Hi-Fi Rush
【はいふぁい らっしゅ】
ジャンル
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リズムスタイリッシュアクションゲーム
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対応機種
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Xbox Series X/S Windows Linux (Steam) プレイステーション5
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発売元
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Bethesda Softworks
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開発元
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Tango Gameworks
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発売日
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【XSX/Win/Linux】2023年1月25日 【PS5】2024年3月19日
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定価
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4,355円 |
プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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備考
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Xbox GamePass Day One対象タイトル
The Game Award 2023 The Best Audio Design受賞作品
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判定
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良作
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バカゲー
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ポイント
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真面目ながら丁寧に作られたバカゲー 痛快で爽快感の高いリズムアクション おバカで笑えながらも熱いストーリー チラホラ見える『GOD HAND』の遺伝子
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概要
『サイコブレイク』『Ghostwire: Tokyo』等のホラーゲームで知られるTango Gameworksの4作目。
『Wolfenstein: The New Order』『Fallout 4』『DOOM (2016)』などのゲーマー向けタイトルで知られるBethesda Softworksが、Xbox & Bethesda Games Showcase 2023 Developer_Directで公開、そして即日リリースしたゲーム。
本作では過去に『バイオハザード4』『GOD HAND』を手掛けた三上真司氏がエグゼクティブクリエーターを担当した…といっても、実際の開発にはさほど関与しておらず、『サイコブレイク2』でディレクターを務めたジョン・ジョハナス氏が中心となって開発されたものである。
『デビルメイクライ』や『ベヨネッタ』などのようなスタイリッシュアクションゲームをベースに、『Metal: Hellsinger』『Beat Saber』『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のようなリズムアクションの文脈を組み合わせたタイトル。
PS2やDC時代のゲームデザインにも則っており、ステージクリア型の一本道で構成されている。
あらすじ
ロックスターになることを夢見る25歳のチャイは、怪我した腕の換えの義手のため、
ヴァンダレイ・テクノロジーズ社で行われる人工関節のテストプログラム、プロジェクト・アームストロングに参加し、ヴァンダレイ社のキャンパスにやって来た。
手の交換作業が始まろうとしたとき、偶然巻き込まれたチャイの音楽プレーヤーが彼の胸に落ち、
彼の義手と一緒に埋め込まれたことでチャイは周囲と音楽のリズムのシンクロを感じるようになる。
事故の結果、チャイは欠陥品というレッテルを貼られ、施設のロボット警備隊に追われることになった。
脱出する方法を探していた彼は、808というロボット猫に遭遇する。
808を介して交信する見知らぬ味方、ペパーミントに助けられ、彼女のアジトに案内される。
逃げたいチャイと、ヴァンダレイ社のスペクトラの陰謀を追うペパーミントは利害関係が一致し、不本意ながら同盟を結成。
さて、チャイはヴァンダレイ社との戦いに生き残れるのだろうか?そして、彼のロックスターを目指す夢は叶うのか?
キャラクター
メインキャラクター
チャイ(声優: 下野 紘)
本作の主人公。25歳の青年。
ひょんなことから不良品のレッテルを貼られ、ヴァンダレイ社の社員から命を追われることに。
胸に世界とシンクロするMp3プレーヤーを偶然埋め込んでしまっており、何故かギターの形になるゴミ処理棒を持つ。
戦闘では格好良く敵を倒すが、基本的にはおバカでドジ、そしてトラブルメーカーで困るけれど、憎めない人。
808(やおや)
機械でできたメスの黒猫。
ペパーミントの手によって作られた。
チャイと同様に世界と音楽にシンクロしており、ときには通信機の働きを果たす。
名前の由来はリズムマシンの名機として名高いRolandのTR-808から。効果音も件のTR-808のカウベル音源などが使われている。
ペパーミント(声優: 行成とあ)
本作のヒロイン。23歳の女性。
808を助けてもらったことを礼に、チャイの手助けを行うことになるが、彼のドジのせいでさらに厄介なことに巻き込まれてしまう。
ヴァンダレイ社のスペクトラの陰謀を追っており、彼女もまたそれに関係している…?
チャイにはキツく当たっているが、段々と心を開いていき…
ゲーム内では遠距離射撃・バリアの破壊においてチャイをサポートする。
マカロン(声優: 間宮康弘)
本作のサブキャラの1人。47歳の男性。
骨太で力強く見える男性だが、見た目に反してだいぶ弱気。
ヴァンダレイ社の社員ではあったが、会社の利益重視の態度に反感を持ち、幹部に対し妨害を行うように。
チャイとの出会いにより、彼の闘志に火がついて…。
ゲーム内では敵のガード/Zシールドや壁の破壊においてチャイをサポートする。
CNMN(声優: 吉野裕行)
マカロンのお手製のロボ。
精神の分析や、機械のアシスタント、計算を得意とする、誠実で真面目なロボット。
ただ、その真面目故に自身がロボットゆえの不気味さを感じられないように。ということで顔にマーカーで絵を書いて感情表現をしたり、サポートもどこか肝心な所が抜けてたりと、ちょっと不器用。
敵幹部
ケール(声優: 子安武人)
ヴァンダレイ社の現時点での社長。男性。
利益重視で冷酷、そして他人の命を厭わない残忍な性格を持つ。ロボット従業員相手ならより一層。
レッカ(声優: 斉藤 貴美子)
ヴァンダレイ社の生産部門の幹部。女性。
筋肉流筋で、プロレスラーのような服を着ていて、パフォーマンスもかなりド派手。
不良品があればロケットランチャーをブチかましてすぐ破壊…と不良品に対してかなり厳しい。なぜロケットランチャーを持ち込んでるかは気にしてはいけない。
どういうわけか力強さ故パソコンが壊れ、メールが太字でしか打てないという妙な現象が彼女に起きている。
ザンゾウ (声優: 高木渉)
ヴァンダレイ社の研究・開発部門の幹部。男性。
頭に大量のイヤホンジャック端子(?)を備えており、そこから開発の閃きをダイレクトインプットしているという。
社員のプログラマーロボに対して厳しく、とにかく四六時中働くことを要求し、さらにはザンゾウドリンクを買うことを要求したりする困った人。
研究所をどういうわけか遊園地風にリフォームしており、顔ハメ看板やザンゾウぬいぐるみ、そしてザンゾウ抱きまくらまで用意しているという。
マッドサイエンティストタイプではあるが、自分の身の回りの管理ができておらず、予算を無駄遣いし過ぎたり…。
コルシカ (声優: 小林ゆう)
ヴァンダレイ社のセキュリティ部門の幹部。32歳の女性。
CNMN曰く、「真面目で勤勉、ユーモアの欠如」が見られ、ボスにピッタリな資質を持っている。
が、その分ケールからの指示への反応が少し遅かったり、捕まえたチャイを自分のミスでうっかり見逃したり、少しパスワードの管理が雑だったりと、ポンコツな一面も。
スペクトラなどの重要メールが彼女のみ届いてなかったり、ミモザに無視されていたりと、幹部の中では扱いは悪い。
ちなみに、Hi-Fi Rushのファンからの人気は一番高いキャラだったりする。
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彼女についてのネタバレ
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Track 7の最後で、ケールに殺されそうになるものの、チャイに命からがら救出される。
CNMNとペパーミントの手術により人口臓器を埋め込まれ、死を免れた。
それ以降は彼女もチャイの仲間となり、火消し、ジェネレーターのオーバーヒート、戦闘時の竜巻でチャイをサポートする。
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ミモザ(声優: 井上喜久子)
ヴァンダレイ社のマーケティング部の幹部。女性。
蝶のようになるドレスなど、派手な演出でヴァンダレイ社の業績を好調にさせた。
一方、ミュージアムのアナウンスを自分の声にしていたりと、かなりのナルシスト。
コルシカのことを勝手にライバル視している。
ロックフォール(声優: 立木 文彦)
ヴァンダレイ社の財政管理を行う。男性。
かなり金に厳しく、予算に関してザンゾウと対立関係に。
病気で死に瀕している際に命をケールに救われているのか、彼とは友好な関係を築いているらしい。
怒った際には恐ろしいと呼ばれ、「狼の皮を被った羊」と呼ばれているが、それは比喩ではなく…。
評価点
非常に爽快、そしてノリノリのアクション
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ド派手アクションゲームをベースにリズムアクションの文脈を組み合わせた戦闘は、慣れれば非常に気分爽快。
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基本の攻撃は2種存在する。リズムに乗れれば非常に気持良く攻撃することが可能。
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敵の攻撃もリズムにノっており、「ドッジ」や「パリィ」を組み合わせて敵の攻撃を回避できる。また「パリィ」をタイミングよく発動できれば敵にダメージを与えることができ、ここも爽快感の高いアクションにつながっていく。
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強い雑魚敵との戦闘の最後には、リズムに合わせて攻撃をパリィ・ドッジするリズムゲームパートも存在。ここもうまく決まれば、リスクの大きさとリターンの大きさ、そしてアニメーションも相まって非常に痛快。
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豊かでカラフルなビジュアルとノリノリな音楽が相まって、ひとたびプレイすればたちまち魅了され、夢中になってしまうこと間違いなし。
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また、こういった『BPM: Bullets Per Minute』や『Metal: Hellsinger』で顕著だったリズムアクションゲーム特有の問題点である「強制的にリズムに合わせて動かされている」感についてもそこまでではない。
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全体のアニメーションがボタン入力のタイミングに関わらず全てリズムに合っているため、見た目のわりに強制感は薄め。リズムに乗るのが苦手なプレーヤーでも十分楽しめるだろう。
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とはいえ、攻撃力上昇などのさまざまな恩恵があるため、リズムに乗れば一層楽しめるのは言うまでも無い。
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アクションも豊富で、様々なコンボアタックを駆使することもでき、それに仲間との連携技を組み合わせることでさらなる高得点+ダメージ増加が狙える。そうしたテクニックも理解すれば、より楽しく遊べる。
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移動も素早く、リズムに合わせて豪快に動けるドッジに加え、グラップリングフック等もあり、うまく使いこなせば敵との距離を一気に縮め、ハイスピードな本作の戦闘を一層楽しめるだろう。
充実したアクセシビリティ設定
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「アクションは得意だがリズムゲームは苦手」なプレーヤーのためにも本作は手厚いサポートを行っており、ミスの一部補正や、一部リズムゲームのシンプル化が可能である。
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それ以外にも、ボタンでリズムのガイドを表示することが可能であり、そういった面でもリズムの取りやすさを補助してくれる。
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その逆に、「アクションは苦手だがリズムゲームは得意」というプレーヤーにも、リズムに合わせさえすればパリィ・ドッジをある程度自動でやってくれる機能もある。
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その機能は両方どちらも有効化出来るため、「リズムもアクションも苦手」というプレーヤーも問題ない。
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これによってリズムを取るのが苦手なプレーヤーであっても、アクションが苦手なプレーヤーでも、誰でもクリアまで楽しめる配慮が行き届いている。
爽快なエフェクト
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本作のコア部分におけるゲームプレイループも十分良いのだが、エフェクトもその高評価に大きく貢献している。
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攻撃が当たればバトル漫画のように衝撃波が飛び出て、敵は倒されたらアメコミ漫画のように吹っ飛びBOOM!という文字と共に爆発して消える。
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仲間の攻撃にもそういったエフェクト演出がなされており、基本そうした演出のデザインテキストは英語がメインだが、中には日本語のものまで存在する。
格好良いアニメーション
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本作には必殺技・仲間との連携技で敵へのダメージ効率よく稼ぐことができ、それぞれの技は丁寧にアニメーションがされている。
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効果音、仲間とのやり取りも聞いていて中々に気持ちよく、アニメーションも豪華なため何度見ても飽きない凝りよう。
しっかりしたマップデザイン
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本作のメインストーリーは約10時間ほどでクリアできるボリュームだが、マップ一つ一つがしっかりバランス調整されている。
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ゲームバランスの調整もうまく、プレーヤーの腕前が上昇する頃に合わせて難易度が相応に上がっていき、プレーヤーのやる気を損わせない。
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少し同じ要素が続いてマンネリを感じる頃に、新たな敵や新要素の開放など派手なアクションシーンが挿入されて展開を盛り上げてくれるので、プレーヤーを飽きさせない。
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ボリュームはミドルプライスのシングルゲームとして少し物足りない気もするが、その密度やクオリティは非常に高いため、とにかく濃いゲームプレイを楽しめるだろう。
気分がアガるサウンドトラック
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本作のオリジナルサウンドトラックは元コナミの作曲家、小堀修一氏や元カプコンの裏谷玲央氏が担当しており、「The Rush」や「Security Shutdown」など、愉快でノリノリになれる楽曲で溢れている。
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部分部分でライセンス曲が入ることも多く、初代『QUAKE』でお馴染みのNine Inch Nailsの1,000,000や、ナンバーガールのINAZAWA CHAINSAW 、The Black Keysの「Lonely Boy」などはプレーヤーを盛り上げてくれるだろう。
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中でもThe Prodigyの「Invaders Must Die」が流れる場面は必見。所々でゲームに合わせてアレンジされているので、原曲を聴いたことのある人でも気分新たにノリノリになれるだろう。
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ちなみに、動画配信を行うYouTuberなどの方々のために、こうしたライセンス曲をオリジナル曲に置き換える「ストリーマーモード」が存在する…が、そういった特別な事情がなければぜひOFFにして遊んでほしい。
個性豊かで愉快なキャラクター
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お調子者でおバカ、それでも憎めない主人公「チャイ」・当たりは強いがツンデレで愛らしい「ペパーミント」・腕っぷしは強いが気弱で心優しい「マカロン」・真面目故に感情表現が不器用なロボの「CNMN」など、仲間は個性に溢れており、攻撃時に繰り出される仲間との掛け合いは必見。
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敵キャラ幹部も個性豊かな面子が勢ぞろい。プロレスラーのように振る舞い、とにかく豪快な「レッカ」や、『ジョジョ』ネタ盛りだくさんの動き豊かな「ザンゾウ」など、見ていて楽しく、尚且つ闘って楽しいキャラが多い。
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モブキャラにも手抜かりがなく、様々なセリフを喋ってくれる従業員ロボやプログラマーロボ、カットシーンや戦闘でコミカルな動きを見せてくれる戦闘ロボも見所。面白いことに前者はちょっかいを出すとまたモブごとに固有のセリフを喋ってくれる。
引き込まれるストーリー
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本作のストーリーはサイバーパンク物でお馴染みの「企業vsレジスタンス」もの。
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本作のバカゲー色は強くとも、ストーリーは真面目に練られており上手に雰囲気ともマッチしている。
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悪の巨大企業ヴァンダレイに立ち向かう主人公たちや、彼らのどことなく悲しい過去、そして悪党を成敗するアメコミ・ヒーローものの文脈も合わさっており、一気に引き込まれてしまう。
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そしてブラック企業を題材とした内容はどことなく黒いリアリズムを感じさせ、現実味を帯びており、ゲーム世界への没入感を底上げしてくれる。
やりこみ要素
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スペクトラに関するチャレンジや、コスチュームの収集、リズムタワーなどのチャレンジモードが存在。クリア後に解放される。
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やり込みプレーヤー向けのエンドコンテンツも、クリア後にしっかり用意されている。
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2023年7月23日に様々な追加要素を追加するアーケードアップデートがリリースされた。
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高速で瞬発力を試される「BPMラッシュ!」と「パワーアップ・タワーアップ!」モードが追加された。
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リズムタワー以上のやりこみ要素のため、難易度は非常に高いが、その分やり込み甲斐はある。
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それに加え、新規必殺技、新規コスチュームなど、目新しい追加要素があるため、本作を気に入った方は是非とも試していただきたい。
独特でどこか愛らしいビジュアル
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『ジェットセットラジオ』や『ビューティフルジョー』などの雰囲気を感じさせる、アメコミと日本のアニメを組み合わせたようなトゥーンレンダリングなグラフィックは非常に綺麗で新鮮。このゲームの世界観にもマッチしている。
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アニメーションもしっかり出来ており、リズムに合わせて動く小物、NPCは見てて楽しく、主人公のチャイの動きもプレーヤーの操作の有無に関わらずシンクロしている。
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一応「Unreal Engine 4」製ではあるが、そのUnreal Engine 4の標準シェーダーなどを使っていない見た目は非常に特徴的。
ゲームにうまく溶け込んだカットシーン
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本作のゲームプレイ部分と3DCGカットシーン、そして手描きアニメ風カットシーンは全てシームレスに転換していき、スタッターといった問題も、HDDにインストールした場合でも発生しない。
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アニメーションも非常にカラフルで滑らか。見栄えが良く、本作の楽しさにも貢献している。
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その上、カットシーンもゲームの音楽のリズムに合わせて動いているこだわりの強さも好印象。
豊富なロケーション
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ヴァンダレイという一大企業を舞台にしつつ、それでいてロケーションは豊か。
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賑やかなキャンパス、熱い火山の中の研究所、メカメカしいセキュリティ部門など、ロケーションは豊か。
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それでいて統一感があり、そのトラックごとに特別なギミックや仕掛けがあるので、そういったマップデザインにも丁寧さがうかがえる。
ちゃんと動く
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本作は最適化がしっかりされており、XSSでは1440p 60fps、XSXでは4K 60fpsで安定して動作。
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Win版ではアップスケーリング機能もしっかり搭載されており、Nvidia DLSS 2.3、Intel XeSS、AMD FSR 1、TSRを搭載しているので、GTX 750 TiなどのローエンドGPUを搭載したPCやAMD Ryzen 7 5700GといったAPU搭載PCでも、画質を下げてアップスケーリング機能を適用すれば快適に遊べるだろう。
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その上軽量タイトルなので、RTXシリーズのGPUであれば、2060、3050といったものでも、基本DLSSに頼る必要なく4K 60fpsは余裕だろう。
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惜しむらくは、AMD FSRのバージョンが1であって、2で無いことなのだが…。
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他の比較的近い時期にリリースされた話題作である『Gotham Knights』『BONELAB』『STAR WARS Jedi: Survivor』『The Callisto Protocol』『Forspoken』などと違って、推奨スペックを満たした上でローンチリリースに普通に起動して、設定をあれこれ弄る必要なく、ちゃんと動くのは最近のPCタイトルでは極めて稀。
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とは言っても、ローンチで正常に動かないタイトルが多くを占めている現状が異常事態なのだが…。
バカゲー要素
評価点にも分類可能なものも含む。
豊富なポップカルチャーパロディ要素
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先述した通り「ジョジョ」風のポーズを取ったり、そういったエフェクトがでるザンゾウといったキャラを含め、他作品ネタが多い。
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『ターミネーター』風の登場をするマカロン、『Twin Peak』風の指パッチンシーン。『スペースチャンネル5』風の唐突なミニゲーム要素、アニメ風の「前回のあらすじ…」シーン、『ゼノギアス Disk 2』モノローグのパロディなど、そういったネタは豊富。
チャイの声優のこともあり、狙っているのだろうか…?
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特定の実績名も「デビルなんとかとかベヨなんとかとかやってた?」といったものや、必殺技「ハイピッチパンチ」はモーションがそのまんま『ストリートファイターII』の昇龍拳をほのめかすものだったり、必殺技「Rip and Tear」という、そういった面でも欠かせない。
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こうしたパロネタも本作のお気楽な雰囲気とマッチしており、世界観を崩すこともないのでパロネタに抵抗がある人でも馴染みやすい。こうしたネタの年代チョイスもあり、本作のゲームデザインと相まって懐かしさを感じられることも。
ウィットに富んだテキスト
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道中でゲーム内に書き残されたメモ/メールを確認することができ、その文がウィットに富んでいる。
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世界観の構築に良い影響を与えるだけでなく、掃除ロボの詩や、凹んだスイッチの精神ケアといった、シンプルにお馬鹿なものから思わず座布団を与えたくなるようなものまで幅広い。
主人公チャイ & 808の顔芸、体を張ったシーン
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本作のチャイは色々散々な扱いを受けて大変な目にあってしまいがち。
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壁にぶつかるわ、高いところから落ちるわ、とにかく様々な体を張ったトラブルに遭遇しまくる。そういった散々な扱いはチャイのおバカな性格を際立たせてくれ、チャイにフレンドリーな印象を与えてくれる上に、往年のドッキリ番組を見ているような感覚も覚える。
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チャイに常についていく808も、所々びっくりするシーンでシュールな顔芸を見せてくれる。
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中にはチャイと808がガラスを突き破るシーンで2人(?)の突き破った跡が『トムとジェリー』の如く表れている点にも、作りの丁寧さがうかがえる。
どーしようもないダジャレ
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「ギターでギッタギタにしてやるぞ!」などの親父ギャグは後半になるにつれ頻発し、お気楽な雰囲気を際立たせてくれる。
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『FarCry 3: Blood Dragon』のように全体を通して滑り通してくれており、逆に面白いとも…。
チラホラ見える第四の壁を破るセリフ
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「あんたアニメのキャラクター?」や「ゲームのチュートリアルみたいな言い方やめろって」といった、セリフもところどころ出てくる。
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強くてニューゲームの2周目では明確に壁を破るあるセリフも…。
賛否両論点
コスチューム
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クリア後の要素のうちの1つであるコスチュームの着替え要素は特定のカットシーン・一枚絵で変更が反映されないことが多い。
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あくまでおまけのやりこみ要素のため、そこまで気にする人はあまり居ないもしれない。
問題点
少しプラットフォーム部分が面倒くさい
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部分部分で『スーパーマリオ オデッセイ』などのような3Dプラットフォーム場面が入るのだが、リズムベースのゲームプレイ、そしてチャイのドッジとジャンプの制御の難しさに割と苦戦しがちで、テンポを阻害することにも。
Win版特有の問題点・注意点
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反射クオリティの質
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本作の地面のスクリーンスペースリフレクションは特にザンゾウの研究所にて気づきやすく、質が安定しない。
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レイトレーシングなどに対応していれば、少しは問題は軽減できただろう。ここはOFFで見た目が安定する。
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DRMコピー対策
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本作のDRMに使われているDenuvoは動作が不安定なことで悪名高い。
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軽量タイトルなのでパフォーマンスへの影響は『ホグワーツ・レガシー』などよりは少ないが、互換性問題などで不具合を生じやすく、DLSSTweaksなどの一部Modとの相性問題などで様々な点で不便を感じるかもしれない。
総評
アクション部分・ストーリー・そしてコメディ要素、その全てが高水準に収まっており、ホラーゲーム以外の方面でTango Gameworksの実力を示したタイトル。
リズムアクションとしての作り込みもしっかりしており、リズムアクションゲームの1つの到達点とも言えよう。
ビジュアルもカラフルでユニーク。見た人、プレイした人の記憶に残るであろう。
ビジュアル・ゲームプレイ・サウンドトラック、どれか1つに引っかかるところがあれば、ぜひ手にとってほしい。
必要スペックも低く、GamePass対象タイトルであるため、ミドルスペックPC、XSX/XSSのオーナーであればアクセスしやすいのも、本作の高評価の一因であろう。
余談
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本作の突然のリリースはXbox Game Passを活用したマーケティング部の決定によるものだった。
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Xbox Game Passでプレイしてもらうことにより、じわじわ口コミで売上を上げるという計画だった。
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本作は元々E3 2020で発表予定だったが、同年はコロナパンデミックが原因でE3が史上初の中止となったため、発表と同時に発売という手段に切り替えていたことが後に明かされている。
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7月30日に、本作の猫キャラ、808のねんどろいどフィギュア化が発表された(参照)。
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本作には三上真司氏がかつて手掛けた『GOD HAND』との共通点が指摘されている。
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おバカで片手が特別な義手の主人公と、ツンデレなヒロインの関係性、他作品からのパロディ・小ネタが多いこと、何よりど派手なアクションが主体となったゲームであることが挙げられる。
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Epic Games主催の「Unreal Fest 2023 Tokyo」にて、開発の中心であるジョハナス氏ら3人による講演が行われた。
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内容としては本作の開発における裏話ではあるが、リズムアクションゲームとしてのコア部分がプログラムの方面・ゲームデザインの方面でどう生まれたか、本作の特徴的な見た目をパフォーマンスを維持しながらどうキレイにみせられたかについて述べている(参照1・参照2)。
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また、開発初期のプロトタイプ版のプレイ映像も併せて公開された。
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本作は様々なレビューサイト、主にプレーヤーから非常に高い評価を受けた。
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Steamのユーザーレビューでは2023年4月29日時点で13,440件のレビューで97% 好評という高い評価を受けた。これはSteamDBにおいて102番目に高いレビュースコアであり、『Half-Life』を上回る評価である。
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批評家からの評判もプレーヤーほどではないが、全体的に高い評価を受けた。
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IGN Japanは「ロックを題材としたリズムアクションとしては最高峰の出来栄えだ。」と10点中10点の評価を与えた。一方本家IGNは9点を与え、全体的なゲームを評価しつつも、シンプルなデザインを批判した。
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wccftechも10点中9点を与え、やりこみ要素、独創的なゲームプレイを評価しつつも、一部マップの長さ、ストーリーの単調さを批判した。
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非常に辛口で知られるZero Punctuationのレビュー動画は「逆にゲームプレイにおいての欠点を見つけるのが難しい」「全体的に強くおすすめする」と絶賛評価を与え、ゲームの出来に対し難癖をつける要素の無いことで、最終的にBethesdaに対し『Fallout 76』のライブサービス要素に八つ当たりするオチとなった。後に彼の後継番組である「Fully Ramblomatic」で『Amnesia: The Bunker』『The Talos Principle 2』といった作品を上回る「The Best Game of 2023」という名誉ある賞を与えた。
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そうした批評家の評価もあり、メタスコアでは89点を獲得した。
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このように高い評価を得ていた本作だが、2024年5月7日に開発元であるTango Gameworksの閉鎖が発表。世界中のファンに衝撃を与えた。
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しかし、同年8月12日に韓国のKRAFTONが事業継承する形で復活。IPも継承し一部元スタッフも再雇用され、本作のIP拡大に向けた開発にも着手するとのこと。
最終更新:2024年08月12日 20:00