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THE KING OF FIGHTERS EX 2 ~HOWLING BLOOD~ - (2016/11/15 (火) 23:30:31) の編集履歴(バックアップ)


THE KING OF FIGHTERS EX 2 〜HOWLING BLOOD〜

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いーえっくす つー はうりんぐ ぶらっど】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 サン・テック
発売日 2003年1月1日
定価 5,800円
判定 良作
ポイント 前作とは打って変わって正当進化
普通に遊べるどころかGBA格闘ゲーム最高クラスの1本
KOFシリーズ関連作品リンク

ストーリー

――十種神宝(じゅっしゅしんぽう/とくさのかんだから)。
それは、かつて三種の神器を補佐するために存在した一族であり、いまでも草薙・八神・神楽の御三家との関わりを保っていた。
そんなある日、十種神宝の一人「天羽忍」が行方不明になると同時にKOFの開催が宣言された。
事態に封じられたオロチの気配を感じ取った神楽ちづるは、京と葉花萌の元に大神零児を送り、KOFへの出場と忍の救出を依頼するのだった。

概要

  • 鳴り物入りで登場したがクソゲーどころか商品失格レベルであった前作『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』に対し、旧SNKスタッフも含めた布陣で作り上げた汚名返上の一本。
  • 今回は本体とセット発売はされなかった。
  • ストーリーは、本家『KOF』シリーズのノベライズで知られ、前作のオリジナルキャラクターの設定考案も担当していた嬉野秋彦氏が本格介入している。チームごとのストーリーも『2003』と同じように筆をとっている。
  • 公式イラストやそれを切り取ったバストアップ絵は、のちの『XI』『2002UM』でも担当することとなったヒロアキ氏が担当している。

特徴

  • ステージやキャラクターグラフィックは『2000』とほぼ同じだが、カウンターモードとアーマーモードが削除されており、システム的には大分異なるものになっている。
  • 1チームは3人までに戻された。
    • これによりストライカーのシステムは若干変更されており、今までは4人目の選手がストライカー専用となっていたが、今回は「次に戦うキャラ」がストライカーを務めるようになった。
      このため、ストライカーに依存しないキャラクターを大将に据える、ストライカーを多用するキャラクターを先鋒に据えるなどの出撃順の駆け引きが生まれている。
      3人目はストライカーを使えないので逆転性にはやや欠けるが、プレイヤーの工夫次第で対処はできる。
  • キャラクターには「テクニカルジャッジ」という経験値のようなものがストーリープレイ時に加算され、この値が最高値になったキャラクターが増えるごとに隠し要素が開放されていくようになった。
    • これによって解放される隠し要素のひとつとして「マスターモード」がある。このモードは『2000』のカウンターモードに近く、超必殺技が出し放題になり空キャンセルも使えるようになるので通常では出せない連続技が使えるようになる。
    • また、「テクニカルジャッジ」によって解放されるその他の隠し要素として、特定のキャラクターの組み合わせでチームエディットした場合の特殊(隠し)エンディングも存在する。
      • 特殊エンディングは、京・庵・零児、萌・純・壬羽、リョウ・零児・拳崇の3種類。三種の神器&十種神宝のメンバーを性別で分けた他の2つに比べ、最後の1つだけなんともチグハグな組み合わせに見えるが、そのチグハグさがぶっ飛んだネタエンディングへの布石となっている(詳細は後述)。
  • ゲームモードは「ストーリー」「チームVS」「シングルVS」「プラクティス」「レコード」があり、条件を満たすと「タイムアタック」「エンドレス」が使用可能になる。
  • 操作モードはA,B,L,Rの4つのボタンを使用する「4ボタンモード」とA,Bの2ボタンを使用し、簡易コマンドで技を出せる「2ボタンモードA(初心者用)」とネオジオポケットのように押す長さで強弱を使い分けられる「2ボタンモードB(溜め押し用)」の3種類に変更された。それぞれオプションで変更出来る。
  • キャラクターとチーム編成は今回ほぼオリジナルとなっており、ストライカー専用キャラクターは廃止された。
    • 前作の新規キャラクターは萌のみだったが、本作では多くのキャラクターが追加されている。
+ キャラクター一覧
  • デフォルト7チーム+中ボス1人+ラストボス1人(太字は新キャラクター)
    • 主人公チーム:草薙京 葉花萌 大神零児
    • 八神チーム:八神庵 華守純 黒咲壬羽
    • 餓狼伝説チーム:テリー・ボガード アンディ・ボガード 不知火舞
    • 龍虎の拳チーム:リョウ・サカザキ タクマ・サカザキ ユリ・サカザキ
    • 怒チーム:レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル
    • サイコソルジャーチーム:麻宮アテナ 椎拳崇 包
    • 韓国チーム:キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ
    • 中ボス:天羽忍
    • ラストボス:暴走忍

評価点

  • あまりにも終わっていた前作から、その出来を平均以上に引き上げたこと。
    • 携帯機にしてはネオジオ版と遜色ないグラフィック、ACと同じ等身のキャラクター、動きを再現している。
    • 対戦バランスも、良くも悪くも『2000』とそれほど変わらないというのが一般的な評価。その『2000』自体の対戦バランスは賛否両論のために項目参照
      ともあれ、携帯機の格闘ゲームとなれば研究もしにくいところがあるのだが、同作で培ったテクニックをほとんどそのまま活かせるのは大きい。
    • 隠し要素も豊富。対戦する相手がいなくともしっかりと遊べる。
      • リョウ・零児・拳崇の組み合わせで見れる特殊エンディングは、だいぶネタキャラに染まってきたリョウがいよいよトリップしてしまい、初代『龍虎の拳』と似て非なる(?)ストーリーで父や妹を蹴散らし、チームメイトのツッコミや黒幕による演説を完全無視した挙句にラスボスに向かって覇王翔吼拳を連射するなど突き抜け過ぎたものになっている*1
  • グラフィック・演出周りのクオリティも高い。
    • カクカクしていたグラフィックや聞くに堪えないBGMも、ある程度は解消している。
      同時に前作で問題に挙げられたボイスも、今回は前作のようなボイスを継ぎ接ぎしたような無理矢理すぎる使い回しはなく、収録量自体も増えているため違和感が少なくなっている。
    • 中間デモもキャラクターが動くようになり、各チーム1枚ずつとはいえエンディングイラストも描き起こされた。
  • 新キャラクターのグラフィックや動き、それを絡めたストーリーは総じて秀逸。
    • ちづると深い付き合いがあり、分身を使って戦う零児、199cmという巨体を持つパワー系の女性キャラの純、全身を黒いイメージでまとめた暗器使いの壬羽など、本家のと比較しても見劣りしないキャラクターがそろっている。
      ボスキャラクターの忍や、デモに登場する黒幕のグスタフ・ミュンヒハウゼンも、あくまで本作が外伝であることを強調しながらもそれだけに終わらないストーリーや人物関係を織りなしている。
      • 既存キャラクターと異なり最初からGBAのスペックで動かすことを前提に作られているため、若干ドットやモーションが荒い部分はあるが、他のキャラクターと比べた際の違和感はかなり軽減されている。
    • 残念ながら当時の本編における主人公のK'は『EX』シリーズでは1作目のストライカー専用キャラクターとして登場したのみだったが、十種神宝を絡めたストーリーはオロチ編に回帰するムードが漂っており、総じて違和感は少ない。

問題点

  • 前作ほどではないにせよバグ・不具合・不自然な仕様が多い。
    • 特にボスの忍がひどい。中ボス時は「たまに下半身や技モーション時の当たり判定がなくなる」「技を受けるとたまに妙な現象が起きる」などが発生する。それに中ボス時もラストボス時も「こちらが動かないとその場から動かずに必殺技を連発してドローになって勝てる」「超必殺技を使わない」など明らかにおかしい現象が散見される。
    • 新キャラクターの純も「異様に攻撃の気絶値が高いので適当にやってるだけで気絶に追い込める」「吹っ飛ばし攻撃が完全無敵やガードポイントだらけ」「必殺技のリボルバードロップが数ドットしか減らない」など調整不足が散見される。実際強キャラ。
      ほか、本作で性能が大きく改善された萌や新キャラクターの零児の技などにも、本シリーズオリジナルキャラクターのせいかなにかと不具合が見られる。
    • 他、異様にダメージの高いコンボを叩き出せるキャラクターが多い。
    • ただし、前作に比べると質がマシであり、許容さえできれば楽しむこともできるようなものが並ぶ。テストプレイ不足なのは確かなのだが。
  • 前作のストライカー専用キャラクター10人のうち、本作の使用キャラクターになったのはユリ・サカザキ1人のみ。
    • 本作のエンディングに登場するジョー・ヒガシとジョン・フーン、ネスツ編のストーリーの重要人物なので『EX』シリーズに深く関わせられないK'とマキシマとウィップとヴァネッサは仕方ないとしても、鎮元斎と矢吹真吾と山崎竜二に関しては何らかの形で本作で関わらせられなかったのだろうか。

総評

スペックなどの問題で量も質も低かった当時の携帯格闘ゲームにしては相当の出来。
格ゲーとしての体をなしていなかった前作から、一気に名作に数えられる作品へと上り詰めた。
遊びやすさ、やりこみ性、ストーリーなど随所に工夫がみられ、演出面についても本家に劣らぬ品質を有している。
当時のKOFシリーズは冬の時代を迎えつつあったが、クソゲーからの脱却と全体的な出来でシリーズの意地を見せつけた。

本作の新キャラクターや『KOF京』から新規に作り直された設定の十種神宝*2は、あくまで外伝作であることや、本作がオロチ編に回帰した作風ながら本家はネスツ編からアッシュ編に移行していったこと、版権の都合などからか、現在は影も形もなくなっている。
しかしながら評判は良いもののため、本家への逆輸入や再登場を求める声は少なくない。

余談

  • 容量の都合からか、ゲーム性にさほど関係ないところで一部要素がオミットされている。
    • サウンドテストにはオープニングの曲があるが本作にはオープニング自体が存在しない。
    • 忍と暴走忍の勝利ポーズ、ラルフのしゃがみキックが強弱で絵が同じ、壬羽が仰向けから起き上がるモーションなど、ところどころ欠けているところもある。