桐の柩


あらすじ

 支那事変の起こったあの年――十一月の末、おれは人ひとりを殺めている。その後すぐ戦争に取られ、大陸でも二人を殺したが、あの初雪の舞い狂う夜、俺の手を染めた血の色の方が、どうしようもない生々しさで今もおれに残っている。

昭和12年、六車次雄は萱場組の貫田征五郎に拾われ、右手の指が小指しかない貫田の手となって仕えることになった。だが次第に貫田から奇妙な行為を求められ、ついには殺人を依頼される……。

登場人物

  • 俺(六車次雄)
    • 語り手。21歳。貫田の右手として仕える。
  • 貫田征五郎
    • 萱場組の組員。右手の指が小指しか残っていない。
  • 鴫原きわ
    • 貫田の兄貴分だった鴫原礼三の女房。
  • 萱場辰蔵
    • 萱場組の親分。長く病みついており、十年前に死にかけた際に作らせた棺を飾らせている。
  • 番代
    • 萱場組の組員。組の二番手。
  • お慎
    • 親分の女房。

解題

「幻影城」1979年5月号にて発表された、花葬シリーズの第4作。
G・K・チェスタトン的なシンプルな逆説のアイデアから、本格ファンに人気の高い一作。

(スタブ)

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収録アンソロジー

  • 宮本輝編『わかれの船』(1998年、光文社→2001年、光文社文庫)

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最終更新:2018年07月06日 02:08