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ファンタジーゾーン - (2017/01/12 (木) 09:43:20) の編集履歴(バックアップ)


ファンタジーゾーン

【ふぁんたじーぞーん】

ジャンル 横スクロールシューティング

※画像はコンプリートコレクション版
対応機種 アーケード(システム16A)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1986年3月
プレイ人数 1~2人(交互プレイ)
判定 良作
ポイント カラフルでポップなSTG
「買い物STG」の始祖


概要

セガからリリースされた業務用の横スクロールシューティング。
強制スクロールではなく振り向きの要素があり、自機の向いている方向に画面がスクロールする方式を取っている。

操作系統は、8方向レバー+ショット&対地ボムのボタンというオーソドックスなスタイルだが、「敵の落とすお金で武器を買う」という独特なパワーアップシステムが本作の特徴となっている。

ストーリー

遠い昔、宇宙のどこかに「ファンタジーゾーン」と呼ばれる場所があり、そこには勇敢なヒーロー「オパオパ」がいた。
あるとき、ファンタジーゾーンの惑星間に通用している公式通貨のバランスが乱れ、惑星の1つを未曾有の大恐慌が襲った。
それは何者かが周辺の宙域から金を大量に掻き集め、ファンタジーゾーンに巨大な要塞を建造していたためであった。
その計画を阻止するため、オパオパはファンタジーゾーンを巡る冒険に出るのだった。

基本ルール

  • 各ステージに10ずつある敵の基地を破壊し、その後出現するボスキャラを倒していく。
    • ステージは無限ループになっているため、基地を撃ち漏らしたのでステージやり直しということにはならない。また、任意スクロールなので撃ち漏らした基地へ戻ることも容易。
    • ミスしても基地の破壊状況は保存されるためその場復活に少し近いが、破壊できていない基地のダメージはリセットされ、ボス戦の場合は仕切りなおしとなる。
  • 敵の基地を壊すか特定の敵編隊を全滅させるとお金を落とし、集めたお金で買い物をすることが出来る。
    • 買い物が出来る店は「SHOP」と書かれた風船として、ステージ開始直後やいくつか基地を破壊した後などに飛んでくる。
    • 商品のラインナップはスピードアップ用のエンジン、時限式の特殊ショット、使い捨ての特殊ボム、或いは残機など。どれもここでしか手に入らないが、エンジン以外のアイテムは買うごとに値段がつり上がっていく。残機は特に上がり幅が大きく、最終的に$100000(100万点相当)まで上がる。
      • 特に特殊ボムは1発いくらなので、多用するとあっという間に手が出せない価格になる。
      • またミスすると買ったアイテムが全て失われる。

評価点

  • パステル調の鮮やかな色合いで曲線を多用して描かれた背景や、愛らしくもどこかシュールなキャラが飛び交う暖かみのある世界観。
    • 無機的なデザインの戦闘機が飛び交う硬派な近未来的世界観が主流のシューティングにおいて、こうしたデザインワークは非常に斬新であり、ジャンルに付き物の殺伐さを感じさせない。
  • 買い物+シューティングの組み合わせは当時としては非常に斬新であった。
    • 類似要素を搭載した作品では、古くは『エリア88』(カプコン)や『オーダイン』(ナムコ)、最近では『トラブル☆ウィッチーズAC』(スタジオシエスタ)など。
  • ステージ1つが惑星1つに該当しているため、面ごとに基地の外見も地形及び背景もガラリと変わり見た目でも飽きさせない。
  • ポップな外観と非常にマッチした、サンバなどが中心のノリの良いBGM。
    • 唯一毛色が違うのがボス戦のBGMだが、極めて単純な構成ながら「ボスと戦う重圧感」を存分に表現している秀逸な出来。
  • 最終ステージでは今まで倒したボスたちがパワーアップして逆襲しに来る。いわゆる「ボスラッシュ」。
    • 「ボスラッシュ」を搭載したのは本作が初ではなく、『B-WINGS*1』がおそらく初。
  • スクロールの方向や速度を制御できるため、ステージ攻略にわりと自由がきく。
    • スクロールにはかなり癖があり、とくに振り向いた直後はかなり危険な状態となる。
    • 自由がきくといっても、本当に自由奔放に動いていたらそのうち詰む。
      • 敵ザコには、画面に追従する(スクロールに影響されない)ものと、マップに追従する(スクロールで振り切ることができる)ものに大別されるが、前者は出現位置が自機の向きによって決定されるため、普通のSTGのように左右(前後)に小刻みな移動を試みるとスクロールで振り切れない敵が左右から挟み撃ちで攻撃してくることになる。
      • ボス戦以外では「後退しながら撃つ」ということができない(転進して、射撃方向も変わってしまう)ため、攻撃時は必然的に敵に近づく動きをすることになる。しかし、撃ち返し弾の存在がこの行為を非常に危険にしている。よって、「ひたすら前進しながら上下方向の動きのみで敵弾と体当たりを避ける」という行動が比較的安全となる。
  • 慣れや装備の有効活用によってけっこう先まで進めるバランスになっており、鬼畜というほどの難易度ではない。
    • ただ、前後の横シュー有名作品(グラディウスR-TYPEダライアスなど)と違いバリアが搭載されておらず自機の当たり判定もほぼ見た目どおりなため、油断するとあっさりミスる。
  • 難易度ランクが視認できるのが大きな特徴。ランク上昇すると敵弾の外見が変わり、3段階目からは撃ち返し弾が発生するようになる。
    • 永久パターン防止措置として、長時間同一ステージに滞在していると急激に難易度ランクが上昇するようになる。
    • 基盤の側にもゲーム全体の難易度設定項目があるが、変わるのはランク上昇速度のみ。ちなみに、アーケードゲームとしては珍しく、最低難易度が標準設定となっている。
      • なお難易度設定を最高にすると、1面ごとに最低難易度設定での1周分ランクが上がるため、あっという間に鬼畜な難易度に変貌する。
        これに加えて残機購入レートを最高価格(初期価格$20000/上限額$200000)に設定することも可能な辺り、ある意味アーケードゲームとしてはまっとうな仕様である。

問題点

  • ショップで武器を購入してパワーアップしても、一度やられてしまうと、そのパワーアップは全て無効となる。
    • 最終面以外のボス戦でやられてしまうと、ショップが利用できず、ノーマル状態でボスと戦う事になる。
    • 最終面ではショップを利用できるものの、利用できるのは面スタート時とミス後の復活時のみのため、ボスに合わせて装備を変更するということがあえてミスしないとできない。
      その一方で雑魚も基地も出現せずボスを倒してもお金を落とさないため、何度もミスすると金欠でジリ貧となる。
  • 特殊ショットの使用時間が短い。店を出た直後から15秒間となっている。
    • 撃たなくてもカウントは減っていくので、撃ちまくらないと損である。
  • 事故死(という印象のミス)が多い。
    • 任意スクロールに起因する出会い頭の体当たりや、撃ち返し弾の被弾が主な死因。
    • 1周クリア後は設定に関わらず残機が0となるため、再開直後のミスで即ゲームオーバーとなるのも事故の印象を強めている。標準設定での上限額($100000)までお金を集められるのは後半ステージになってからなので、それまでは残機を購入できず、高次周では少しの油断がゲームオーバーに直結する。
      • これは250機設定でも変わらない。1周クリアはできても、その先までは…

総評

ゲーム性・グラフィック・演出・音楽において高いクオリティを持つ本作は、セガを代表する作品になった。
家庭用向けへの移植が何回もされているほど。


家庭用移植

  • セガ・マークIII版
    • マークIIIソフトの新仕様・新レーベルであった「ゴールドカートリッジ」の一作目にして初のメガROM。
      • AC版と同時開発であるため厳密には移植ではない。
    • ハード性能を考えれば頑張っている作品ではあるが、多関節の腕を振り回すボス(AC版の4面ボス・クラブンガーと6面ボス・ウィンクロン)は再現出来なかった。そのため、これらは別のボスに差し替えられている(ウルトラスーパービッグマキシムグレートストロングトット、DZ・デノ・ローマ)。
  • FC版
    • 「上下スクロールする」「前線基地がアニメーションする」「クラブンガーとウィンクロンも再現(ただしウィンクロンの腕の数はAC版の半分の3本)」「良質のBGM」と、かなりの良移植。
    • サン電子(サンソフト)発売。本作によりサン電子の評価が一気に高まった。(当時はどちらかと言えば、『いっき』を作ったクソゲーメーカーという認識があった)
    • またセガ信者がこのFC版を見て、初めてFCに敗北を感じたという噂も存在する。
  • NES版
    • 上記FC版とは別に、海外でのみテンゲンより販売された移植版。
    • グラフィック面ではよりAC版に近くなっているが、基地の数が6つ(FC版は8つ)、7WAYショットが5WAYになっているなど微妙に劣化している。
  • MSX版
    • セガ・マークIII版をベースにした移植。ただし5面ボス・ポッポーズと7面ボス・IDA2の攻撃方法が変更されている。
  • PCエンジン版
    • NECアベニュー発売。
    • グラフィックは非常に美しく、ボス戦で背景が切り替わらないなどAC版に遜色ないレベルで再現されているが、ファンタジーゾーンの大きな要素であるBGMがあまりに酷すぎるため、評価はかなり低いものとなっている。
      + 参考:AC・MkIII・FC・PCEのBGM比較
  • X68000版
    • 電波新聞社発売。当時のACとほぼ互角の性能を持ったPCへの移植。
      • しかし本体が当時40万位する高価なPCであり、家庭で気軽に楽しめるものではなかった。
    • AC版をほぼ完璧に再現している上、様々な独自要素が存在している。
      • 5面BGMを後期ROMverに変更できたり、アレンジBGMの追加、各面特定の前線基地を破壊すると入手できるハリアーコインを集めることで7面クリア後、同社『スペースハリアー』を模した隠しステージを追加していたり。
        + スぺハリ面
  • セガサターン版
    • AC版をほぼ完璧に再現した家庭用移植。オプションによる細かい設定が可能でファンも大満足の内容。
  • PS2『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』版
    • AC版のみならず、MkIII版や、FC版リメイクともいえるネオクラシック版*2、さらには続編である『II』やMDの『スーパーファンタジーゾーン』、ゲームギアの『ファンタジーゾーンGear』、派生作であるドットイートアクション『オパオパ』、異色シューティング『ギャラクティックプロテクター』まで収録した、まさにコンプリートコレクションといえる内容。下記続編についても参照。
    • ただし本作のAC版には、ラスボスが涙を流さないというバグが存在している。PS2アーカイブスでの配信バージョンでは修正済み。
  • Windows 95/98/ME『セガ メモリアルセレクション』版
    • 「ペンゴ」「フリッキー」とのカップリングになっている。サターン版とほぼ同等だが敵のアルゴリズムなどが異なっている。
    • ただしXPでは何とか動くものの、それ以降のOSでは動作しない(インストールもできない)ので注意。

続編

  • 『ファンタジーゾーンII オパオパの涙』
    • 1987年にマーク3で発売されファミコン、MSXにも移植。
    • AC版ファンタジーゾーンと比較してハードスペックが大幅に劣るため、ほぼ全くといっていいほど異なるゲームになっている。
    • アーケード版については後述。
  • 『スーパーファンタジーゾーン』
    • メガドライブ用ソフトとして1992年に発売。
    • セガハードながら、発売はファミコン版を移植したサンソフトで、完全オリジナル作品ながら評価は高く、初代BGMも収録(裏技でゲーム内でも使用できる)された。
      • BEEPメガドライブの読者評点企画のドッグレースでは、当時発売以来連続1位の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を抜いて初登場1位となっており、セガの新世代キャラのソフトを旧世代のキャラを使ったソフトが追い抜くという結果となった。
  • PCエンジン用ソフトとして『スペースファンタジーゾーン』が予定されていた。スペースハリアーのゲームシステムにファンタジーゾーンのストーリーを入れたもので、かなりの完成度まで作られていたが、長年発売未定のまま結局発売中止に。
  • 同シリーズ最終作の『Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』(2008年9月11日発売)*3は、本作のAC版を始め、シリーズ関連作品やアレンジ版などを同時収録した豪華版となっている。
    • このバージョンの特徴として、1987年以来本家のセガですら20年以上リリースしなかった『SYSTEM 16C版 ファンタジーゾーン2』*4の移植作が収録されており、実質20年以上経過した後のファンタジーゾーンの正統続編のリリースとなる。
      • この『2』はFC版やマーク3版と異なり、AC版ファンタジーゾーンのテイストを忠実に継いだ作品である。道中のプレイ内容によりエンディングが変化する仕掛けがあり、FC・マーク3版をプレイしたプレイヤーでも新しい展開を迎えられるように工夫してある。

余談

  • 本作に存在する後期型のROMでは、海外輸出版と同じく5面のBGMに修正が加わっているほかステージ開始時にBGMの曲名が表示されるようになっている。
  • 直接的なゲストというわけではないが、「電脳戦機バーチャロン フォース」に登場するエンジェランの攻撃「ウィングボール」が主人公のオパオパにそっくり。
  • セガを代表する名作ということか、セガ・タイトー・ナムコの三社合同音ゲーコラボ「GMT2014」に今作から「OPA-OPA!」が抜擢され、maimaiGROOVE COASTER太鼓の達人(新筐体)?に収録された。
    • 同時に収録となったタイトーの電車でGO!、ナムコのリッジレーサーと共にそれぞれの曲を掛け合わせたマッシュアップ版も登場。さながら電車やレーシングカーと並走するオパオパの姿が脳裏に浮かぶかもしれない。
  • ゲーム全体が可愛く明るいノリで進行してゆくが、最終面のボスラッシュの後に待ち受けるどんでん返しがプレイヤーに衝撃を与えた。
    + 衝撃の結末 ラスボス戦突入直後に出て来るのは巨大だがオパオパにそっくりのシルエットで、それを確認する間もなくその影から伸びてきた虫のような敵との戦いが始まる。
    全部で6匹いる虫を倒すとラスボスの本体が右からフェードインしてくるが、その影がカラーリングもオパオパそっくりとなり、目に涙を光らせつつ消えていってしまう。そしてエピローグにて、ラスボスが長いこと行方不明となっていたオパオパの父だったことが判明する。
    そのラストは「彼の勝利にはそれまで払ってきただけの価値が本当にあったのか、オパオパは生涯悩み続けるのだろう」というような文で締めくくられており、これまでの演出からは想像も出来ない物悲しいものとなっている。そしてそのオパオパの悩みは続編にも繋がっていくことになる。
+ ラスボスBGMの小話

理由は不明だが、GBAで発売された他社製のSTG「ダライアスR」に今作ラスボスBGM「YA-DA-YO」が盗用されている。 音源こそ異なるが、旋律はほぼそのままの物となっている。詳細はダライアスRのページで。

後に「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」では正式なコラボとして原曲が収録された(しかも起用シーンのボスにはラスボスにほんのり似たデメニギス型のブライトリーステアを据えるおまけ付き)が、STGファンの中で上記の件を絡めて話題になったのは言うまでもない。