キングコング2 怒りのメガトンパンチ

【きんぐこんぐつーいかりのめがとんぱんち】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
販売・開発元 コナミ
発売日 1986年12月18日
定価 5,300円(税別)
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 探索要素ありのアクション
暴れる爽快感
落下ミスが脅威


概要

映画『キングコング2』(原題:King Kong Lives)のゲーム化作品。映画公開と同時期に発売された。
がんばれゴエモン! からくり道中』に次ぐ2メガビットROM搭載ソフトで、パッケージでも謳い文句にしている。


ストーリー

(説明書2ページより引用)

キングコングが恋をした。そのヒロインの名は、レディーコング。
しかし、幸せな二人が突然、引きさかれる。
レディーコングが、何者かによって連れ去られてしまったのだ。
さあ、大変だ。コングは怒り狂った。恋人を取り戻すためなら、軍隊だろうとモンスターだろうと、命がけで戦うまでだ。
メガトンパンチをくらわせてやれ! 行く手をさえぎる迷宮と敵の攻撃を突破し、レディーコングを救出するんだ。
準備はいいかい!? これからは、君がヒーローなんだ。


ゲーム内容

  • ゼルダの伝説』のような1画面分の固定画面・画面端でスクロールし別画面に切り替わる方式のアクションゲーム。
    • 各ワールドを探索し、ボスを倒して手に入る鍵を8つ全て集め、最終ワールドに囚われているレディーコングを助けるのが目的。
    • 他のワールドに行くためにはワープゾーンに入る必要がある。扉のようなグラフィックで、画面上にあらかじめ配置されていたり、壊せる建物の中に隠れていたりする。
    • 壊せる建物の中にはパワーアップアイテムが隠されており、取ることでコングの能力を強化していくことができる。
      • 上述の隠された扉の中に置かれているパワーアップアイテムもある。
  • 十字ボタンでコングの移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃、セレクトボタンで攻撃方法の変更。スタートボタンでサブ画面切り替え兼ポーズ。
    • 一部を除くザコ敵はジャンプ後の着地による踏みつけで倒すことができる。
    • セレクトボタンで攻撃方法をパンチと岩に切り替えが可能。岩は放物線を描いて投げる飛び道具で弾数制限あり。
    • サブ画面では残機数や取得した鍵の数、現在いるワールドやスコアなどが確認できる。
  • ライフ制&残機制。敵の攻撃に当たったり、特定の地形を移動したりするとライフが減る。ライフがゼロになるか落とし穴に落下するかで1ミス。ゲームオーバー後のコンティニューは裏技でのみ可能。
  • ゲームクリア後は残機とスコアのみを引き継いで2周目が開始。難易度の変化はなく以降はエンドレス。
+ 各ワールドの解説
  • ワールド1 前線基地
    • ゲーム開始地点のワールド。荒地と軍事基地で構成されている。
    • ほぼ上方向に進んでいくことでボスに到達できる一本道の構造の体感的なチュートリアルステージ。
    • ボスは巻貝の怪物のキングパウンド。
  • ワールド2 ジャングルの辺境地帯
    • 海とジャングル、遺跡で構成されたワールド。海を泳いでいる間はコングのライフが徐々に減少し、深い森の中ではジャンプができない。
    • ボスは蜘蛛の怪物のキングスパイダー。クモの巣に当たると一定時間移動・ジャンプができなくなる。
  • ワールド3 悪夢の迷宮
    • 研究施設。エイリアンを思わせるような敵が多数登場する。人工心臓のある場所の途中に落とし穴地帯があり、初見殺し度が高い。
    • ボスは3体で登場し火を吐いてくるキングリザード。
  • ワールド4 海洋浮上都市(パイプラインコンビナート)
    • 海上コンビナートで構成されたワールド。
    • ボスは二枚貝の怪物のキングパール。
  • ワールド5 平和な町
    • コング以上の高さの高層ビル街で構成されたワールド。平和という名前とは裏腹に敵の攻撃は激しい。
    • ボスは周囲の4つの岩のようなものを回転させて攻撃するキングビースト。
  • ワールド6 夜の街
    • ラスベガスを彷彿とさせるカジノ街で、ネオン看板がそこかしこに乱立している。場所によってはミサイルが絶え間なくコング目がけて飛んでくる。
    • ボスはザコ敵のスライムが巨大になったキングスライム。
  • ワールド7 山岳地帯
    • 崖下に雲海が見える高山のワールド。ワールドの大半が落とし穴扱いの崖で構成されているため、転落ミスの可能性が高い難所。
    • ボスは龍の怪物のキングドラゴン、胴体を四方八方に跳ね回らせて攻撃してくる。
  • ワールド8 近代都市
    • 街中にハイウェイが張り巡らされている都市のワールド。夜の街同様にミサイルがコング目がけて飛んでくる。
    • ボスは蜂の怪物のキングビー。
  • ワールド9 最後の迷宮
    • レディーコングが囚われている最終ワールド。
    • ボスはコングを模した姿のロボットのサイボットコング。総勢18体を順に相手することになる。
+ アイテムの紹介
  • ハート
    • 点滅するハートのグラフィックで、取るとコングのライフを5回復する。
  • ロック
    • 岩のグラフィックで、取ると岩の残弾数を5回復する。上述のハートとこれはザコ敵を倒して手に入れる。
  • スピード
    • 薬瓶のようなグラフィックで、取るとコングの移動速度とジャンプの飛距離が1段階増える。ミスすると初期状態に戻ってしまう。
  • パワーロック
    • 点滅する円と十字を合わせたようなグラフィックで、取ると岩の威力が1段階増える。ミスすると初期状態に戻ってしまう。
  • ロックケース
    • 点滅しない円と十字を合わせたようなグラフィックで、取ると岩の最大所持数が10増える。ミスしても最大値はそのまま。
  • 人工心臓
    • 金色のハートのグラフィックで、取るとコングのライフの最大値が100増加しライフも最大まで回復する。ミスしても最大値はそのまま。
  • スターロック
    • 星形のグラフィックで、取ると約12秒間コングが無敵になり体当たりで敵を倒せるようになる。
  • ハイパーボンブ
    • 点滅する※印のグラフィックで、取ると画面上の敵が全滅する。
  • コナミマーク
    • 取ると画面下からコナミマンが登場。触れるとライフが全回復する。
  • モアイ
    • 1UPアイテム。ミスしても再配置されない。これ以外にもスコアを10万点獲得するたびに1UPする。

評価点

  • キングコングになりきって暴れられる爽快性。
    • 自機のコングのアクションはパンチや岩投げを高速で繰り出し、ジャンプで敵や建物を踏みつぶしたり着地時は地響きも起こすなど非常にパワフル。操作性も良好。
    • 人工心臓やスピードなどのパワーアップアイテムを取得していくことでコングは強くなっていく。多少の攻撃では倒されず、爆速でワールドを縦横無尽に跳ね回るコングの姿は豪快で痛快。
    • アイテムやワープゾーンの発見など、建物を破壊することがゲームの進行に繋がっている。下記のグラフィックの良さもあり、色々な建物を破壊して回ることに喜びを覚えたプレイヤーも多いだろう。
  • 程よい全体のボリューム。
    • 中断機能は無いが、各ワールドの構造の把握などゲームに慣れれば1時間程度でクリアできる内容になっている。
  • 当時の大容量ROMを生かした良質なグラフィック。
    • 全てのワールドの地形・建築物が固有のグラフィックで、それぞれのワールドの特色が表現されている。
    • ザコ敵も種類が多く、ワールドによって姿が変化するものも。ボス敵もすべて専用のグラフィックである。
  • コナミ矩形波倶楽部による上質なサウンド。
    • メインBGMは勇壮感溢れるイメージながらもどこか悲壮感が漂うBGMで非常に耳に残りやすい。ワールドによって微妙なアレンジが加えられているので違いを聞き比べてみるのも一興。
      • メインBGMがタイトル画面からのスタートボタンを押した段階でイントロから入りつつゲームに移行していく演出も非常に印象的。
    • ボスBGMもボスとの対決というシチュエーションに合った勇ましいものになっている。
  • ゲームバランスも良好な部類
    • ワールド1のチュートリアル的部分から始まり、敵の動きが激しくなくサクサク進めると思いきや、後述の落とし穴がすでに用意されていて油断は出来ない。 先のワールドに進めば進むほど登場する敵の動きも巧妙になり、手ごたえを感じられるであろう。
  • タイムアタック要素。
    • ゲームクリア後のスタッフロールの最後にクリアタイムが表示される。これにより再プレイ時の目標を持ちやすい。
    • ザコ敵をほとんど無視できるゲーム性とアイテム取得で高速化するコングの性能もあり、タイムアタック向きなゲームとして作られている*1

賛否両論点

  • 原作要素が薄い。
    • 原作の人間キャラは一切登場せず、登場する軍隊やモンスターもその出自は語られない。ワープゾーンなどのいかにもなゲーム的要素もある。
    • 当時はゲームだから大目に見てもらえた点と、原作映画自体の評価が芳しくなかった点からそこまで問題視はされなかったようである。

問題点

  • 別ワールドへの進み方のとっつきにくさ。
    • ワープゾーンは基本的に一方通行で、翌年発売の『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』のように相互ワープで予告ありといったものではない。
      そのため、ゲームに慣れないうちは準備なしにうっかり未知のワールドにワープしてしまい、前のワールドに戻るにもなかなか戻れない状況になりやすい。
      探索要素にも絡むため「各ワールドに行くためのワープの把握が難しく、ゲームクリアできなかった」といった思い出をSNSなどで語っている人もある程度存在している。
  • 一部ステージでの落下ミス要素とミス後の弱体要素。
    • 特にワールド7「山岳地帯」はいたる所に落とし穴扱いの崖があり、落下ミスが起きやすい難所になっている。画面を切り替えた瞬間に落下ミスが確定してしまう場所も存在する。
    • また、ミス後はコングのスピードが初期状態に戻り、ジャンプの飛距離も落ちてしまうため、再度の落下ミスによる悪循環に陥りやすい。
      スピードのパワーアップアイテムはミス時に再配置されるのだが、攻略済みのワールドに戻って取りに行く面倒さも生じてしまう。
  • ワールド9のボス部屋に行くまでの順路にある隠し通路がやや理不尽。
    • ゲーム中にそれまでギミックとして無かった「壁と同化した見えない通路」と「壁を壊して見つかる通路」が登場する。
    • 一応前者は無限沸きするザコ敵が壁をすり抜けていく様がヒントになっていたり、ワールド全体の構造から予測できたりもするのだが、画面をくまなく調べずに諦めてしまったプレイヤーもいたようである。
  • ロックケース取得時のバグ。
    • 岩の最大所持数が90の時にロックケースを取得(サブ画面での表示は99になる。)し、現在の所持数が95以上の時にロックを取得すると所持数がループしてゼロになってしまう。
    • 最大所持数を90で抑えるか、現在の所持数が95以上の時にロックを取らないように定期的に岩を投げて消費するようにすることで対処自体は可能。
  • 一部で画面の点滅が激しい箇所がある。
    • 大半のワープゾーン・アイテム部屋・ボス部屋の壁と床はネガポジ反転のように見える点滅が秒間3回ほど発生するようになっている*2
      視覚に対する刺激が強く、演出の意図も不明のため気になる人は一定数いると思われる。
      • ワールド1の後半の地形・建物やワールド9の壁も似たような点滅をするようになっている。

総評

キングコングになりきって暴れられる爽快性が最大の売りで、なんとなくプレイしても楽しみやすい作品。
色とりどりの各ワールドに見合った良質なグラフィックやサウンドなど、当時の大容量ロムに恥じない内容になっている。
探索要素のあるゲームゆえ、ゲームクリアにはワープゾーンの把握などが必須であり、一部に理不尽な要素があるのも事実であるが、ゲームの完成度自体は高く、キングコングの如く胸を張ってオススメできる作品である。


その後の展開

  • 翌年にMSX2で本作と同じ映画原作の『キングコング2 甦る伝説』が発売。
    • 原作の人間キャラであるミッチェルを操作するアクションRPGという本作とは別物のゲームになっている。
    • ストーリーの時系列上はMSX版の方がFC版の前日譚にあたり、キングコングを復活させるまでのパートになっている。
  • コナミワイワイワールド』に本作のコングが操作キャラとして参戦し、専用ステージも本作を意識した都会ステージになっている。BGMも本作のメインBGMとボスBGMが使用された。
    • 後の携帯電話アプリ移植版では版権の都合上から『けっきょく南極大冒険』のペン太および南極ステージに差し替えられている。

余談

  • タイトルに『キングコング2』と銘打たれているが、単に同名の続編映画を原作としているだけで、「『キングコング』というゲームの2作目」という意味ではない。
    • キングコングの映画1作目はファミコンのゲームでは存在していないため、「キングコング1のソフトを探し回った」などネタにされやすい。同様のケースに『グレムリン2』がある。
    • なお日本未発売だが、1982年にAtari2600で米Tigervision社からキングコング1作目を原作にした『ドンキーコング』風のアクションゲーム『King Kong』が発売されている。
  • パッケージ・ROMカセット・説明書表紙イラストは生頼範義氏による原作映画の日本版ポスターのイラストを左右反転したものが使われている。
  • ワールド9のボス部屋の前には、ワールド1~8で集めた8つの鍵が無いと開かない扉があるのだが、ここを強引に突破してしまえる裏技がある。
    • 実は扉の前で敵の攻撃を2回喰らうと、そのヒットバックで扉を突き抜けてそのままラスボスと戦うことが出来てしまう。
    • この裏技を使う場合は鍵を集める必要がなくなり、人工心臓やロックケースをある程度集めたらワールド9にワープし、この扉すり抜けを使えば短時間でクリアは容易となっている。
  • エンディング後のスタッフロールで特定の操作をするとクリアタイムに応じた隠しメッセージが表示される裏技がある。
    • ちなみにこのメッセージ、24時間分用意されている。
  • CMは『がんばれゴエモン! からくり道中』から引き続き永井一郎氏をナレーションに起用している。
    • 2メガをアピールすると同時に最後にはMSX2の『キングコング2 甦る伝説』も同時に紹介されている。
+ CM

  • 本作とMSX2版以降、キングコングのゲーム化作品は数こそ少ないものの、海外では以下の作品が出ている。
    • 海外で放映された同名アニメーション作品のゲーム化である『Kong:King of Atlantis』(GBA、2005年 UBISOFT)
    • 2005年に公開されたピーター・ジャクソン監督の実写映画のゲーム化である『Peter Jackson's King Kong』
      • 2005年発売、UBISOFT発売、PS2/GC/Xbox/360/Win/DS/PSP/GBA対応。このうちPS2/360/DSは日本語版あり。
      • GBA版のみ『Kong:The 8th Wonder of the World』のタイトルで発売された。
    • 『Skull Island Rise of Kong』がPS5/XSX/Switch/PS4/Winで発売。
最終更新:2025年04月15日 00:54

*1 裏技を使えば鍵を集める必要も無くなるため、ゲーム内時間3分以内でのクリアも可能になっている。

*2 ワールド3、8、9のワープゾーン・アイテム部屋・ボス部屋は点滅しない。