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--コース上の一部のアイテムボックスが、『ダブルダッシュ!!』と同様に一度に2つのアイテムを獲得できるもの(以下、「ダブルアイテムボックス」)に変更されている。 ---1位でダブルアイテムボックスを割ると高確率でどちらかのアイテムがコインになるので、独走したとしても有利にはなりづらい(コインは第1スロットにある場合下記のテレサ対策にはなるが)。 -ハンドルアシスト機能・オートアクセル --マリオカートシリーズに慣れていない初心者でも安心して遊べるように追加されたシステム。どちらもカスタマイズ決定時やレース中ポーズの設定でオフにすることが可能。 ---ハンドルアシストはダートなどに突っ込もうとするとこれでもかというレベルで自動でコース上に方向転換する。ただし、下記のウルトラミニターボが発動しなくなるデメリットもある。「ハンドル」とあるが、ハンドル(ジャイロ)操作だけではなくスティック・十字キー操作でももちろん有効。特に200ccで走る時にONにしておくと幾分難易度が下がる。 ---キノコを使った瞬間のみ一時的にアシストが解除されるため、ダートを突っ切るショートカットも可能。 ---オートアクセルはアクセル用のボタンを押さずとも自動でボタンを押した時と同等の速度になるシステム。こちらは特に目立ったデメリットは無い((バック走や停止ができなくなるので、1位を走っている時に飛んでいるトゲゾーこうらを2位の人に譲るテクニックが使えなくなることくらい。そういう判断ができるほどの実力がある人はそもそもオートアクセルをオフにしているとは思われるが。))。 -ウルトラミニターボ --長時間ドリフトすると火花が発生し、この状態でドリフトを終了すると短時間最高速が上がるミニターボシステムは健在だが、ミニターボ・スーパーミニターボの他に第3段階の「ウルトラミニターボ」が追加された。 --ドリフトの時間によって火花の色が青(ミニターボ)→オレンジ(スーパー)→ピンク((人によっては紫に見えるが、公式の紹介動画や本作中の解説では「ピンク色」と説明されている。))(ウルトラ)と変わっていき、ウルトラミニターボでは2秒以上もターボ状態が続く。 --前述の通りハンドルアシスト機能がオンの状態だと、いくらドリフトを続けてもウルトラミニターボは発生しないようになっている。 -''バトルゲームの一新'' --『8』では「バトルコースが一部レースコースの使い回し」「ルールはふうせんバトルのみ」とあからさまに手を抜かれたバトルゲームだが、本作では新旧のバトル専用コース8つと専用ルール5つが用意された。 ---バトル用新コースにはゲスト参戦である『[[スプラトゥーン]]』の「デカライン高架下」が存在。アイテムスロット中の効果音が&s(){ダウニーガチャ}ギアスロット抽選中のものになっていたり、バトル時間が残り1分を切ると原作のナワバリバトル同様「Now or Never!」が流れる等、他のコラボコース同様原作要素の再現が豊富。 ---バトルゲーム中にアイテムによる攻撃を受けた直後の無敵時間はレースゲームの時より若干長くなっており、理不尽に攻撃を受け続ける状態(所謂デスコン)にはなりにくくなっている。 ---専用コースが用意された代わりに、『8』で選択できた通常のレースコースは今作ではバトルゲームで選択できなくなっている。 --ふうせんバトル ---アイテムを駆使して相手の風船を割って得点を稼ぐいつものルール。 ---風船を全部割られたプレイヤーはリタイアにはならず、得点が半減し風船を3個持った状態で復活するようになった。 --パックンVSスパイ ---本作の完全新規ルール。パックンチームとスパイチームに分かれ、パックンチームは制限時間内にスパイチームを全員捕まえれば勝ち、スパイチームは一人でも制限時間いっぱい逃げ切れれば勝ち。要はマリオカート版[[ケイドロ(ドロケイ)>オバケイドロ!]]。 ---パックンチームは常時アイテムのパックンフラワーを装備した状態で、このパックンフラワーの攻撃にスパイチームのプレイヤーが接触すると捕まえた扱いになる。なおこのパックンフラワーはゲッソーなど他のアイテムを食べられず味方も攻撃しない特殊仕様。 ---スパイチームはコース上の特定の場所にある檻のボタンを押すことで、その檻に捕まっていた仲間を開放することができる。 ---このルールのみチーム戦固定・参加人数が12人固定(足りない場合はCPUで補われる)となっている。 --ドッカン!ボムへい ---『ダブルダッシュ!!』にあったルール。アイテムの仕様が特殊なふうせんバトルで、取得できるアイテムがボムへいのみで10個までストックでき、自分・自チームのボムへいによるダメージは受けない。 ---ボムへいを前に投げた時の挙動もこのルール独自のもので、投げる直前にLボタンを押し続けた時間が長いほどより遠くへ飛んでいく。 --あつめてコイン ---『[[Wii>マリオカートWii]]』『[[7>マリオカート7]]』にあったルール。コース上に散らばっているコインを回収したり、アイテムによる攻撃で相手のコインを減らしたりすることで、コインの獲得枚数1位を目指す。 --いただきシャイン ---『ダブルダッシュ!!』にあったルール。コース上に1つ存在する巨大なシャインを奪ったまま走り、20カウント逃げ切ったプレイヤーが1位となる((個人戦の場合。チーム戦の場合は、チーム全体で30カウント。))。試合が5分経過した場合はそれまでに減らしたカウントで順位が決まる。 ---シャインを持っているプレイヤーは『スプラトゥーン』のガチホコのように移動速度が若干下がってしまう。またシャインを持った状態で攻撃を受けてしまうとシャインがどこかへ飛んでいき、プレイヤーはわずかの時間静止状態になる。 -キャラクター・マシンパーツ・アイテムの追加・復活 --過去作の参戦キャラクターからクッパJr.・カロン・キングテレサが復活。新規のキャラクターとして、メタルマリオの色替えであるゴールドマリオ((ただし、本作に先駆けて『アーケードグランプリDX』で既に登場していた。))と、『スプラトゥーン』からのゲストであるガール・ボーイ((発売時期が近い『2』ではなく、『1』から登場する外見のキャラのみ。カラーバリエーションはそれぞれ3パターン存在する。))が追加された。 ---ゴールドマリオのみ隠しキャラで、他のキャラは初期状態で選択可能。 --マシンにクッパクラウン(カート)・スプラバギー(バギー)・トルネード(バギー)の3種が追加された。 --Ver.1.6.0では『[[ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』仕様のリンク((ボイスは『BoW』の高梨謙吾氏のものではなく、通常のリンクの流用。))・マスターバイク零式(ドリフトバイク)・古代のタイヤ・パラセールが追加された。 --『8』に登場したキャラクター・マシンパーツ・レースコースなどは全て引き続き登場し、ほとんどが初期状態で選択可能。 ---キャラクターは、当時の隠しキャラクター、DLCで追加されたキャラクター、ヨッシーとヘイホーのカラーバリエーション等も含めて全て初期状態で使用可能になっている。 ---追加パーツ(メルセデスとのコラボを含む)は初期状態もしくはコインの獲得枚数による解放で全て使用可能。パーツ獲得に必要なコインも最大5000枚と『8』から半減している。 ---レースコースは『8』で登場したもの(DLC含む)の全てが初期状態で選択可能。 --アイテムは『8』に登場したもの全てに加え、テレサ・ハネが復活した。 ---テレサは他のプレイヤーのアイテムを奪いつつ一定時間透明(無敵状態)になれる。透明中は他のプレイヤーや設置されているバナナなどをすり抜けるが、キノピオハイウェイで走っている車などの障害物はすり抜けられない。なおスターとの併用時はスターの効果が優先される(アイテム奪取は可能)。 ---初代『[[スーパーマリオカート]]』から25年振りの復活となるハネはバトルゲーム専用アイテムとなり、ジャンプすることで障害物や低い壁を通り越したり、他のプレイヤーに接触することで風船やコインなどを奪える。有効に活用できる状況は限られるが緊急回避や奇襲に役立つ。またジャンプアクション扱いのためか着地後わずかにターボがかかる。 -パラメータの調整 --キャラクターの能力のカテゴリーが『8』の9種類から16種類となり、より細分化された。 ---たとえば『8』では同じ中量級だったマリオとルイージも、僅かながら能力に違いが出ている。また一部キャラの能力が同じだったクッパ7人衆もそれぞれ違うカテゴリーになっている。 --マシンパーツもパラメータが調整され、同一の性能が当てられているパーツの数が概ね均等化された。反重力特化から水中特化に変更されたわくわくビートルなど、『8』とは別物になっているものも多々ある。 --ミニターボの性能(発動するタイミングの早さや持続時間)に関わる能力はマスクデータだが、加速のパラメータとほぼ同じとなっている。 --Ver.2.2.0では、キャラクターやマシンパーツの隠しパラメータとして「無敵度」が追加された。この値が大きいほど被弾後の無敵時間が長くなる。 ---大まかな傾向として、キャラクターは軽いほど、マシンパーツは加速性能が低いほど無敵度が高くなるが、例外もある(ハナチャンバギーは同性能の他のフレームより若干無敵度が低いなど)。 -オフラインのレースモードについて --ミラーモードと『8』のアップデートで追加された200ccモードは初期状態で選択可能。 --150ccのグランプリをクリアすると50ccと100ccの同じグランプリもクリアした扱いになる。 --タイムアタックでは従来の150ccだけでなく200ccでも挑戦できるようになった。もちろんゴーストデータをオンラインで登録することも可能。 -対応amiiboの追加 --『スプラトゥーン』シリーズのamiiboを読み込むと新規のMiiスーツが入手できるようになった。 --『[[スマッシュブラザーズ>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』シリーズのキャラクターのamiiboでないと呼び出せなかった『[[どうぶつの森]]』と『[[ピクミン]]』のMiiスーツが、各原作作品のamiiboフィギュア・カードでも入手できるようになった(『ピクミン』シリーズはVer.1.2.0以上へのアップデートが必要)。 -「マリオカートTV」の仕様について --YouTube・Miiverseへの動画投稿機能は削除された(MiiverseはそもそもSwitchが対応外になっており、本作発売後の2017年11月8日にサービスが終了している)。 --インターネットを通じて他のプレイヤーのハイライトを見ることができなくなった。 --リプレイ中にコース図やプレイヤー名の表示・非表示を切り替える場合に一手間かかるようになった(ボタンによる切り替えではなくメニューを開いてから設定する必要がある)。 --『8』ではゴール時に実際のレース同様全員の順位が表示されていたのが、本作では対象のキャラクターの順位のみ表示されるようになった。 -インターネット対戦の仕様変更 --コース選択画面の間、制限時間が切れるまでキャラクターやマシンのカスタマイズを自由に変更できるようになった。 --様々な固定文による挨拶が、コースを選択する前にも行えるようになった。またごく一部の固定文が変更されている((「そろそろ はじめませんか?」→「レッツゴー!」、「ハンドルでいきます!」→「ジャイロでいきます!」など。前者は『8』では煽りとして使うプレイヤーが多く問題視されていた。))。 --「せかいのだれとでも」「こくないのだれかと」(以下「野良戦」)で遊ぶ際、一定数以上のレートを満たすと、コース決定時の排気量に150ccだけでなくミラーや200ccも出るようになった。 --野良戦で「200cc限定」「カートのみ」等のカスタムルールを指定できなくなった。 --フレンド限定の部屋でチーム戦を行う際、チーム分けを部屋のオーナーが自由に決めることができるようになった。 --「他のプレイヤーがオーナーであるフレンド限定部屋に入っているフレンド」に合流できるようになった(自分がそのオーナーとフレンド関係であるかは問わない)。合流してほしくない場合はSwitch本体でオンライン状況の公開設定を変更する必要がある。 --レース・バトルの観戦時に、観戦対象のプレイヤーの切り替えがAボタンでしか行えなくなった(『8』はBボタンで逆順に切り替える事ができた)。 -アイテム関連の仕様変更 --テレサ・スター・キラーによる無敵状態で他のプレイヤーのサンダーを受けても、持っているアイテムを喪失しなくなった。 --ボムへいをマシンの後ろに装備した状態でアカこうらなどがそのボムへいに当たった場合、装備したキャラクターもボムへいの爆発に時々巻き込まれるようになってしまった。 -アイテムスイッチ --Ver.2.2.0で、ローカルのVSレースや各バトル、ローカル対戦、オンラインの大会やフレンド戦における各アイテムの出現可否を主催が変更できるようになった。チーム戦ではチームごとの出現アイテムを設定できる。 --キノコ系のみ、トゲゾーこうらのみなど、設定次第でこれまでとは一味違うレースやバトルを味わえる。 -有料DLC「コース追加パス」 --発売から約5年経過した2022年に、過去作(スマートフォンの『マリオカートツアー』を含む)のリメイクコースを追加する有料DLC「コース追加パス」が発表された。 --価格は2.500円(税込)だが、Nintendo Switch Online+追加パックに加入しているユーザーは期間中無料でDLCが適用される。 ---さらにDLC未購入者の場合も、購入者とマッチングすることで一時的に追加コースを遊ぶことが可能。 --追加予定コースは''全48コース''という特大ボリューム。標準搭載の48コースからさらに丸々倍増した形となり、シリーズの最多コース数を大幅に更新している。 --初回配信は2022年3月18日で、1弾につき8コース、2023年末までに全6弾を順次配信予定。 //新コースやキャラクターに関する記載は配信から1ヶ月後からです -その他 --Switch本体をドックから外した状態(テーブルモード・携帯モード)でももちろん遊べる。ただしこの状態での1台4人プレイは一人当たりの画面が非常に小さくなるため、[[プロデューサーも推奨していない>http://www.4gamer.net/games/368/G036843/20170303135/]]。 --Switch間のローカル通信やLANプレイ((複数のSwitchをLANケーブルで接続する方式。タイトルメニューでRボタン・Lボタン・左スティックを同時押しすると「ローカル通信」が「LANプレイ」に変化する。))に対応している。Switchと本作を持ち寄ることで、ローカル通信は最大8人まで、LANプレイでは最大12人まで一緒にプレイできる。 ---1台で2人まで同時に遊べるので、画面の狭さを考慮しないなら最大人数でも4台または6台の本体とソフトがあれば十分。 --HD振動に対応しており、様々な状況でコントローラが異なる振動を発するようになっている。 --ゲーム内の動画投稿機能が削除された代わりに、Ver.1.3.0からSwitch本体の録画・投稿機能に対応している((本体側も最新バージョンにアップデートする必要がある。投稿先はYouTubeではなくTwitterまたはFacebook。なお現時点では最大30秒しか録画できない。))。上記のマリオカートTV再生時だけではなく、実際のレース中の様子も録画できる。 --アップデートにより、対応コントローラに『Nintendo LABO Toy-Con 01 VARIETY KIT』の「バイクToy-Con」(Ver.1.5.0~)、『Nintendo LABO Toy-Con 03 DRIVE KIT』の「クルマToy-Con」(Ver.1.7.0~)が追加された。 ---通常のコントローラと違い「バックミラーが使えなくなる」などの制約があるため、ガチの対戦には向かない。 ---- **評価点 -バラエティ豊かなバトルモード --PVなどで強調してきたこともあって、バトルモードの充実ぶりは特筆に値する。 --5種類の異なるルールで様々なアイテムが飛び交うハチャメチャな内容は、『8』で薄まってしまった「パーティゲームとしてのマリオカート」を取り戻せたと言ってよいだろう。 -様々な仕様変更による戦略性の増加 --バトルモードだけでなく、レースモードでもアイテム2個持ちによって一発逆転の要素が強まったため、1位を独走していても気が抜けなくなっている。 ---当初は『8』より酷い下位同士の潰し合いが発生することもあったが、アップデートにより被弾後の無敵時間の延長・下位プレイヤーの加速系アイテム取得率増加・パックンフラワーの出現頻度減少などのバランス調整が施された。 --ウルトラミニターボも上手く活用すれば追い上げや引き離しに有利だが、無理をしてウルトラを狙うよりスーパーミニターボで妥協した方が良い場面もある。 ---「ウルトラミニターボをどこで使うべきか」というコースの攻め方の戦略性が高まった他、「欲張ると却ってコースアウトなどの自滅を招く」というハイリスク・ハイリターンなシステムになっているため、ゲームプレイの熱中度が増した。 --ネット対戦ではコース選択時にカスタマイズを変更できるようになったため、選択されるコースを予見して最適なカスタマイズにすることも可能になった。 -バグテクニックの削除 --『8』ではアップデートによる改善を望まれながら放置されていた「サンダードリフト」「ねじれドリフト」といったバグテクニックが修正され、同様の動作を行っても速度が上がらなくなった。 ---『8』で特に問題視されていた点の一つであったため、この対応は『8』のプレイヤーから概ね受け入れられている。 ---またサンダードリフトができず他の車種に比べ不利だったハングオンバイクの価値が相対的に上がった。 -解像度アップによりグラフィックが更に美しくなった --『8』の時点でもグラフィックは十分綺麗だったが、本作では解像度がHD(720p)からFullHD(1080p)に向上し、更にくっきり・鮮やかに描かれるようになった。 --Switchをドックから外して本体に映すテーブルモード・携帯モードではHDに落ちるが、肉眼ではほとんど気にならないレベル。 ---もちろんいずれのモードでもフレームレートは60fpsをキープしている。 -有料DLC「コース追加パス」 --発売から5年の歳月をかけて追加が始まったリメイクコースに関してもクオリティは抜かりない。 --『8DX』より後にサービス開始したスマートフォン版『ツアー』の一部コースも収録。 ---原作での「1つのステージに対し複数パターンのルートがナンバリングコースとして別々に収録される」という特徴をフル活用し、『8DX』では''周回ごとにコースの順路が変更される''形式となっている。特に都市コースでは1周ごとに別々のルートを走るため、1コースで2度3度と楽しめる。 ---この仕様を活用し、「N64 カラカラさばく」も線路の上を走る『ツアー』で登場したルートを導入している。 ---第3弾の「DS ピーチガーデン」は原作や『Wii』と異なり、3周目のみ『ツアー』の逆走版と同じ仕様に変更されるという魔改造を受けた。 ---またBGMも全てアレンジされており、据置可能ハードならではの美麗なサウンドでプレイできる。 --過去作コースに関しては『ツアー』でリメイク済のコースの流用も一部見られるが、それらもグラフィックはバッチリHD・FullHD画質となっている。 ---- **賛否両論点 -インターネット対戦中の仕様 --野良戦で遊ぶ場合に時々出現するミラーや200ccはパーティゲームらしいサプライズや刺激として働くこともあるが、これらに慣れていないプレイヤーには不評であることも多い。 ---そのためかVer.1.1.0のアップデートで出現率が下げられた。 -アイテムの確認 --『[[DS>マリオカートDS]]』『7』『8』では2画面を活かして他のプレイヤーが所持しているアイテムを別画面で確認できたが、Switch本体の仕様上本作ではそれが不可能になった。 --Wii Uだからできたことであるため仕方ないとはいえ、『8』の個性ではあったため残念に思う声も多い。 -有料DLC追加コース --全6弾が予定されているコース追加パスのうち、初回となる第1弾では8コースいずれにも反重力エリアが一切用意されていない。 ---反重力は『8』系列ならではの要素であり、本システム上でのリメイクにあたってギミックが追加されなかったことを惜しむ声も散見される。第2弾以降は反重力エリアの組み込まれたコースが登場している。 --『ツアー』をベースとしているため、グラフィックデザインが既存コースと比べて簡素。 ---背景のオブジェクト数が少ない他、木や岩、建造物などはツルツルしていそうな質感のデザインになっている。その割にアスファルトなど要所要所では既存コースと同様リアルに書き込まれており、ファンシーとリアルが混じった独特な世界観である。 ---同じ旧作からの再録コースでも既存とDLCでリメイクのレベルが大きく異なるため、人によっては統一感の無さが気になる。 ---さらに『Wii』のような元々グラフィックレベルが高めな作品のコースでも上記のようなデザインにされたため、人によっては劣化しているように感じられる。 -Ver.2.2.0でグライダー中にサンダーを受けてもグライダーが閉じなくなった。 --いわゆる「落とサン」として知られる戦術で、タイミングによっては下位からの逆転も狙えるほど強力だったため、この仕様変更は賛否ある。 ---- **問題点 -「完全版」共通の問題だが、『8』からの変わり映えが少ない --デフォルトのレースコース数は「シリーズ最多の48コース」と謳われているものの、ダブルアイテムボックスの存在を除き『8』のDLC込の全コースと全く同じ内容で、今作からの新コースはバトル専用に追加されたもの以外は一切無い。他の要素でも『8』と同じ部分が大半を占めている。 --『8』のセーブデータが引き継げる訳でもなく(マシンパーツも集め直し)、『8』からのプレイヤーに対して何か特典等がある訳でもないため、『8』からのユーザーが単純に損をする結果になってしまっている。 ---上記の通り「キャラクターはゴールドマリオ以外初期で全員使用可能」「50ccと100ccのグランプリはクリア不要」と、経験者にとってのフォローは無いわけではないが…。 --アイテムの追加も少ない。『8』でも「にせアイテムBOX」などが無かったことについて残念に思う声はあったが、初心者に配慮してか結局追加はされなかった。 --他にもチーム戦の同士討ち、Miiのヘルメット強制など、『8』の一部の問題点が改善されていない。 ---特にMiiのヘルメットは『ツアー』でもそのままである。 --とはいえ、これらの問題はあくまで「既に『8』をプレイした人から見た問題点」であり、未プレイ者が初めて『8DX』に触れる場合は最初から豊富なコースとキャラクターで文句無しの大ボリュームを味わえる。 ---他のWiiUソフトからのSwitch移植にも言えるが、元々WiiUとSwitchで本体の売上に大きな差が付いており、Switch版で初めて手に取るユーザーの方が多くなっている点も大きいだろう。 --なお『8』とコースが代わり映えしなかった点に関しては、『8DX』発売から約5年後と大幅にタイムラグがあったものの、前述の「コース追加パス」によって解消されている。 //-依然として残る「1位が圧倒的に有利なマリオカート」 //--先程「1位との距離」でアイテムの質が決まると述べたがこの「1位との距離」が近いときは最下位でもキノコ一つしか出ないなどアイテムが極端に弱くなってしまうのも問題点である。 //--下位はキラーやスターで一時的に大幅加速出来るものの、潰し合いで慢性的にコイン((所持枚数に応じて車両の速度アップ))不足になってしまう。これに対して1位はコインを失う機会が少なく、上限の10枚維持が容易なため、車両の速度自体でも1位がどんどん有利になる仕組みになっている。 //---下位でのアイテムについては12位でもトゲゾーこうらが出てしまう点が問題視されている。加速アイテムで上位へ巻き返さなければならない下位でのこのアイテムは上位への復帰を絶望的なものとするため改善が望まれている。 //---ちなみにもはや慣れっこではあるものの使えないアイテムの代名詞であるゲッソーは続投。水中に入ると墨がとれてしまう仕様も継続であり(もとからない)存在価値がさらに下がった状態は今尚継続している。 //--また中位における相手を攻撃するタイプのアイテム(特にファイアフラワー、ブーメランフラワー、パックンフラワー)の出現率は『8』のときより下がったとはいえ依然として高く、中位でのつぶしあいが非常に起こりやすくなっており、これも上記の1位がどんどん有利になってしまう状況を作りやすくしてしまっている。(パックンフラワーに関しては『8』で初登場だったため本作発売時点で廃止を望む声もあった。) //---『8』のころと同じだが、歴代シリーズ作品と比べて明らかに甲羅が大きくなっているのも上記と同様の状態を助長している。 //--実力差が反映されなさすぎるのも問題だが、「最後まで何か起こるか分からない」というシリーズ当初のコンセプトからは大きく外れていると言えよう。 -カスタマイズの固定化は相変わらず --マシンパーツが自由に組み替えられるようになったにもかかわらず、シリーズ近作における日本のプレイヤーによるインターネット対戦では、ほとんど同じカスタマイズばかり((『7』では「メタルマリオ+Bダッシュorコバルトセブン+ワイルドレッドorワイルドタイヤ」、『8』では「モートン+Bダッシュorわくわくビートル+スリック系タイヤ」。))が並ぶ様子がしばしば問題視されていた。 ---海外のプレイヤーはそれなりにバラけているが、『7』以降では近い地域のプレイヤーと優先的にマッチングする仕様のため、結果的に同じカスタマイズばかりが並んでしまう。 --本作では上記の通り「加速性能≒ミニターボの性能」となっており、またミニターボ性能の影響が強いため、加速性能が最高のタイヤである「ローラー系タイヤ」と、同じく加速・安定性重視の「ハナチャンバギー」「スタンダードバイク」、もしくはスピードは下がるがより加速に特化した「パタテンテン」「そらまめ」の組み合わせがテンプレと化している。 ---ガチ対戦ではこのカスタマイズにワルイージ、ドンキーコング、ロイ((やや軽めの重量級で、「準重量級」と呼ばれる事が多い。3人とも同性能だが、ドンキーコングとロイはワルイージに比べると身体が大きく視界が若干狭くなってしまう。))を乗せるのが主流で、特に細身のため視界を確保しやすいワルイージに上記のカスタムを組み合わせた通称「悪花」「悪パタ」が圧倒的に人気である。プレイヤー内の研究やトッププレイヤーの実績などの影響で使用キャラわに若干の流動性は見られるが、いずれにせよほぼ同じカスタマイズが居並ぶ光景は変わっていない。 ---そもそも今作はスピード重視のマシンパーツが冷遇されており、組合せによってはニ周りほど重いキャラクターを別のマシンパーツに乗せたものの下位互換になってしまうことさえある((一例として、マリオの乗る「ターボ・ワン」とメタルマリオの乗る「スタンダードカート」など。軽量級であろうと例外ではなく、例えばベビィマリオとキノピオ間でも同様。))。 //--『7』以降ではオンラインアップデートが行われているものの、いずれの作品でもキャラクターやマシンパーツのパラメータに関する調整は一切行われていない。もっとも、パラメータを変更するとタイムアタックのゴーストに影響するなど簡単に済むことではないのは想像に難くないが… --Ver.2.2.0では無敵度の追加により、結果として「悪花」「悪パタ」が若干弱体化した。しかしタイムアタックに影響を与えない変更を評価する声はあるものの、環境はほとんど変化していないのが現状である。 ---- **総評 バトルゲームやバグテクニックを初めとする『8』での様々な問題点が改善されただけでなく、追加要素も多い。~ 任天堂らしい初心者へのサポートや『8』ではあまり見られなかったアップデートによる細かなバランス調整など、『8』のプレイ経験の有無を問わないよう気を配った内容となっている。~ 『8』経験者には物足りない点があるのも事実だが、純粋に実力を競い合う「レースゲーム」としても、家族や友達とワイワイ遊ぶ「パーティゲーム」としても充分良作と呼べる完成度といえる。~ ---- **余談 -ハンドルアシスト機能とオートアクセルを併用すると''プレイヤーが全く操作しない状態でプレイヤーキャラが正しい順路で進むようになる''。 --ただしドリフトやアイテムを使用しないので、COMを「よわい」にしたとしてもこれだけで1位を取るのは難しくネタの域を出ない。 --各レース順位決定後の操作だけ行い半放置しながらコインを集めさせることも可能だが効率は当然悪い。4レースで15枚も集まれば上出来といったところか。 -ガールとボーイは原作だと水に入ると融解して即ミス扱いになってしまうのだが、本作ではウォーターパークなどの水中コースでも特に問題なく走れる(苦しむ素振りも見せない)。溺死する様子を見てきたプレイヤーにとっては奇妙な光景に見えるかもしれない。 --『[[スーパーマリオメーカー]]』のキャラマリオとして登場した際は「あくまでマリオの変身なのでセーフ」という意見もあったが…((『マリオメーカー』登場時、『スプラトゥーン』のTwitter公式アカウントでも「イカはカナヅチのはずだったのでは?ま、いいか」とネタにされていた。本作に関しては参戦告知以外では特に言及されていない。))。マリオワールドとハイカラシティ周辺では水の成分が違うのか((インクリングが水に入れない原因は体液が体外に漏れだすため。マリオワールドの水とインクリングの体内の濃度が同じなら問題ない…とも解釈できる。))、それともインクリングには水に強い個体が存在し、彼女達がその個体なのか…謎である。 ---身も蓋もないことを言ってしまえばゲーム的に「水に入っただけでアウト」だと成り立たないのは言うまでもない。いずれ公式で何か補足があるかもしれない。 ---そもそもマリオをはじめ大半のキャラクターが生物であり、生身で潜水しながらのレースは実質不可能。水が特殊(水のような特殊液体)か、キャラクターが特殊(耐水加工済)のどちらかであろう。~ スマブラSPでも「水に落ちるとダメージは受けるが即死はしない」という仕様になっているので、その辺りは原作の設定に囚われず、各ゲームごとに原作を尊重しつつ調整しているという形と見るのが正解か。 //ソース(http://www.jamstec.go.jp/sp2/research/#r15) -ガールのモーションの内、「二の腕にもう片方の手を添えてからのガッツポーズ」が欧米で「侮辱とみなされるポーズである((欧州ではいわゆる中指を突き上げる行為に相当する))」と指摘があったため、Ver.1.1.0のアップデートで片手を添えないように修正されている。 --過去のマリオシリーズの内『[[スーパーマリオRPG]]』でも、国内版で勝利時に同様のポーズをとっていたクッパが海外版では別のポーズをとるように変更されていた。 -コース追加パスの第1弾で追加された「Wii ココナッツモール」は、原作だと終盤で往復している車に接触するとクラッシュしてしまうが、本作ではリリース当初は車が完全に停止しており、接触しても減速するだけとなっていた。 --特に海外でこの仕様変更に不満が多かったためか、Ver.2.1.0では通常のレースに限り、この車が''予備動作の後2回大きくスピンして接触したカートをクラッシュさせる''ようになり、話題となった(タイムアタックでは上記の仕様のまま)。 -本作と同時に、Switchの周辺機器としてJoy-Conハンドルが新たに発売された。 --『マリオカートWii』の時のWiiハンドルと同様に、Joy-Conを装着するハンドルタイプのアタッチメントである。Joy-Conのサイズの都合上Wiiハンドルより小さくなっている。 -発売から約5年経った2022年3月末の時点で、全世界の売り上げが[[『8』の845万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/wiiu.html]]の5倍以上となる[[4,533万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/index.html]]となっている。長らくマリオカートシリーズ最高売上だった『Wii』の[[3,732万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/wii.html]]どころか『スーパーマリオブラザーズ』の4,024万本をも上回り''マリオ史上最も売れたゲーム''となった。先述の通り2023年末に掛けて大型DLCを実装するため、今後もしばらく記録を伸ばしつづけると思われる。 --国内売上も2021年8月末の時点で[[400万本を超えており>https://web.archive.org/web/20210903063735/https://www.famitsu.com/ranking/game-sales/]]、『DS』を抜いてシリーズ1位となっている。 -『カラオケJOYSOUND for Nintendo Switch』のスペシャルムービーに本作が使われている。
''このページはVer.2.2.1(2022年12月22日更新)を基準にしています。''~ ''オンライン配信によるゲーム内容更新が不定期に行われるため、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。アップデートによる評価等の追記は1ヶ月経過してからお願いします。'' ---- *マリオカート8 デラックス 【まりおかーとえいと でらっくす】 |ジャンル|レースゲーム|&amazon(B01N12G06K,image);| |対応機種|Nintendo Switch|~| |発売・開発元|任天堂|~| |発売日|2017年4月28日|~| |定価|5,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|マリオカートとしては初の「完全版」的作品&br()『8』で不評だった要素を概ね改善&br()バトルモードが本当の意味で復活&br()(準)重量級ゲーな点は変わらず|~| |>|>|CENTER:''[[マリオシリーズ・関連作品リンク>マリオシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「''レース、バトル、すべてがデラックス''」の売り文句を引っ提げてNintendo Switchに登場した、マリオカートシリーズの新作。~ 『9』ではなく『8デラックス』とあるように、本作は『[[マリオカート8]]』の完全版として制作されている。そのため『8』のシステムを基に問題点の改善や要素の追加・復活が行われている。 ---- **『8』からの変更点 基本的な部分は『8』とほとんど変わらないため、ここでは主に『デラックス』での追加・変更点を挙げる。 -''アイテム2個持ちの復活'' --画面左上の所持アイテムを表示するスロットが2つに拡大された。1つアイテムを保持している状態(バナナなどを後ろに付けた状態にする必要はない)でアイテムボックスを割ると、小さい方のスロットに2つ目のアイテムがストックされる。 --ただし『[[ダブルダッシュ!!>マリオカート ダブルダッシュ!!]]』のように所持しているアイテムの順番を切り替えることはできない(ブーメランフラワー・テレサ使用時は例外)。 --コース上の一部のアイテムボックスが、『ダブルダッシュ!!』と同様に一度に2つのアイテムを獲得できるもの(以下、「ダブルアイテムボックス」)に変更されている。 ---1位でダブルアイテムボックスを割ると高確率でどちらかのアイテムがコインになるので、独走したとしても有利にはなりづらい(コインは第1スロットにある場合下記のテレサ対策にはなるが)。 -ハンドルアシスト機能・オートアクセル --マリオカートシリーズに慣れていない初心者でも安心して遊べるように追加されたシステム。どちらもカスタマイズ決定時やレース中ポーズの設定でオフにすることが可能。 ---ハンドルアシストはダートなどに突っ込もうとするとこれでもかというレベルで自動でコース上に方向転換する。ただし、下記のウルトラミニターボが発動しなくなるデメリットもある。「ハンドル」とあるが、ハンドル(ジャイロ)操作だけではなくスティック・十字キー操作でももちろん有効。特に200ccで走る時にONにしておくと幾分難易度が下がる。 ---キノコを使った瞬間のみ一時的にアシストが解除されるため、ダートを突っ切るショートカットも可能。 ---オートアクセルはアクセル用のボタンを押さずとも自動でボタンを押した時と同等の速度になるシステム。こちらは特に目立ったデメリットは無い((バック走や停止ができなくなるので、1位を走っている時に飛んでいるトゲゾーこうらを2位の人に譲るテクニックが使えなくなることくらい。そういう判断ができるほどの実力がある人はそもそもオートアクセルをオフにしているとは思われるが。))。 -ウルトラミニターボ --長時間ドリフトすると火花が発生し、この状態でドリフトを終了すると短時間最高速が上がるミニターボシステムは健在だが、ミニターボ・スーパーミニターボの他に第3段階の「ウルトラミニターボ」が追加された。 --ドリフトの時間によって火花の色が青(ミニターボ)→オレンジ(スーパー)→ピンク((人によっては紫に見えるが、公式の紹介動画や本作中の解説では「ピンク色」と説明されている。))(ウルトラ)と変わっていき、ウルトラミニターボでは2秒以上もターボ状態が続く。 --前述の通りハンドルアシスト機能がオンの状態だと、いくらドリフトを続けてもウルトラミニターボは発生しないようになっている。 -''バトルゲームの一新'' --『8』では「バトルコースが一部レースコースの使い回し」「ルールはふうせんバトルのみ」とあからさまに手を抜かれたバトルゲームだが、本作では新旧のバトル専用コース8つと専用ルール5つが用意された。 ---バトル用新コースにはゲスト参戦である『[[スプラトゥーン]]』の「デカライン高架下」が存在。アイテムスロット中の効果音が&s(){ダウニーガチャ}ギアスロット抽選中のものになっていたり、バトル時間が残り1分を切ると原作のナワバリバトル同様「Now or Never!」が流れる等、他のコラボコース同様原作要素の再現が豊富。 ---バトルゲーム中にアイテムによる攻撃を受けた直後の無敵時間はレースゲームの時より若干長くなっており、理不尽に攻撃を受け続ける状態(所謂デスコン)にはなりにくくなっている。 ---専用コースが用意された代わりに、『8』で選択できた通常のレースコースは今作ではバトルゲームで選択できなくなっている。 --ふうせんバトル ---アイテムを駆使して相手の風船を割って得点を稼ぐいつものルール。 ---風船を全部割られたプレイヤーはリタイアにはならず、得点が半減し風船を3個持った状態で復活するようになった。 --パックンVSスパイ ---本作の完全新規ルール。パックンチームとスパイチームに分かれ、パックンチームは制限時間内にスパイチームを全員捕まえれば勝ち、スパイチームは一人でも制限時間いっぱい逃げ切れれば勝ち。要はマリオカート版[[ケイドロ(ドロケイ)>オバケイドロ!]]。 ---パックンチームは常時アイテムのパックンフラワーを装備した状態で、このパックンフラワーの攻撃にスパイチームのプレイヤーが接触すると捕まえた扱いになる。なおこのパックンフラワーはゲッソーなど他のアイテムを食べられず味方も攻撃しない特殊仕様。 ---スパイチームはコース上の特定の場所にある檻のボタンを押すことで、その檻に捕まっていた仲間を開放することができる。 ---このルールのみチーム戦固定・参加人数が12人固定(足りない場合はCPUで補われる)となっている。 --ドッカン!ボムへい ---『ダブルダッシュ!!』にあったルール。アイテムの仕様が特殊なふうせんバトルで、取得できるアイテムがボムへいのみで10個までストックでき、自分・自チームのボムへいによるダメージは受けない。 ---ボムへいを前に投げた時の挙動もこのルール独自のもので、投げる直前にLボタンを押し続けた時間が長いほどより遠くへ飛んでいく。 --あつめてコイン ---『[[Wii>マリオカートWii]]』『[[7>マリオカート7]]』にあったルール。コース上に散らばっているコインを回収したり、アイテムによる攻撃で相手のコインを減らしたりすることで、コインの獲得枚数1位を目指す。 --いただきシャイン ---『ダブルダッシュ!!』にあったルール。コース上に1つ存在する巨大なシャインを奪ったまま走り、20カウント逃げ切ったプレイヤーが1位となる((個人戦の場合。チーム戦の場合は、チーム全体で30カウント。))。試合が5分経過した場合はそれまでに減らしたカウントで順位が決まる。 ---シャインを持っているプレイヤーは『スプラトゥーン』のガチホコのように移動速度が若干下がってしまう。またシャインを持った状態で攻撃を受けてしまうとシャインがどこかへ飛んでいき、プレイヤーはわずかの時間静止状態になる。 -キャラクター・マシンパーツ・アイテムの追加・復活 --過去作の参戦キャラクターからクッパJr.・カロン・キングテレサが復活。新規のキャラクターとして、メタルマリオの色替えであるゴールドマリオ((ただし、本作に先駆けて『アーケードグランプリDX』で既に登場していた。))と、『スプラトゥーン』からのゲストであるガール・ボーイ((発売時期が近い『2』ではなく、『1』から登場する外見のキャラのみ。カラーバリエーションはそれぞれ3パターン存在する。))が追加された。 ---ゴールドマリオのみ隠しキャラで、他のキャラは初期状態で選択可能。 --マシンにクッパクラウン(カート)・スプラバギー(バギー)・トルネード(バギー)の3種が追加された。 --Ver.1.6.0では『[[ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』仕様のリンク((ボイスは『BoW』の高梨謙吾氏のものではなく、通常のリンクの流用。))・マスターバイク零式(ドリフトバイク)・古代のタイヤ・パラセールが追加された。 --『8』に登場したキャラクター・マシンパーツ・レースコースなどは全て引き続き登場し、ほとんどが初期状態で選択可能。 ---キャラクターは、当時の隠しキャラクター、DLCで追加されたキャラクター、ヨッシーとヘイホーのカラーバリエーション等も含めて全て初期状態で使用可能になっている。 ---追加パーツ(メルセデスとのコラボを含む)は初期状態もしくはコインの獲得枚数による解放で全て使用可能。パーツ獲得に必要なコインも最大5000枚と『8』から半減している。 ---レースコースは『8』で登場したもの(DLC含む)の全てが初期状態で選択可能。 --アイテムは『8』に登場したもの全てに加え、テレサ・ハネが復活した。 ---テレサは他のプレイヤーのアイテムを奪いつつ一定時間透明(無敵状態)になれる。透明中は他のプレイヤーや設置されているバナナなどをすり抜けるが、キノピオハイウェイで走っている車などの障害物はすり抜けられない。なおスターとの併用時はスターの効果が優先される(アイテム奪取は可能)。 ---初代『[[スーパーマリオカート]]』から25年振りの復活となるハネはバトルゲーム専用アイテムとなり、ジャンプすることで障害物や低い壁を通り越したり、他のプレイヤーに接触することで風船やコインなどを奪える。有効に活用できる状況は限られるが緊急回避や奇襲に役立つ。またジャンプアクション扱いのためか着地後わずかにターボがかかる。 -パラメータの調整 --キャラクターの能力のカテゴリーが『8』の9種類から16種類となり、より細分化された。 ---たとえば『8』では同じ中量級だったマリオとルイージも、僅かながら能力に違いが出ている。また一部キャラの能力が同じだったクッパ7人衆もそれぞれ違うカテゴリーになっている。 --マシンパーツもパラメータが調整され、同一の性能が当てられているパーツの数が概ね均等化された。反重力特化から水中特化に変更されたわくわくビートルなど、『8』とは別物になっているものも多々ある。 --ミニターボの性能(発動するタイミングの早さや持続時間)に関わる能力はマスクデータだが、加速のパラメータとほぼ同じとなっている。 --Ver.2.2.0では、キャラクターやマシンパーツの隠しパラメータとして「無敵度」が追加された。この値が大きいほど被弾後の無敵時間が長くなる。 ---大まかな傾向として、キャラクターは軽いほど、マシンパーツは加速性能が低いほど無敵度が高くなるが、例外もある(ハナチャンバギーは同性能の他のフレームより若干無敵度が低いなど)。 -オフラインのレースモードについて --ミラーモードと『8』のアップデートで追加された200ccモードは初期状態で選択可能。 --150ccのグランプリをクリアすると50ccと100ccの同じグランプリもクリアした扱いになる。 --タイムアタックでは従来の150ccだけでなく200ccでも挑戦できるようになった。もちろんゴーストデータをオンラインで登録することも可能。 -対応amiiboの追加 --『スプラトゥーン』シリーズのamiiboを読み込むと新規のMiiスーツが入手できるようになった。 --『[[スマッシュブラザーズ>大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』シリーズのキャラクターのamiiboでないと呼び出せなかった『[[どうぶつの森]]』と『[[ピクミン]]』のMiiスーツが、各原作作品のamiiboフィギュア・カードでも入手できるようになった(『ピクミン』シリーズはVer.1.2.0以上へのアップデートが必要)。 -「マリオカートTV」の仕様について --YouTube・Miiverseへの動画投稿機能は削除された(MiiverseはそもそもSwitchが対応外になっており、本作発売後の2017年11月8日にサービスが終了している)。 --インターネットを通じて他のプレイヤーのハイライトを見ることができなくなった。 --リプレイ中にコース図やプレイヤー名の表示・非表示を切り替える場合に一手間かかるようになった(ボタンによる切り替えではなくメニューを開いてから設定する必要がある)。 --『8』ではゴール時に実際のレース同様全員の順位が表示されていたのが、本作では対象のキャラクターの順位のみ表示されるようになった。 -インターネット対戦の仕様変更 --コース選択画面の間、制限時間が切れるまでキャラクターやマシンのカスタマイズを自由に変更できるようになった。 --様々な固定文による挨拶が、コースを選択する前にも行えるようになった。またごく一部の固定文が変更されている((「そろそろ はじめませんか?」→「レッツゴー!」、「ハンドルでいきます!」→「ジャイロでいきます!」など。前者は『8』では煽りとして使うプレイヤーが多く問題視されていた。))。 --「せかいのだれとでも」「こくないのだれかと」(以下「野良戦」)で遊ぶ際、一定数以上のレートを満たすと、コース決定時の排気量に150ccだけでなくミラーや200ccも出るようになった。 --野良戦で「200cc限定」「カートのみ」等のカスタムルールを指定できなくなった。 --フレンド限定の部屋でチーム戦を行う際、チーム分けを部屋のオーナーが自由に決めることができるようになった。 --「他のプレイヤーがオーナーであるフレンド限定部屋に入っているフレンド」に合流できるようになった(自分がそのオーナーとフレンド関係であるかは問わない)。合流してほしくない場合はSwitch本体でオンライン状況の公開設定を変更する必要がある。 --レース・バトルの観戦時に、観戦対象のプレイヤーの切り替えがAボタンでしか行えなくなった(『8』はBボタンで逆順に切り替える事ができた)。 -アイテム関連の仕様変更 --テレサ・スター・キラーによる無敵状態で他のプレイヤーのサンダーを受けても、持っているアイテムを喪失しなくなった。 --ボムへいをマシンの後ろに装備した状態でアカこうらなどがそのボムへいに当たった場合、装備したキャラクターもボムへいの爆発に時々巻き込まれるようになってしまった。 -アイテムスイッチ --Ver.2.2.0で、ローカルのVSレースや各バトル、ローカル対戦、オンラインの大会やフレンド戦における各アイテムの出現可否を主催が変更できるようになった。チーム戦ではチームごとの出現アイテムを設定できる。 --キノコ系のみ、トゲゾーこうらのみなど、設定次第でこれまでとは一味違うレースやバトルを味わえる。 -有料DLC「コース追加パス」 --発売から約5年経過した2022年に、過去作(スマートフォンの『マリオカートツアー』を含む)のリメイクコースを追加する有料DLC「コース追加パス」が発表された。 --価格は2.500円(税込)だが、Nintendo Switch Online+追加パックに加入しているユーザーは期間中無料でDLCが適用される。 ---さらにDLC未購入者の場合も、購入者とマッチングすることで一時的に追加コースを遊ぶことが可能。 --追加予定コースは''全48コース''という特大ボリューム。標準搭載の48コースからさらに丸々倍増した形となり、シリーズの最多コース数を大幅に更新している。 --初回配信は2022年3月18日で、1弾につき8コース、2023年末までに全6弾を順次配信予定。 //新コースやキャラクターに関する記載は配信から1ヶ月後からです -その他 --Switch本体をドックから外した状態(テーブルモード・携帯モード)でももちろん遊べる。ただしこの状態での1台4人プレイは一人当たりの画面が非常に小さくなるため、[[プロデューサーも推奨していない>http://www.4gamer.net/games/368/G036843/20170303135/]]。 --Switch間のローカル通信やLANプレイ((複数のSwitchをLANケーブルで接続する方式。タイトルメニューでRボタン・Lボタン・左スティックを同時押しすると「ローカル通信」が「LANプレイ」に変化する。))に対応している。Switchと本作を持ち寄ることで、ローカル通信は最大8人まで、LANプレイでは最大12人まで一緒にプレイできる。 ---1台で2人まで同時に遊べるので、画面の狭さを考慮しないなら最大人数でも4台または6台の本体とソフトがあれば十分。 --HD振動に対応しており、様々な状況でコントローラが異なる振動を発するようになっている。 --ゲーム内の動画投稿機能が削除された代わりに、Ver.1.3.0からSwitch本体の録画・投稿機能に対応している((本体側も最新バージョンにアップデートする必要がある。投稿先はYouTubeではなくTwitterまたはFacebook。なお現時点では最大30秒しか録画できない。))。上記のマリオカートTV再生時だけではなく、実際のレース中の様子も録画できる。 --アップデートにより、対応コントローラに『Nintendo LABO Toy-Con 01 VARIETY KIT』の「バイクToy-Con」(Ver.1.5.0~)、『Nintendo LABO Toy-Con 03 DRIVE KIT』の「クルマToy-Con」(Ver.1.7.0~)が追加された。 ---通常のコントローラと違い「バックミラーが使えなくなる」などの制約があるため、ガチの対戦には向かない。 ---- **評価点 -バラエティ豊かなバトルモード --PVなどで強調してきたこともあって、バトルモードの充実ぶりは特筆に値する。 --5種類の異なるルールで様々なアイテムが飛び交うハチャメチャな内容は、『8』で薄まってしまった「パーティゲームとしてのマリオカート」を取り戻せたと言ってよいだろう。 -様々な仕様変更による戦略性の増加 --バトルモードだけでなく、レースモードでもアイテム2個持ちによって一発逆転の要素が強まったため、1位を独走していても気が抜けなくなっている。 ---当初は『8』より酷い下位同士の潰し合いが発生することもあったが、アップデートにより被弾後の無敵時間の延長・下位プレイヤーの加速系アイテム取得率増加・パックンフラワーの出現頻度減少などのバランス調整が施された。 --ウルトラミニターボも上手く活用すれば追い上げや引き離しに有利だが、無理をしてウルトラを狙うよりスーパーミニターボで妥協した方が良い場面もある。 ---「ウルトラミニターボをどこで使うべきか」というコースの攻め方の戦略性が高まった他、「欲張ると却ってコースアウトなどの自滅を招く」というハイリスク・ハイリターンなシステムになっているため、ゲームプレイの熱中度が増した。 --ネット対戦ではコース選択時にカスタマイズを変更できるようになったため、選択されるコースを予見して最適なカスタマイズにすることも可能になった。 -バグテクニックの削除 --『8』ではアップデートによる改善を望まれながら放置されていた「サンダードリフト」「ねじれドリフト」といったバグテクニックが修正され、同様の動作を行っても速度が上がらなくなった。 ---『8』で特に問題視されていた点の一つであったため、この対応は『8』のプレイヤーから概ね受け入れられている。 ---またサンダードリフトができず他の車種に比べ不利だったハングオンバイクの価値が相対的に上がった。 -解像度アップによりグラフィックが更に美しくなった --『8』の時点でもグラフィックは十分綺麗だったが、本作では解像度がHD(720p)からFullHD(1080p)に向上し、更にくっきり・鮮やかに描かれるようになった。 --Switchをドックから外して本体に映すテーブルモード・携帯モードではHDに落ちるが、肉眼ではほとんど気にならないレベル。 ---もちろんいずれのモードでもフレームレートは60fpsをキープしている。 -有料DLC「コース追加パス」 --発売から5年の歳月をかけて追加が始まったリメイクコースに関してもクオリティは抜かりない。 --『8DX』より後にサービス開始したスマートフォン版『ツアー』の一部コースも収録。 ---原作での「1つのステージに対し複数パターンのルートがナンバリングコースとして別々に収録される」という特徴をフル活用し、『8DX』では''周回ごとにコースの順路が変更される''形式となっている。特に都市コースでは1周ごとに別々のルートを走るため、1コースで2度3度と楽しめる。 ---この仕様を活用し、「N64 カラカラさばく」も線路の上を走る『ツアー』で登場したルートを導入している。 ---第3弾の「DS ピーチガーデン」は原作や『Wii』と異なり、3周目のみ『ツアー』の逆走版と同じ仕様に変更されるという魔改造を受けた。 ---またBGMも全てアレンジされており、据置可能ハードならではの美麗なサウンドでプレイできる。 --過去作コースに関しては『ツアー』でリメイク済のコースの流用も一部見られるが、それらもグラフィックはバッチリHD・FullHD画質となっている。 ---- **賛否両論点 -インターネット対戦中の仕様 --野良戦で遊ぶ場合に時々出現するミラーや200ccはパーティゲームらしいサプライズや刺激として働くこともあるが、これらに慣れていないプレイヤーには不評であることも多い。 ---そのためかVer.1.1.0のアップデートで出現率が下げられた。 -アイテムの確認 --『[[DS>マリオカートDS]]』『7』『8』では2画面を活かして他のプレイヤーが所持しているアイテムを別画面で確認できたが、Switch本体の仕様上本作ではそれが不可能になった。 --Wii Uだからできたことであるため仕方ないとはいえ、『8』の個性ではあったため残念に思う声も多い。 -有料DLC追加コース --全6弾が予定されているコース追加パスのうち、初回となる第1弾では8コースいずれにも反重力エリアが一切用意されていない。 ---反重力は『8』系列ならではの要素であり、本システム上でのリメイクにあたってギミックが追加されなかったことを惜しむ声も散見される。第2弾以降は反重力エリアの組み込まれたコースが登場している。 --『ツアー』をベースとしているため、グラフィックデザインが既存コースと比べて簡素。 ---背景のオブジェクト数が少ない他、木や岩、建造物などはツルツルしていそうな質感のデザインになっている。その割にアスファルトなど要所要所では既存コースと同様リアルに書き込まれており、ファンシーとリアルが混じった独特な世界観である。 ---同じ旧作からの再録コースでも既存とDLCでリメイクのレベルが大きく異なるため、人によっては統一感の無さが気になる。 ---さらに『Wii』のような元々グラフィックレベルが高めな作品のコースでも上記のようなデザインにされたため、人によっては劣化しているように感じられる。 -Ver.2.2.0でグライダー中にサンダーを受けてもグライダーが閉じなくなった。 --いわゆる「落とサン」として知られる戦術で、タイミングによっては下位からの逆転も狙えるほど強力だったため、この仕様変更は賛否ある。 ---- **問題点 -「完全版」共通の問題だが、『8』からの変わり映えが少ない --デフォルトのレースコース数は「シリーズ最多の48コース」と謳われているものの、ダブルアイテムボックスの存在を除き『8』のDLC込の全コースと全く同じ内容で、今作からの新コースはバトル専用に追加されたもの以外は一切無い。他の要素でも『8』と同じ部分が大半を占めている。 --『8』のセーブデータが引き継げる訳でもなく(マシンパーツも集め直し)、『8』からのプレイヤーに対して何か特典等がある訳でもないため、『8』からのユーザーが単純に損をする結果になってしまっている。 ---上記の通り「キャラクターはゴールドマリオ以外初期で全員使用可能」「50ccと100ccのグランプリはクリア不要」と、経験者にとってのフォローは無いわけではないが…。 --アイテムの追加も少ない。『8』でも「にせアイテムBOX」などが無かったことについて残念に思う声はあったが、初心者に配慮してか結局追加はされなかった。 --他にもチーム戦の同士討ち、Miiのヘルメット強制など、『8』の一部の問題点が改善されていない。 ---特にMiiのヘルメットは『ツアー』でもそのままである。 --とはいえ、これらの問題はあくまで「既に『8』をプレイした人から見た問題点」であり、未プレイ者が初めて『8DX』に触れる場合は最初から豊富なコースとキャラクターで文句無しの大ボリュームを味わえる。 ---他のWiiUソフトからのSwitch移植にも言えるが、元々WiiUとSwitchで本体の売上に大きな差が付いており、Switch版で初めて手に取るユーザーの方が多くなっている点も大きいだろう。 --なお『8』とコースが代わり映えしなかった点に関しては、『8DX』発売から約5年後と大幅にタイムラグがあったものの、前述の「コース追加パス」によって解消されている。 //-依然として残る「1位が圧倒的に有利なマリオカート」 //--先程「1位との距離」でアイテムの質が決まると述べたがこの「1位との距離」が近いときは最下位でもキノコ一つしか出ないなどアイテムが極端に弱くなってしまうのも問題点である。 //--下位はキラーやスターで一時的に大幅加速出来るものの、潰し合いで慢性的にコイン((所持枚数に応じて車両の速度アップ))不足になってしまう。これに対して1位はコインを失う機会が少なく、上限の10枚維持が容易なため、車両の速度自体でも1位がどんどん有利になる仕組みになっている。 //---下位でのアイテムについては12位でもトゲゾーこうらが出てしまう点が問題視されている。加速アイテムで上位へ巻き返さなければならない下位でのこのアイテムは上位への復帰を絶望的なものとするため改善が望まれている。 //---ちなみにもはや慣れっこではあるものの使えないアイテムの代名詞であるゲッソーは続投。水中に入ると墨がとれてしまう仕様も継続であり(もとからない)存在価値がさらに下がった状態は今尚継続している。 //--また中位における相手を攻撃するタイプのアイテム(特にファイアフラワー、ブーメランフラワー、パックンフラワー)の出現率は『8』のときより下がったとはいえ依然として高く、中位でのつぶしあいが非常に起こりやすくなっており、これも上記の1位がどんどん有利になってしまう状況を作りやすくしてしまっている。(パックンフラワーに関しては『8』で初登場だったため本作発売時点で廃止を望む声もあった。) //---『8』のころと同じだが、歴代シリーズ作品と比べて明らかに甲羅が大きくなっているのも上記と同様の状態を助長している。 //--実力差が反映されなさすぎるのも問題だが、「最後まで何か起こるか分からない」というシリーズ当初のコンセプトからは大きく外れていると言えよう。 -カスタマイズの固定化は相変わらず --マシンパーツが自由に組み替えられるようになったにもかかわらず、シリーズ近作における日本のプレイヤーによるインターネット対戦では、ほとんど同じカスタマイズばかり((『7』では「メタルマリオ+Bダッシュorコバルトセブン+ワイルドレッドorワイルドタイヤ」、『8』では「モートン+Bダッシュorわくわくビートル+スリック系タイヤ」。))が並ぶ様子がしばしば問題視されていた。 ---海外のプレイヤーはそれなりにバラけているが、『7』以降では近い地域のプレイヤーと優先的にマッチングする仕様のため、結果的に同じカスタマイズばかりが並んでしまう。 --本作では上記の通り「加速性能≒ミニターボの性能」となっており、またミニターボ性能の影響が強いため、加速性能が最高のタイヤである「ローラー系タイヤ」と、同じく加速・安定性重視の「ハナチャンバギー」「スタンダードバイク」、もしくはスピードは下がるがより加速に特化した「パタテンテン」「そらまめ」の組み合わせがテンプレと化している。 ---ガチ対戦ではこのカスタマイズにワルイージ、ドンキーコング、ロイ((やや軽めの重量級で、「準重量級」と呼ばれる事が多い。3人とも同性能だが、ドンキーコングとロイはワルイージに比べると身体が大きく視界が若干狭くなってしまう。))を乗せるのが主流で、特に細身のため視界を確保しやすいワルイージに上記のカスタムを組み合わせた通称「悪花」「悪パタ」が圧倒的に人気である。プレイヤー内の研究やトッププレイヤーの実績などの影響で使用キャラわに若干の流動性は見られるが、いずれにせよほぼ同じカスタマイズが居並ぶ光景は変わっていない。 ---そもそも今作はスピード重視のマシンパーツが冷遇されており、組合せによってはニ周りほど重いキャラクターを別のマシンパーツに乗せたものの下位互換になってしまうことさえある((一例として、マリオの乗る「ターボ・ワン」とメタルマリオの乗る「スタンダードカート」など。軽量級であろうと例外ではなく、例えばベビィマリオとキノピオ間でも同様。))。 //--『7』以降ではオンラインアップデートが行われているものの、いずれの作品でもキャラクターやマシンパーツのパラメータに関する調整は一切行われていない。もっとも、パラメータを変更するとタイムアタックのゴーストに影響するなど簡単に済むことではないのは想像に難くないが… --Ver.2.2.0では無敵度の追加により、結果として「悪花」「悪パタ」が若干弱体化した。しかしタイムアタックに影響を与えない変更を評価する声はあるものの、環境はほとんど変化していないのが現状である。 ---- **総評 バトルゲームやバグテクニックを初めとする『8』での様々な問題点が改善されただけでなく、追加要素も多い。~ 任天堂らしい初心者へのサポートや『8』ではあまり見られなかったアップデートによる細かなバランス調整など、『8』のプレイ経験の有無を問わないよう気を配った内容となっている。~ 『8』経験者には物足りない点があるのも事実だが、純粋に実力を競い合う「レースゲーム」としても、家族や友達とワイワイ遊ぶ「パーティゲーム」としても充分良作と呼べる完成度といえる。~ ---- **余談 -ハンドルアシスト機能とオートアクセルを併用すると''プレイヤーが全く操作しない状態でプレイヤーキャラが正しい順路で進むようになる''。 --ただしドリフトやアイテムを使用しないので、COMを「よわい」にしたとしてもこれだけで1位を取るのは難しくネタの域を出ない。 --各レース順位決定後の操作だけ行い半放置しながらコインを集めさせることも可能だが効率は当然悪い。4レースで15枚も集まれば上出来といったところか。 -ガールとボーイは原作だと水に入ると融解して即ミス扱いになってしまうのだが、本作ではウォーターパークなどの水中コースでも特に問題なく走れる(苦しむ素振りも見せない)。溺死する様子を見てきたプレイヤーにとっては奇妙な光景に見えるかもしれない。 --『[[スーパーマリオメーカー]]』のキャラマリオとして登場した際は「あくまでマリオの変身なのでセーフ」という意見もあったが…((『マリオメーカー』登場時、『スプラトゥーン』のTwitter公式アカウントでも「イカはカナヅチのはずだったのでは?ま、いいか」とネタにされていた。本作に関しては参戦告知以外では特に言及されていない。))。マリオワールドとハイカラシティ周辺では水の成分が違うのか((インクリングが水に入れない原因は体液が体外に漏れだすため。マリオワールドの水とインクリングの体内の濃度が同じなら問題ない…とも解釈できる。))、それともインクリングには水に強い個体が存在し、彼女達がその個体なのか…謎である。 ---身も蓋もないことを言ってしまえばゲーム的に「水に入っただけでアウト」だと成り立たないのは言うまでもない。いずれ公式で何か補足があるかもしれない。 ---そもそもマリオをはじめ大半のキャラクターが生物であり、生身で潜水しながらのレースは実質不可能。水が特殊(水のような特殊液体)か、キャラクターが特殊(耐水加工済)のどちらかであろう。~ スマブラSPでも「水に落ちるとダメージは受けるが即死はしない」という仕様になっているので、その辺りは原作の設定に囚われず、各ゲームごとに原作を尊重しつつ調整しているという形と見るのが正解か。 //ソース(http://www.jamstec.go.jp/sp2/research/#r15) -ガールのモーションの内、「二の腕にもう片方の手を添えてからのガッツポーズ」が欧米で「侮辱とみなされるポーズである((欧州ではいわゆる中指を突き上げる行為に相当する))」と指摘があったため、Ver.1.1.0のアップデートで片手を添えないように修正されている。 --過去のマリオシリーズの内『[[スーパーマリオRPG]]』でも、国内版で勝利時に同様のポーズをとっていたクッパが海外版では別のポーズをとるように変更されていた。 -コース追加パスの第1弾で追加された「Wii ココナッツモール」は、原作だと終盤で往復している車に接触するとクラッシュしてしまうが、本作ではリリース当初は車が完全に停止しており、接触しても減速するだけとなっていた。 --特に海外でこの仕様変更に不満が多かったためか、Ver.2.1.0では通常のレースに限り、この車が''予備動作の後2回大きくスピンして接触したカートをクラッシュさせる''ようになり、話題となった(タイムアタックでは上記の仕様のまま)。 -本作と同時に、Switchの周辺機器としてJoy-Conハンドルが新たに発売された。 --『マリオカートWii』の時のWiiハンドルと同様に、Joy-Conを装着するハンドルタイプのアタッチメントである。Joy-Conのサイズの都合上Wiiハンドルより小さくなっている。 -発売から約5年経った2022年3月末の時点で、全世界の売り上げが[[『8』の845万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/wiiu.html]]の6倍以上となる[[5,200万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/index.html]]となっている。長らくマリオカートシリーズ最高売上だった『Wii』の[[3,732万本>https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/software/wii.html]]どころか『スーパーマリオブラザーズ』の4,024万本をも上回り''マリオ史上最も売れたゲーム''となった。先述の通り2023年末に掛けて大型DLCを実装するため、今後もしばらく記録を伸ばしつづけると思われる。 --国内売上も2021年8月末の時点で[[400万本を超えており>https://web.archive.org/web/20210903063735/https://www.famitsu.com/ranking/game-sales/]]、『DS』を抜いてシリーズ1位となっている。 -『カラオケJOYSOUND for Nintendo Switch』のスペシャルムービーに本作が使われている。

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