SEGA AGES 2500シリーズ Vol.3 ファンタジーゾーン
【せがえいじす にせんごひゃくしりーず ぼりゅーむすりー ふぁんたじぞーん】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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3Dエイジス
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開発元
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シムス
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発売日
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2003年8月28日
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定価
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2,500円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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90KB以上の空きが必要
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判定
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なし
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ポイント
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オリジナル要素が追加されたリメイク プレイ感覚は原作忠実 移植としてもリメイクとしても中途半端
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ファンタジーゾーンシリーズ
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SEGA AGESシリーズ
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概要
2003年にて3Dエイジスがプレイステーション2にリリースした『SEGA AGES 2500』(以下エイジス)シリーズの第3弾にあたるソフト。
ゲームタイトルが示す通りシューティング界の名作の一つ『ファンタジーゾーン』をフルポリゴンでリメイクした内容となっているが、ゲームとしては原作同様ほぼ2D視線である。
エイジスの初期作品は過去のゲームを3Dでリメイクするという共通コンセプトを持っていたが、一体どの層のプレイヤーを対象にしたかのかが不透明ないわゆる「誰得リメイク」になってしまうケースも多かった。本作もその時期のリメイクの一つに該当する。
主なルールに関しては原作ほぼそのままなので、このページでは割愛する。
主なモード
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ノーマルモード
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本作のメインといえるモードであり、原則的に原作(AC版)を再現しているが、以下の相違がある。
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原作ではステージボスを倒すとボスの破片がそのままコインに変化していたが、本作ではボス撃破後に3D視線に移行し、ボスがばら撒くコインを回収する画面に切り替わる。
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ゲーム初期時は原作と同じ構成だが、下記のチャレンジモードで購入した特殊アイテム(オリジナルステージやアイテム)がこのモードにも反映され、ステージ数などが増加する。
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なお、原作は全8ステージ構成だが、オリジナルステージを追加するとステージ8~11がそれに導入される。原作ではステージ8だった最終ステージはオリジナルステージ追加後はステージ12(最終)の位置となる。
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アーケードモード
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こちらも原作再現だが、ボス撃破後は原作同様の2D視線でのコイン回収であり、チャレンジモードの特殊アイテムは反映されず完全にAC基準のステージ構成となる。
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ただし、このモードも他のモード同様のポリゴン描写での外観なので、厳密には「AC(原作)をリメイクで再現した」内容でしかない。
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チャレンジモード
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このモードではステージセレクトにて好きなステージを何度でもプレイできる。
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選んだステージをクリアすると、それまでに取得していたコインがそのまま引き継がれた状態でステージセレクト画面に戻る。
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ただし、ステージ中は残機数が1のみでミスすると即ゲームオーバーとなり、そのステージ内で得られたコインや赤コイン(下記)はすべてリセットされてしまう(前ステージで稼いだコインは消費されず)。
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上記の2モード同様、ステージ内でも通常通りショップが発生しアイテムの購入が可能(ただし、このモードではエクステンド(1UP)は仕様上購入できない)。
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このモード限定で、稀に敵を倒すとランダムで「赤コイン」を落とす場合がある。これを取得すれば下記のギャラリーモードで倒した敵のギャラリーが鑑賞できる。
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ステージセレクト画面にて「LABO」と表示されたアイコンを選ぶと、通常のショップとは違う「特殊ショップ」画面に移行する。
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このショップには「オプション追加項目アイテム」「オリジナルステージ解禁アイテム」「オリジナルアイテム解禁アイテム」の3種類が売られている。
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ステージにて稼いだコインでこれらを購入すれば、ノーマルモード、チャレンジモード、オプションに様々な追加要素がなされていく。なお、購入したアイテムは売り切れとなり二度と購入できない。
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「オプション追加項目アイテム」を購入すれば、オプションにてゲーム初期時はない項目が追加される。全部で4つのオプションがある。
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「オリジナルステージ解禁アイテム」を購入すれば、ノーマル、チャレンジの各モードにてオリジナルステージが追加される。全部で4つのステージがある。
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「オリジナルアイテム解禁アイテム」を購入すれば、ノーマル、チャレンジの各モードの通常ショップにてオリジナルアイテムが追加される。全部で6つのアイテムがある。
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ギャラリーモード
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オパオパ(自機)や敵キャラのポリゴン表示のギャラリーを鑑賞できる。
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ゲーム初期ではオパオパしか鑑賞できないが、チャレンジモードで取得した赤コインを回収する度に鑑賞できる敵ギャラリーが増えていく。
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選べるキャラは拡大/縮小や右/左回転にて動かして様々なアングルで拝む事が可能。
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オプション
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いわゆるオプション項目であり、難易度選択などの設定ができる。
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難易度は三段階から選択できる。
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オプション項目の設定はノーマル、アーケード、チャレンジの各モードにてすべて反映される。
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チャレンジモードの特殊ショップでオプション追加項目アイテムを購入すると、新たな項目が追加される。
評価点
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オリジナルステージは原作の雰囲気を損なわずに作られている。やはり何だかんだいってオリジナルステージが存在するのは本作だけの特権であり、本作の存在感に一役買っている。
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BGMに関しては原作を尊重しているうえに、原作に存在しないオリジナルステージなどでは、ちゃんと原作基準の音源での新規BGMが用意されているという地味なこだわりっぷりを見せている。
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ちなみにこの手のゲームによくある「原作楽曲とアレンジ楽曲との切り替え」は存在しない。あくまでも本作の楽曲は、原作のそれに近いもののみを使用している。
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ギャラリーモードの、原作では絶対に見られないアングルで各キャラのギャラリーを拝めるサービスが嬉しい。
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ただし拡大縮小・回転させて楽しめるとはいえ、それ以上の行為は特にできない為、すぐに飽きてしまうという恐れはある。
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また、後述の問題点で述べる「赤コイン回収までのきつい作業感」の件もあり、「ギャラリーを埋める前にゲームそのものに飽きる」という恐れも孕んでいる。
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チャレンジモードの評価点。
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オリジナルステージを除けばゲーム開始時から好きなステージセレクトが可能で、自分のお気に入りのステージが即プレイできるというお手軽さを持っている。
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原作のプレイ感覚はきちんと再現できており、この面に関しては忠実。
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余計な新操作は一切加わっておらず、リメイクとはいえしっかり原作のそれを大事にしている。
賛否両論点
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ゲーム全編を通し、フルポリゴンにてリメイクされていること。
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好意的に解釈すれば、原作の雰囲気を損なわずに描かれたポリゴン描写となっており、初期エイジスにしてはまともな移植となっている。顰蹙を買うような見た目の変え方はしていない。
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しかし否定的解釈だと、「あまりにも原作に忠実すぎてポリゴンである意味合いが薄く、別に原作同様の2D外観でも十分事足りる変わりようのなさ」ともいえる。
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実際、このゲームはノーマルモードの3D視線を除けば完全なる2Dのゲーム性であり、無理にポリゴン化しなければならないような要素は皆無に近い。
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『レイストーム』などポリゴン描写の2Dシューティングは存在するが、あちらは「3Dならではの演出が多く取り入れられている故のポリゴン描写」という存在意義がある訳で、それに比べて本作はほとんど平面状態でポリゴン使用である必然性がまるで感じられない。残念ながら、初期エイジスにありがちな「リメイクといえばとりあえずポリゴン化だろ」という安直さは否めないところか。
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また、グラフィックに対してBGMが原作を尊重したものになっている部分も、人によっては「なんでグラフィックはポリゴンリメイクでBGMは原作基準なのか?」という疑問を持つ可能性がある。
問題点
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評価点にある通り、新規のオリジナルステージが存在しているのは魅力だが、やはりネタ切れなのか「原作ステージの焼き直し」という一面も見られる。
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ボスに関しても「原作ボスを若干改変したデザイン」といったものがほとんどで新鮮味が薄い。
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また、最初のオリジナルステージ(ステージ8)のボスが他のオリジナルボスよりも一回り強く、正攻法で倒すのは至難を極めるというのも、ステージ構造的に謎である。
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ロードが頻繁に発生し、原作よりもテンポが間延び気味である。
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ロードそのものは致命的な酷さでもないが、画面が切り替わる度にロード表示がされる為、(特に原作のテンポ感を体験しているプレイヤーにとっては)この待ち時間がじわじわとストレスになってくる。
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おそらくはフルポリゴンにて容量を多く使った故の問題なのだろう。このためますます「2Dで済ませておけば良かったものを…」と思わせる。
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ノーマルモードの売りであろうボス撃破後の3D視線があまりにもやっつけすぎる。
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「わざわざ3Dにする位なのだから何か凝ったゲーム性になっている」と思われる初見の方もいるかもしれないが、実際は「コイン回収を単に3D視線にし、長めの制限時間を設けただけで何の工夫もない」という有様。
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これのせいで原作ではものの数秒で終了するコイン回収が30秒近くかかり、ただでさえロードが多いのにさらにぐだぐだ感が増している。まさに誰得。
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かつてPCエンジンにて『スペースファンタジーゾーン』という、スペースハリアー風ファンタジーゾーンと呼ぶべきソフトが発売予定だったが、結局リリースされなかったという過去があった。一部のプレイヤーは「あのゲームの無念をここで再現してくれるのか?」と期待を寄せていたが、実際は似ても似つかぬもので残念ながら見当違いであった(あのゲームは全編通して3D(予定)のゲーム性である)。
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アーケードモードは原作と同じステージ構成のモードであり、コイン回収もちゃんと数秒で終わる2D視線のままの再現となっている。
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しかし、あくまでも原作重視なのでチャレンジモードの特殊ショップで購入したステージやアイテムは一切反映されない。とはいえ、それが反映されてしまうと「アーケードモード」として矛盾が生じてしまうので仕方がないところもある。
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そもそも、ボス撃破後の視線が2Dか3Dかだなんてオプション項目の設定で事足りる訳で、「なんでわざわざノーマルとアーケードの2モードに分けるのか?」という疑問も沸く訳だが…。
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チャレンジモードの問題点。
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評価点で述べた通り、好きなステージをプレイできるお手軽さを持っているのだが、特殊ショップのアイテム購入や赤コイン収集が目的になると話は別で、露骨までの作業感が重く圧し掛かるようになる。
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特殊ショップのアイテムには大小様々なものが売られているが、売価がコイン上限カンストなものも売られており、すべて購入するとなるとステージの繰り返しでひたすらにコインを稼ぐ作業が不可避となる。
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これは赤コインにもいえる問題である。というのも、赤コインが出現するかどうかは完全にランダムな為、プレイによっては「全く赤コインを出現させる事なくクリアしてしまう」という状況もあり、先の見えない作業を強いられがち。
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さらには、ステージ内にていくら順調にコインなどを稼いでいても「ミスすると没収されてしまう」というペナルティまである。こと初心者プレイヤーにとっては、完全に苦行の域である。
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チャレンジモードで解禁できるオプションの解禁項目の一つである「連射機能」の問題点。
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この項目をONにするとオート連射でショットやボムが撃てるのだが、これのノーマルショットがあまりにも連射が利き過ぎてチートクラスの強力さとなり、ショップで武器アイテムを購入する意味合いが薄らいでしまうという問題が発生してしまっている。
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当然ながらノーマルショットなので無制限に撃ててしまい、ショップで売っているレーザー系のショットよりも強力無比な為、「連射ノーマルショットを撃っているだけで道中位ならばどうにかなる」というバランスブレイカーっぷり。もちろん耐久度の低い一部ボスに対してもこれで瞬殺できる場合もある。
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ちなみに他にも「コンティニューができる」「いくらショップでアイテムを購入しても価格が上がらない」といった内容のオプション項目があるが、これらは「正当な意味で役に立つ」レベルなのであまり問題はない模様。
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見た目の変化や追加要素を脇においても、「原作の移植度」という面で疑問を覚える要素が目立つ。
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具体的には「コインの落ちる軌道が大分違う」「極端に弱くなったり、強くなったりしているボスがいる」「原作の裏技的な攻略方であった"アイテム購入の下準備によるボス瞬殺撃破"が一部できなくなっている」など。
総評
一般的な評価としては、「リメイクとしてはどことなく中途半端、それでいて移植ものとしてはズレがある」という、特に酷くもなければ特に凄くもない微妙なリメイク。
とはいえ、誰得感が半端ではない初期エイジスの中では「ある程度の原作度は残している」マシな出来なのも事実であり、当時としては賛否もあるが受け入れるプレイヤーも少なくなかった模様。
今となっては完全に「コンプリートコレクションの大幅劣化版」といえるソフトだが、それでも本作ならではの要素を持っているおかげで、全く存在意義がなくなった訳でもないのが救いであろう。
余談
移植度としては著しくない本作ではあるが、当初こそ「ファンタジーゾーンが安価にてPS2でプレイできる」というセールスポイントは魅力的ではあった。
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しかし、後に『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』が2008年9月11日にリリースされ、こっちは本作よりも圧倒的に移植度の高い純正の原作AC版のみに留まらず、原作のセガハード移植やファンタジーゾーンシリーズの関連作、挙げ句の果てには他社ハード移植版や完全リメイクまで多彩に収録された「もはや2,500円ってレベルじゃねーぞ」的な完全豪華版となっている。
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それ故に、本作の存在意義がコンプリートコレクションの影へ隠れる形となり、オリジナルステージなどの要素を除けば完全に誰得リメイクとなってしまった。何と皮肉な運命であろうか…。
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とはいえマーク3、FC、PCEなど様々な機種に移植された中でのPS2版とした場合シリーズの歴史、コレクション的な観点からみれば立派な1つのバージョンとして捉える事も出来る。この点が将来的に再評価される可能性は充分にありえるだろう。
最終更新:2025年02月01日 10:38