リアルバウト餓狼伝説スペシャル
【りあるばうとがろんでんせつすぺしゃる】
ジャンル
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対戦型格闘ゲーム
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対応機種
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アーケード(MVS) ネオジオ ネオジオCD セガサターン
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販売・開発元
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SNK
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稼働開始日
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1997年1月28日
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2012年2月28日/900Wiiポイント アケアカNEOGEO 【PS4】2017年12月14日/762円 【One】2017年12月14日/780円 【Switch】2018年4月19日/762円
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備考
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PS2『餓狼伝説バトルアーカイブズ2』に収録
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判定
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なし
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ポイント
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ライト向けアレンジ
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餓狼伝説シリーズ
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概要
『リアルバウト餓狼伝説』(RB)の後に作られたリアルバウトシリーズ第2弾。通称『RBS』。ACの餓狼伝説としては通算6作目。
本作(RBS)及び続編の『リアルバウト餓狼伝説2』(RB2)は、餓狼本編の時間軸には組み込まれていないお祭り作品となっている。
登場キャラは前作のキャラクターに加え、『餓狼伝説スペシャル』(餓狼SP)からタン・フー・ルー、ヴォルフガング・クラウザー、ローレンス・ブラッド、チン・シンザンの4人が復活。
また前作で最期を迎えたギースは、プレイヤーが見る悪夢という設定で、CPU専用の隠しボスとして続投した。
一部のキャラクターには性能違いの「EXキャラクター」(所謂裏キャラクター)が存在する。
システム及び前作との変更点
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1レバー、パンチ、キック、強攻撃、ライン移動の1レバー4ボタン制
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前作で不評だったリングアウト決着を撤廃
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その代わり、画面端を背負った相手に一定以上の回数攻撃を当てた場合、画面端のオブジェクトに異変が起こるようになった(木の上から物が降ってきたり、壁が崩れたりなど)。
異変発生時に画面端を背負っていた方は、巻き込まれるなどして追加ダメージと共に気絶する。
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あくまで「異変を発生させられた方」ではなく「異変発生時に画面端を背負っていた方」にデメリットが発生するため、上手く立ち回られて異変発生と同時に位置を入れ替えられてしまうと自分が気絶してしまうことになる。
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スウェーライン廃止、2ライン制に回帰
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『餓狼伝説スペシャル』までと同じく2つのメインラインを持つ形式に変更された。
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ただしシステム内容は大幅に異なっており、お互いが別のラインにいてもダッシュやバックステップ、ガードが可能になった。ライン移動は前作と同様Dボタンだけで行う。
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ガードキャンセルはブレイクショットに名前変更
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対応している必殺技でガード硬直をキャンセル可能。ゲージが半分以上(H-power)の場合に消費して使用可能。
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ライン逃げ起き上がりがダウン回避に変更
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前作では起き上がる際に入力していたが、今作ではダウン直前に入力するようになり、H.POWER時はゲージ1/4消費が必要になった。
評価点
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連続技の難易度の低下
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今作は守りより攻めの方が強く、コンビネーションアタックのおかげで初心者でも簡単にコンボが作れる。
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やや不評だったキャラのドット絵の描き直し
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テリーのシャツの袖、アンディの髪型、舞のレオタード(っぽい)姿が『餓狼SP』までに近いデザインに戻された。他にもジョーのパンツが異なっていたりする。
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ギースのグラフィックは烈風拳の撃ち方が『RB』のものから『餓狼SP』に戻り、異様に強化された邪影拳など、特にかっこよく描かれている。
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新曲の追加
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SNKの格ゲーという事もあってBGMは質の高いものが多い。
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『餓狼2』譲りとなる最終ボスとなるクラウザー戦にてBGMにクラシックが使われる壮大な演出もあり。
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また「ロンドンマーチ」「タイ南部に伝わったSPの唄」は『餓狼SP』のアレンジ版の逆輸入アレンジとなっている。
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本作の楽曲の一部は『KOF'97』『'98』にて流用されている。
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ステージ演出も凝ったものが多い。
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ステージによって画面端のオブジェクトも画面右端と左端では異なったものとなっている事が多く、これもまた手が込まれている。
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実用レベルになったライン関連
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本シリーズの特徴であったラインシステムが、自分から任意に使えなかった初代、ガン逃げに使われる問題があった2・SP、行き来が速すぎかつボタンの使い分けが必要で対応が困難だった3、3とは逆に対応が容易になり過ぎ、ガードも出来ないため使い方が難しいRB、と言うように難点が多かったが、本作ではこれらが概ね解消されたうえ、別ライン上でガード可能になったり(2とSPでも可能ではあったが、これは飛んできた相手が同ラインに復帰した処理となりガード可能になった扱いと言える)と、ようやく本作で実用的なシステムになった。
賛否両論点
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復活キャラクターの人気が微妙
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本作のタイトル『~スペシャル』は『餓狼伝説スペシャル』から取られたものと思われるが、この作品はゲームバランスの洗練の他にも、CPU専用キャラクターのプレイアブル化や前作キャラクターの再登場を行ったことで人気を博した作品だった。
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しかし、それらは既に前作『リアルバウト餓狼伝説』の時点で行われている。翻って本作を見てみると、復活キャラクターは全員おっさんか爺さんで、お世辞にも人気があったとは言えないキャラクターばかりである。
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もっともクラウザーは『KOF96』にてギースと『龍虎の拳』シリーズのMr.BIGと共に「ボスチーム」の一員として登場している上にギースが隠しボスとなったので「通常選択できるボス」として再登場は当然のことだし、その側近であるローレンスもしかりである。
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キャラクターの設定変更
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フランコ・バッシュは前作までは硬派な巨漢だったが、今作からはカプコンの『ストリートファイターZERO2』以降のザンギエフを彷彿させるような異様に筋肉が盛り上がった体格に代わり、クネクネとした変な動きをする色物に変貌。言葉遣いも前作ではシリアスで常識的なものだったが、今作では「OH!クレイジーモンキー!」 「ウオォォォォ!」などカタコト言葉で常に絶叫するというかけ離れたものになっている。
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もっとも、前々作『餓狼3』では「息子を山崎に誘拐されて人質に取られていて助け出すため」、前作『RB』では「現役プロキックボクサーに復帰するため」とそれぞれ異なりながらもシリアスなバックストーリーがあったため、必然的にシリアスで硬派なキャラ付けになっていた一面もあったと追記しておく。
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山崎は「普段は狡猾で冷酷だが、時折キレて凶暴性を剥き出しにする」という設定だったが、今作から随時キレっぱなしで狂人のような感じに。
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この傾向は後に参戦したKOFシリーズでもより顕著になってしまい、主に旧作からのファンの間で賛否が大きく分かれることに。
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ホンフゥは前作までは真面目な部分の方が目立っていたのが、ギャグ調でコミカルな面が前面に出されるように(モデルのジャッキー・チェンのイメージに近くなった)。
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秦崇秀は冷徹で慇懃無礼な口調で話すキャラクターだったが、今作からは相手に皮肉を言う性格の悪いキャラクター性に変化。
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ローレンスは『餓狼SP』の時にプロフィールの「嫌いなもの」に「女子供」を挙げていた。これは「戦いの際に足手まといで邪魔だ」という意味だったのだが、今作から「同性愛者」という事になった。
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クラウザーは不自然に筋肉が盛り上がりすぎた体格になり、『餓狼SP』以前と比較するとプロレスラーのような風貌になってしまった。
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EXキャラクターの設定
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本作には元々のキャラクターとパラレル的存在である性能違いの「EXキャラクター」も存在し、彼らは意図的に通常キャラクターとは違う性格付けとなっているのだが、かなりぶっとんだ設定になってしまっている。
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EXタンは完全にボケ老人になってしまっている。なお、本作では通常版のタンもEX程ではないが勝利ポーズで魂が抜けそうになるなど、かなり怪しい。
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EXビリーはギースを失ったショックで精神が完全に崩壊してしまったという設定で、棒にカトリーヌという名前を付けている。
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EXマリーは関節技で他人を痛めつける事を好むサディストに。
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ちなみにEXアンディは「不知火の影」という本人とは完全に独立した別人設定であり、シリアスなものになっている(本家アンディが「光」)。
問題点
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一部のコンビネーションアタックが強すぎる
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前作ではゲージや間合いによってコンビネーションアタックを使い分ける必要があったが、今作は「このルートが強い」というのがはっきりしている。
そのため誰が使っても同じような連続技ばかりで、喰らっているほうが味気なさを感じるは勿論、攻撃を加えてる方も毎回同じ連続技一辺倒で使い分けの必要性が薄く、飽きやすいという意見も割とあった。
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一部のキャラクターが強すぎ
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EXビリーは最強キャラであった前作の性能ほぼそのまま(潜在能力をブレイクショットに使えなくなったが)。
判定激強・出も早く対地・対空なんにでも使えるジャンプCが以前の性能のまま。攻めても、待っても、何をやっても強い。
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望月双角は「秘技雷落とし」が強力。近距離立ちCからのコンビネーションアタックとして同様の技を使用でき、更に端ではここから「雷神愚」で追撃が可能なので、ラインを変えずに連続技で大ダメージを与えれる。
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またコマンド投げの「鬼門陣」が強い。更に「まきびしバグ」を利用すると相手が落下する前に行動が可能になり、なおかつ地上食らい状態にできる。連続技の始動が投げ技なので、ガード崩しから大ダメージを与えられる。
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家庭用限定であるが、隠しボスのナイトメアギースがCPU戦・対人戦でそのままの性能で使えてしまう。仲間内でワイワイやっている中使ってしまうと白けてしまうレベルなので使用は計画的に。
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このギース、前作では弱キャラだったのがウソのように超強化されているが、当て身投げの発生が0フレームでなくなっているという地味な弱体化をされていたりする。
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逆にEXタン・フー・ルーは『餓狼SP』に基づいた性能で、弱すぎる。
総評
ライト層を取り込もうとした努力は見られるものの、いまいちヒットしなかった。
また『KOF97』が稼働しはじめたため、そちらのほうに客を取られた模様。
続編の『リアルバウト餓狼伝説2』は今作で不評だったシステムを撤廃・改善し、SNK屈指の対戦ツールとして現在でも一定の人気を保っている。
アレンジ移植版
ゲームボーイ版とプレイステーション版は、原作とは内容が少し異なるアレンジ移植になっている。
熱闘リアルバウト餓狼伝説スペシャル
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1998年3月27日発売。本作のGB移植版で、タカラ発売の熱闘シリーズ最終作。
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GBに移植されるに辺り、ダウングレードしているが、熱闘シリーズにおける餓狼の前作にあたる『熱闘餓狼伝説2 -あらたなるたたかい-』とは違って2ライン制を再現した移植となっている。
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ステージの画面端は破壊されないが、代わりに画面端の耐久力が尽きるとアイテムが落ちてきてプレイヤーが気絶するシステムが採用されている。
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キャラクターは原作よりも減少しておりEXキャラクターもいないが、代わりに独自の隠しボスとして『熱闘KOF』から「八神庵」が参戦。
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本作をもって熱闘シリーズは終了したが、後に本作のスタッフによる『決闘ビーストウォーズ ビースト戦士最強決定戦』が発売された。
リアルバウト餓狼伝説スペシャル ドミネイテッドマインド
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1998年6月25日発売。本作のPS移植版だが、様々なアレンジが加えられ、新作とも言える内容となっている。
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本作はラインバトルが廃止されて1ラインになっており、それに伴いアニメーションパターンがACに近くなっている。
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独自の主人公「アルフレッド」とラスボス「ホワイト(CPU専用)」の2名の新キャラクターを追加。
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またお祭りゲーだったAC版と違い、アルフレッドを軸に新たなストーリーが展開される。
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他の主な追加要素は『機動戦士ガンダム』シリーズなどでも知られるサンライズ制作のアニメムービー、スーパーキャンセルに当たる「ファイナルインパクト」・新技の追加等。
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EXキャラクターは廃止・統合されている。なお、ブルー・マリーは原作のEX性能の方がベースになっている。
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ちなみに本作の主人公アルフレッドは、本作に先駆けて『リアルバウト餓狼伝説2』の隠しボスとしてゲスト出演していた。
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CPU戦での各キャラクターの登場率にかなりムラがあり、アルフレッド、双角、ダック、キム辺りは出現率が異様に低く、逆に崇秀、タン、ローレンスはほぼ必ず出現する。これ以外にはテリー、アンディ、ジョー、チンが高い確率で登場。舞、ボブ、山崎、マリーはイレギュラーとして稀に登場する事がある。
最終更新:2024年01月20日 15:30