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ドラッグ オン ドラグーン - (2018/10/03 (水) 22:02:32) の編集履歴(バックアップ)


ドラッグ オン ドラグーン

【どらっぐ おん どらぐーん】

ジャンル アクションRPG


対応機種 プレイステーション2
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 キャビア
発売日 2003年9月11日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:D(17歳以上対象)*1
廉価版 アルティメットヒッツ:2008年9月4日/2,800円(税別)
判定 怪作
ポイント 世界一電波なシナリオ
どう足掻いても、絶望
最初のEDが一番マシだった
大惨事ベビーブーム
東京タワーが赤い理由
ゲームとしても癖が強い
「「「何なのだ、これは! どうすればいいのだ?!」」」
ドラッグ オン ドラグーンシリーズリンク


概要

2003年にスクウェア・エニックスから発売されたアクションRPG。無双系のアクションである地上戦とドラゴンに乗りながら戦う3Dシューティング風の空中戦、独自のキャラクターと世界観が話題を呼んだ。

雑誌でも前情報が大きく取り上げられ、発売前から注目されていた。「剣と魔法」「ドラゴンとの共闘」という要素が明かされ、「スクウェア・エニックスから完全新作のファンタジー作品が出る」と話題になったが、いろんな意味でプレイヤーの想像を裏切るその作風で大きな反響を呼ぶこととなった。


システム

  • 一騎当千型のアクションである地上戦、ドラゴンを操作する3Dシューティング型の空中戦が中心となっている。
    • 地上戦では主人公を操作して敵を切り倒していく。
      • ただ武器を振り回すだけでなく、攻撃中に特定のタイミングでボタンを押すと、敵を吹き飛ばす特殊攻撃の「フィニッシュブロー」を発生させることが可能。また武器ごとに設定された「魔法」を使う事も出来る。
      • 主人公の装備している武器は、倒した敵の数により成長していくため、本作のやり込み要素の1つとして高く評価されている。
    • 呼び出せる回数と時間に制限があるが、仲間を呼び出して戦うことも可能。3人の仲間はそれぞれ性能が違うため、自分の好みに合わせて戦うことが出来る。
      • ただ総合的な性能差は少々大きかったりする。というかレオナールが飛びぬけて強力で、アリオーシュとセエレはクセが強いため、どうしても困った際のお助けキャラ的に使うならほぼレオナール一択になりがちではある。
    • また、屋外での地上戦ではドラゴンに乗ってブレスで敵を焼き払う低空戦も出来る。
    • 空中戦では、ドラゴンを操作して戦う。一直線にしか撃てないが威力の高い単発ブレスと、敵を追尾するが威力が低いロックオンブレス、強力な全体攻撃である大魔法を使い分けて戦うことが可能。
      • ドラゴンもストーリーの進行に合わせて進化していく。形態によって攻撃力やロックオン可能数などに違いが出る。

賛否両論点

重々しい雰囲気の血塗られた世界観

  • シナリオ、キャラクター性、世界設定はもちろん、台詞回しやステージまでまで電波づくし。オープニング1オープニング2の時点で既に狂気を帯びている。
  • BGMも全体的に狂気じみており、聴いているとだんだん精神が不安定になってくる。
    • クラシック音楽をサンプリングして作られたBGMは非常に前衛的な曲調であり、狂気に満ちた世界観に上手くマッチしている。
    • ただ、ストレートでわかりやすい曲は殆ど無く、曲単体の好みは極端に分かれる。素直に人気なのは「セエレの祈・上空」や下記の主題歌くらいである。「セエレの祈・上空」はサイドストーリーのステージ曲なのだが、CMで使えそうなのがこれしかなかったという理由でCMに使用されていた。
    • ヒロインの心情を歌詞にした主題歌「尽きる」も凄い。簡単に意訳すると「兄と結ばれたかった、でもだめでした、死にます」という内容。「逆再生すると、この内容が浮き彫りになる」という説も出ている。
    • サウンドディレクターで作曲者でもある佐野信義氏のサイトでは、今作のサウンドの製作秘話が語られている。→参照
  • 敵キャラもホラー性を感じさせるものが多い。特に終盤に登場する「敵」(正式名称が「敵」。通称「ダンシングベイビー」)はプレイヤーに強烈なトラウマを植え付けた。
  • 敵味方問わず(CERO的に)ヤバ気な設定と性格を持つキャラ達。まともそうに見える者も大体全員何かしら黒い部分を秘めており、ドロドロしている。
    • まず一番まともでなければならないはずの主人公からして苛烈で執念深い復讐鬼。趣味は殺人
    • 他に操作できる仲間キャラも、ショタコンホモの男に、精神を病み食人癖を持つ未亡人、無意識のうちにいい子ぶる癖のある少年の3人。
    • 主人公の妹(メインヒロイン)は近親相姦願望持ち。
    • 主人公の親友も、主人公への嫉妬のあまり徐々に狂っていく。
    • 味方の神官は自身の保身しか頭にない。強力な敵が出現した際に、独りだけ物陰に隠れて怯えていたため、多くのプレイヤーからツッコミを入れられた。もっとも人間らしいキャラではあるのだが。
    • 妖精達は一見可愛らしいものの、口を開けばねちねちとした罵詈雑言が飛び出す。
    • ラスボスの幼女も、虐待された過去や「神」の影響から狂気に満ちたセリフや行動が多い。
    • まともなのは相棒のドラゴンぐらいである。
  • 世界一電波で狂気的なストーリー
    • パッケージ裏の「 かつて、これほどまでに挑戦的で意欲的なシナリオがあったであろうか!? 」というフレーズは伊達ではない。ただあまりにも挑戦的すぎて意欲的すぎた。
    • 但し、ありがちな製作者の技量不足の結果生じた不整合や手抜き等で「結果的に電波になってしまった」というものではなく、製作者が狙い済ませて「あえて電波に仕上げた」類の電波シナリオであり、構成や描写力そのものはしっかりとしている(ゆえに猶の事強烈なのだが)。
      また、パッと見では単なる電波でも、深読みすると実はとんでもない鬱設定だった……という場面も多数。
    • ゲーム中で語られない裏設定等も多いが、どれも悉く黒い。
  • 本作はマルチエンディング制だが、エンディングの展開も……
+ 以下強烈なネタバレ。クリックで展開
  • シナリオが進行するにつれ妹や親友がどんどんおかしくなっていき、親友は主人公を裏切り、妹はほとんどのストーリー分岐で死ぬ。
  • そして5つあるエンディングのどれもが誰かが死んだり世界が絶望的な状況に立たされる鬱エンド。
    • 最初にたどり着くエンディングも、主人公の最愛の相棒であるドラゴンと生き別れねばならないエンディングなのだが、そのエンディングが一番マシである。
    • 他のエンディングは「妹が増殖する」「どう足掻いても世界が滅びる」「世界は助かっても主人公パーティは全滅する」など全く救いが無い。
    • 特に5つ目の通称「新宿エンド」はゲーム史を紐解いても稀な電波エンディングであり、そのあまりに衝撃的な結末に驚愕するプレイヤーが続出した。その後の「ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました」というメッセージでトドメを刺された者も多い。
      • さらにこの新宿エンドの前のボス戦は何故か音ゲー。ボスの出してくる白帯と黒帯の攻撃をこちらも同じ色の帯を出して打ち消す、という簡素なものだが、ラストになるにつれて白帯と黒帯の密度が濃くなり、恐ろしいほどの鬼畜難易度になり、多くのプレイヤーを絶望させた(一応、「スタートボタンでポーズが可能」「(出してくる帯は何度やっても同じなのを利用して)覚える」「(前二つを利用して)紙に書く」などいくつかの対処法は編み出されている)。
        ちなみに、「白と黒の二色・同じ色で打ち消す」というコンセプトから某STGを思い浮かべた人も多い模様。事実、後の『NiaR』インタビューにてディレクターの横尾太郎氏が「最も好きなゲーム」だと明言している
    • 「Aエンドを見て鬱になり、救いを求めてBエンド→Cエンド→Dエンド→Eエンドと見るがどんどん鬱になっていき、最後にAエンドをもう一度見て癒される……(´∀`)」という何とも言えない事態が起こってしまった。
  • ちなみにこのゲームのキャッチフレーズは「抗え、最後まで。」というもの。最後まで抗った結果がこれだよ!
    • 「どうあがいても絶望」とキャッチコピーの如く言われることがある。元々は別のゲーム『SIREN』のキャッチフレーズなのだが、どの結末でもハッピーエンドに行き着けない様が見事にマッチしている。

問題点

  • 地上戦のアクションがもっさりしている。人によっては空中戦ももっさりしていると感じる。
    • 半分以上のミッションがこの地上戦であり、しかもマップは広大だが敵の数が少ない面が多い。更に隠し武器などを手に入れる条件が「敵を◯分以内に全滅させる」的なものが多く、ストレスが溜まりやすい。
  • 地上の敵の配置も微妙で、敵の密度が少ないマップだと敵をしらみつぶしにちまちま殲滅して回る作業になってしまう。
    • しかも地上戦の敵兵は、所定の場所から一定距離離れると目の前の主人公を無視して所定の場所に戻ってしまう。なんとも間抜けな光景である。
    • また、プレイヤーキャラは一定時間移動し続けると全力疾走の体勢になって移動速度が上がるのだが、全力疾走になるまでの所要時間が長く、微妙な速度の小走りで戦場を転々と移動するシュールな場面が多発する。
  • せっかく武器の種類が豊富なのに、種類ごとの固有モーションが乏しい。
    • このため武器の種類に関わらず手に持ったものほぼ全てを両手で振り回しているため違和感がある。
      • 一応、武器毎の連続技のバリエーションは豊富であり、槍は突きが多かったり斧は振り回しが多かったりと差別化はされているので、ゲームとしてフォローは出来てはいるが。
    • ついでに動きが硬いのも上記のもっさり感の一因である。
    • なお、武器は8個まで装備して戦闘中に持ち替え可能なのだが、その都度MPがゼロになるため、結局1種の武器で固定になりがちで、「モーションは弱いが魔法は強い武器」の活用も難しい。
  • シチュエーションとしては大軍VS大軍が多いのだが、何故かゲーム中の戦場に味方は一人も居ない。
    • それにも関わらず味方兵士による「帝国軍の奴らめ! なんて強さだ!」「カイム様! ここはもう持ちません!」という具合の実況がちょくちょく入るため、不自然。
    • 続編である『DOD2』では味方軍も登場するようになっている。
  • 一部の武器に「攻略本無しで分かるか!」と言いたくなるような取得条件が設定されている。エンディングの発生条件に武器の取得率が組み込まれているため、無視できないのが困りもの。
    • 中でも特に言われるのが「特定のミッション中、特定のルートで特定の部屋に侵入した時にのみ発生する増援部隊を全滅させる」というもの。偶然手に入れる事はあるかも知れないが、自分で気付けと言うのは無茶である。
    • しかもよりによってその武器は今作屈指の使い勝手と爽快感を誇る。
  • ドラゴンによる低空戦
    • 爽快感があるが、弓矢による攻撃やドラゴンのブレスを反射する敵の存在から、活躍の機会は意外と限られている。上手く操作すれば回避は可能だが、「思ったように暴れられなくてストレスが溜まる」という声は少なくない。
    • 敵の密度の低さやリアクションの薄さもあり、「ドラゴンを駆って敵兵士の大軍を薙ぎ倒す」という痛快なイメージの割りにこぢんまりとしたプレイ感覚になっている。
  • 難易度が「ノーマル」と「イージー」から選べるものの、アクションが苦手なプレイヤーには辛い部分がある。
    • 地上戦の武器取得条件に「難易度がノーマル」というものがあり、「最後のエンディングが見たいが、武器が取得出来ない(発生条件を満たせない)」というプレイヤーが続出した。
    • また、最終決戦はアクションとか難易度とか関係ない内容のため、挫折したプレイヤーが多い。
  • セエレ(仲間の少年)の演技が棒読み。
    • 下記の通りフリアエ(主人公の妹)も割と棒だが、設定的整合性もありキャラに合っているとして好評。しかしセエレの場合はそれにしても棒読みぶりが目立つためあまり好評でない。
    • キャストが子役であるため致し方ないとも言えるが、同じくキャストが子役であるマナは比較的上手であったため目立ってしまっている。
    • 『DOD2』でも登場するが、相変わらずである(周りも棒読みの上出番自体も少なめなので影は薄いが)。
  • ストーリーが評価されているが、戦闘後に申し訳程度にブツ切りのストーリーイベントが入る程度なので、話が飛び飛びになっている印象を受ける。
  • カメラワークは悪い。
    • カメラの任意操作は一時的な効果しか無く、勝手にすぐ操作前の位置に戻されてしまうため不便。
    • カメラをプレイヤーキャラの背後に戻す操作は「操作キャラの状態をニュートラルに戻して一瞬待つ」。他の操作と両立できない上テンポが悪い。
    • 地上戦ではカメラの位置も妙にプレイヤーキャラに近く、いまいち周りを見渡しづらい。
    • 屋内だと壁に影響されてすぐブレるため見づらい。

評価点

  • 鬱だらけの設定やストーリーではあるが、好みの問題はあるものの、前述のように緻密な計算の上で組み立てられたものであるため、シナリオ自体の完成度は非常に高い。
    • 裏話などもかなり綿密に練られており、無駄な設定も豊富で、中二設定が大好物なユーザーにも好評。そのため資料集や攻略本と言った公式資料も人気だが、現在では品薄で資料集は値段も高騰している。
    • 鬱ばかりという訳ではなく、所々でしっかりとストーリーを魅せている。特に主人公と相棒のドラゴン(雌)の間に芽生える絆についての描写は評価が高い。これらの魅力は前述での「電波になってしまった」系のシナリオの作品では到底味わえない。
  • 奇抜な設定が多いものの、どのキャラクターも個性的で魅力があり、非常に人気が高い。
    • 個性的なキャラクターデザインや公式イラストなど、藤坂公彦氏の絵も非常に人気があり、この絵に惹かれたファンも多い。
  • キャスト陣の演技。
    • 特に親友役の俳優・唐沢寿明氏の怪演、主人公とドラゴンを一人二役したピーター氏のキャラに良くマッチした演技はたいへん人気である。
      • 唐沢氏による「( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪( ゚∀゚)o彡゜フリッ♪アエッ♪」はみんなに愛される名ゼリフ*2
    • 主人公の妹役である初音映莉子氏の演技はたいへんな棒読みだが、陰鬱な世界観とキャラ設定に良く溶け込んでおり意外と好評だったりする。
    • また、ラスボスの幼女役に郷里大輔氏を起用するという怪キャストもこのゲームの電波っぷりを演出するのに一役買っており、たいへん好評。
      • 特に「ヽ(`Д´)ノオガァーザァーン! オガァーザァーン!!」というセリフは、多くのプレーヤーの心に(色んな意味で)焼きついた。
      • 声優名を言われてもピンと来ない人のために補足すると、郷里氏は「太く迫力ある声に定評がある」人。アニメキャラでは「ドラゴンボールZ」のミスターサタンや「北斗の拳」のウイグル獄長、「機動戦士ガンダム(TV版)」のドズル・ザビなど、ゲームで言えば「鉄拳シリーズ」のジジイこと三島平八の声である。
      • 正確に言えば、この幼女は本人(山下夏生嬢、当時10歳)と、彼女を呪縛する神の代理人(郷里氏)の、一人二役ならぬ二人一役状態。しかも山下嬢もさるもので「殺せよおら! 殺さないと……わたし、どうすればいいんでしょうか?」などとても正気ではないようなセリフが当てられている。
      • 「スタッフは頭のねじが飛んでいる」「スタッフは変なクスリをキメている」と言われる事も多い。唐沢氏にも突っ込まれたらしいが、報酬にPS2本体をプラスしたら喜んで演じてくれたそうな。
    • 他にも、山寺宏一氏、林原めぐみ女史、宮村優子女史などのベテラン声優が多数出演しており、キャストが非常に豪華である。
  • ムービーやイベントシーンの演出が凝っている。
    • 特にムービーは美麗で非常に評価が高い。ムービーが入る場所も上手く選ばれており、ムービーシーンはどれも印象に残るものとなっている。
  • チャプターセレクトはイベント、ムービー、ミッションパートで別個に細かく分かれており、ミッションにリトライしたい場合でも、ムービー等を一気に飛ばしてミッションをスタート出来るため、繰り返しのプレイがしやすい仕様になっている。
  • BGMも狂気に満ちた世界観に溶け込んでおり、評価が高い。
  • もっさりしているアクション部分だが、一部の武器は爽快感があり人気。また、フィニッシュブローで敵を吹き飛ばすのはなかなか爽快。
  • 入手出来る武器はレベルが上がるたびに見た目がカッコよく成長、固有の魔法も強化され派手になる。
    • また、武器ごとにそれにまつわる物語が用意されており、武器のレベルを上げるたびに物語の続きが開放され読める「ウェポンストーリー」と呼ばれるシステムがあるため、武器を育てる楽しみがある。
      • その物語はおとぎ話のように簡潔でありながらも感動ものもあれば、悲惨な結末を迎えるもの等と様々でバリエーション豊かなので、読むだけでも楽しい内容になっている。
    • なお、武器を成長させるために敵をちまちま倒す羽目になるのだが、やってる内にもっさりした地上戦が段々と楽しくなってくる。こう思えるようになれるとあなたは立派なDODファンです。DODの世界へようこそ
  • ドラゴンに跨っての低空戦(人によっては上空戦も)は爽快感があり、非常に評価が高い。
    • 上空戦は操作に癖が強いが慣れれば意のままにドラゴンを操れる。
      • 技の使用の駆け引きも、上空戦をより面白くさせている。
    • 低空戦は地上の敵をドラゴンで壊滅させる……という戦い方で、まさに「人がゴミのようだ!」という気分が味わえる。
      • ドラゴン騎乗時には通常攻撃ですら雑魚はだいたい即死か瀕死。俺TUEEEE! 周囲の敵を一気に焼き殺す超必殺技「ファイアーブレス」も爽快である。
      • ただし、上の「問題点」にもあるが、ステージによっては敵の配置がまばらなので結局しらみ潰しになりやすい点、敵の対空攻撃に弱い点などから、ストレスを感じる要因にもなり得る。

総評

「一癖も二癖もある」という表現では到底収まりきらない、全てが癖だらけのゲームである。
もっさりしたアクションや奇想天外なストーリーから、発売当初はクソゲー呼ばわりされる事も多かった。
しかし一旦ハマったプレイヤーに言わせると「もっさりしてないDODなんてDODじゃない」との事であり、本作の魅力はその癖の部分を差し置いては語れないだろう。

奇抜な世界観やキャラクター、救いのないストーリーや裏設定に魅せられ、本文中に挙げた批判点すら笑い話として受け入れて本作を愛するディープなファンは多い。
彼らにとってはアクション面の難もゲーム性として考慮すべき一要素であり、むしろ、作りが似てしまいがちな無双系ゲームにおいて、上空戦やウェポンストーリーなどの要素で他作品との差別化を図っている点を評価する声もある。

不思議と人を惹き付ける存在感を放つが誰もが納得するような出来ではなく、さりとて一概にダメゲーとも言い切れない。なんとも奇妙な怪作と言えよう。
近年は世界観を共有する『NieR』シリーズの好評等もあって、ネット上の評価も当初のそれからは大きく見直されている。


余談

  • 「概要」にもあった通り、発売元がかの有名なスクエニだったこともあり、発売当初は「剣と魔法と竜の世界を舞台にした王道アクションRPG」を期待して買ったプレイヤーも多く、一時は2ちゃんねるの本スレがたいへんな騒ぎになった。
    • この騒ぎは、「ディレクターの横尾太郎氏が入っているロッカーをプレイヤーたちが罵倒しながら蹴りつける」アスキーアートがいくつも貼られるという内容から、「横尾ロッカー祭り」と呼ばれている。
      • 横尾氏はこの件が非常にショックだったらしく、「DODの思い出は?」と質問された際に「ロッカーです」と答えている。
  • ちょうどスクウェア・エニックスの合併をまたいだ企画の一つで、合併前はエニックスを発売社として発売する予定だった。→参照
    • キャビアの岩崎拓矢氏(元ナムコで『エースコンバット3 エレクトロスフィア』のディレクターなど)とエニックスの柴貴正氏が飲み会で企画を立ち上げたという開発経緯。エニックスと元エースコンバットシリーズスタッフでドラゴンに乗るフライトシューティングという安直な企画が通り、さらに開発途中で『真・三國無双』が流行ってるから要素を入れようとフライト+無双という形になった。
    • そもそも先述した「王道っぽい雰囲気」になってしまったのも、エニックス時代に上から「スクウェアっぽいデザインにしてくれ」と指示を受けたからとの話。→ソース(YouTube)
    • なお、Eエンドの結末は無双要素が入る前の初期企画段階で思い付いたエンディングとのこと。
      • ただし、この初期エンディング案に繋げる展開は普通に企画書を出しても通らないと思い、Eエンドに関連する諸々の修正が難しい時期に入ってから詳細な企画書を見せたとのこと。
      • その後、Eエンドに繋がるラストバトルを作る際に考えたことは「ゲームプレイヤーにとって最もつらい、想像を絶する状況とはなんだろう?」だったとのこと。そして実際に多くのプレイヤーが「何なのだ、これは!どうすればいいのだ?!」という心境に陥った。
  • ちなみにこのゲームのノベライズ版も二種類発行されている。ノベライズ版はどちらもキャラクターの心情がより深く描写されておおり、読み応えのある一品となっている。ゲームをプレイした人には一読の価値あり。
  • アーケードの『Lord of Vermilion』にこの作品から3名+1頭が特別出演しており、カード絵もキャラデザインを担当していた藤坂公彦氏によるもので意外な形での再登場に一部のファンを驚かせた。他にもDODで使われた武器防具が主人公の装備品として登場する。
  • 2010年4月20日に本作のサントラが復刻され発売された。
    • 復刻を記念して、4月19日にUstreamで「もし当時のスタッフが『ドラッグ オン ドラグーン』サントラ復刻の連絡を聞いたら。(略して“もしドラ”)」が放送された。
      • 「Eエンドの企画書出したらスタッフにも突っ込まれた」「BGM製作中オーケストラの人に白い目で見られた」など当時の裏話を色々と聞く事が出来た。
  • このDODシリーズを手がけたキャビアは、後に『NieR RepliCant?』を製作している。
    • こちらは相変わらずのキャビア節はあるもののかなりとっつきやすくなっており、高評価を得ている。
      • 実は特定のエンディングの数百年後を舞台としているという裏設定が存在している。
  • 海外版タイトルは『Drakengard(ドラッケンガード)』。テーマソングが英訳版に差し替えられている以外にゲーム内容に変化はない。
    • ちなみに日本版タイトルである『DRAG-ON DRAGOON(ドラッグ オン ドラグーン)』は、海外基準だと「ふとんが吹っ飛んだ」といったような寒いダジャレレベルの語感として受け取られるようである。
  • 『DOD3』の発表に伴い、発売から10年後の2013年、ヤングガンガンで『死ニ至ル赤』の副題で突如コミカライズされた。公式HPでは「伝説的カルトゲーム」として紹介されている。
    • カイムやフリアエなど『DOD1』の人物が登場するが、『DOD1』と全く同じ世界というわけではなくパラレル的な扱いとなっている。主人公二人は完全新規キャラであり、一方については『DOD3』に登場している。
    • 青年向け漫画という媒体故かゲームと比べてエログロ描写が色濃く描かれている。
    • 単行本では、「天使の教会」に関する秘密の一部なども語られている。
  • また、DOD3の設定資料集にて、DOD3のエンディングから派生するDODのストーリー「DOD1.3」が掲載されている(DOD3はDODよりも前の時代が舞台)。
    • 当のエンディングは設定的に本作にとても関わりがある人物が明確に生存する唯一のエンディングだが、厳密には本作につながらない(DODで重要な「ある概念」が存在しない)ため、ifのストーリーである。
    • 各キャラの立場はかなり変化しており、意外に意外を重ねた展開の果てに、どうしようもない絶望を叩きつけてくれる
      • 一部、前提条件以前の齟齬*4が存在しているが、設定ミスレベルではないのでおそらくは意図。本作との差異については考察の余地はあるが、詳細は不明(そもそもヨコオタロウ氏は意図して考察の余地が有る作りにしたらしい)。
    • 後に、おそらく本作に最も近い展開を迎える「ストーリーサイド」という小説が発売された。ここでは、さらに「女神の封印」の秘密が語られている。