廃鋼ノ禁腕
解体工事半ばに重機と共に放棄された廃マンションがあった。コンクリート基材が剥き出しとなった寂しげなその場所に、身寄りも行き場もない、かつての記憶を失った老婆が棲み付いた。
老婆はそこで暮らすうち、次第に頭の中が鮮明になり、失われていた記憶を少しずつ取り戻していった。まず思い出したのは、昔ここで自分が暮らしていたという事実。
あの階段。仕事帰りの夫が、毎日笑顔で駆け上がってきた階段。あの踊り場。幼かった娘が、近所の子と遊び場にしていた踊り場。あの忌まわしい事故がなければ、皆幸せなまま年を取ったのに。
どうして忘れていたのだろう。どうして自分だけ生き残ったのだろう。老婆は、重機から垂れ下がるチェーンをぐるりと首に巻き付け、足場を蹴り落とした。亡き家族に少しでも早く逢うために。
| 武器種 | 格闘 | レアリティ | ★★★★ |
| 属性 | 火 | シリーズ | 廃鋼 |
| EN | Forbidden Scrapsteel Arm | ||
黒鳥ノ鋼手
そこには、黒い雨が降っていた。
雨脚は強く泥を撥ね、足元を汚していく。
自分とそれ以外との境界が、曖昧になっていく。
雨脚は強く泥を撥ね、足元を汚していく。
自分とそれ以外との境界が、曖昧になっていく。
黒い土の上で、一人が赤い悲鳴を上げた。
だが、誰もその声を聞こうとはしない。
声を聴いて赤に触れれば、輪郭を顕にされてしまうから。
だが、誰もその声を聞こうとはしない。
声を聴いて赤に触れれば、輪郭を顕にされてしまうから。
この黒い大地から、離れることはできない。
故に誰もが異物を疎んだ、均された地を荒らす者を憎んだ。
音もなく雨が降る、黒い泥が塗り潰したこの地に。
故に誰もが異物を疎んだ、均された地を荒らす者を憎んだ。
音もなく雨が降る、黒い泥が塗り潰したこの地に。
羽搏く翼が嗤った。地を離れて尚黒い、空の黒点が。
だが、誰もがそう在りながら、その姿を認めようとはしない。
黒点は地に落とされ、剥がれ落ちた羽根が泥に沈んだ。
だが、誰もがそう在りながら、その姿を認めようとはしない。
黒点は地に落とされ、剥がれ落ちた羽根が泥に沈んだ。
| 武器種 | 格闘 | レアリティ | ★★★★ |
| 属性 | 火 | シリーズ | 黒鳥 |
| 追加日 | 2021年4月20日 | ||
| EN | Blackbird Gauntlets | ||