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ドラキュラII 呪いの封印 - (2014/03/05 (水) 16:06:01) の編集履歴(バックアップ)


ドラキュラII 呪いの封印

【どらきゅらつー のろいのふういん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売・開発元 コナミ
発売日 1987年8月28日
定価 2,980円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2008年10月28日/500Wiiポイント
【3DS】2013年3月27日
【WiiU】2014年3月5日/上記共に500円
ポイント 早すぎた探索型ドラキュラ
アクション面は単調
嘘つきばっかの町人
オマチクダサイ(×2)
悪魔城ドラキュラシリーズリンク

概要

悪魔城ドラキュラ』シリーズの2作目(通算では3作目)。
ドラキュラとの戦いで死の呪いを受けたシモン・ベルモンドが、各地の館にあるドラキュラの遺骸を集め、蘇ったドラキュラを倒して呪いを封印するという話。
純粋なアクションゲームであった前作と比べると、『メトロイド』に代表される探索要素や成長要素などのRPG的な要素が強くなっている。

特徴

基本的な操作システムは前作と変わらないが、RPG色が強くなった影響が各所に見られる。
大まかなゲームの流れは、「各地を転戦しながら情報を集めたり自身を強化する→館でドラキュラの遺骸を集める→全ての遺骸を集めたらドラキュラ城廃墟に向かい、ドラキュラをあえて復活させた後に完全に滅する」という感じになっている。
ライフ制+残機制で、残機ゼロになるとゲームオーバー。コンティニューは可能だが、ハートと経験値がゼロになるペナルティを負う(アイテムやレベルはそのまま)。

  • 冒険の舞台は、人々が住む「街」とドラキュラの遺骸が安置されている「館」、そしてそれらをつなぐ「フィールド」に分かれ、比較的自由に行き来できる。前作のようなステージクリア型ではなくなった。
    • 街では人々と会話して情報を集めたり、商人からアイテムを購入したりできる。
    • 館は前作のような完全アクション特化のステージと思えばよい。ただし、壊せたりすり抜けられる床や壁が大幅に増えているので、探索の要素も強い。
  • 敵を倒して経験値やハートを稼ぎ、レベルを上げたり武器やアイテムを購入するというRPG的な要素が強まっている。
    • 本作は敵を倒しただけでは経験値は得られず、約80~90%(体感)の確率で落とすハートを手に入れてはじめて経験値が加算されるシステムになっている。ただし、地域ごとに敵のレベルが決められており、シモンのレベルより低い敵からハートを得ても経験値は増えない。
    • ハートは従来のサブウェポンの使用の他、アイテムを購入するための資金や経験値の獲得など様々な役割を持ち、種類も小、中、大の三種類に増えた。
  • 時間の概念があり、一定時間経つと昼夜が切り替わる。夜間は「街の施設を利用することができなくなる」「街の中にも敵が出る」「敵の耐久力が2倍になる」といった制約を負う。ただし、敵を倒したときに得られるハート量が多くなる。
    • 館などの建物内にいる時以外は時間が経過していく。時間がくると、敵と戦っている最中であってもお構いなしに移り変わりを知らせるメッセージが出る。
    • 本作はマルチエンディングを導入しており、時間の経過具合によってエンディングが変化する。具体的には、7日以内にクリアするとグッドエンド、15日以上かかるとバッドエンドになる。
      • クリア後はレベルと全てのアイテムを引き継いだ状態での新規プレイが可能となっており、1周目でバッドエンドとなった場合でも2周目にいきなりドラキュラを倒してグッドエンドを迎えられるようになっている。
      • 1周目でグッドエンドを迎えるには、綿密な計画を立て、無駄なく行動することが必要となる。

問題点

  • グラフィック面
    • 決して悪いわけではないが、前作の「少ないパターンを工夫してうまく見せる」背景に比べると単調さが目立つ。特に同じパターンの木が並べられるフィールドで顕著。
    • 容量の問題で致し方ない部分も多いのだが、どこへ行ってもあまり変化が見られないのが寂しい。
  • アクション面
    • 残念ながら前作よりもアクション性は劣ってしまっている。操作性は前作を踏襲しているためその点には問題なく、炎のムチなど武器を強くするに連れ爽快感は増すが、一方でマップのギミックがあまり凝っていなかったり、敵の行動パターンも単調なものばかりなので、作業感が浮き出てしまっている。
    • ボスはドラキュラを除いて2体しか出てこないうえ、倒さなくても素通りできてしまう(ただし、倒さないと重要なアイテムが手に入らない)。その上ラスボスのドラキュラも含め簡単にハメられるので緊迫感が無い。
      • 中でも聖なる炎や金のナイフは連続して使うと、前作の聖水2連射のようなハメが簡単にできてしまう。
  • システム面
    • 容量を削減するため、メッセージはカタカナオンリー。少々分かりにくい。
    • 本作の評価を下げた要因のひとつとして、場所を移動すると頻繁に「オマチクダサイ」のメッセージとともにディスクのロードが起こったことが挙げられる*1。当時を振り返り、「ROMカセットであれば楽しかったかもしれない」という意見もあった。
      • その意見はのちにバーチャルコンソールで間接的ながら実現することになるのだが、当然読み込みだけが本作の問題ではなかったので、快適になった反面、単調さがより目立つという皮肉な結果をもたらすことに…。
      • NES版も発売されたが、こちらはROMカセットなのでロード時間は皆無。ただしNES版ではバッテリーバックアップ機能が無いので、ゲーム再開時にパスワードを入力しなければならず、再開が少々面倒である。
  • 謎解き面
    • 自力攻略の難易度が高い。完全ノーヒントという訳ではないのだが、街の住人に嘘情報を吐く輩が多い。これが混乱のもとになっている。なお、説明書には嘘吐きもいることは記載されている。
      • たとえば、行く手を阻む「デボラの崖」では、「崖の前で赤水晶をかかげ風を待つ(崖の前でアイテム「赤水晶」を選択して10秒間しゃがむ)」のが正解で、このヒントは別の場所で入手できる文献に記載されている。しかしその一方で、とある街の人は「デボラの崖を頭突きで切り開け。すると大きな穴が開く」と嘘を吐く。
      • 基本的にはあからさまな嘘が多いのだが、時折こうした微妙な嘘が出てくることがあるのが嫌らしい(冷静に考えればかなり突飛な情報だが)。

総評

RPGの要素を無理なく取り込むことに成功しているため、アクションRPGとしてはそれなりにまとまっている作品。
理不尽な謎解きやゲームバランス面での練り込みの甘さが問題視されており、その点の調整さえ完璧なら名作たりえた点が残念なところである。
後の『月下の夜想曲』以降のシリーズが探索型アクションRPGとしての性質を強めていったことも考えると、本作は「マンネリ化を防ぐための試金石、実験作」として定義できるかもしれない(ただ、そこまでは10年の歳月がかかることになるわけだが…)。

余談

  • BGM「Bloody Tears」は定番曲として何度もアレンジされ、のちに「Vampire Killer」「Beginning」と並ぶ「三大名曲」としての地位を確立させるまでに至る。他の曲も悪くは無いのだが、「Bloody Tears」の評価が高すぎてその影に隠れてしまった印象は否めない。
  • ドラキュラの遺骸(=魔導器)や渡し守、「イイトコロニ ツレテイッテ アゲヨウ」などの独特なメッセージ等、設定面において後のシリーズに継承されたものは多い。
    • ただし、遺骸は7年経たないと復活しないため、5年の時点で現れた魔導器はそれとは別物と考えるのが自然。
  • 後にバーチャルコンソールで復刻され、公式サイトに謎解きの一部が紹介されているので、昔よりは難易度は低下したといえる。
  • 米国在住のコメディアンであるジェームズ・ロルフがクソゲーのレビューをする動画、AVGN(The Angry Video Game Nerd)の記念すべき最初のレビューはこの作品である。
    • 当時は「ANN; The Angry Nintendo Nerd」名義だった。レビューの際にはアクション性の不自由さ、謎解きの理不尽さ等を淡々と、しかし時に口汚く罵っている。しかし上記のように擁護意見も絶えないため、ロルフ氏には今でも本作のレビューに対する批判が来るという。これに関してロルフ氏は「AVGNはコメディだから」とコメントしている。
    • なお、ロルフ氏は2009年に行った「悪魔城シリーズマラソン」において本作を再度レビューしている。