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G.O.D ~目覚めよと呼ぶ声が聴こえ~ - (2015/03/11 (水) 04:01:55) の編集履歴(バックアップ)


本項目ではスーパーファミコンソフト『G.O.D ~目覚めよと呼ぶ声が聴こえ~』と、その移植版である『pure』の紹介をしています。



G.O.D ~目覚めよと呼ぶ声が聴こえ~

【じーおーでぃー めざめよとよぶこえがきこえ】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン
発売元 イマジニア
発売日 1996年12月20日
定価 8,618円
判定 なし

概要

劇団 「第三舞台」主宰・鴻上尚史氏が製作総指揮・演出・脚本を担当したRPG。キャラクターデザインに江川達也氏、音楽総監修にデーモン小暮閣下を迎え、各媒体で大々的に宣伝されたが発売延期を繰り返し、PSへのハード移行期まで遅れてしまい、売上は芳しくなかったようだ。

ストーリー

シナリオ内容

  • プロローグはストーリーの項のように現代を舞台にした"少年のひと夏の冒険"だが、プレイ時間の大半はエイリアンによって壊滅寸前の世紀末状態の世界が舞台になる。
  • 基本は新しい街に行く→エイリアンの基地に入るには○○が必要→○○を手に入れて基地を叩くの繰り返しでお使い色が強いが、全体のストーリーの流れはしっかりしているためダレにくい。
    • 殆どの国の政治機構が崩壊しており「ブレス」という組織が自衛と統治を行なっている.各地方必ず長官と博士がおり古き良きSFらしさがある。
  • 現代が舞台と言うこともあって、現実の国家をモデルとした街が多い。以下のような、捻りのきいた現実のカリカチュアも魅力。
    • エイリアンに地上の都市を壊滅させられ、ユーロトンネル(英仏海峡トンネル)内でお互いを「田舎もの」「気取ってやがる」と嫌悪しながら隣同士で居を構えるフランスとイギリス。
    • 武器防具屋の前に「品切れに注意。物々交換お断り」と張り紙があるモスクワ(ロシア)。市長にあうためには秘書にお金を、さらに市長の話をきくためには市長にお金を、それぞれ払わなくてはならない。
  • 敵は容赦なく人類を追い詰めていき、序盤から終盤にかけてコンスタントに鬱展開が待ち構えている
    + 鬱展開について(ネタバレ)
  • 仲間の1人・アイは旅の途中で同じく仲間の1人・ヒースとの子供を妊娠しパーティーを離脱する。後に彼女が離脱した場所を訪れると小屋は壊滅し、アイはお腹の子供と共に死んでしまった。ヒースは完全に逆上し単身行動を取り、次に合流するのはかなり後になる。
  • またRPGの「悲惨な街」で語られる事が多いのが「ホンマカタウン」と「ルナシティー」である。
    • 前者は富のためにエイリアンと取引して街に「黄色い粉」を流行らせているシュウ大人が支配している。彼を追い詰めた時に(アイテムも込みで)見逃すかどうかを選択できるが、見逃してしまうとホンマカタウンから人がいなくなり、シュウ大人を後で倒しても街は元に戻らない。
    • 後者はエイリアンたちの街であり、さらに 今まで各所で倒してきたボスの母親エイリアン たち(つまり遺族である)が登場したりと鬱にさせてくれる。ボスを倒した際にはシステムを暴走させるか放置するか選択できるが、いずれにしても街の運命は暗い。
  • グロ表現は登場しない。
  • 但し終盤ではいくつか救いのある話が登場する。
  • エンディング後の選択肢を誤った際出てくる言葉は強烈。ゲームが終わった後の主人公達の立場に注目することは当時斬新であった。
  • タイトルの『G.O.D』は「Growth Or Devolution(進化か、退化か)」の略。
  • ゲームシステム

    • 戦闘はオーソドックスなコマンド選択式で、通常攻撃・アイテム・防御の他にサイコ・とくぎ・チャクラといった行動をとれる。
    • サイコ――一般のRPGの魔法に相当するものでレベルアップで覚え、MPを消費して発動する。
      • 回復サイコがパーティの主な回復手段となるが、中盤こちらのHPが2000以上あるのに関わらず回復サイコが「HP300回復」までしかなく、それに合わせてボスの火力も低くなっているため、妙なゲームバランスになっている(崩壊はしていない)(精神の値に応じて回復量は増加するが微々たるものである)。
    • とくぎ――道中イベントで習得する各キャラクター固有の技
    • チャクラ――「力」「気」などの属性ごとに対応した技を使う
      • 例えば「力」なら攻撃系の技を中心に覚え、「癒」なら回復系の技を中心に覚える。そのため各キャラの長所を伸ばすようにも短所を補うようにも自由に育てられる。
      • 終盤以降2つの属性を掛けあわせた複合チャクラが使えるようになりより強力な技を使用出来る。
      • 使用する属性とコスモストーン(経験値)を貯める属性をそれぞれ決められるため、「新しい属性を育てたいのに、属性を変えると弱くなって敵に勝てない」ということが起こらない。
    • その他戦闘では技によって地割れや焼け跡が残る演出がなされている。
    • 各地方の土産物として手に入れる「おまんじゅう」を集める(食べていく)と貴重なアイテムが貰える。(『ドラクエ』でいうところの「小さなメダル」)
      • 基本的に土産物店で購入するかサブイベントで手に入るが、極一部、落ちているものや敵から手に入れるものもある。

    ギャグ・パロディー要素

    シナリオは基本シリアスだが、それを打ち消すかの勢いでギャグやパロディーが多い。

    • 最初のボスである「バットくん」があの手この手を使って主人公にリベンジを果たそうとする。
      • まともなバトルになるのは2戦目までで以降はイベントバトルとなる。
      • 基本出オチだが、終盤にはある重要人物とコラボネタを披露したり、意外なアイテムをくれるなど見せ場はある
    • セリフや技などにパロディーが散りばめられており、元ネタはCM・マンガ・ゲーム等から節操無く集められている。
      + パロディーの一例
    • 主人公のとくぎが「クロスカウンター斬り」「両手ぶらり斬り」「真白な灰斬り」など、どこかで聞いたものばかり
      • これらの技は「ダン・キチ」という坊主のジムトレーナーからの手紙で覚える。
    • ネオコウベ(神戸)の住人が「ポートピアで殺人事件があったんだってねー」と話す。
    • エイリアンが支配していた宗教を壊滅させた後、教会に行くと再び明かりが点っており「カステラ一番~♪電話が二番~♪」と宣うカステラ教に乗っ取られている。
    • 動物園にある看板が「ライオン/好きなもの:サイコロ・恋バナ」「トラ/好きなもの:放浪の旅/特技:失恋」などと書いてある
      • その側には「看板に集中を削がれて敵にやられた」と語るモブが転がっている。そりゃそうだ。

    G.O.D pure

    【じーおーでぃー ぴゅあ】

    ジャンル RPG
    対応機種 プレイステーション
    発売元 イマジニア
    発売日 1998年2月26日
    定価 5040円
    判定 なし

    PS版の変更点

    • ムービー・イベントの追加
      • セリフや演出が追加された他、一部イベントの時期や場所が変更された。
      • しかし、シンキロウハウスなどCGが無くなった箇所もある。
    • マップの書き直し
      • 町や村の外観を中心に一枚絵に書き換えられ各地方の雰囲気がより強く感じられるようになった
      • だが、室内はSFCとほぼ同じチップマップなのでちぐはぐな感じはある
    • バトルスピードの改善・バトルバランスの変更
      • 味方が使えるサイコの種類が大幅に減った代わりにとくぎが増加している。
      • チャクラも各属性の役割が明確になり有用な技も増えた。複合チャクラも極めた属性の組み合わせによって自動で効果が発揮されるよう仕様変更された。
      • 技によって地割れや焼け跡が残る演出はカットされた。

    全体的な問題点、賛否両論点

    • 全体的に キーレスポンスがなぜかやたらに遅い 。移動にしろ誰かに話しかけるにしろ、ボタンを押してからワンテンポ遅れて実行されるためプレイヤーの苛立ちを誘う。メニュー画面などもあまりレスポンスがよくないため、「感覚的に何度も十字ボタンを押してしまう→目的とは別の対象へカーソルが移動する」という現象もおきやすい。
    • 戦闘のテンポも悪い。まずエンカウントから実際にバトル画面へ移行する間が長い上、各キャラの行動決定の間にいちいちウィンドウ内のエフェクトが入り間があく。行動決定後、実際の行動と行動の間にも間があり、さらに戦闘終了後移動画面に戻るまでも長い。ひとつひとつは致命的でないにしても、総体としてかなり「もっさり」感が。またエンカウント率もそれなりに高め。
      • 以上、全体のテンポ感やスピード感にはかなり難があるといわざるを得ない。
    • 終盤は有用な複合チャクラを前提にバランス調整がなされている節があり、独特なシステムの有用性に気づけるかどうかで体感的な難易度が変わってくる。
      • とはいえ特にレベル上げに対する制限はないので、気づけなくても古典的な手法であるところの「レベルを上げてパワープレイに恃む」という戦法自体での突破は可能。時間はかかるが。
    • 上記のパロディ項目にも通じるが、全体的に街の人間の台詞はかなりギャグめいており、「人類滅亡の危機」と言うシリアスな雰囲気にそぐわないと感じてしまう可能性はある。

    総評

    • 基本はオーソドックスなRPGであり、RPGとして長所もあるが隙も多い。鬱展開やパロディも人を選ぶ。ただし多くの人はパンチの効いた終盤を楽しめるだろう。
    • 著名人が製作に参加・現代が舞台・鬱/バカゲー要素など『イデアの日』と共通点が多いが、『イデアの日』がシナリオの骨子以外で徹底的にバカゲー/実験的要素を詰め込んでいるのに対し,こちらはシナリオ・システムを手堅くした上にギャグ/パロディーを散りばめている。

    余談

    • 最終盤明らかになる「ある真相」が某世代交代RPGの真相とほぼ同じである。