3年B組一八先生

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3年B組一八先生 - (2024/01/15 (月) 18:59:53) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/08/25 Fri 19:20:00
更新日:2024/04/29 Mon 13:39:22
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3年B組一八先生とは、パクリとは、そして著作権とは何かを考えさせられる 麻雀漫画である。作者は錦ソクラ

竹書房が出版する「近代麻雀」で2012年から2020年まで連載されていた。


概要

タイトルどころか、基本設定やストーリーまで3年B組金八先生をベースにしている麻雀漫画で、教師である坂本一八(さかもと・いんぱち)先生が、都立雀(すずめ)中学校で起きるトラブルを麻雀で、しかも大体は一八先生が18,000点で上がって解決するというのが基本の流れ。

ストーリーは必ず「賭け麻雀」であり、同卓した人間は生徒や教師のみならず理事長や警官などたまたま同卓した人間に至るまで漏れなく一八の債務者となっている。教師生活を30年やっているのは勿論パロディ元の通りなので、一八の生徒になった者は借金苦で大学をあきらめたり高校を辞めたり闇社会に身を投じるなど人生を狂わされまくっている。何故こんなドクズが教師を…

初期は不定期連載だったが、後に月1連載のペースとなった。ただし、諸事情*1により「近代麻雀」2018年9月1日号掲載の57話で月1連載は終了。58話から再び不定期連載となり、「近代麻雀」2020年2月1日号掲載の61話をもって完結した。現在、オンラインで読むことができるのは最終回の61話のみである。

一八のキャラデザは金八パロディでよくある初期の長髪姿ではなく、基本的に後期の短髪姿となっている*2。また、後期で恒例となった生徒がソーラン節を踊るシーンも申し訳程度に登場する。

作風

本作を語る上で欠かせない要素がある。それは、3年B組金八先生のパロディなのに他作品の漫画の絵柄でパロディをし、さらにある話まで似せている点である。

そっくりさんが描かれている漫画として、同じ出版社から発行されている「ムダヅモ無き改革」があるが、本作は、他の漫画のそっくりさんが描かれているのが特徴である。しかも、元作品の出版社や作者には無許諾のパロディである。

パロディの対象とされた漫画の画風の再現度が基本的に非常に高く、まるでパロディ元の作者が描いたような作風で本作品に登場する。たまに、編集部がグルになって絶妙な煽り文を書いているときもある。

本作はすでに出版されている漫画の絵をそのままコピー&ペーストしているわけではない。漫画界隈の闇の部分として、トレパク問題がプロ・同人問わず出てくるが、本作はトレパクではない。原画と見比べると分かるが、縦横比や線の書き方などが原画と明らかに異なっているので、錦先生による高度な模写というのが真実である。

さらにパロディとしての芸が細かいのは、吹き出しのセリフである。各作品の吹き出しの形状や文字サイズまで徹底的にマネているのが特徴。小学館の漫画のみ、吹き出しのセリフに句読点が打たれているのは御存知のとおりであるが、本作はそこまで完コピしている。

パロディにされる漫画も有名なものから、連載中話題になったもの、シブいもの、アメコミなど多岐にわたる。要は錦先生が好きな漫画ということではないかと。パロディありきの漫画なので、パロディ元の漫画がわからないと楽しみはかなり薄れてしまう。ネットで調べる前にパロディ元の漫画がわかったらガッツポーズをしてもいいほどパロディ範囲は広い。ただし、相当の漫画を読んでいないとパロディ元をわかるのは難しい。また、ところどころに金八先生や他の武田鉄矢作品の要素が見られるので、そちらも探そう!

ムダヅモ無き改革』もよく書籍化できたと思える作品だが、本作は、著作権的な意味で書籍化が絶望的と思われる作品である。というか、この作品の連載に許可を出した「近代麻雀」編集部ェ…竹書房らしい作品とは言える。

なので、全作品を読む場合は過去の「近代麻雀」を買う必要がある。1冊600円なので、分厚い同人誌と思えばなんてことはないだろう。ただし後から気になった回を読み返すのはほぼ無理。国立国会図書館でコピーをするというのも良い方法だろう。

ちなみに、本作品がネットで反響を呼んでいる件について、竹書房は困惑している模様。

とまぁ、明らかにグレーゾーンとギリギリアウトを行ったり来たりしている(初期) 著作権法上は完全に一発アウトな作品であり、読者ならびに当時の編集者からは人気を博する一方、『孤独のグルメ』原作者の久住昌之氏など、本作に対して少なからず否定的な意見を挙げる原作者も存在していた。当たり前ですな。

実際のところ著作権を侵害されたあげく、作品のオチは大抵がどクズ主人公(一八)の噛ませ犬にされ煽られる終わり方なので、無許諾でパロディに使われる方はいい顔をしない場合もあろう。

かつて、加瀬あつし先生が「カメレオン」で下ネタ満載の「銀河鉄道999」パロディを無許諾でやった際(第332話「YAZAWA・友情物語」週刊少年マガジン1997年7月30日号掲載)、原著作者の故・松本零士大先生が激怒し、加瀬先生に一晩中説教をして、該当の回が単行本未収録になったことがある。それでも、加瀬先生の作中パロディは「銀河鉄道999」のキャラクターのコスプレレベルにとどまっており、松本先生の著作権には抵触していなかった。

しかし、本作は高度な模写能力を発揮する錦先生による、高精度の模写を用いたパロディであり、手描きであっても法的には著作権の「複製権」侵害とみなされうる。また、パロディに伴って原画を改変している部分もあり、これは著作者人格権のうちの同一性保持権侵害に該当しうる。

ただし画風のマネについては、基本的に著作権法上の問題は発生しない。画風だけマネて商売すると不正競争防止法違反などは考えられるが、作中のパロディの場合はそういった問題は想定されない。(画風を真似て問題になったケースは「(おまけ)わかりやすい知財講座」を参照。)

その一方で、『スプリガン』原作者のたかしげ宙先生のように本作の存在を認める作者もいた。そして「余談」の項目にて後述の通り、『シティーハンター』作者の北条司先生は錦先生の無駄に高い模写能力に注目し、スピンオフ漫画の連載を依頼している。

よくも、本作は連載中・連載終了後にどこの出版社からも訴えられなかったものだと思う。出版社が目をつぶってくれる同人のコミケの薄い本ならともかく、これ商業出版ですよ…?

上述の「カメレオン」のケースとは異なり、本作は原著作者に無許諾のパロディでありながら、(一八の噛ませ犬になるところを除けば)原作にそれなりの敬意を払っていたことが、錦先生ならびに竹書房が原著作者から訴えられなかった最大の要因かも知れない。

本作は書籍化が絶望的な代わりに2019年頃からWEB配信が始まったのだが、それに際して遂にパロディ元の出版社から正式な抗議を受けた模様*3。残念だが当然。

ちなみに本作55話には上記の「カメレオン」のパロディも出てくるが、該当回には松本零士先生と加瀬あつし先生が揉めた「銀河鉄道999」パロまで含まれるため、竹書房の自主的な判断でWeb配信そのものが中止された。

最終的に本誌で金八先生以外パロディ要素なしの最終回(61話)が描かれ、同時にWEB配信分も全てサイトから削除され連載に幕を引いた。なお、2022年頃までブラウザのURLに直リンを入力すると、近代麻雀=竹書房のサーバーから本作を画像で全話ダウンロードすることができた。それ以前には「24時間限定公開」なんてこともやっていた。海賊版ソフト扱いかな?

今のところ、本作に対して武田鉄矢氏やTBSから抗議は来ていないようである。

ちなみに、当時「近代麻雀」編集部に在籍していた竹村響氏(現在はフリー編集者)の本作に対するコメント。やっぱり他の出版社とは相当なゴタゴタがあったようです。「特級呪物」扱いも妥当と言えよう。

それは俺が退職前に封印してきた特級呪物
時が経ち封印が解けかけているのか……?
2023-07-22 12:56:31

今後、指定暴力団竹書房*4の手によって「特級呪物」の封印が解かれる可能性が…?!(ありません)

パロディした作品一覧やキャラクター(カッコ内は掲載回)

  • 1~2話、6話、9~10話、61話(最終話)には金八先生以外のパロディは出てこない。
  • 基本的に、元ネタのキャラクターの姿はそのままに(著作権侵害)、名前を無理やり麻雀にこじつけてある場合が多い。

  • 3年B組金八先生
    • 坂本一八(いんぱち)
      主人公
      元ネタ同様教師であるが、ドがつくほどのクズ・外道。
      似ているのは名前と顔だけである。
    • 坂本乙女
      坂本乙女とは、
      ○偉人・坂本龍馬の姉である。
      ○ドラマ「3年B組金八先生」の登場人物で、坂本金八の長女である。
      ◎漫画「3年B組一八先生」の登場人物で、坂本一八の娘である。
      一八先生の娘とあって、1,800点(コインパチ)で上がる。
+ 一方、一八先生はというと、
一方、一八先生はというと、32,300点で範馬勇次郎の顔で上がっていて、大人げないところも再現されていた。
    • 坂本幸作
      坂本一八の息子。乙女の兄。18話のみの登場。

  • 雀中学3年B組の生徒たち
    錦先生は元ネタのキャラクターの登場時期にはこだわりがないらしく、様々な時期に放映されたキャラクターが混在している。一八を含め、主なたまり場は雀荘「麻雀Z」*5。本項では出演頻度が多く、現在も公開されている最終話に出演した生徒キャラをまとめる。なお、加藤、茜、修一の3名のフルネームは37話の金田一少年の著作権侵害パロの回に出てくる。
    • 加藤勝
      1話から登場する本作の準主役。暴走族「剛毛魅怒呂(ごけみどろ)」のメンバー(3話)。グレて麻雀ばっかり打っているが、基本的に一八の賭け麻雀の食い物にされるのが1話目からの定番パターン。モデルは元ネタで「腐ったミカン」と言われた生徒の加藤優(1980年放映の第2シリーズに登場)だが、本作の姿は元ネタとは大きく異なる。この路線で行けば著作権侵害にならなかったのに… ももクロが好きらしい(13話)。

    • 2話にて登場する。メガネをかけており、受験の失敗を恐れるも、一八に雀荘に誘われた挙げ句、カモにされる。本作のオリキャラのような気がするが、詳細は不明*6
    • 深山明彦
      4話にて登場。実家は寿司店。父親は星一徹によく似ている。1999年放映第5シリーズに登場した「深川明彦」(演:亀梨和也)がモデル。
    • 柴崎茜
      5話にて登場。2010年放映のファイナルに登場した「柴崎茜」(演:趣里*7)がモデル。名前のひねりは無し。一八に恋する話も元ネタをなぞっているが(10話)、一八のエゲツないアガリに泣き出してしまう。錦先生は茜というキャラを相当気に入っているらしく、事実上準レギュラー扱いである。ちなみに錦先生のデビュー作「侍父」(サムライパパ)の娘役の顔とよく似ている(年齢設定は大きく異なる)。
      元ネタ同様、髪型は前髪ぱっつんである。ちなみに 錦先生のpixivアカウント には「前髪ぱっつんを描きます。 」と書かれているので、おそらく前髪ぱっつんが錦先生の好みの髪型だと思われます。
    • 松浦
      5話にて登場。元ネタ同様、加藤とケンカを繰り広げ、一八にハンガーでしばかれる。モデルは1980年放映の第2シリーズに登場した「松浦悟」(演:故・沖田浩之)。なお、武田鉄矢氏の「ハンガーヌンチャク」は、「金八先生」ではなく「刑事物語」が元ネタである。
    • 委員長
      6話にて登場する女子生徒。なぜか名前の設定は無し。髪を2本の三つ編みにまとめており、目が若干吊り目で強気そうなキャラ。本作のオリキャラと思われるが、詳細は不明*8
    • 杉原修一
      8話にて登場。本作で数少ないデブキャラとして出演頻度は結構高い。デブキャラだからか「ブヒ」が口癖。モデルは1995年放映第4シリーズに登場の「杉山修一」だが、元ネタは本作の修一ほど太ってはいない。「ハレ晴レユカイ」が好きらしい(13話)。
    • 力也
      9話にて登場。三郎とケンカをしているときに一八に仲裁されるが、エグい和了でダメージを受ける。モデルは1999年放映スペシャルに登場した「入船力也」。
    • 三郎
      9話にて登場。力也のケンカ相手で本作では影が薄い。モデルは1999年放映スペシャルに登場した「田口三郎」。
    • 石川祐子
      12話にて登場。元ネタ同様、試験の答案を白紙で提出し、ムスカ大佐 室塚先生を挑発する。モデルは1980年放映の第2シリーズに登場した「石川祐子」。名前のひねりは無し。

  • その他のキャラクター
    金八先生の出演人物のパロキャラであるが、本作が他の漫画のパロディ中心になるにつれて、その存在は忘れ去られていった。
    • 大森巡査
      10話で初登場。元ネタの大森 巡 巡査(演:鈴木正幸)がモデル。初期は結構な頻度で登場するが、徐々に出番が減っていく。
    • 本田先生
      雀中学の女性養護教諭。10話のみに登場。元ネタ第4シリーズ以降に出演した本田知美(演:高畑淳子)がモデルだが、容姿は大きく異なる。Wikipediaには「弓月光タッチで描かれている」とあるが、なんか違うような…
    • 花子先生
      42話のみ登場する女性体育教師で、冴和了の依頼人。モデルは金八先生のシリーズ5~7、スペシャル10・11などに登場した小林(旧姓:渡辺)花子(演:小西美帆)。なお、元ネタの花子先生は体育教師ではなく、家庭科担当兼バレーボール部顧問である。

  • 他作品のキャラクター
  • ゲゲゲの鬼太郎(3話ほか)
    雀中学の一八先生の同僚が、「ゲゲゲの鬼太郎」(正確には水木しげる作品)に出てくる「サラリーマン山田」そっくりである。
  • 疾風(かぜ)伝説 特攻の拓(ぶっこみのたく)(3話、23話)
    • 雀荘「Z」のマスター
      セット麻雀(ギグ)を流れ解散させそうな風格漂うマスター「岸森」。左耳にピアスを3個付けており、元ネタの「鰐淵春樹」とよく似ているが、サングラスはかけていない。
      よく一八が生徒を連れ込んで打つ他、雀中学の生徒もよくここに来る。"中坊"を"雀荘"に入れてんじゃねーゾ!?
      ドラッグに手を出した生徒のせいで"不運(ハードラック)"と"(ダンス)"ったことがある。
    • "剛毛魅怒呂(ごけみどろ)*9
      暴走族だが、麻雀で加藤をカモにされたことを怒る優しい連中。もちろんカモにされた。
    • 23話でも鰐淵春樹によく似た、サングラスを着用した人物が雀荘の店員として登場。3話のマスターと同一人物かどうかは不明。
  • 巨人の星(4話)
    星一徹っぽい寿司職人が出てくる。上記の通り、3年B組の生徒の深山明彦の父親。著作権に抵触するかどうか微妙なライン。
  • 天空の城ラピュタ(5話)
    • 室塚(むろつか)
      みんな大好きムスカ大佐。雀中学の先生として登場。レギュラーキャラとなっているためよく見かける。これあかんやつや。スタジオジブリもよく訴えなかったもんだと感心する。
  • GTO(7話)
    グレート・ティーチャー・鬼塚
    グレート・ツモスジ・鬼月
    (BGM/poison反町隆史)
    • 「切りたい牌も切れないこんな世の中じゃPoison」という鬼月のセリフが出てくるが、JASRAC無許諾…いろいろな意味でまずいのでは…
  • グラップラー刃牙(8話、画風のマネだけなのでセーフ)
    • 最終ページで、一八が範馬勇次郎チックな絵柄になる。
  • ジョジョの奇妙な冒険(10話、23話、41話)
    • 3回登場している。
    • 10話、23話は最後のコマでの絵柄のコピーのみなのでセーフ。
    • 41話は、ダニエル・J・ダービー一八先生空条承太郎との対決の話がパロディされている。大丈夫かコレ?どう見てもあかんやつや…
  • 北斗の拳(11話、60話)
    • 11話では汚物は消毒するモヒカン、スペードによく似た人、「ヒャッハッハ」と言いながら水をかぶるジードメンバーによく似た人の3名が登場。
    • 最終話の1つ前の60話で「山のフドウ」そっくりの「符同先生」が登場。
      • この後に錦先生は「コミックゼノン」の連載を開始しているので、60話に限り、原哲夫先生/コアミックスの許諾を得ている可能性も否定できない(ただしクレジット表記はなし)。
  • 笑ゥせぇるすまん(11話、画風のマネだけなのでセーフ)
    • 最終ページで、一八が藤子不二雄A先生チックな絵柄で喪黒福造っぽい姿になり、北斗の拳の悪党によく似た3人を「ドーン!」と倒す。喪黒残悔拳?
  • セクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさん(12話、18話、24話など)
    • 最後のコマの絵柄コピーだけなのでセーフ。
  • 進撃の巨人(13話、画風のマネだけなのでセーフ)
    • 最終ページで、一八が「進撃の巨人」チックな絵柄になる。
  • 美味しんぼ(14話)
    • 海原雄山 牌腹雄山(はいばらゆうざん)
      雀中学の理事長として登場。本物とよく似ているが実はヅラ。
  • HUNTER×HUNTER(14話、54話)
    • 14話は最後のコマの一八の絵柄マネだけなのでセーフ。
    • 54話は『幽遊白書』の回だが、同じ冨樫義博先生の『HUNTERxHUNTER』からはゴレイヌ、団長の手刀を見逃さなかった人、ノブナガの3人が&r(){著作者に無許諾で}友情出演している。
  • 珍遊記~太郎とゆかいな仲間達~(15話)
    • 漫F画太郎先生お得意のババアそっくりのキャラが登場する。
  • X-MEN(16話)
    • 最後のコマの一八の絵柄マネだけなのでセーフ。
  • ドカベン(17話)
    • 元ネタは「岩鬼」だが本話では「岩騎」。葉っぱの代わりに点棒を咥えている。
  • 地雷震(18話)
  • うしおととら(18話、53話)
    • 2回登場。18話は一八の顔が最後のコマで妖怪「さとり」風になるだけだけなのでセーフだが、53話はまるまる二次創作(二次的著作物)になっていてあかんやつや…面白いけど。
    • 53話の元ネタは「第31章 ブランコをこいだ日」。元ネタの妖怪「さとり」は飛行機事故で目を怪我した「ミノル」の目を治そうと考えて多くの人間を殺し眼球を奪い続けているが、本回の「さとり」もどきは雀荘から点棒を奪い、3年B組の生徒「茜」に点棒を10万点ぐらい渡し続けている。パロにしても一体どんな話や…
    • 蒼月潮は出てこず、一八が元ネタで潮と父親の蒼月紫暮(しぐれ)が演じた役になりきっている。一八の顔は紫暮に寄せて描かれている。
    • 元ネタとの比較の一部
      紫暮「人の眼球を集めて何をするかは知らぬが、光覇明宗の名のもとに、蒼月紫暮が退治する。」
      一八「点棒を集めて何をするかは知りませんが、3年B組担任教師の名のもとに、坂本一八が退治いたします。」

      「…そんなんじゃ…そんなんじゃ……ダメだよ…目をちゃんと手術しなけりゃよ…」
      一八「そんな…そんなやり方じゃだめですよ…麻雀は自分で打って振り込んだり負けたりしながらだんだん強くなるものなんですから…」

      「ミノルの目は手術で治るんだよ!そんな腐りかけた目ン玉なんて何の役にも立たね―んだ!!」
      一八「点棒の受け渡しは対局以外ではできないんですよ!!盗んだ点棒を渡されて茜がうれしいとでも思うんですか!?」
    • 元ネタで潮と「さとり」が戦う際、潮が「バカヤロォ」を連呼する名シーンは本回でも再現されているが、本作は金八パロなので「バカチンがァ!」になっている。
    • 本回最後のシーンで茜が手を合わせて「18000でござぁます♡」と言っているコマの構図の元ネタは、「第31章 ブランコをこいだ日」の直前の「第30章 愚か者は宴に集う 其ノ八 真由子ととら」の最後で、元ネタのヒロインの一人*10の井上真由子が「とら!」と言っているシーンである。『うしおととら』の単行本を持っている人は確かめてみよう!
    • 細かいところだと、冒頭下段のコマで茜が「山の神様」にお参りしているシーンの森は、元ネタの「第31章 ブランコをこいだ日 其ノ参 さとり」で、さとりが北海道の森の中で平穏に過ごしているシーンのコマ*11の背景そっくりになっている。ただし、トレパクではなく精巧な模写なので細かい部分は若干異なる。
    • 元ネタが小学館の漫画なので、吹き出しに全て句読点が打たれている。
    • 「さとり」のセリフのフォントは全て古印体になっているが、元ネタでは1か所だけ誤って通常の太明朝になっている箇所がある(「第31章 ブランコをこいだ日 其ノ四 手術前日~当日」でさとりが「うわああぁ!」と言いながら鎌を振り回しているシーン)。本回ではその部分もきちんと修正されており、さとりもどきのセリフのフォントは全て古印体となっている。なお無許諾(略)
    • 元ネタは藤田作品なのでグロシーンが結構多いが、本回はそういうシーンは一切含まれないので、子供でも安心して読めます。なお無許(略)
    • 余談だが、アニメ版『うしおととら』のオープニングソングは藤田和日郎先生が大ファンの筋肉少女帯が書き下ろした「混ぜるな危険」である。偶然ではあるが、「金八先生」と「うしおととら」を 無許諾で 混ぜた本回との関係を考えると、なんとも意味深なタイトルである。
  • AKIRA(19話、44話)
    • 鉄雄(本作では「鉄男」)が2回登場している。
    • 19話は同じ麻雀漫画の『天牌』主人公の「沖本瞬」っぽい人と夢の共演(なお無許諾)
    • 44話ではドラッグつながりで『BØY』の「神崎狂」っぽい人と夢の共演(なお無許諾)。「沖本瞬」っぽい人も44話に再登場する。
    • 松浦の鉄男に対するセリフ「ピーキーすぎてお前にゃ無理だよ!」(19話)というのは、元ネタ「AKIRA」のバイクのエンジンの話。麻雀の「ピーキー」って一体なんなんですかね…
    • 2回もネタにしているので、錦先生はAKIRA(の鉄雄)が相当お気に入りと思われる。3年B組の生徒のうち、金八先生以外から持ってきたキャラで本作に2回登場したのは「鉄男」だけ。
  • 天牌-麻雀飛龍伝説-(19話)
    • 元ネタの主人公の「沖本瞬」の初期バージョンっぽい人が鉄男にドラッグを勧める。あえてあまり原作の絵柄に似せていないようにも見える。
    • 元ネタは「週刊漫画ゴラク」の長期連載で知る人ぞ知る麻雀漫画。沖本瞬が東大生の「伊藤芳一」を麻雀の道に誘い込むというストーリーがあるらしい。それとAKIRAを無断コラボでクロスオーバーさせたのかな?
  • 闇金ウシジマくん(20話、36話)
  • ゴルゴ13(20話、36話、51話)
    • 原著作者無許諾のパロディなので、20話、36話ではウシジマくんとゴルゴが麻雀仲間というとんでもない設定に。
    • 20話・36話のゴルゴもどきは「東剛(とうごう)」、51話のゴルゴもどきは「デューク東風(とんぷう)」、別名「ゴルゴ1326(イチサンニンロク)」なので、どうやら別人のようである。
    • 「1326(イチサンニンロク)」とは、麻雀用語で「2人の子からそれぞれ1300点ずつ、親から2600点もらえる手を和了(あが)ったこと」。
    • 徹底したゴルゴパロの51話では3年B組の加藤と茜、そして一八の絵柄が、さいとう・プロダクションのチーフアシスタントだった故・石川フミヤス先生の絵柄に…ゴルゴパロディは多数あるが、石川先生の絵柄の模写をやったのは錦先生が史上初ではなかろうか?さいとうプロのチーフアシスタントには故・武本サブロー先生もいて、石川先生とは大きく画風が異なっていたが、錦先生の無駄に高いコピー画力を持ってすれば、石川画風だけではなく、武本画風の完コピも可能かも知れない。
    • 51話のサブタイトル「1万8千点の和了」は、ゴルゴ13単行本64巻に収録されている名作「2万5千年の荒野」というタイトルが元ネタ。ちなみに話の中身は全くの別物。
    • 元ネタではいばらの冠をかぶったドクロに「ゴルゴ13」と書かれた物騒な絵が各章の冒頭に出てくるが、51話では文字の部分が「サカモト18」になった物騒な絵になっている。
    • ゴルゴ13の仕事を裏方として支えるゴルゴ専属銃器職人のデイヴ・マッカートニーもよく出てくる。錦先生はどれだけゴルゴ好きやねん…
  • DEATH NOTE(21話)
    • 金末健次郎(かねすえけんじろう)
      金末健次郎は、DEATH NOTEに登場したキャラではない
      元ネタである金八先生兼末健次郎(かねすえけんじろう)*12のパロディで、ドラマ原作と同様に陰湿なイジメを行う。
      絵柄が夜神月(というより、小畑健風)
    • ドラえもんのジャイアンとスネ夫を意識した「郷田」と「滑川」という2名の不良が出てきます。これは元キャラと似ても似つかない造形になっているので著作権法的にセーフ。(無許諾でパロディをやるなら、「原著作物を感得できない」レベルまで変えないとまずいのですよ。詳細は「(おまけ)わかりやすい知財講座」の項目にて!)
  • HELLSING(21話)
    • 最後のコマの一八の絵柄マネだけなのでセーフ。
  • ろくでなしBLUES(22話)
    • 甲本ヒロト(現:ザ・クロマニヨンズ)をモチーフとした「大場ヒロト」そっくりの「戸田幹浩」というキャラクターが登場。ろくでなしBLUESの方は本人に許諾を得たキャラクターだったが、こちらは無許諾…
    • 名前のモデルは金八先生1999年第5シリーズに出てきた「戸田幹洋」。
    • ムスカ 室塚先生がスプレー「染めQ」を使って戸田の髪を黒くしようとする。なお、「染めQ」はヘア染色用のスプレーではないので、絶対に室塚の真似をしてはいけない。
  • 釣りキチ三平(23話)
    • 元ネタの主人公は「三平三平」(みひらさんぺい)だが、本話は「三筒三筒」(みづつさんぴん)。
    • 「特攻の拓」の鰐淵似のマスターが出た挙げ句にラストシーンの一八はジョジョ風になるなどカオス回。
  • 幽☆遊☆白書(24話、54話)
    • 2回登場している。
    • 24話に登場するのは闇ギャンブラー・戸愚呂 戸副露。
    • 54話に登場するのは誰も覚えていないような雑魚キャラ・室田繁(本回では名前はつけられていない)。「人の心が読める」キャラということで、前回の「うしおととら」の著作権侵害 パロの「さとり」と意図的にかぶせており、54話の1ページ目には「さとり」もどきもこっそりカメオ出演している。
    • 54話では同じ冨樫義博先生の『HUNTERxHUNTER』からはゴレイヌ、団長の手刀を見逃さなかった人、ノブナガの3人が 著作者に無許諾で 友情出演している。
  • クッキングパパ(25話)
    • 元ネタの主人公は「荒岩一味」(あらいわ かずみ)だが、本回の主人公は「怒羅岩 一萬」(どらいわ かずま)。
    • 元ネタに倣って麻雀の「七対子(チートイツ)」と「インパッチ」のレシピが出てくる。
  • MASTERキートン20世紀少年パイナップルARMY(26話)
    • 浦沢直樹先生ネタ全部のせというある意味著作権侵害ゴージャスな回。元ネタの主人公は「平賀=キートン・太一」だが、本話は「平和=チーポン・利一」(ひらわ・ちーぽん・りいち)。一八のあだ名が「アイアン・ボール=鉄の睾丸(キ◯タマ)」だったことが判明。どんなあだ名や…
  • 孤独のグルメ(27話)
    • 井之頭五郎
      雀之頭雀五郎(すずめのかしらじゃんごろう)
    • 上記の通り、27話については原作者の久住昌之氏がSNS上で不快感を示した。無許諾パロの上に勝手に別人(柳沢きみお先生)の作品とクロスオーバーさせてるからこの反応は原作者として当たり前でしょ…
    • この話の元ネタは「孤独のグルメ」12話。
    • 「こういうのでいいんだよ、こういうので」
      (12話の井之頭五郎の名セリフ、本作にはこのセリフは登場せず)
      いや無許諾の上、著作権侵害は絶対にいかんでしょ。
    • 原作で店主にアームロックをかけた五郎に「それ以上いけない」と言うのは洋食店の中国人アルバイトだが、本回ではなぜか一八がこのセリフを語っている。
  • 大市民(27話)
    • 「孤独のグルメ」12話で中国人アルバイトを怒鳴りつけている店主*13が、本作ではなぜか柳沢きみお先生の「大市民」の主人公・山形鐘一郎(やまがた・しょういちろう)に置き換えられている。
    • 「孤独のグルメ」と、知る人ぞ知る漫画「大市民」を無許諾で勝手にコラボさせたのは本作ぐらいだと思います。私はネットで調べるまで元ネタが分かりませんでした。本回ではあまりに山形鐘一郎が自然に作中に溶け込んでるので、てっきり「孤独のグルメ」のキャラかと思ってました。
    • 出版年次が古い「大市民」は合法的な漫画配信サイトで全話無料配信されていることが多いので、ぜひ27話と見比べてみてね!
  • へうげもの(28話)
    • 元ネタの「古田織部(序盤は古田左介)」によく似た「振田差介(ふるたさすけ))という一八先生の同僚が出てくる。
    • 最後のコマの一八はなぜか「シグルイ」風の絵柄になる。
  • シグルイ(28話、45話)
    • 2回登場している。28話は上記の通り、一八の最後のコマの画風コピーでセーフだが、45話は徹底しすぎてあかんやつです。
    • 45話では「シグルイ」の2人の主人公「藤木源之助 打木源之助」 と「伊良子清玄 暗刻(あんこ)清玄」が登場。
    • 麻雀用語の「暗刻」(あんこ)は、全く同じ牌を3枚自力で集めること。本作ではそういう話は出てこないので「伊良子」と「暗刻」を無理くりこじつけてる感じです。
  • ドラゴン桜(29話)
    • 元ネタの「桜木建二」にそっくりの「桜井健一」という人物が登場。名前の元ネタはおそらく「雀鬼」と呼ばれた伝説の雀士「桜井章一」。
    • 桜井は「五年後麻雀プロ試験合格者百人出します」を目指すらしいが生徒から「いや別に俺らプロ目指してねーし!!」と突っ込まれる。
    • 元ネタに出てくる生徒「水野直美」そっくりの「水摸(みずも)」という雀中学の生徒が出てくる。ただし、29話のみの登場。
    • 『サルでも描けるまんが教室』(相原コージ・竹熊健太郎 作)1巻の表紙とよく似た『サルでも打てる麻雀何切る 初級編』という作中作が出てくる。この模写も絵柄が似ているレベルに留まらないので著作権的にかなりヤバいような…(訴訟にまで発展してないので断言は避けます)
  • ベルセルク(29話)
    • 最後のコマの一八の絵柄が主人公の「ガッツ」っぽい顔になるだけなのでセーフ。ここで唐突にベルセルクが出てきたのは、ガッツが使用する剣が「ドラゴン殺し」だから。無許諾とはいえ 元ネタの組合せが巧妙すぎる…
  • ピンポン+鉄コン筋クリート(30話)
    • またもや松本大洋先生全部のせという回。
    • 原作の名脇役「アクマ(佐久間学)」にそっくりの「三九萬並」(さくまならぶ)が出てくる。原作でアクマが通う高校は「海王学園」だが、本作の三九萬が通う高校は「海帝(はいてい)」。
    • 麻雀用語の「海底(はいてい)」は、局の最後に行われる摸打(もうだ、ツモ+打牌)のこと。あえて「海底」にせず「海"帝"」にしたのは、元ネタの「海"王"」とかけたのでしょうな。
    • 「鉄コン筋クリート」は最後の一八の絵柄のみ。
  • 高校鉄拳伝タフ(31話)
    • 元ネタの主人公は「宮沢熹一」だが、本回は「宮沢理一(=リーチ)」になっている。
    • 元ネタの格闘技の流派は「灘神影流(なだしんかげりゅう)」だが、本回は「灘雀影流(なだじゃんかげりゅう)」になっている。
    • 元ネタの「親父(おとん)」もしっかり登場している。
    • 一八がタフに出てくる悪役っぽい顔になっている。
  • BLAME!(32話)
    • 元ネタの主人公は「霧亥(きりい)」だが、本回の主人公は「切亥(きりい)」。麻雀で牌を切るから?
    • 本回に出てくる麻雀牌の書体は「東亜重工フォント」になっている。実に芸が細かい!ちなみに、東亜重工フォントは実際に商品として販売されているが、本作は錦先生が独自に「BLAME!」の作風を真似て作成したものである。
    • 「第一種聴牌不測牌姿(だいいっしゅテンパイふそくはいし)」「重国士和了型射出立直(じゅうこくしホーラけいしゃしゅつリーチ)」の元ネタはそれぞれ「第一種臨界不測兵器」「重力子放射線射出装置」。麻雀用語に無理くり寄せたせいで元ネタの原型をとどめていない謎用語になっています。
  • ドラえもん(32話、画風のマネだけなのでセーフ)
    • 一八の顔が最後のコマでいきなりジャイアン風になる。切亥が麻雀牌を「重国士和了型射出立直」したことを受けて一八が「こら切亥、強打はマナー違反でしょうが。」という台詞を語るので、強打(きょうだ)=剛田(ごうだ)たけし=ジャイアンという流れ?
    • 11話の藤子不二雄A先生コピーに続き、今度は藤子・F・不二雄先生の画風のコピー。藤子不二雄両先生の画風を描き分けてコピーしたのは錦先生が初めてじゃなかろうか。繰り返すが、画風を真似ること自体は著作権侵害ではない。
  • 浦安鉄筋家族(33話)
    • 元ネタの小学校教師・春巻龍(はるまきりゅう)によく似た雀中学体育教師の張巻龍(はるまくりりゅう)が出てくる。
    • 元ネタ同様のアホキャラであり、本回の主役である。
  • 喧嘩稼業+幕張(34話)
    • 元ネタに出てくるのは「梶原柳剛流(かじわらりゅうごうりゅう)」の「梶原修人」だが、本回に出てくるのは「梶和了緑索流(かじわらりょくそうりゅう)」の「梶和了祝儀(かじわら しゅうぎ)」。
    • 元ネタの梶原は「入江文学」との対決に負けて左手首を落とされるが、本回の「梶和了」は一八が代打ち勝負に勝ったせいで左手首を斬り落とされた…かわいそう。一八は人間のクズ。
    • 最後のコマの一八のポーズの元ネタは、同じ木多康昭先生の「幕張」に出てくる奈良重雄の必殺技「奈良づくし」。
    • 木多康昭先生のパロディというのも、かなり珍しいと思う。
  • タッチ(35話)
    • タッチに出てきた「代行監督」は「柏葉英二郎」だが、本回に出てくるのは顔だけそっくりの「平場点次郎」。
    • 一八が賭け麻雀で点次郎の兄の点一郎を借金漬けにしたことが暴露される。やはり一八は人間のクズ。
    • 小学館の漫画のため、パロに入った2ページ目から吹き出しに句読点が…
  • ヤング島耕作 主任編(36話)
    • 島耕作 芝棒作(しばぼうさく)*14
    • 島耕作が勤めた会社は「初芝」電器産業だが、本作に登場する雀荘は「發芝」。読み方はいずれも「はつしば」。フリー雀荘で荒川の近くにあるらしい。
    • 元ネタに登場し、ネットの雑コラ素材としても人気の「亀淵雄太郎」そっくりの「亀打摸太郎(かめぶちもうたろう)」が登場する。
    • 店内に、ゴルゴ13専属の銃職人デイヴ・マッカートニーそっくりのおじさんがいる。ゴルゴやウシジマくんも出てくる。
  • 金田一少年の事件簿(37話)
    • 「金田一少年の事件簿」なので事件は起きる。原作は推理物なので長編だが、本作品は1話完結である。
      にもかかわらず、「前回のあらすじ」のようなページになりすぐに解決編になるという、高クオリティな作品になっている。
    • 金田一一
      近麻一一(きんまいちはじめ)
      かの有名な近代麻雀編集長の孫。誰だよ
+ 金田一少年の決め台詞といえばコレ
金田一 近麻一少年の決め台詞といえばコレ

この何切るは必ず解いて見せる!!
純全帯么九(ジュンチャン)の名にかけて!!

もう原型がどこにも残ってないだろ…
  • 魁!!男塾(38話)
    • 大豪院邪鬼
      大強引雀鬼(だいごういんじゃんき)

      雀中名物「魔亜邪庵(まあじゃん)

      魔亜邪庵……
      中国清代末期
      四川省の雀士達の間で盛んに行われた決闘法の一つ
      一対一で対局しアガった役に応じた数の点棒を相手に突き刺して闘う
      連荘はなく一局ごとに交互に親番を繰り返しどちらかが絶命するまで対局を続けるという
      まさに命がけの勝負であった

      余談ではあるが現代の麻雀でロンされることを「刺さる」と呼ぶのはこれが源である

      民明書房竹書房刊「麻雀の歴史と文化」*15より

      雷電はいなかったが、一八先生が魔亜邪庵を知っていた様子。なんなんだアンタ
  • ドラゴンクエスト ダイの大冒険(39話)
    • アバン先生 オヤバン・デ・ツモァガールIII世「オヤバンツモラッシュ!!」
    • 一八に対抗するため、オヤバン先生が「メガンテ」ではなく「マンガンテ」(満貫手?)という呪文を唱えて自爆する。
  • ハチワンダイバー+エアマスター(40話)
    • 元ネタの「ジョンス・リー」そっくりの「ワンス・リー」が本回の主役。
    • これまた柴田ヨクサル先生全部のせ…錦先生はどうしてここまで混ぜたがるのか…
    • なお、麻雀用語の「ワンスリー」は麻雀のポイントのことで「10-30」の意味。
  • バトル・ロワイアル(作画:田口雅之)(40話)
    • 一八「ちょっと麻雀で殺し合いをしてもらいます」
      最後にちゃっかり嘉門米美風一八先生が登場する。
    • この回の和了は18000点ではなく小インパチの1800点。
  • シティーハンター(42話)
    • 冴羽獠
      冴和了(さえりょう)
      • 麻雀用語で「和了」(ホーラ/あがり)とは、手牌を一定の形に揃えて公開すること。本作の最後で毎回一八が「インパッチでござぁます!」とやっているアレのことでござぁます!
      • 元ネタでは新宿駅の掲示板に「XYZ」と書き込んで依頼するが、本作では堀切駅の掲示板に「240Z」と書いて依頼することになっている。堀切駅になってるのは元ネタの金八先生のロケ地だったから。
      • 「240Z」は麻雀用語で24000点(親の倍満)のこと。こんなの麻雀に詳しいやつ以外意味わからねーだろ… ちなみに麻雀用語の240Zの元ネタは太古の昔に日産フェアレディZに設定されていた最上級グレードのこと。
+ 冴和了の自己紹介
冴和了の自己紹介
冴和「ああ…おれの名前は冴和了 ポンチーハンターともよばれているがね」
    • 槇村香
      捲村香(まくりむらかおり)
      • 麻雀用語で逆転することを「捲る(まくる)」という。
      • 名前以外は本家とほぼ同じ。振り回すハンマーに麻雀関係の文字が書かれているのが特徴。
    • 本回では一八が諸事情により原作にしか登場しなかった悪役「海原神」になりきっている。そして、無駄な高精度で「シティーハンター」を完コピしたおかげで、作者の北条司先生から罰ゲームのような難易度の高いスピンオフ作品を任せられました。(後述の「余談」を参照)
    • ネット上では、最後のコマの一八(花子先生とともに遠くを見つめているシーン)を見ると「Get Wild」が聴こえてくるという人まで…(幻聴)
  • 無限の住人(43話)
    • / 万次 萬字(まんじ)
    • 浅野凜 浅野嶺(あさのりん)
      • 冒頭より一八先生と一局やり、一人負けしている。しかもしっかりお金を巻き上げられている。先生!何やってんの!
  • BØY(44話)
    • 元ネタに出てくるヤク中のチーマー「神崎狂」そっくりの「槓崎狂」が登場。読み方は本家と同じ「かんざき きょう」。
    • 麻雀用語の「槓」は槓子(カンツ、同種の牌4枚による面子)を作ることである。
    • ドラッグつながりで「AKIRA」の鉄雄が再登場する。また、後ろの方に『天牌』の「沖本瞬」っぽい人も再登場している。
    • 原作のドラッグは「ヘル・ビジョン」だが、本回のドラッグの名前は「フル・ビジョン」。フルHD動画(1080p)のことかな?
  • ホーリーランド (46話)
    • 主人公「神代ユウ」「神白リュウ」と、「伊沢マサキ」「一三萬(いさま)マサキ」が出てくる。
    • 「白」は何も書かれていない麻雀牌が元ネタと思われるが、かなり苦しいこじつけ…
  • 修羅の門(47話)
    • 陸奥九十九 摸自九自摸(もつくつも)
      陸奥圓明流 摸自東北流(もつとんぺいりゅう)の使い手。麻雀用語の「自摸(つも)」をひっくり返して「摸自(もつ)」と読ませるアイデア…どういう発想ででてくるんでしょうか(呆れ)
      摸自東北流とは「ヒラ打ちで千年無敗を誇るという伝説の流派」らしい。一八先生の敬愛する坂本竜馬とも打ち合ったことがあると伝えられている、らしい。
      また、アオリ文に「摸自東北流を名乗るものが、戦える…って言うことは、「勝てる」ということ。そこに立つのは鬼か修羅か…?」とある。編集もノリノリである。
    • 麻雀用語の「ヒラ打ち」は、イカサマ技を習得している打ち手が、あえてイカサマ技を使わずに打つという意味。
    • 現在の麻雀の歴史は結構浅く、中国・清の同治年間(1862~1874年)に「陳魚門」という人が2種類のゲームを合体させて作ったという説が有力。そのため、「ヒラ打ちで千年無敗」の次のコマで3年B組の生徒に「千年前にまだ麻雀はねーだろ!!」と突っ込まれている。
    • その意味において複数の作品を無断でクロスオーバーさせることが多い本作は、麻雀の本質を突いているのかもしれない。
  • 風の大地(48話)
    • ゴルフ漫画。元ネタの主人公は「沖田圭介」だが、本回の主人公は「折田北介」(おりた ぺーすけ)。もはや名前が無理すぎる…
    • ゴルフのショットの動きで麻雀を打つという謎の描写に…
    • 元ネタが小学館の漫画なので、吹き出しに全て句読点が打たれている。
    • 竹書房の誤植で、ひげの男性キャラが「日本人オキタの勇気だ!!」と絶叫する場面がある(本作の名前は上記の通り「オリタ」)。どう見ても錦先生と竹書房は明らかに著作権侵害の共犯じゃないですか…
  • 織部金次郎(48話、一八の絵柄だけなので著作権的にはセーフ)
  • 岳 みんなの山(49話)
    • 浦沢直樹先生っぽい絵柄だが、元ネタの作者は石塚真一先生という別人。この例を見てもわかるように、絵柄を真似ることは著作権侵害にはならない。
    • 元ネタの主人公は「島崎三歩」だが、本回の主人公は「島咲三麻」(しまさき さんま)。三人麻雀を名前にするやつなんかいないだろ…
    • 元ネタが小学館の漫画なので、吹き出しに全て句読点が打たれている。
  • スプリガン(50話)
    • 元ネタの主人公は「御神苗 優」(おみなえ ゆう)だが、本回の主人公は「御利内 優」(おりない ゆう)。麻雀の勝負を「下りない」ということかな?
    • 元ネタの組織は古代の財宝を守る「スプリガン」だが、本回に出てくる組織は古代から伝わるイカサマを防ぐ「オクリカン」。元ネタは麻雀用語の「送り槓(かん)」で、リーチ後の送り槓は禁止されている。
    • 元ネタが小学館の漫画なので、吹き出しに全て句読点が打たれている。
  • 柔道部物語(52話)
    • 元ネタの主人公は「三五十五」(さんご じゅうご)だが、本回の主人公は「三本五本点五」(さんご てんご)。絵柄以外は改変しすぎだろ…一八や生徒まで小林まこと先生風の絵柄になっている。
  • カメレオン(55話)
    • 元ネタの主人公は「矢沢栄作」だが、本作の主人公は「ヤワザ」。麻雀の「技」ということか?
    • 3年B組の生徒の加藤と松浦が完全に加瀬キャラになりきっている。そして、最後のコマの一八の顔は「カメレオン」に登場する愚連隊「松戸苦愛(マッドクラブ)」の「松岡英治」ですよね?絵柄のマネは法的にセーフ。加瀬先生の絵柄を真似たのはおそらく錦先生が初めてじゃなかろうか?(ヤンキー漫画は同人で人気があるジャンルでもないので…)
    • カタカナをセリフに混ぜ込んだ加瀬スラングもそのまま。
      • 「よォ オメーそんなにツエーのかヨ?」
      • 「どーしたヨ?顔色がワリーみてーだケド?」
    • 手の込んだことに、加瀬あつし先生が故・松本零士大先生を激怒させて封印された「銀河鉄道999」ネタまで登場。
    • なお、K談社が本作の一連の無断パロディに激怒したため、この55話も元ネタの「カメレオン」332話同様、無事永久封印されたもよう。この関係もあり、本回は近代麻雀のWebサイトで公開されなかった。
  • 蒼天航路(56話)
    • 「董卓」という元ネタそのままのキャラが登場。麻雀の雀卓と「卓」つながりということかな?ひねりもなしにそのままはいかんでしょ!そりゃK談社が激怒するわな…
    • 次の57話から最終話に至るまでK談社パロは一切無し。おそらく56話の掲載時点でK談社の知財担当部署から竹書房に警告文が来ていたのでは…?
    • あまり知られていないが、錦先生のデビュー作「侍父」(サムライパパ)はK談社の「アフタヌーン」に掲載されていた。内容は「子連れ狼」をリスペクトしたような感じの漫画でした。
  • 三国志(横山光輝)(56話、最後のページの一八の絵柄のみなのでセーフ)
  • 今日から俺は!!(57話)
    • 「中野」と書いて「ちゅんの」と読む転校生キャラクターが登場。元ネタは「中野誠(なかのまこと)」。
    • 元ネタが小学館の漫画なので、吹き出しに全て句読点が打たれている。
    • 次の回(58話)から、不定期連載となることが本回にて突然予告される。
      編集部の末尾コメントは「諸事情により、次回から不定期連載になります。どんな事情かは、探らないでください………。」
      やっぱり前回の56話がやばかったんじゃ…
  • 風の谷のナウシカ(58話)
    • 不定期連載になったかと思ったら、いきなりとんでもない元ネタをブッ込んできました。
      「第58話 風の待ちの南家(ナンチャ)」
      えぇ…よくこれで宮崎駿氏がキレなかったもんだ。ちなみに麻雀用語の「南家」は、親の下家(右側)のプレイヤーのこと。
    • 一八の絵柄や吹き出しまで宮崎駿風になっており著作権侵害模写芸が細かい。
    • 悪乗りした編集部のトビラのアオリ文が
      「高度麻雀文明を崩壊させた「炎の七日間」の最終戦争から千年。学園の外には拡大する“腐海”が広がる。」
      一体どんな文明や…なお、元ネタは「火の七日間」。「腐海」は元ネタそのまま。
    • 元ネタのトルメキア第4皇女「クシャナ」とほぼ同じ見かけの「九西南(クシャナン)」という女性、そしてクシャナの側近のクロトワそっくりの人物「玄人和(くろとわ)」が出てくる。
    • クロトワ似のおっさんが「ウホッいいにおい…」と語ってるが、それ宮崎駿じゃなくてヤマジュンじゃないですか!  混ぜるな危険
    • 遠慮か何かは不明だが、ナウシカは一切出てこない。
    • 著作者の宮崎駿氏が本回を読んだら間違いなく「極めてなにか生命に対する侮辱を感じます」とコメントするに違いない。
    • とはいえ、よくある薄い同人本のナウシカエロパロよりは遥かに本家に敬意を払っているのが本作である。
  • るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-(59話)
    • 「自摸沼薄水」(つもぬま うすい)という、琉球出身の盲目の雀士が登場する。悪徳雀荘「十本場」を経営しており、一八が「さっそく打ちに行きましょう!」と加藤と茜の生徒2名を巻き込む。元ネタは「魚沼宇水」。
    • 元ネタの宇水の眼帯には「心眼」と書かれているが、本回の薄水の眼帯には「満貫」と書かれている(いずれも右から左)。
    • 元ネタで新選組の斎藤一の役を一八が熱演しており、一八の顔も斎藤一に寄せてある。
    • 元ネタで「昂(たかぶ)って」となっている箇所が「昴(すばる)ぶって」になっている。おそらく誤字ではなく意図的なものではないかと思われるが詳細は不明。
    • 元ネタの宇水は失明した後、「チョロチョロ」と流れる水の音に走っていくが、本回の薄水は「ジャラジャラ」となる麻雀牌を混ぜる音に走っていく。麻雀牌で喉の乾きは潤せないでしょ…
    • 元ネタの宇水は「ティンペー」という盾と「ローチン」という槍を使った琉球王家秘伝の技を駆使して戦うが、本回の薄水は「東(トン)」「北(ペー)」と「六筒(ローピン)」をすり替える琉球王家秘伝のイカサマ技を駆使する。ちなみに琉球王朝終了が1879年、麻雀の成立が1862~1874年なので、琉球王朝秘伝の麻雀イカサマ技は実在しません。
    • 元ネタの宇水は斎藤一の「牙突(がとつ)」により、上半身と下半身を真っ二つにされて絶命しますが、本回の薄水は麻雀に負けるだけで命は奪われませんでした。めでたしめでたし。

余談

42話がシティーハンターのパロディ回だったのがきっかけで、原作者の北条司先生から錦ソクラ先生に直接お声がかかり、なんとスピンオフ漫画今日からCITY HUNTERというシティーハンターの転生モノの連載を「コミックゼノン」で開始するという前代未聞の事態に!絶対狙ってやっただろ これを受けて、ゼノンでは『終末のワルキューレ』と「一八先生」の出張コラボマンガがちゃんと許可を得たうえで掲載された。

錦先生の著作権侵害に対して単純に怒らず、原作のイメージを保つきわめて難易度の高い罰ゲームのような仕事を錦先生に依頼した寛容な北条先生に拍手!当時の北条先生の絵柄をあれだけコピーできる錦先生もすごいですけどね。

当時の「近代麻雀」編集者の竹村響氏(現在はフリー編集者)のツイート。

前職20年間でいちばんちゃんと謝った案件だ。懐かしい。でも好きな作品だった。
錦先生がシティハンターのスピンオフ始めたのには俺も吹いたな……。
2022-01-10 08:23:55


ちなみに現在の北条先生は絵柄が変わっており、御本人の弁によると当時の冴羽リョウを描くのがかなり難しい状況だとか…(出典:「劇場版シティーハンター 天使の涙」公式パンフP17)。漫画家って大変なお仕事ですね。北条先生本人が描けなくなった1980年代の冴羽リョウを完コピで描ける錦先生は、ある意味化け物レベルの才能なのかも知れない。才能は正しい方向に使いましょう。

なお、42話では一八が冴羽リョウの育ての親である「海原神(かいばら しん)」の姿になっており、ムスカの著作権侵害の室塚先生と共演している。

2023年9月に公開された「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」ではアニメ版で初めて海原神が登場しているが、どうも原作の絵ではなく「一八海原」に寄せている雰囲気がある(髪の長さ*16やラストシーンのパースのとり方など)。さらに、クルーズ船の上で室塚っぽい部下から海原神がキーアイテムを受け取るシーンもある。サンライズの製作チームはガチで一八先生42話を全員読み込んでると思います!

ただし、サンライズは機動戦士ガンダムに代表されるを作成する日本を代表するアニメ制作会社*17で、錦先生のような著作権法に真っ向から挑戦するエクストリーム漫画家ではないので、海原の部下の姿はメガネと髪型でそれとなくムスカ 室塚先生に似せているだけです。これが合法的なパロディのあり方。

もっとも、サンライズは万事屋で某議員ネタやプリキュアのパロディといったエクストリーム演出もしているので、そこはお互い様だろとか言ってはならない。

ちなみに、錦先生は「今日から~」の仕事ぶりがゼノン編集部(コアミックス)から気に入られたらしく、「北斗の拳」のアミバスピンオフ漫画の原作まで手掛けるようになりました。うわらば!

錦先生の本音

最終回の61話(今でもキンマ公式サイトで公開中)の一八先生のセリフがそのまま錦先生の本音ではないかと思われます。

「これ以上私のわがままで皆さんに迷惑をかけるわけにはいきませんので…雀中学を去ることに決めました」(P.241)

「私は彼らの素晴らしさをみなさんに少しでも知ってもらいたい一心でこれまでやってきました」(P.243)

「批判されることは覚悟の上だったからね…社会のルールは守らなくちゃいけません 快く思わない人がいるのなら私は潔く教壇を降りようと思います」(P.244)

錦先生の「わがまま」を7年間も連載し続けた近代麻雀…だが、それがいい!

一八先生のK談社関連作品がキンマWebで公開停止になったのが2019年11月上旬頃、最終回(61話)が突然ひっそりと掲載されたのが2020年1月1日に発売された「近代麻雀」2020年2月号。この時系列の流れを知ると、上記の錦先生のメッセージも味わい深く読めるのではないでしょうか。

(おまけ)わかりやすい知財講座

上述の通り、本作は最終話の61話を除き残念ながら全て「特級呪物」として封印されてしまっている。それは本作が様々な知的財産権侵害に該当する可能性が高いと竹書房が判断したためである。

幸い、実際の係争には発展しなかった本作であるが、知的財産権への認識が高まっている2010年代に入ってから、パロディで派手に知的財産権侵害になりうる行為をやらかした本作の問題点は、知的財産権を考察する上できわめて稀有かつ良質の事例と思われるので、本項にて解説する。

著作権侵害で紛争になった場合、きわめて深刻な事態に発展するということは、2014年に発生した「ハイスコアガール」事件が示している。

同作は押切蓮介先生のラブコメで、作中に出てくるテレビゲームがストーリーの展開に重要な役割を果たしている。しかし、掲載誌の版元であるスクウェアエニックス(以下「スクエニ」)は自社がゲームメーカーであるにも関わらず、あろうことか作中に使用されているゲーム画面について、著作権者に許諾を全く取っていなかった*18

呆れたことに、スクエニの編集部は無断使用にも関わらず「ハイスコアガール」の末尾に「Special Thanks to…」と実在のゲーム会社の名前を御丁寧に書いており、外部から見ると各社に許諾を取っているように見せかけていた。そのため、作者の押切先生はスクエニの編集部が各社に著作物の利用許諾をとっているものと思いこんでいたと言う。

SNKプレイモアは、自社のゲーム画面などの著作物の無断使用に関する警告を複数回行っても何ら誠実に対応しようとしないスクエニにガチギレして、大阪府警に著作権侵害で押切先生とスクエニの刑事告発を行ない、最終的に押切先生はスクエニの関係者ともども書類送検されてしまった。

「ハイスコアガール」は単行本1~5巻が全数回収の対象となり、連載も2年以上の中断を余儀なくされてしまった。単行本は大幅に内容を修正の上、「ハイスコアガール CONTINUE」としてなんとか復刻再販することができた。著作権侵害の発覚を受けて凍結されていた「ハイスコアガール」のアニメ化も5年以上の塩漬け期間を経て再起動し、2018年にようやく日の目を見るに至った。

商業出版を行っている以上、作品内の著作権の権利処理を行うのは著作者ではなく、出版社の責任である。「ハイスコアガール」の件に関してはスクエニに全面的な責任がある。いい加減な編集体制で押切先生を書類送検に至らしめたという点で、スクエニの罪はきわめて大きい。

著作権侵害は刑法上「親告罪」*19となっているため、元の権利者の感情を害すると深刻な結果になる(この点は後述)。外部から詳細を知ることは不可能だが、上記の「ハイスコアガール」事件ではスクエニとSNKプレイモアの2社の間に以前から深刻な確執が存在していたようである。

著作権侵害は刑事と民事の双方で対応可能であるが、刑事告発を行った場合、関係者への影響が甚大なものになることから、通常は損害賠償請求等の民事上の請求を行うのが一般的で、刑事告発は海賊版販売などの極端に悪質な場合に限られることが多い。

本件では幸い書類送検にとどまり立件されなかったものの、大阪府警は「起訴相当」の意見を付けてスクエニ関係者と押切先生を書類送検していることから、スクエニの著作権侵害の悪質性が高いと判断したということである。

なお、余談ではあるがWikipediaによると押切先生は竹書房と親しいらしい。もし仮に押切先生が著作者に土下座して謝ることができる『近代麻雀』に「ハイスコアガール」を連載していれば、SNKプレイモアもここまで激怒しなかったかも…(歴史のif)

◆著作権
著作権とは、ざっくり言ってしまうと「著作物=創作物の複製防止権」といえる。

細かく見ると「著作者財産権」(著作物をコピーしたときに発生する金銭など)と「著作者人格権」(著作物を無断で改変されない権利)の2種類がある。

一八先生の話題に話を戻すと、本作はあまりに精密な模写によって「著作者財産権」のうちの「複製権」、麻雀パロに変更するための改変が「著作者人格権」のいずれにも抵触してしまっているため、竹書房が永久封印せざるを得なくなってしまった。K談社が激怒したのも、これが法的な根拠のはずである*20

もし本作が単行本化できていれば、結構な額の印税が錦先生に入ってきたはずなのだが…著作権侵害の末路はこうなります。多額のコストがかかる「近代麻雀」の回収や、錦先生ならびに竹書房に対する損害賠償請求に至らなかっただけでもラッキーだったといえるでしょう。「ハイスコアガール」の押切先生のように書類送検なんてされたらたまったもんじゃありません。

ある意味、竹書房は各出版社に土下座して本作を永久封印したことで、錦先生を守りきったとも言えるでしょう。

錦先生のような無許諾パロディは、結果的に大損します。特に商業出版でこういうことは絶対にやめておきましょう。

◆模写ならOK説→まちがい
法的規定とは別に、日本の出版業界には「コピーはNG」「模写ならOK」という暗黙の慣習があるらしい。

改めて本作の1話から61話を通読すると、おそらく錦先生も「模写ならOK」と思ってどんどんパロディがエスカレートしたのではないかと推測される*21

しかし、模写でも著作権法上の「複製」に該当するため、忠実な模写は複製権侵害で一発アウトになる。

逆に言うと、模写がヘタクソなら「複製」にならないので、例えばドラえもんパロディなのに猫型ロボットがハローキティにしか見えない場合は、藤子・F・不二雄先生の著作権のうち、少なくとも複製権は侵害していないことになる。

◆パロディと著作権
著作権はきわめて強力な権利であり、あらゆるケースを著作権の保護対象とすると様々な問題が発生するため、日本の著作権法には、著作物を著作権者に無許諾で利用することが可能なケースを明示した「例外規定」がいくつか設けられている(著作権法は国ごとに異なるが、海外も概ね同様)。

しかしパロディについては、日本では基本的に例外規定を適用できる余地がない。

1972年にコラージュ作家のマッド・アマノ氏*22が、写真家の白川義員(しらかわ・よしかず)氏の写真を無断でコラ素材として利用した結果、白川氏から著作権侵害で訴えられた。

このとき、アマノ氏は「引用だからセーフ」という主張をしたが、最高裁判所で2回退けられ、これが日本の引用における判断基準として定着した。(昭和55(1980)年3月29日 最高裁第三小法廷判決、昭和61(1986)年5月30日 最高裁第二小法廷判決)。

詳しくは「パロディ・モンタージュ写真事件」で検索していただきたいが、要するに現行著作権法32条に基づく日本での引用の要件は

「メインの著作物が主、引用先の著作物が従になっていないとダメ」
「メインの著作物の地の文(もしくは絵)と引用先の著作物を分けないとダメ」
「引用先の著作物の出典を明示しろ」

ということである。

漫画批評などであればこの形式が成立するが、パロディは地のストーリーに元キャラをこっそり自然に入れ込むことがキモであり、そうするとパロディの「引用」は日本の著作権法のもとでは絶対に成り立たない、ということになる。

では薄い同人本はどうなのかということだが、あれは「国内出版社や著作者が黙認している」というのが正しい。

エロパロ同人の作者を著作権侵害で訴えたところで、回収できる金額は微々たるものに過ぎない。また同人からプロになる作家も多いため、下手に同人業界と対立すると国内出版社が新人を発掘できないなどのデメリットが発生する*23。そこで、国内出版社としても同人業界にはあえて手を出さないでおこうということである。これは、ゲームを盛り上げるためにゲーム会社がYouTubeでの実況を明示的に認めているのと類似している。

ただし、これはあくまでも国内出版社の話であり、ディズニーなどの外資系は日本の同人業界から新人を発掘する必要がなく、同人パロディは一切容認しない立場なので、調子こいてミッキーマウスのエロ同人とかを作ると大変なことになります*24

◆キャラクター著作権
著作権はもともと絵画などの保護を想定していたため、「原画の複製」というところに重点が置かれており、特定の原画に依存しないキャラクターの著作権保護が曖昧な部分があった。

昔は著作権の認識が乏しかったため、立川バスが「原画に依存しなければセーフ」理論を唱えて、あろうことか自社のバスに無断でサザエさんのキャラクターの絵を書き、故・長谷川町子先生との間で訴訟になり、立川バスが完全敗訴した。詳しくは「サザエさんバス事件」で検索。

「2個を混ぜればセーフ」という理論を唱えたおもちゃ業者が「サザエさん」と「元祖天才バカボン」を合体させて「サザエボン」という魔物を生み出したこともありましたが、当然NGです。

どこかにいろんな漫画を混ぜた作者がいたような…真似してはダメですよ。

◆パロディはどのへんまでがOKなのか?
著作権法上セーフなパロディは、面白さは削がれるが、元キャラであることを「感得」できないレベルまで落とし込む、ということに尽きる。上記の通り「シティーハンター」の劇場版で、ムスカ大佐 室塚先生っぽいキャラクターを出したのはその好例である。(ぜひ劇場で御確認を!)

パロディがどこまでセーフなのかというのはケースバイケースなため、一般論として語ることは難しいが、本作でもパロディのネタ元として用いられている「特攻(ぶっこみ)の拓」の作画担当だった所十三先生が、別の原作者(岩橋健一郎氏)とタッグを組んで連載しているヤンキー漫画「ドルフィン」77話(2023年8月「マンガクロス」掲載)に、たまたまちょうどよいサンプルが出ていたので紹介する。

暴走族の主人公「岩城源太郎」が通う学校の、学年主任の名前が「坂本兼八(さかもと・かねはち)」。どう見ても金八先生から持ってきたとしか思えない名前だが、本作とは異なり、武田鉄矢氏と似ても似つかない顔に描かれているというところが一つのポイント。「坂本兼八」の顔は自動車ジャーナリストの故・三本和彦氏をモデルにしているようにも見えるが、参考にしたかどうかははっきりわからないように描かれている。これも重要なポイント。

所先生はベテラン漫画家なので、さすがは抑えるポイントを押さえたキャラ作りを行っていると感心することしきりである。錦先生もこのレベルで本作をまとめていれば、一八先生の単行本で印税ガッポガッポも夢ではなかったのに…

同じ金八パロで参考になる例として、「妖怪ウォッチ」アニメ版の作中パロ「3年Y組ニャンパチ先生」*25がある。我らがジバニャンが長髪っぽいカツラ(?)と背広(上だけ)を着用し「このバカちんニャー!!」と叫んで竹刀を振り回す*26というものである。

「3年B組金八先生」を元ネタにしているのは明らかだが、ジバニャン扮する「ニャンパチ先生」と武田鉄矢氏が似ても似つかないことは明らかので、肖像権・著作権のいずれも侵害しておらず、パロディとしてはOKなラインである。「妖怪ウォッチ」アニメ版では様々な作中パロが出てくるが、これまで封印回は存在しないので、いずれのパロディも内容に問題はないということである。

別の事例では、例えば秋本治先生の「こち亀」に出てくるゴルゴパロキャラの「後流悟十三(ごるご・じゅうぞう)」「ボルボ西郷」と、本作の「東剛」「デューク東風(とんぷう)ことゴルゴ1326(イチサンニンロク)」を比較すると、どのへんまでならパロディとしてOKなのかというラインが見えてくると思う。

すなわち錦先生のパロはヤバいラインを明確に踏み越えていたということである。まあ、そこが面白かったとも言えるが…。

逆に、パロディで元キャラを「感得」できるレベルで使用したければ、原著作者の事前許諾を得る必要があるということである。そう、錦先生が本作をきっかけに連載した「今日からシティーハンター」のように…

内容にもよるが、きちんと事前に申請すればパロディを認めてくださる原作者が多いのも事実。「カメレオン」の無断下ネタパロに激怒した故・松本零士先生も、パロディだらけの「銀魂」ドラマ版の「銀河鉄道999」パロには許諾を出している。「北斗の拳」に至っては、「時系列を無視した南斗の共演」や「架空のドラマ撮影日誌」等パロディ作品が多数制作されており、本家が長期にわたる人気を獲得する一因と言ってもいいだろう。

原著作者との間で良好な関係が築ければ、パロディはお互いにとってメリットがあるとも言える。

◆肖像権
芸能人の肖像は商品価値があるため、判例上確立された権利として「肖像権」が発生する。かつて、国内某食品メーカーが海外の子役の映像を無断でCMに使った結果、訴えられて敗訴した。詳しくは「マーク・レスター事件」を参照。その後、肖像に高い経済的価値がある芸能人には「パブリシティ権」が存在するという解釈が確立した。

パロディだからといって肖像権の管理元が許してくれるとは限らず、厳しい芸能事務所だと肖像権侵害に対して法的措置をとることも少なくない。また、パロディの利用様態によっては、芸能事務所やモデルとなった芸能人本人の感情を害する可能性も否定できない。

本作はどう見ても武田鉄矢氏の肖像権を侵害しているとしか思えないのだが、錦先生と近代麻雀編集部は、本作を訴えない武田氏の寛容さに感謝すべきであろう。錦先生のように芸能人の肖像の無断パロディという命知らずなことをしてはいけない。

ムダヅモ無き改革」が単行本化できたのは、パロディに用いているキャラクターが公人である政治家で、肖像により経済的利益が発生する芸能人とは肖像権の扱いが異なってくるためである。

芸能人をモデルにした合法的なパロディを行う場合は、上記の他作品のパロディと同様に、(面白くはなくなるが)モデルとなった芸能人を読者が感得できないレベルにするか、(ある程度の経済的負担が発生したり、断られる可能性があるものの)所属事務所に事前許諾を取るかのいずれかになるということである。

ちなみに、武田鉄矢氏は、西城秀樹氏の「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」をモチーフにした「JODAN JODAN」を1979年に作った際、西城氏の当時の所属事務所と打合せながら製作したことが明らかにされている。「JODAN JODAN」は単にYMCAの振り付けを真似ているだけなので、著作権法上は原著作者の許諾を得る必要は特にないが、武田氏がいかに他者の知的財産権を尊重する方であるかということが伺えるエピソードである。

◆絵柄・画風
繰り返し述べている通り、絵柄や画風は著作権法の保護対象とはならない。

とはいえ、絵柄の無断でのパクリは、トレパクでなくても著作権法とは別のレベルで問題になることが多い。

2023年4月、内閣府のポスターがイラストレーターのたなかみさき氏の絵柄をパクっているとして問題になり、該当のポスターが回収された。たなか氏に頼まなかったのは、端的に内閣府の予算の都合と推測される。似た絵を描ける無名のイラストレーターに頼んだほうが、費用が安く付くからである。

同様のケースにNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の初回バージョンチコが挙げられる。2017年3月24日に放映された第1回パイロット版のチコの造形が、イラストレーター・奈良美智氏の描く女の子によく似ていた。

しかも、SNS上での奈良氏の発言により、NHKは奈良氏にデザインを依頼して断られていたことも判明した。

各方面から批判されて炎上した結果、2017年8月17日放送分の第2回パイロット版では「プチ整形」と称して、オオシカケンイチ氏による現在のデザインに大きく変更された。

そのため、奈良美智風の初回バージョンチコは本作同様「特級呪物」扱いとなっており、ネット上で誰かがキャプチャした画面などでしか確認することができない。現在、NHK出版などから発行されている「チコちゃんに叱られる!」関連の出版物では、全てオオシカデザインの現行チコに差し替えられている。

これらのケースでは著作権を侵害しているわけではないが、内閣府やNHKといった公共機関が、コストを下げるために著名な作者に直接発注しなかったことがバレバレなので、厳しい批判にさらされて道義的に撤回せざるを得なくなったわけである。

一方、本作のように作中パロディで画風を1コマだけ真似るというぐらいであれば、上記のような批判対象にはならないと思われる。

原著作者の感情を害すると大変なことになるという点は、次の項目にて述べる。

◆著作者の感情
法律論とは別に、結構重要なのがこの点である。

漫画界の闇としてトレパク問題があることは上述のとおりであるが、多くのケースにおいてトレパクをした方が不誠実な態度を取るため*27、トレパクされた作者が激怒し、深刻な紛争になることが多い。

上述の「カメレオン」332話に故・松本零士先生が激怒したのも*28、著作権法上は問題なくても原著作者(特に業界の大物)を怒らせると大変なことになりますよという一つの事例である。

著作権に触れてはいないが事実上封印されてしまった例として、バラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげです」(フジテレビ系列、1988~1997年放映)内のミニコント「仮面ノリダー」がある。木梨憲武氏が改造人間「木梨猛」を演じる「仮面ノリダー」は、明らかに「仮面ライダー」のパロディである。また、パロディとはいえ原作に相当な敬意を払っており、原作に主演した故・小林昭二氏などが出演していた。

しかし、仮面ノリダーは東映に事前の断りなく製作されたため、著作権保有者の東映が激怒*29。結果として現在に至るまで、ノリダーは東映によって映像ソフト化が禁止されたままとなっている。

一方、同じ東映作品でもフジテレビは同じ「仮面ライダー」のパロディである「かまへんライダー」(オレたちひょうきん族)と、「秘密戦隊ゴレンジャー」のパロディである「世紀末戦隊ゴレンジャイ」(ダウンタウンのごっつええ感じ)の2作品については事前に東映の許諾を得ており、いずれものちに映像ソフト化されている*30

仮面ノリダーは明らかにパロディで、あくまで仮面ライダーの設定を拝借したに過ぎない。設定は「アイデア」に位置づけられ、著作権法の保護対象外である。また、仮面ノリダーでは、東映が著作権を有する画像や動画は一切使用されていない。そのため、仮面ノリダーは本来、仮面ライダーの著作権は侵害していないはずである。しかし、無許諾パロディで著作権者を怒らせるとこういうことになるという、大変参考になる事例である。

なお、2013年に東映は「仮面ノリダー」の商標を取得しており*31、2019年に公開された「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer」にて、木梨憲武氏は「木梨猛」役で出演した*32。東映側にもノリダーに親しんだ世代が増えており、長年の対立を経てフジテレビと東映の歩み寄りが見られるものの、2023年現在、未だに「仮面ノリダー」の映像ソフト化は実現していない。

パロディはいちいち事前承諾を取るのは大変だが、その面倒な手間を踏まないと原著作権者との間で話がこじれた場合にややこしくなる。パロディ歌手の嘉門達夫氏は、替え歌を作る際に必ず原著作者の許諾をとっている。これも、原著作者と話がこじれることを防ぐことが目的である。

『ハイスコアガール』の押切先生は出版元のスクエニとSNKプレイモアの2社の感情的な対立に巻き込まれた結果、書類送検や長期の連載中断、単行本回収という酷い目に遭ってしまった*33

一方、本作では無断パロだった割には、(著作権侵害とは別に)錦先生が原作に対してそれなりにリスペクトを払っている点は、はっきりと読んで見て取れる。

本作がこれだけ派手に知的財産権侵害になりうる行為をやらかしたにもかかわらず、竹書房と錦先生が訴えられなかったのは明らかに奇跡としか言いようがなく、錦先生が原作へ敬意を持っていることが原著作者にも伝わり、理解されたからではないかと思われるのである。

とはいえ、当時「近代麻雀」編集者だった竹村響氏などの関係者が本作について、原著作者や出版社に頭を下げまくっていたことは容易に想像できますが。

本作が永久封印されてしまったのは重ね重ね残念であるが、上述の通り合法的に読む方法はいくらでもあるので、その意味で本作をぜひ御堪能いただきたいと思います。

追記・修正は、18000点(インパッチ)を振り込まないようにお願いします。

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