- 分類:短編小説
- 初出:「小説現代」1980年9月号
- 雑誌時挿絵:朝倉摂
- 収録短編集:『夕萩心中』、『戻り川心中』(ハルキ文庫版のみ)
あらすじ
石畳に水でも打ったように滲む茶屋の灯を小波だたせ、一陣の秋風が吹きぬけるなかで、三津が、私の呼び停めた声につと高下駄の音をとめてふり返り、
「――兄さん」
思わずそう呟いたものの、まだ誰か思い出せぬように、首を傾げて立ち竦んでいたのを、今でもはっきり憶えております。顔が浮きたつように白く見えたのは、夜目や白粉のせいではなく、驚いた時、ふと何もかも忘れたように顔を白ませてしまうのが、三津の幼ない頃からの癖でした。
私は、生き別れになっていた、血の繋がらない妹・三津と五年ぶりに再会した。芸者になっていた三津は、私の親友の水沢と急速に関係を深めていく。だが、水沢には婚約者がいた……。
登場人物
- 私(村井)
- 三津
- 水沢雪夫
- 村井の親友。村井と同じく物理学を研究し、将来を嘱望される学生。
- 桐原博士
- 桐原里子
- 玉弥
- 松
- 仙次郎
解題
(スタブ)
掲載号「今月登場」より
塾の先生もしており、小学生から中学生まで教えている。名古屋市内の加藤教室というところで、氏自身も卒業生という老舗である。
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最終更新:2017年08月10日 11:54