「勇者のくせになまいきだ。」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
勇者のくせになまいきだ。 - (2018/08/06 (月) 14:22:18) の編集履歴(バックアップ)
勇者のくせになまいきだ。
【ゆうしゃのくせになまいきだ。】
ジャンル
|
ダンジョン・マネージメント
|
|
対応機種
|
プレイステーション・ポータブル
|
発売元
|
ソニー・コンピュータエンタテインメント
|
開発元
|
アクワイア
|
プレイ人数
|
1人
|
発売日
|
UMD版:2007年12月6日 ダウンロード版:2009年10月22日
|
価格
|
UMD版:3,980円(税込) ダウンロード版:1,400円(税込)
|
判定
|
良作
|
バカゲー
|
勇者のくせになまいきだシリーズリンク
|
概要
ファミコン風ドット絵の世界で、魔王の元へ侵攻してくる勇者を止めるためモンスターを配置して追い払ういわゆる「タワーディフェンス系」のゲーム。
このように書くと一見、昔懐かしき雰囲気のまともなゲームのように見える。しかしその実態は…
略称は「勇なま」。
システム
-
プレイヤーは魔王が勇者との戦いの為に召喚した「破壊神」となり、つるはしを操作してダンジョンを掘り進めたり魔物を生み出したりし、魔王を捕えようとする勇者を撃退していくことになる。
-
プレイヤーはゲーム中常につるはしとして表示され、画面内に姿を現すことはない。魔王はダンジョン作りや勇者対策のアドバイスでよきパートナーとして章の合間に「破壊神」たるプレイヤーに時に優しく、時にコミカルに話しかけてくる。
-
プレイヤーは「掘パワー」という力を持ち、これを消費することで掘り進めることになる。ゼロになると当然何もできなくなる。
-
ステージクリア後には掘パワーを消費して魔物を強化できる。戦闘力は大幅に向上するが、計画的に強化しないとパワー不足に悩むことになる。
-
短時間でクリアしたり、クリア時に大量の掘パワーが残っていると、クリア後にもらえるパワーが多くなる。
-
作られた魔物は互いに捕食しあい、成長と繁殖を行う。掘るだけでは作れる魔物の量には限界があるので、基本は繁殖による増加を狙うことになる。
-
特殊な条件を満たすことで生まれるモンスターもいる。
-
勇者もまた、ダンジョン内の食物連鎖には欠かせない存在となる。
-
勇者が死亡すると、勇者が持っていた養分と魔分が周囲の土にばらまかれる。勇者の亡骸も魔物の素材となる。
-
特に魔分は勇者が魔法を使うか死ぬかしないと、ダンジョン内には基本的に存在しないため、勇者にうまく魔法を使わせるための方法が求められる。
-
魔物は「養分」もしくは「魔分」を含む土地を掘ることで生まれる。基本的に溜まっていればいるほど強力な魔物が生まれる。以下魔物の紹介。
養分系
-
ニジリゴケ
-
いわゆるスライム。きわめて単純な行動パターンを持ち、繁殖力に優れダンジョン内の養分を運搬する最下層の生物。成長すると「ツボミ→ハナ」となりハナになると飛び道具が使えるようになる。
-
基本的には単なるスライムだが、質より量で迫るその戦闘力は決して侮れない。一か所に大量のニジリゴケを集めて、勇者を圧殺する「コケ地獄」という戦術は我々に「数の暴力」を実感させてくれる。
-
魔王曰く、「ニジリゴケを制する者はダンジョンを制する」。戦力の充足のために上手くコントロールできる事が攻略の要となる。
-
ガジガジムシ
-
ダンジョン内の一次消費者。ニジリゴケを食べて成長、繁殖する。
-
コケよりはかなり格上な戦闘力を持つ。しかし行動パターンが気まぐれなため、うまく勇者に誘導できないこともある。
-
トカゲおとこ
-
養分系最強のモンスター。オスしかいないにもかかわらず、普通に卵を産んで繁殖する。ガジガジムシを食べて栄養をとる。
-
勇者を見ると果敢に立ち向かっていく頼りになるモンスター。ただし、繁殖力が低めなので数はなかなかそろわない。
魔分系
-
エレメント
-
魔分から生まれる最下級の魔物。行動パターンはニジリゴケと同じだが、繁殖方法が異なり、直接分裂して増殖する。
-
戦闘能力もニジリゴケとほぼ互角。ただしこちらは特殊能力として攻撃した勇者の魔力を奪い取る力を持つ。
-
リリス
-
ダンジョン内の紅一点。魔弾を飛ばして攻撃する。基本的にエレメントを捕食するが、飢えた時にはガジガジムシも食べる。
-
戦闘能力が高い上に結構な勢いで増えてくれる。しかし飢餓にはかなり弱く、増えすぎた挙句餓死であっさり全滅することも。
-
ドラゴン
-
魔分から生まれる最強のモンスター。あらゆる生物を捕食し、卵を残して自滅する一子相伝型の繁殖方法を持つ。
-
戦闘能力は極めて高いが、横方向にしか移動ができず、吹き出す炎は味方もまとめて灰にするなどその運用にはテクニックが必要。
その他
-
スケルトン
-
ダンジョン内に残された勇者の亡骸に破壊神が魔力をこめる(つつく)と出現。食事はとらないため、そのうち勝手に死体に戻る。
-
実力的にはあまりあてにはならない。亡骸状態の時にエレメントを大量に吸収させると、色が赤い「まおうのしもべ」となり戦闘力が向上する。
-
デーもん
-
最大まで養分、もしくは魔分を含んだ土地の周囲をすべて掘り起し、最後に中心を掘ると「魔法陣」ができる。この魔法陣をノックすると出現。エレメントかスケルトンを捕食。スケルトンは数に限りがあるので主にエレメントを食わせることになる。
-
ゴツイ見た目に反し強さはそこそこ。しかし特殊能力として「存在するだけですべての魔物の防御力を上げる」というものを持つので、いてくれるだけで有用。むしろ勇者と戦って死ぬ方が問題なので隅っこの方で寝ていてもらうのが一番役立つ。
バカゲー要素
-
まず、タイトルからして『ドラえもん』における有名なジャイアンの台詞、「のび太のくせになまいきだ」のパロディである。
-
ステージ1のサブタイトルが「ぼくにそのてをよごせというのか」となっているのを筆頭に古今東西、種々雑多なもののパロディが存在する。
-
ネタ元もゲームが多いが、それ以外にも有名アニメ、ネット上で流行ったコピペ、古典映画など本当に節操なく使用している。
-
生み出した魔物や倒した勇者はずかんに登録されるのだが、これもネタ満載。
-
ガジガジムシの発展形の一つ、「デスガジガジ」が「デス様」の通り名で知られるとか、勇者の一人の断末魔がうぼぁーなど…。
-
その他、説明文が一連のストーリーとなっているキャラがいるなどこれだけで結構楽しめるおまけになっている。
-
魔王のキャラクターが濃い。すさまじく濃い。
-
本作においてまともに台詞がある唯一のキャラクター(一応勇者も登場時に一言しゃべるが、独り言のようなものが多い)ということもあり、とにかく喋る。
-
その内容も、上記のようななんらかのパロディや単なる個人的なこと、あるいはプレイにおけるヒントなど多岐にわたる。
-
防衛失敗時には、なんらかのヒントを遺して逝くことが多い。
-
メタ発言も多く、プレイヤーの思考を読んだ発言ではっとさせられることも。
-
具体例として、最初のステージで予習を終わらせたことについて質問し、否定すると「説明書も読んでないだろう」と突っ込まれる……等。
-
RPGの定石、お約束に対する常識的な目線でのブラックジョークも多く、
別世界で勇者として活躍する身
としては苦笑いするしかない。
-
総じてヒーローとして描かれるべき“勇者”に対する敵役としての立場を人間臭く、馴染みやすい雰囲気で演出する主要人物。
-
ゲーム外の発言でもパロディが存在する。本作がファミ通のプラチナ殿堂入りした際の、アクワイアの公式コメントが「バントがホームランになった気分です」である。
評価点
-
非常に高い戦略性。
-
本作における唯一のリソース、掘パワーだが、この運用には高い計画性が求められる。
-
例えば勇者を通常より早く呼び寄せるテクニックがある。準備時間が短くなる代わりに評価は上がり、得られる掘パワーが多くなるので、うまく生かすことが重要。
-
また魔物の強化に使ったパワーの量が少なければそれもまた評価の対象になり、たくさんのパワーがもらえる。安易な強化はむしろピンチを招く。
-
食物連鎖を意識しなければダンジョン内のモンスターはなかなか増えない。
-
例としてニジリゴケが少なく、トカゲおとこが多い状態でガジガジムシを増やしてもうまくいかない。いずれかのモンスターの数が減ったからといって即座に追加しても無駄に終わることが多いのである。
-
それだけでなく掘り方も考えなければならない。
-
ダンジョンはモンスターの生活の場であると同時に、勇者を葬り去る迷宮でもある。勇者はそれぞれ異なった移動、行動パターンを持つため、うまく誘導する必要がある。
-
モンスターの行動パターンも合わせて考える必要がある。特に非常にシンプルな思考パターンのニジリゴケ、エレメントを上手に運用できるようになると中級者。
-
たとえ魔王が捕まっても、地上に連れ去られない限りは負けではない。むしろ勇者の手からいかに魔王を奪い返すかこそが、破壊神の腕の見せ場とも言える。
-
初心者用のトレーニングが充実している。
-
魔王直々に教鞭をとり、新米破壊神に基本から手取り足取りつるはし取り教えてくれる。
-
実地演習が中心ということもあり、初心者でもすんなりシステムを習得できる。そもそも基本の部分は非常にシンプルなゲームなのである。
-
さらに中級者以上向けに「チャレンジ」という項目もある。
-
1ステージだけクリアすればよいが、特殊条件から始まる物が多く、攻略は一筋縄ではいかない。しかしこれもまた、実戦で役立つテクニックを習得できることも多い。
-
上記したようにバカゲー要素が非常に豊富。ネタ元がわかるとさらに面白い。
-
しかしクライマックスの展開には、ホロリときたプレイヤーも多いとされる。
-
本編をクリアすることで、裏ステージ「勇者のくせに超なまいきだ」が遊べる隠しコマンドを教えてくれる。
-
裏ステージなだけに難易度が上がっており、最初のステージから勇者が最大数の3人パーティーでやってくるなど、その難易度は表の比ではない。そして最終ステージまで行くと、勇者「ああああ」が出現。過去のゲームで使い捨てられてきた全てのああああたちの恨みを晴らすためか、鬼神のような強さを誇る。それだけに倒せたときの達成感も他の勇者以上。
-
ちなみにこの裏ステージに行くコマンドを後の作品(or2、3D)で入力しても何かが起こる。何が起こるのかはここでは割愛。
-
ファミコン風のグラフィックだが、いい感じにノスタルジックな一方、レベル自体は高い。
-
キャラクターの動きも実に滑らか。アクションパターンも結構多い。
-
BGMもリコーダーを中心としたどこか懐かしさを感じさせる良曲。
問題点
-
難易度が非常に高い。
-
無計画に掘り進めていくと、ほぼ確実にステージ3か4あたりでゲームオーバーになる。完全制覇にはステージ1から最終ステージの8まで通した綿密なルート構築と強化計画が必要になる。
-
勇者たちは恐ろしく強い。魔法も技も非常に強力で、苦心して作り上げた魔王軍がいともたやすく蹂躙されていく。
-
ちなみにこれは魔王曰く、「国産RPGだから調子に乗っている」ためらしい。つまりネタの一環なのだが、それにしてもイージーモードぐらいあってもよかったのではないだろうか。
-
実際、見た目に反して難易度は「ダンジョンを構築して勇者を倒す」という似たようなコンセプトを持つ海外製「ダンジョンキーパー」シリーズを大きく上回っている。
-
魔王を捕まえた勇者は魔法が使えなくなる。このため総大将である魔王をおとりにして魔王をとらえた瞬間フルボッコなどという非情な戦法もある(魔王軍だから間違ってないのかもしれないが)。というかこうでもしないと辛い。
-
細かいバグが多い。
-
戦略に大きな影響を与えるものは少ないが、「デーもんの発展形のサたーん、ハイサたーんの特殊能力の『魔法防御強化』が実際には機能していない」というのは重大。前述の通りこいつらの戦闘能力はたいしたことないので、特殊能力がないとなると、苦労して作る価値が薄くなってしまう。
-
コケ地獄の存在
-
コケの行動ルーチンを利用し、ダンジョン中のコケが一箇所にあつまるように誘導すると、5マス程度の範囲に100体近いスライムが蠢く「地獄」が形成されることを利用した戦術。
-
完成させれば裏表関係なく簡単にクリア出来てしまう。魔王も一緒にコケ地獄の中に置けば、「勇者魔王発見→コケ地獄に飛び込む→魔王を捕らえた時に入る硬直中に死亡」というコンボが成立し、更に入口すぐ近くにコレを設置すればまず負けることはない。
-
似たような技にドラゴンを使うものもあるが初めにかかる手間はコケの方が圧倒的に楽。
-
ただ、意図しなければ発生しないので気になるようならば封印は楽。
総評
バカゲーとしての完成度は間違いなく水準以上であるが、同時にゲーム単体として見ても高い戦略性を持ち合わせている。
難易度の高さは問題だが、それは同時にやり応えにもつながっており、単なる「パロディまみれのバカゲー」で本作を終わらせなかった要因の一つだろう。
続編
余談
-
開発元の方針なのか、本シリーズには攻略本の類が一切存在しない。
-
初代と『or2』で魔王自らまとめWiki、攻略Wiki云々の発言をしているので、恐らく公式でもそちらを参照してほしいと考えているのだろう。
-
チュートリアルでは習わないようなダンジョン構築のコツ、構築例は勿論、密度の高いパロディネタも集積され、高い充実度を持つ。
-
『。』『or2』『:3D』とそれぞれ体験版が出ていたが、いちいち仕込んでいるネタが製品版と違うなど、こちらでもバカゲーぶりが徹底されていた。
-
『。』の時点ではそれほどでもなかったのだが、新作に移行するにつれてどんどん顕著になってきている。
-
携帯にも『。』をベースに移植販売されている。
-
そしてこちらでも本編とは異なるネタがわざわざ仕込んである。
-
また、PS Vitaで本シリーズのキャラクターをベースにしたアプリ『勇者のきろく』、PS3にてミニゲーム『勇者のくせになまいきだwww』がそれぞれ配信されている。
-
あくまで本シリーズをベースにしたスピンオフであり、中身は全く別物である。
-
『きろく』はスケジュール管理用ソフト。会話などは新録されているが勇者や魔物は『:3D』の使い回し。
-
『www』は勇者視点のコマンド入力式RPG風ミニゲーム。と言うかだいぶせがれいじり。あるいはシャドウゲイト。