャンプ右ボタン、攻撃左ボタンに変更された。
      • また、以降のシリーズ作品でもジャンプ右ボタン、攻撃左ボタンに統一された。
  • 難易度は高め
    • 攻撃手段がパンチで射程は短く、上下方向に対しての攻撃ができないこともあって戸惑いやすい。
    • もっとも、そこまで極端に難易度が高いというわけでもなく操作に慣れれば安定して対処できる難易度の範疇である。
  • ショップの残機購入がほぼ無意味
    • 残機の価格がコンティニューに必要な金額よりも高額なため、まず購入の対象となることはない。
  • BGMに抜けがあり、スコパコサイクル利用時のBGMが鳴らない。
    • こちらについては海外版については修正されている。

総評

シリーズ初作でやや大味な点がありながらもバラエティに富むステージ構成に初心者向けのフォローも行き届き、まさしくセガの看板キャラクターを背負うにふさわしいゲームに仕上がった逸品。
その完成度の高さから今でも今でも最高傑作に名を挙げる人も多いというのも納得の逸品である。


移植

  • PS3/360版(2012年5月23日配信開始)
    • 『SEGA AGES ONLINE』の一作として、PS3版は単体で、Xbox360版は「セガクラシックコレクション」の収録タイトルの1つとして販売されている。
    • 追加要素として「中断セーブ」「リプレイモード」「ジュークボックス」「トライアルモード」が追加。
  • Switch版(2019年2月21日配信開始)
    • Switch版『SEGA AGES』シリーズの一作として配信。
    • オリジナルそのままのモードのほか、FM音源化などを含めたAGESモードも搭載。
  • Switch/PS4/PS5/One/Win(Steam)『アレックスキッドのミラクルワールドDX』(2021年6月23日発売)
    • DL専売。『アレックスキッドのミラクルワールド』を現代風にアレンジした作品。開発はセガから正式にIPライセンスを取得したMerge Gamesの「Jankenteam」が担当。
    • ゲーム内のグラフィックは現代風に寄せた形でリファインされているが、これとは別に原典に出来るだけ近いドットピクセルグラフィックで描画した「クラシックモード」も搭載。ゲーム中に両方のモードを任意に切り替えることが可能。

続編

  • AC『アレックスキッドwithステラ ザ・ロストスターズ(1986年12月稼働開始)
    • アレックスキッドシリーズ唯一のアーケード進出作品。タイトルにあるように2Pのステラ姫が登場。2人同時プレイ可能。
    • 失われた星座を取り戻していくというメルヘンチックな雰囲気とは裏腹に難易度は当時のアーケード作品と比べても格段に高い。
  • SMS『BMXトライアル アレックスキッド(1987年11月15日発売)
    • BMXでラダクシャンの都へ戻るレースゲーム。パドルコントローラ専用ソフト。
    • ゲームの内容自体は悪くはないものの、難易度が低いうえにボリューム不足という要因もあって評価は芳しくない。
  • SMS『アレックスキッド ザ・ロストスターズ(1988年3月10日発売)
    • 前述の『アレックスキッドwithステラ ザ・ロストスターズ』のマークIII/マスターシステム移植版。
    • 作風が初作の『ミラクルワールド』と趣が異なることが家庭用機のファンからやや不評であること、また2人同時プレイの削除に加えて難易度の過剰な低下がアーケードのファンからやや不評ということもあり完成度の割には不遇な評価を与えられがち。
    • とはいえアーケード版に比べればかなり遊びやすくなってはいるのでシリーズの中でも完成度は悪くない。
  • MD『アレックスキッド 天空魔城』(1989年2月10日発売)
    • 基本システムを『ミラクルワールド』由来のシステムに回帰させ、メガドライブで発売された作品。
    • グラフィックやBGMはハードの世代交代ということもあって順当に進化しゲーム的な完成度は整えられているものの、全体的な操作性の悪化と大味でメリハリに乏しいゲーム性で大きく評価を落としてしまった作品。
  • SMS『Alex Kidd: High-Tech World』(1989年6月発売)
    • 海外限定。国内で販売された『あんみつ姫』のキャラクター差し替えバージョン。海外では『天空魔城』よりも先の発売となっている*1
    • ただし差し替えられたのが操作キャラクターのあんみつ姫のみのため、シリーズ全体での設定の致命的な矛盾の発生やそれによる謎解きの難易度が上昇してしまったことで不評を買ってしまった作品。
  • SMS『Alex Kidd in Shinobi World』(1990年発売)
    • 海外限定。アレックスキッドの世界観に『忍 -SHINOBI-』のゲームシステムを融合させたゲーム。
    • 作品の完成度は非常に高く『ミラクルワールド』と並ぶ名作との誉れが高いが、日本ではすでにマスターシステムへのソフトの供給が途絶えた後であるために発売されておらず、性能がほぼ同一のゲームギアへの移植も行われなかった。
    • また翌1991年にはソニックが大成功を収めたことによりアレックスキッドシリーズの展開がいったん途絶えてしまうこととなる。

余談

  • 本作は元々は『ドラゴンボール』のゲーム化作品として企画が立ち上がったものの、別のゲーム作品として企画を練り直したうえで開発されることとなった。
    • この要因としては当時の週刊少年ジャンプ編集部はアニメ化した作品のゲーム化についてはアニメのスポンサードをしていないゲーム会社にはゲーム化を許可しないという方針を取ることとなったため*2
      • 同じ理由で企画が消滅した経緯がある作品としては『聖闘士星矢』のセガ・マークIII版がある。
    • その後は企画の立て直しを行うにあたり、概要に示された経緯で開発が続行される形となった。
  • セガマークIIIで発売されたアクションパズルゲームである『不思議のお城 ピットポット』の主人公であるイグルは「アレクの実の双子の兄」という設定。こちらもゲームデザインは本作を手がけたオサール・コウタこと林田浩太郎氏が手がけている。
    • また、同じく林田氏が手掛けた『ファンタシースター』では作中アレクのことに言及している場面がいくつかあるほか、本作で登場したアイテムが以降のシリーズでも登場している。
  • 関連商品として、本作をベースにしたボードゲームであるセガ・ジョイボード第1弾『アレックスキッド ゲーム ミラクルワールド大冒険』が発売されている。
    • 進行の際にしゃべる機能の付いた電動ルーレットを用いるのが特徴。また、アイテムの強奪やボスとの対決に他プレイヤーとのじゃんけん対決が要求されるルールとなっている。
  • ゲームギアの最初期のパッケージにはゲーム画面のサンプルとして本作のタイトル画面が使われている箇所がある。
最終更新:2025年07月31日 01:53

*1 海外での『天空魔城』の発売日は一番早い北米でも1990年1月。

*2 ちなみにセガマークIIIソフトで週刊少年ジャンプ連載作品のゲーム化ソフトは『北斗の拳』と『ハイスクール!奇面組』の2作があるが、2作ともアニメ化に際しセガがスポンサードしている。