【しん さんごくむそう】
ジャンル | タクティカルアクション | ![]() |
対応機種 | プレイステーション2 | |
メディア | CD-ROM 1枚 | |
発売元 | コーエー | |
開発元 | コーエー(オメガフォース) | |
発売日 | 2000年8月3日 | |
定価 | 6,800円(税別) | |
プレイ人数 | 1人 | |
セーブデータ | 128KB以上 | |
レーティング | CERO:12歳以上対象(*1) | |
廉価版 |
PlayStation 2 the Best 2002年9月26日/3,000円 コーエー定番シリーズ 2004年12月16日/1,680円 |
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配信 |
PS2アーカイブス 2012年11月28日/1,429円 |
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判定 | 良作 | |
無双シリーズ |
『三国志(演義)』に登場する武将を操作して戦う、対戦型格闘ゲーム『三國無双』の流れを汲むゲーム。
発売からわずか半年足らずの新機種・PS2に舞台を移した本作はゲームシステムも大幅に刷新。
約1キロ四方の戦場を駆け、群がるように立ちはだかる敵武将や兵士を薙ぎ倒し、所属する軍の勝利を目指すアクションゲームになった。
なお、ステージとなる戦場はプレイヤー以外の武将や兵士も各地で戦いを繰り広げており、プレイヤーはそこに介入することとなる。
プレイヤーを含め、活躍した武将の近くの味方部隊は士気が少し上がり、逆に消耗した部隊は少しずつ士気が減少する(*2)という仕組みがある。
そして、ステージ開始時は士気や物量と言った形で基本的に敵側が優位な戦局にあるので、適宜味方の援護に回らなければ、最終的にプレイヤーではなく自軍の総大将が討ち取られて敗北となってしまうこともある。
このように全体の戦況を見極めて動くリアルタイムシミュレーションの要素も含んでおり、本作や以降の一部を除いたシリーズ作品のメーカー公称のジャンル名は「アクション」ではなく「タクティカルアクション」となっている。
なお、PSP用ソフトとして同名の『真・三國無双』が発売されているが、これは本作の移植ではなく『真・三國無双3』をベースにした別物である。
本作で操作可能となっている武将(無双武将)は下記の通り。
勢力 | 武将 | |||||||
蜀 | 劉備 | 諸葛亮 | 関羽 | 張飛 | 趙雲 | 馬超 | 黄忠 | 姜維 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
魏 | 曹操 | 司馬懿 | 夏侯惇 | 典韋 | 許褚 | 夏侯淵 | 張遼 | |
呉 | 孫堅 | 孫権 | 周瑜 | 陸遜 | 孫尚香 | 太史慈 | 甘寧 | 呂蒙 |
他 | 張角 | 袁紹 | 董卓 | 貂蝉 | 呂布 |
最初は蜀(趙雲・関羽・張飛)、呉(周瑜・陸遜・孫尚香)、魏(夏侯惇・典韋・許褚)の各3人ずつ。
条件を満たすと他の武将が追加されるが、ここに記載されていない武将は固有のグラフィックを持たない一般武将として登場し、プレイヤーは一切操作出来ない。
本作に用意されている戦場は下記の通り。なお、上3つのステージは無双モードを魏呉蜀3勢力で1人ずつ完走すれば、フリーモードにて敵勢力側(上から黄巾党・董卓軍・袁紹軍)でプレイする事が可能になる。
年代 (西暦) |
戦闘名 | 交戦勢力 | |
184年 | 黄巾の乱 | 討伐軍 | 黄巾党 |
190年 | 虎牢関の戦い | 反董卓連合軍 | 董卓軍 |
200年 | 官渡の戦い | 曹操軍 | 袁紹軍 |
208年 | 長坂の戦い | 曹操軍 | 劉備軍 |
208年 | 赤壁の戦い | 孫 劉 連合軍 | 曹操軍 |
215年 | 合肥の戦い | 魏軍 | 呉軍 |
222年 | 夷陵の戦い | 呉軍 | 蜀軍 |
234年 | 五丈原の戦い | 魏軍 | 蜀軍 |
さすがに現在の視点で見るとボリューム不足は否めないが、三国志を語る上で最低限必要かつスケールの大きい戦場を選出している。
概要での説明だけでなく、場合によってはステージ展開を上手くアレンジする形で補完している部分もあるので、ストーリーなどもあまり破綻していない。
並み居る敵を薙ぎ倒す「一騎当千の爽快感」
操作が簡潔に纏まっている
育成要素がある
アクションゲームであることを重視したBGM
ボリュームが少ない
ボイスはキャラクター選択時・プリレンダムービーとアクション時のみで、イベント関連は字幕表示オンリー
システム面の練り込み不足
このWikiでの判定を良作に分類しているが、先述の通りシステム面などに引っかかりを覚える難点も少なくないため、現代の観点から本作を素直に良作と呼ぶには些か疑問符が付いてしまうのは否定できない。
しかし、もはや本作に関しては1つのゲームとしてよりも、本作が1つのジャンルとして後に確立されていくことになる「一対多の群がる敵を薙ぎ倒す無双(系)アクションゲームの土台を作った点」を評価されるべきであろう。
類似した特徴を持つゲームタイトルを除いて無双シリーズだけで見ても、さらにシステムが洗練されてボリュームも飛躍的に増大している後継作品が発売されている。
シリーズ後継作とのスタイルの違いを楽しむ以外、今さら敢えて本作をプレイする理由は無いかも知れない。
だが、本作の存在が後に10年以上にわたって続いていくことになる『真・三國無双シリーズ』はもちろんのこと、『戦国無双シリーズ』などといった「無双シリーズ」に成長し、コーエーの新たな代名詞となったのは確かである。
本作がただ敵が群がる以外に特徴を持たず、むしろそれ以外がもっとお粗末なゲーム性、あるいは発売時期が遅すぎたならここまで息の長いシリーズにはならず、3D格ゲーの後塵を拝した『三國無双』の時のように「コーエーの一発ネタ」扱いで終わってしまっていたかも知れない。
そうなれば当然1つのジャンルとして確立せずに流された可能性もあり得た事を考えれば、本作がハード初期の完全新作としてそれだけの完成度・インパクトを誇っていたということの証左に他ならない。
本作はタクティカルアクションゲームである『真・三國無双』シリーズとして見た場合はシリーズ第1作となる。
一方、『三國無双』の海外版タイトルは『Dynasty Warriors』、本作の海外版タイトルが『Dynasty Warriors 2』となっているように、海外では本作は「『三國無双』シリーズの第2作」として扱われているため、以降のナンバリングは日本版と1つずつずれている。
無双シリーズの日本と海外版タイトルを比較すると下記の通りになる。
日本版 | 海外版 | 日本版 | 海外版 | 日本版 | 海外版 | ||
(真・)三國無双 | Dynasty Warriors | ガンダム無双 | Dynasty Warriors: Gundam | ゼルダ無双 | Hyrule Warriors | ||
戦国無双 | Samurai Warriors | 北斗無双 | Fist of the North Star: Ken's Rage | ファイアーエムブレム無双 | Fire Emblem Warriors | ||
無双OROCHI | Warriors: Orochi | TROY無双 | Warriors: Legends of Troy | 刀剣乱舞無双 | Touken Ranbu Warriors | ||
猛将伝 | Xtreme Legends | ワンピース海賊無双 | One Piece: Pirate Warriors |
※『猛将伝』は無印タイトルの後ろにそのまま付記される形となるため、『真・三國無双6 猛将伝』ならば『Dynasty Warriors 7: Xtreme Legends』となる。
『真・三國無双7 with 猛将伝』の場合、『Dynasty Warriors 8: Xtreme Legends Complete Edition』になる。
詰まる所、海外では「無双シリーズ = Warriorsシリーズ」であるということになるが、『北斗無双』だけは例外として「Warriors」が付いていない。
また『無双OROCHI』の続編である『無双OROCHI 魔王再臨』は海外では『Warriors: Orochi 2』のタイトルで発売されているため、こちらも『真・三國無双』シリーズ同様にナンバリングがずれている。
無双シリーズでは、特定の武将に対して特殊な呼び方を設定されている武将が存在する。
例えば関羽や張飛が劉備を「兄者」と呼ぶことや、夏侯惇が曹操を「
本作のみフルボイスでないからか、敵武将を撃破したり味方を賞賛する時にはその武将の名前を呼ぶようになっている。
つまり「敵将○○、討ち取ったり!」になるし、味方を賞賛する時は「さすがだな、○○(殿)!」となり、後者にはその呼び方が適用されるのだ。
ちなみに本作の中でよくネタになっているものに、夏侯淵と夏侯惇の呼び方の差がある。
夏侯淵はシリーズ通して夏侯惇のことを「
だが、本作では夏侯淵は「惇兄」と呼ぶのに対し、夏侯惇はこの作品では特別な呼び方の設定がされておらず、「夏侯淵殿」呼びである(*18)。
これによって、夏侯淵が夏侯惇を賞賛する時は「さすがだな、惇兄!」となるにもかかわらず、その逆が「さすがだな、夏侯淵殿!」という、ある種シュールな光景になっている。
この2名が有名だが、それ以外にも孫尚香は何故か父や兄を褒めるのに「孫堅殿」「孫権殿」呼びしたり、臣下であるはずの周瑜が「孫尚香」と呼び捨てにするシーンも存在するなど、この辺でもまだまだ練られていない所が散見される。
以降の作品ではこの辺も徐々に改良されていき、違和感が解消されていっている。
…もっとも『2』では「樊城の戦い・蜀軍」ステージで、何故か格上扱いの一般武将であるが故に父親である関羽に上から目線で話す関平(*19)がネタにされていたのだが。
*1 廉価版で付与されたレーティングを記載。
*2 部隊ごとの士気ゲージが敵体力ゲージに表示されている本作の他、士気マーカーのみ表示されている『真・三國無双2』~『4』でもこの基本仕様は変わらない。
*3 関羽と張飛は史実では夷陵の戦い以前に死亡している。また本作で関羽と交戦する呂蒙は、史実でも関羽を追い詰めた武将。
*4 このシリーズでの「ステルス」とは「隠れて」「こっそりと」といった本来の意味の「Stealth(ステルス)」ではなく、画面描写処理が追いつかず、そこに居るはずなのに画面内に描写されない敵の兵士や武将のことを指したり(「ステルス兵士」など)、その現象そのものの呼称である。
*5 他勢力とはシリーズを通して、魏(『6』以降の晋も含む)呉蜀の三国勢力に属さない群雄達を指す。
*6 一例として、五丈原の戦い・魏軍は「GRAVITY」がかかり、曲調も蜀軍の「SACRED GROUND」とはまるで違うものとなる。
*7 コンパチ武将同士に関しては武器のデザインも流用されており、キャラクター選択画面で同モーション同士で隣り合わせの位置関係になる馬超と姜維や他勢力の君主武将などで顕著にわかる。
*8 能力の一時上昇、または体力回復。
*9 護衛兵を引き連れている場合、プレイヤーが肉まんなどの回復アイテムを拾うと引き連れている護衛兵の体力も同量回復する。ただしこれ以外の回復手段が無いため、護衛兵を死なせないようにするためにはプレイヤーの体力に関係なくアイテムを拾っていくことになる。
*10 無双乱舞も放つようになる。
*11 主に劉備、孫堅、曹操、孫尚香、曹丕などといった、君主クラスの武将が落とすようになっているが、総大将として出現した場合はアイテムを落とさない。あくまで「一武将扱いで参戦」するステージのみ。
*12 敵軍サイドのフリーモード専用ステージ。
*13 特定のコマンドを入れることで全武将を無条件で解禁できる、というものが存在している。
*14 後の作品ではプレイヤーが到達出来ない場所からの一方的な攻撃自体が軽減、もしくはほとんど排除されている。櫓をとっても備え付けのはしごを登れたり、櫓を壊すこともできるようになっていくが、本作ではそのどちらも不可能。
*15 HARDでの攻略だとさらにその数倍の時間がかかる。
*16 曹操の字(あざな)。
*17 夏侯淵から見て夏侯惇は従兄に当たることから。これの影響か、本シリーズファンが夏侯惇を呼ぶ時も「惇兄」呼びだったりすることもあり、一種の愛称と化している。
*18 本作以降の作品ではそもそも夏侯淵の名前を呼ぶ場面が無いと言うこともあった。
*19 ステージ開始前のムービーでは汎用と違う声で丁寧な喋りをしていたのが、ステージが始まった途端に関羽に対して汎用ボイスで「うむ、さすがだ!」「出過ぎだぞ、自重せよ!」などと言うようになる。