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ポイズンピンク - (2014/10/10 (金) 10:08:30) の編集履歴(バックアップ)


ポイズンピンク

【ぽいずんぴんく】

ジャンル ダークファンタジーS・RPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンプレスト
開発元 フライト・プラン
発売日 2008年2月14日
定価 7,140円

あらすじ

結婚を間近に控えていたバルダミアン王国の姫ルナーシェが突如姿をくらまし、同時に多数の魔神が住む獄界ベセクが出現した。
バルダミアンのバルド王は、獄界ベセクに囚われた姫を救い出した者には身分を問わず望みの褒美を与えるとの声明を出した。
姫のため、望みのため、獄界ベセクに何組もの挑戦者が足を踏み入れていく。

概要

  • バンプレストとフライト・プランが送る完全新作SRPG。
  • 同タッグの代表作と言えば「サモンナイト」シリーズだが、ある程度ポップな雰囲気のそれらとは異なる、全体的にダークな世界観が特徴。
  • キャラクターデザインには幻想的な絵柄が特徴のtomotika氏を起用。本作の雰囲気づくりに貢献している反面、氏の絵柄をCGに起こすことは難しかったのか、絵柄と3DCGが乖離してしまっている。(詳細は後述)
  • 本作には拠点となる街とダンジョン以外の要素は存在せず、街とダンジョンを往復すること以外は出来ない。
    • これは作品の規模を狭めてもいるが、同時にプレイヤーの想像する余地を多く残している。ダンジョンの外に広がっているであろう王国の様子が会話中にしか登場しないことで、逆にプレイヤーに想像を促すつくりである。とは言えやはり閉塞感は感じるので、賛否が分かれる所。
  • ダンジョンに登場する敵、異形の姿をした「魔神*1」を捕獲していく事が本作の一つの目的。
    • 捕獲した魔神のスキルを武器や防具に付加したり、魔神の血をPP(ポイズンピンク)に変換し、貯めたPPを消費して魔神を自軍の仲間にする事ができる。
    • 登場している魔神は韮沢靖氏や安藤賢司氏といった著名な面々がデザインを担当。
  • シナリオ中ではそれぞれ異なる3組の主人公たちと、彼らのシナリオクリア後に現れる2人を主役にしたシナリオ、5人全てのシナリオクリア後に挑める最終章の6つのシナリオがある。
  • 選んだ主人公のパーティで複数のルートの中から一つのルートを選び、獄界ベセクを攻略していく。
    主人公によりストーリーは異なるが、最初の数ステージと節目は主人公に固有で、その途中のステージを選択できる。
    • 獄界ベセクには迷い込んでいる「救護者」がいる場合があり、救助すると拠点で会話したり、アイテムを貰えたりできる。

問題点

立ち絵と3DCGの差が激しい。

  • 本作のキャラクターの1枚絵は、このゲームのダークな世界観にあっているため比較的評価は高めだが、逆に戦闘やOPイベントの3DCGの方は、1枚絵と比べるとあまりに残念な出来であるため、そのギャップに嫌気がさしてしまう。
  • 本作のダークでゴシックな世界観に惹かれて購入したプレイヤー達にとって、この点はかなりのマイナスであった。

長めのロード時間。

  • 戦闘時は基本的なシミュレーションで、攻撃する時だけ視点が変わって攻撃する側される側がアップになる(ファイアーエムブレムシリーズのような形といえば分かりやすいだろうか?)のだが、この際のロードが長め。しかも、ロードが終わっても上記の通り、モデルはイマイチだしエフェクトもしょっぱいので…。
  • フリーズも多い。再現性のあるものもあるが、基本的には唐突にフリーズする。

不親切なユーザーインターフェース。

  • 比較的1ステージに時間がかかり、しかもリセット&リターンも重要なSRPGというジャンルにも関わらず、ステージ中のセーブ・ロードは不可
  • 一度ステージをクリアした後は、前のステージに戻ったり別のルートに変更したりはできない。また、フリーバトルもない。そのためレベルアップがままならず、難易度はやや高め。
  • スキルの説明も不十分。本作のスキルは独自に体系化された架空の言語構成となっているのだが、まず一見ではどれが攻撃でどれが回復なのかも分からないようなスキル名であり、初心者は戸惑う。
    • 接頭語は「パル」→「メデ」→「マク」の順に強力になるのを基本として、十字範囲攻撃を意味する「ラト」、回復を意味する「レス」等が組み合わさる。
      • 分かりづらさの極みは闇魔法スキル。「グレド」を基準に「パルグレド」「レスグレド」「モルグレド」「メデダズグレド」「ラトマクグレド」等。これらは全て攻撃系なのでまだ分かり易い方。これに攻撃補助系と状態異常系が合わさる。
  • 状態画面左下の3つのパラメータが、見ただけでは何を意味しているのか全く分からない上に説明がない。説明書にも掲載されていない。
    • この3つのパラメータは左から「回避率」「反撃率」「クリティカル発生率」を表す、極めて重要なもの。何故説明がないのか。
  • 雰囲気ぶち壊しな空気の読めない会話イベントの存在。
    • 戦闘中、一定ターンの経過などで会話イベントが発生するが、その中にこれまでのダークな空気をぶち壊しにするような会話イベント(何の脈絡もなく始まるキャラクター達のエロトークなど)があり、それがこのゲームの世界観を壊してしまっている。
  • 様々な伏線を残したまま終わるストーリー。
    • 物語の肝心な部分についての伏線はあらかた回収しているが、一方で各キャラクターごとの細かい部分については、特に触れずに終了している。
    • 一応ゲームの最後で、続編の存在を示唆するような台詞があるが・・・。
  • 魔神の問題
    • 宣伝では「力を奪うか、従属させるか」といった自由度の高いゲームを想像しそうだが…
    • 実際は魔神の捕獲は面倒な手間を踏まなければならず、しかも捕獲した魔神は成長せず、結局使い捨ての駒になってしまう。
    • 宣伝では「100体以上の魔神を仲間に出来る」とPRしているが、実際は55種類のみ。

評価点

  • ゲームの雰囲気
    • ダークな世界観とそれによくあっている音楽・イラストについては評価が高く、ステージにもそれぞれプレイヤーの中二心を存分にくすぐってくれる名前と解説文がついているなど、力の入れ所を間違った作品と言える。
  • 救護者
    • 救護者たちはアイテムをくれる他には会話をするしかない、必要がなければ無視してしまっても構わない存在だが、固有の立ち絵と、会話を通じて各々の背景を伺うことができる。
      「幽霊の貴婦人」「故郷が白い翼と黒い翼の抗争に巻き込まれた有翼人」「時計うさぎと、それを探すアリス」など、かなり濃ゆい面々が顔を並べる。本編の主人公たちが終始陰鬱な雰囲気なので、ゲーム中の癒しになるだろう。

総評

  • サモンナイトシリーズとは趣の異なるダークさには目を引くものがあるが、肝心のゲーム部分は小さくまとまっており、大きな問題はないものの、どうにも力不足で魅力に欠ける。ボリュームはそこそこといった所だが、やり込み要素もなく、プレイヤーを引き込むような作品とは言い難い。