*漢字の渡り鳥 【かんじのわたりどり】 |ジャンル|漢字アクション|&amazon(B000ETO3HI)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|DSカード|~| |発売元|サクセス|~| |開発元|不明|~| |発売日|2006年6月1日|~| |定価|3,800円(税抜)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |セーブデータ|3個|~| |判定|なし|~| |ポイント|漢字を学習できるゲームではない|~| ---- #contents(fromhere) ---- **あらすじ >コンピュータが一斉に破壊されて文明が崩壊した後の日本が舞台。~ 自由と平和を愛する気ままな渡り鳥「カンジガイ」は謎の組織「ひみつだんケー」に襲われる国語教師「桜」を助けたのもつかの間、町に眠る強大な悪と立ち向かうことになる。 **概要 -システム --全5章構成。1章の流れは、シナリオ(スキップ可能)を読み、敵の軍団を蹴散らしていきボスを倒すというのが1話分の流れ。 -最初はストーリーモードしか存在せず、章を飛び飛びにプレイはできないが、5章のラスボスを倒すと「渡り鳥メモリアル」モードが追加され、各章ごとで遊べるようになる。 -雑魚敵との戦い --雑魚敵や敵の攻撃が漢字の立て札を掲げているため、読み仮名(ひらがな)をタッチペンで入力。 --「攻撃」ボタンをタッチした際に、正しい読み仮名を入力していれば雑魚敵や敵の攻撃を排除できる。 --制限時間と共に漢字を囲う枠が緑→黄→赤と変化していき、赤を放置すると敵から攻撃されてしまう。また間違えた読み仮名で攻撃してもダメージとなる。 ---制限時間が半分をきると、ヒントとして読み仮名の一部が開示されるようになる。 ---送り仮名がある場合は、送り仮名まで答えとして書き込んでしまうと不正解(ダメージ)になる。 -ボス --基本的には選択肢を選ぶゲームとなっており、題意に従い該当する漢字や熟語をタッチあるいはスライドタッチすることが求められる。 --ボスによって内容も変化する。具体的には、正しい画数を入力するゲーム、熟語を完成させるゲーム、間違えた漢字を指摘するゲーム、特定の部首を持つ漢字を指摘するゲーム、と変化する。 --こちらも制限時間内に回答を出せなかったり間違えた答えを選んだりするとダメージとなる。 -難易度 --かんたん・ふつう・むずかしいの3種類。ゲーム開始時に選ぶことになる。 ---難易度を変更したい場合は1章の最初からやり直さなくてはならない。 --ゲーム中の説明書では、かんたんは小学校卒業程度、ふつうは中学校卒業程度、むずかしいは高校卒業程度+JIS第一水準、とされている。 -体力ゲージ --DSの画面左上に表示される。誤答したり時間に間に合わない等を5回するとゼロになってしまう。回復する手段は実質ない。 -コンティニュー --ボス戦で負けた際にコンティニューを選択すると、体力を全快してボスのところから再開できる。 --章をクリアするとセーブされる。ゲームをいちどやめてリロードした際は「つづきから」を選択でき、選択すると現在攻略中の章からスタートとなる。 -章の評価 --章のボス討伐時に今までの正解率や回答に要した時間、ボスに何回負けたかなどを考慮し、評価ポイントを算出してくれる。 --そのポイントをもとに「秀」「優」「良」「可」の4段階で評価がもらえる。 **評価点 -勢い --良い意味でプレイヤーのツッコミを挟む余地を与えない世界観のもとシナリオが進む。シナリオがひととおり終われば漢字の問題に突入、またシナリオ…という流れは良い。 ---シナリオも未読既読問わずスキップ可能なのでテンポがよい。 --ただ読み仮名を答えさせるだけでなく、さまざまなルールの漢字クイズが出題させるためプレイヤーを飽きさせない。 --ボスがピンチに陥ると、攻撃の演出が少し劇的になるという工夫もある。 -なめらかなグラフィック --敵のドット絵がせわしなく動く。 --DSでありながらポリゴンで描かれる背景が非常に滑らか。 --カメラワークがせわしなく動くが、背景もそれにきちんと対応する。 -読み仮名回答に柔軟さがある --読み仮名を入力するときの正否判定が多少は柔軟。 --「永遠」を「えいえん」と答えても正解で、「とわ」と答えても正解となる。 --また小字「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」に対する判定もあえて大目に見てくれるところがあり、「重要」を「じゆうよう」と読んでも正解となる。 -BGM --本作の世界観に沿った、濃ゆい作風に合った曲が用意されている。楽曲は90年代から数多くのゲーム音楽を手掛けている岩垂徳行氏が全曲を担当している。 **問題点 -ボリューム --5章しかなく、何の滞りもなくプレイすれば1周に30分程度しかない。以下問題でも述べるような「歯ごたえ」が本作にはあるので、簡単には1周できないようにはなっているが。 --シナリオに勢いは確かにあるが、しっかり設定から練られているような類ではない。主人公「カンジガイ」に降りかかる結末も決して幸せなものとは言い切れない。 -体力ゲージがあまり意味がない --原則5回誤答したらゼロになるので、体力ゲージは実質残機。逆にボスの体力ゲージは1章、2章を除いて固い。 --瞬時に問題を理解できなかったり、知らない漢字が出てきてしまえばダメージを受けるしかないので、運ゲー要素も強い。 -難易度 --漢字を学習できるゲームではない。練習モードが実質ないため、プレイヤー自身の漢字の認知力をもって、ぶっつけ本番の挑戦となる。 --間違えた問題の正答も教えてくれない。熟語や四字熟語の意味も教えてくれない。 --制限時間も短めで、漢字の知識よりも似ている漢字をすばやく識別できる能力のほうが重視されている。 --「かんたん」は小学校卒業程度という触れ込みだが、実際はかんたんレベルでも中学で教えるような漢字が頻発する。また漢字が読めるだけでは対処が難しい四字熟語といったテーマの設問もあり、クリアを阻まれるケースは十分に考えられる。 --ある程度漢字が得意であれば、なんとかラスボスは倒せるレベルの難易度であるが、クリア後の評価もかなり辛口。ボスの攻撃を三回程度食らおうものなら評価は「可」にまで落ち込んでしまう。終盤の章で「優」以上の成績を出すのは至難の業。 **総評 どこかトチ狂った世界観のもと繰り広げられる勢い満載のシナリオではあるが、ゲームのボリューム自体は少なめ。 また本作で漢字について詳しくなることはあまり期待できず、現在身につけている知識および識字能力がふんだんに問われる内容となっている。