【いであのひ】
ジャンル | RPG | |
対応機種 | スーパーファミコン | |
メディア | 16MbitROMカートリッジ | |
発売元 | ショウエイシステム | |
開発元 | オフィス恒環 | |
発売日 | 1994年3月18日 | |
価格 | 9,700円 | |
判定 | 良作 | |
怪作 | ||
ポイント |
摩訶摩訶と似たカオスな世界観 その世界観とは裏腹のシリアスなストーリー 後半の未来世界は強烈なトラウマ |
――――――― DAY OF THE IDEA
『摩訶摩訶』でキャラデザインを担当したギャグ漫画家・相原コージ氏が、製作総指揮を担当したRPG。(*1)
キャラデザも同氏が担当しているため、パッケージの雰囲気は摩訶摩訶と似ている。
そのため、「摩訶摩訶の続編」「同じくらいのクソゲー」と誤解している人も少なくないが、実際はメーカーも異なり、続編でも外伝でもなく世界観も全くの別物。
プログラミングは摩訶摩訶と同じスタッフが担当しているが目立ったバグはなく、魔訶魔訶で猛威を振るっていたバグ嵐も本作ではほとんど見当たらない。
ちなみに発売日は1994年3月18日。魔訶魔訶のミジサイバーにかけたか。
主人公は幼少の頃に両親を殺害された上に、愛犬と共に拉致され見知らぬ研究所に収容されていた。
そこでは主人公の超能力を引き出すため、昼夜を問わず過酷な人体実験が行われていた。
唯一の支えであった愛犬が殺害されたのが引き金となり主人公は暴走、
怒りと悲しみから来る力で博士は絶命し研究所は崩壊。約10年の時を経て外の世界を見る事が出来た。
しかし、世界は災害に見舞われ、化け物まで出没するようになり大きく荒れ果てていた。
一体何が起きたというのか、そして研究員が言っていた「イデア」とは何者なのか?
旅を進めるにつれ、それは徐々に明らかになっていく。
序盤は日本から始まり、アメリカ、南極など、全世界が舞台となっている。ただし、ヨーロッパの半分は無くなっているが、現在でパンダや、中国拳法の使い手や、ロシアダコなどが登場しており、作中で未来へ行った際には世界が殆ど消失しているところを見ると、元々は全世界が存在していたと思われる。
昼夜の概念もあり、地底世界、海底、はてには未来にまで行けたりもする。
「荒れ果てていた」とはいうものの、通貨(単位は"マネー"略してM。世界各地で共通。)は機能しており、役所、病院、ホテル、デパート、学校、骨董屋などの施設は存続し更には自動販売機なども設置されているあたりから現時点では『北斗の拳』よりはマシ。
そのような状況下の中でも、たくましく生き抜く人々とのドラマも見所の一つと言える。
相原の手がけた世界観だけに、一癖も二癖もある人物たちばかり。能力も非常に個性が強い。
パーティーは最大で、4人+NPC又はペットで構成される。他のメンバーは預かり所で待機する事になる。
それぞれが1人旅を経た後主人公に合流するという『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に近い形式をとっている。
+ | クリックして展開 |
+ | クリックして展開 |
+ | クリックして展開 |
+ | 放射能関連事項 |
+ | ネタバレ注意 |
+ | ネタバレ注意 |
+ | ネタバレ注意 |
広大な世界観
グラフィック・演出
音楽も良い
+ | では、なぜバカゲーでとどまらないのかというと… |
+ | それは… |
ゲーム性
演出面における問題点
その他
当時のゲームとしては相原コージの独特の世界観をアニメーションを使い上手に表現しており、
着替え等の意欲的な部分を取りそろえながら当時としては丁寧なゲームバランスに仕上がっていることは非常に評価が高い。難易度は若干高いが行き詰る個所は特に無い。
もしあの『摩訶摩訶』に酷いバグが搭載されていなければ?システムこそ違うが全体的なノリは似ているため、このゲームは一つの答えになっているかもしれない。
下品なネタやお使いイベント過多と若干人を選ぶ側面はあるものの、作り手たちの人品評価はともかくゲームの評価を落とすほど悪いものではない。
普通のRPGに飽きた人、高難易度は嫌だがパンチの効いたシナリオを求める人、相原コージの独特の世界観が好きな人には十分におススメできる出来栄えで、『仮面の忍者 赤影』と同様に「北斗の拳シリーズでクソゲーを量産し悪名高かったショウエイシステム(*12)でもやればこれだけのことができる」ということを証明した一作でもある。
一見バカゲーであるのだが、シリアス、現実的、サプライズ、トラウマ、苛立ち、盛り上がり、幸福の要素が不思議と違和感なく共存しており、その意味で『摩訶摩訶』とも他のバカゲーとも一線を画している。
そして鬱とバカが合わさり中和されているかのように存在するためむしろ丁度良いという変な現象が起こっている。これが本作が怪作たる最大の理由である。
鬱ゲーに挑戦してみたいという人には案外うってつけかもしれない。
ゲーム内容について
漫画家の書籍関連
*1 ソースhttps://twitter.com/kojiaihara/status/777587384439361540
*2 「敵基地に乗り込むにはアイテムAが必要→それを取るにはアイテムBが必要→それを取るにはアイテムCが…」といった具合である。
*3 相原氏は本ゲームのシナリオについて「俺が30年生きてきた中で見聞きした面白いお話の要素を全部ぶち込んだ」「要するにパクリの極地なんですよ」と語っており、また「面白いお話」の一つとして「漂流教室」も挙げているためゲーム中の未来世界の描写が「漂流教室」から直接的影響を受けていることはほぼ間違いないであろう。
*4 余談だが本作に出てくるモンスターは人間の欲望などが肥大化した結果、らしい。
*5 しかし、力士だということもあり素手の戦闘に慣れており、武器を装備すると逆に攻撃力が低下してしまう。
*6 終盤は軍用秘薬(全員のHP全快+戦闘不能及び状態異常回復)が比較的楽に購入できるようになるのでやや大味なバランスとなってしまうが
*7 前作は携帯電話なのに、何故か本作はポケベルと退化している
*8 「爪の垢を煎じて飲め」とかいうことか?
*9 相原が「もっと神経に障るようなイヤ~な感じの曲にして欲しい」とリテイクを出し、このような曲になったとTwitterで明らかにしている。
*10 倒したときに正体がわかる。%%結構色っぽい%%
*11 しかしそれが詰み防止にもなってはいる
*12 同社は1999年に倒産した。