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スーパーロボット大戦A PORTABLE - (2018/12/06 (木) 19:26:43) の編集履歴(バックアップ)


スーパーロボット大戦A PORTABLE

【すーぱーろぼっとたいせんえー ぽーたぶる】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 トーセ
エーアイ
発売日 2008年6月19日
価格 6,615円
判定 良作
スーパーロボット大戦シリーズリンク


概要

スーパーロボット大戦A』のリメイク作品で、PSP版『スパロボ』第2弾。略称は『AP』。ハード性能により、様々な部分でパワーアップしている。

変更点

「当時の据え置きスパロボ準拠のスパロボA」という形である為、シナリオ等は基本的に変わっていないものの、多くの点で追加・変更がされている。

  • 全体的なゲームバランスの調整
    • GBA版で弱かった・または強かった敵が、全体的に相応の強さに修正されている。
    • 敵味方共に、全体的に攻撃力が引き上げられている。
    • 武装の性能調整
  • 据え置き『スパロボ』に合わせたシステムの調整や機能の追加
    • 「シールド防御・援護行動」は最近の『スパロボ』と同様のものに変更された。
    • 精神コマンドの変更
      • 「不屈」「感応」「友情」が追加され、「奇襲」「復活」「奇跡」が削除。「愛」の効果は「味方全体のHPを完全回復」から現行の効果*1に変更された*2
    • エースボーナス・カスタムボーナスの追加
      • 後述の通り順当なものから、ネタ要素といえるものまでバリエーションが豊富。ただし、ボーナスには重複も多い。
    • 特殊技能の追加
      • GBA版には存在しなかった特殊技能「インファイト*3」「ガンファイト*4」「闘争心」「ヒット&アウェイ」「SP消費ダウン*5」が追加*6
    • GBA版ではマスクデータだったパイロットの地形適応が表示されるようになり、パイロットを相性の悪い機体に乗せ換えて苦戦したり、苦手な地形の敵に攻撃してダメージが伸び悩むといった問題が無くなった。
    • パイロットとロボットの図鑑が追加。
    • 戦闘アニメのキャンセルが可能になった。
    • 各機体のBGMも自由に変更できるようになった。
  • 「連続ターゲット補正」の追加*7
    • 敵味方問わず、同ターン中に攻撃を回避するたびに命中率が15%づつ上がるようになっている(上限あり)。
  • 「乱数保存」の追加
    • セーブ時には乱数も保存され、リセットして同じことをやり直しても同じ結果となる。
      • 同様のシステムは『NEO』でも採用されている。
    • この仕様に合わせたのか、撃墜されても修理費が掛からなくなった。
  • 「スキルパーツシステム」の追加。パイロットの強化が可能になった。
    • 敵から得られる消費アイテムをパイロットに使う事で、ステータスの強化や特殊技能の追加が行えるシステム。
  • 戦闘デモの多くは当時のPS2作品から流用されている
    • 「ダイモス」や「ドラグナー」等は『MX』から、オリジナル勢は『OGs』から戦闘デモが流用されている。
    • 「ウイングガンダムゼロ」などの立ち絵は『第3次α』から流用・修正がされているが、戦闘デモは新規追加となっている。
      • 『αシリーズ』は小隊システムの都合上立ち絵の作りが特殊であるため、参考にはされているものの流用は行われていない。
  • 一部シナリオの修正・追加や、それに合わせたパイロット・機体の変更
    • 上述の通りシャドウミラー勢の特殊技能からは「ニュータイプ(強化人間)」が削除された。
      • 代わりに数値を見直す事で適度な強さに調整されている。
    • シャドウミラー幹部であるレモン・ブロウニングの搭乗機が『OGs』で初登場した「ヴァイスセイヴァー」に変更された。このため、アシュセイヴァーは主人公とライバルしか乗らなくなった。
  • 一部BGMの変更。詳細は問題点の項を参照。
  • ゲッターロボシリーズの改造引き継ぎ
    • 従来のスパロボ同様、「ゲッターロボ⇒ゲッターロボG⇒真ゲッターロボ」と改造が引き継がれるようになっており、改造した資金が無駄にならない。
      • その代わり、一人乗りゲッターロボには改造は引き継がれなくなっている。
  • GBA版では「~カスタム」名義だった『ガンダムW』のガンダムの名称が、「TV版の各ガンダムと同一機体という設定」に倣った現行のスパロボ同様「カスタム」の無い表記に変更されている。
  • 『機動戦士Zガンダム(TV版)』の「ロザミア・バダム」の声優がTV版の藤井佳代子氏から劇場版の浅川悠氏に変更された。
    • これにより、「劇場版ロザミア」が「TV版でのみ搭乗する機体」に搭乗するという珍しい光景が見られるようになっている。

評価点

ゲームバランスの調整

  • GBA版で弱かった・または強かった敵が、全体的に相応の強さに修正されている。
    • その筆頭が一撃で倒せてしまっていた最終ボス。最終ボスに相応しいHPに修正された他、2回行動やMAP兵器の追加により文句なしの強敵に仕上がっている。単機撃破は勿論、1ターン撃破ですら非常に難しい*8。新録された戦闘曲の「CHAOS」も評価が高い。
    • 「シールド防御・援護行動」が修正された事でやたらと硬かったMS勢が適度な強さになり、スムーズな攻略が可能となっている。
  • 敵味方共に、全体的に攻撃力が引き上げられている。
    • 勿論HPや計算式はその数値に合わせて調整されているため、ゲームバランスを悪化させるような事態にはなっていない。
      • また、ディストーションフィールドの効果は変更されていないため、GBA版で猛威を振るったDフィールドをMSでも突破しやすくなっている。
  • 「連続ターゲット補正」の追加
    • これによりリアル系の単騎無双が難しくなると同時に、攻撃が当たりにくい敵でも連続攻撃する事でこちらの攻撃命中率が上がるという利点も生んだ。
    • スーパーロボット系は武器の燃費を全体的に悪化させる事で、リアル系とのバランスを取っている。*9
    • 本作以後の作品でも現在に至るまで引き続き採用されているが、以後の作品と比べると本作は1回の上昇率が高めとなっている。
  • 「乱数保存」の追加
    • 当たる・避けるまでリセットを繰り返し続けるプレイは低難易度化の面などから問題視もされていた為、それに一石を投じる修正。
      • ただし攻撃するユニットの順番を変える、クイックセーブをし直す、等といったリセット前と別の行動を取ると結果は変化する。
  • 武装の性能調整
    • MS勢を筆頭とした多数の機体の武装にはP属性*10が付与された。GBA版はビームライフルの射程が『F/F完結編』仕様の「1~5で移動後攻撃不可」だったのに対し、本作は『αシリーズ』仕様の「1~4でP属性」に変更されたため、MSの使い勝手が格段に上昇している。勿論、MS以外にもP属性を追加された機体は多い。
      • アシュセイヴァーは「ソードブレイカー」のP属性は継承されたが、射程が2~6から3~6に変更されたため援護には使いづらくなった。「ガンレイピア」についてはP属性は付与されないまま。
      • ソウルゲインは「舞朱雀」の射程が1から1~2に変更され、多少使いやすくなった。ただし最強武器の「麒麟」の射程は1のままである。
    • スーパーロボット勢は最強武器に「バリア貫通属性」が追加され、ディストーションフィールドへの対処が楽になった。
    • ガンダムEz-8にはGBA版には存在しなかった「全弾発射」が追加。原作再現なのか命中補正が低いが。
      • Ζガンダムとザンボット3にはフル改造ボーナス(後述)で「ウェイブライダー突撃」「イオン砲」がそれぞれ追加される。どちらも新規の戦闘デモ。
    • 主人公機はどれか一つの武装と最強武器にバリア貫通属性が追加されている。中でもアシュセイヴァーの「ガンレイピア」とヴァイサーガの「水流爪牙」は使い勝手が良い。
  • バランスブレイカー級のユニットも適度な強さに修正されており、単機での無双はほぼ不可能となった。
    • また、強さが見直されるにあたって強化パーツの「V(W)-UPユニット」が廃止。同時にお馴染みのパーツになりつつある「勇者の印」「鋼の魂」が追加された。
      • おかげで宇宙ルートでV-UPユニットの為にダイゴウジ・ガイを撃墜するという鬼畜プレイをする必要もなくなり、仲間にした方が得になるようになった。
      • ちなみに勇者の印は2つ入手できるのだが、内1つの入手条件がプルを仲間にせずに撃墜するという鬼畜仕様*11
    • GBA版で周回と共に解放された強化パーツ装備数・改造段階の制限は解除されなくなっている。
      • ゲッターロボやRX-78-2が強力になり過ぎていたので仕方ないだろう。
  • アクセルとラミアの能力面での相違点はGBA版では格闘と射撃の数値が若干違う程度だったが、本作では精神コマンドでも差別化が図られた。
    • 具体的には、アクセルが「必中」「不屈」を覚えるのに対し、ラミアは「集中」「ひらめき」を覚えるようになっている。
      • これによりラミアが若干使いにくくなっているが、新しく「感応」が追加されているためバランスが取れている。
  • 特殊技能の追加
    • 足の遅いスーパー系や長射程だが移動後の攻撃手段に乏しいリアル系に一石を投じる技能の追加で、これらの活用によってGBA版とは全く違う活用方法が見出せるようになっている。特に「ヒット&アウェイ」は、主人公機にラーズアングリフを選んだ場合非常に有効*12
  • 地形適応の変更
    • 「一部の機体やパイロットの地形適応がB」という、GBA版の問題は基本的に放置されているが、当時一般的になりつつあった「地形適応S」のシステムを導入し、強化パーツで地形適応の底上げが可能になっている事で、フォローや強化が可能となっている。
  • 「スキルパーツシステム」の追加。
    • PPシステム程の自由度はないが、PPシステムと違って「上げれば上げる程沢山消費する」という事はないので、モノさえあればいくらでも注ぎ込む事ができ、好きなキャラを強化させ活躍させやすくなった。
    • ただし、多くの技能は『そのキャラがレベルアップで達する技能レベルとあわせてLV9になる分まで追加できる』という上限はある。例えば自力で底力LV7まであがるキャラには+2の分までしか追加できない。
  • 個性的なエースボーナスやカスタムボーナス
    • エースボーナスでは、万丈の「熱血・魂にクリティカル判定が掛かる」や、ドモン&東方不敗の「気力上限200」*13、ジュドーの「移動後にMAP兵器が使用可能」、一矢の「切り払い発動100%」は凄まじく強い。
      • 更にネタ的な意味として、アキトの「マップクリア後火星丼*14入手」や勝平の「幸運を使うと不屈も掛かる*15」等といったものもある。
    • カスタムボーナスも機体ごとに特徴的なボーナスがつけられており、中でもジム・カスタムの「攻撃が命中した相手の気力を10下げる」やダイモス&RX-78-2の「全武器をバリア貫通属性にする」が特に強い。メカ鉄甲鬼は使いこなすとマジンガー顔負けの硬さ(さらにエースボーナス取得で連続ターゲット補正が無くなるので、敵陣に突貫することが可能)になったりする。
      • ネタ的な意味ではアルトロンガンダムに『自爆』してもHP1で生き残るというボーナスがある。ただし後述するとおり、うまく使えば攻略に十二分に役立つものとなっている。
  • 「SRPG」としての面白さの追求
    • 本作の最大の特徴であり評価点(であると同時に問題点でもある。詳しくは後述)。
    • 本作が発売された当時、『スパロボW』を筆頭に、リアル系のあまりの使い勝手の良さや全体的な難易度の低さが指摘されていた。本作はそれらの声を反映してか、当時のスパロボから薄れつつあった「シミュレーションRPGとしての戦略性」が高く追求されている。
    • 敵の命中・回避が全体的に高く、高い運動性を持つリアル系でも当たる時は当たるし、避けられる時は避けられる。
      • 意図的なのか手抜きなのか、武器の命中補正値がマイナス補正が多い旧シリーズのバランスであるGBA版のものをほとんど流用している上に、信頼補正の仕様が変更されて簡単に命中率上昇の恩恵を得られないようにされていることが、敵の回避率の高さに拍車をかけている。
      • この為、HPや装甲が低いリアル系にもそれらを改造する必要性が生まれている他、死に要素になりがちだった援護防御も利用価値が上がっている。
      • また、これによって命中回避を上げる「EWAC」や地形効果が特に重要になっており、敵との位置取りや陣形もより考える必要がある。
      • 高い回避率を持つリアル系の敵には「必中」が使えるスーパー系、逆に高い攻撃力を持つスーパー系の敵には回避率が高いリアル系と、相性も考えられている。
      • 被弾しやすくなった事によって「底力」の価値も上昇。アルトロンガンダムと五飛にボーナスを付け、開幕早々自爆…という面白い遊び方も可能。
    • エースボーナス・カスタムボーナスの個性化も、戦略性を高めている要素の一つ。
      • ユニット1機1機に、パイロット1人1人に個性と運用方法が定められており、それらを柔軟に活用してのゲーム攻略は実に面白い。特にサンドロック・ドラグナー3型・ガルバーFXII・クワトロ・戦艦系等は特に重要。
      • エースボーナスの個性化によって、機体とパイロットの意外な組み合わせが高い効果を発揮する場合もある。このため乗り替えする面白さも高まった。
    • 戦艦の重要性が高まっているのも本作の長所の1つ。
      • 援護防御・「EWAC」による命中回避の底上げ・強化パーツの使用・MAP兵器による資金稼ぎと削り等、本作を攻略する上で欠かせない要素である。
      • そのため本作の戦艦は、他作品と比較してもかなりHPが高い。ナデシコ(Yユニット)ですら15300、ラー・カイラムに至っては33000と『第3次α』のヱルトリウムに匹敵するHPを持っている。SRPGが苦手なプレイヤーでもない限り、落ちる事はまずありえないだろう。むしろ「どうやったら落ちるんだ」というレベル。
      • 余談だが、ブライトさんのエースボーナスが「味方搭載時の回復量100%」と恐ろしい事になっている。アストナージさんが過労死しそうで心配。
    • 敵のHPも上がっているため、援護攻撃の重要性も大きく上昇した。Ez-8やヘビーアームズ改(EW版)等の援護向きユニットがより一層輝いている。

戦闘デモについて

  • 戦闘デモはおおよそ好評
    • 流用は多いが元々が高クオリティなので、PS2でありながらPS1のデモを流用していた『IMPACT』程の批判はない。
      むしろ『第2次Z』発売前の当時は「携帯機でよくここまで」と言われていた。
    • 『MX』に参戦していない作品の戦闘デモは一部*16を除き、全て新規に作られている。例えば『MX』に登場しなかったマスターガンダムは完全新規、ガンダムEz-8やグフカスタムも一見『IMPACT』の流用のようで新規に作られている。
    • また携帯機ならではの軽快さを損なわないよう、一定の質を維持しつつもくどくならないように作られている。流用された戦闘デモもそのままの使い回しではなく、テンポを早くしてエフェクトを強化する等の処置が施された。
    • 戦闘セリフが敵味方問わず非常に秀逸。
      • 「ジオン兵」などの敵一般兵戦闘セリフはIMPACTから流用されており、撃墜時に発する後味が悪いセリフは非常に印象に残る。
  • PS2クオリティになった事で、改めて評価された戦闘デモ
    • 『Gガンダム』勢の一部の武装は非常に評価が高い。ゴッドガンダムの「ゴッドフィールドダッシュ」・マスターガンダムの「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ」・合体攻撃版「超級覇王電影弾」等は、GBA版にはあれど『MX』や『IMPACT』にもなかった武装であり、PS2クオリティのこれら武装を見られるのは事実上本作のみである。特に合体攻撃の「究極石破天驚拳」は、GBA版とは技の流れが異なる代わりに常軌を逸した原作再現度であり、正に究極の名に相応しい品質。
    • PS2クオリティの「1stガンダム」を見られるのも本作のみである*17。GBA版ではビームライフルの使い回しであったスーパーナパームの戦闘アニメだが、本作では「ナパームを敵に投げつけライフルで撃ち抜く」という凝った演出になっている。ビームサーベルの斬撃ポーズは劇中のものと同じであり、Gファイターのミサイル発射機構もきっちり再現しているなど芸が細かい。
  • 戦闘BGMも流用が多いが、こちらも流用元のクオリティが高く、「哀・戦士」を筆頭とした新規アレンジのBGMも高いクオリティを誇っている。
    • シャドウミラー(本作では兵士を含めた全員)のBGM「CHAOS」は新規アレンジ。『OGs』版に比べ原曲に近いアレンジとなっている。
  • 据え置き機作品では登場機会の少ない機体やキャラクターがPS2クオリティで初再現された。
    • 例として『初代ガンダム』のザクレロや『コン・バトラーV』のケロットがアニメーション付きで参戦し、更にケロットのパイロットである一木金太や知恵のCVも収録されている*18現時点で唯一の作品である。

その他評価点

  • 隠し要素の追加そのものは無いが、一部の隠し要素は2周目以降必ず入手できるようになった。
    • 撃墜数がフラグとなっている隠し要素については、撃墜数が周回で引き継がれるため必然的に入手できるようになる。
      • Gファイターとフルアーマーガンダムは「アムロとセイラの撃墜数」がフラグとなっており、1周目ではどちらか1つしか入手できなかったが、セイラが序盤で永久離脱することでアムロとの撃墜数に差が付くことを考慮して2周目以降は両方とも入手できる。
  • GBA版ではウラキだけ主人公格なのに何故かラスボスとの戦闘前会話が用意されていなかったが、本作では新規に用意された。
  • 記憶喪失状態のアクセルや前述の金太や知恵といった本作のための新録もある。
    • また、『ダイターン3』の万丈役の鈴置洋孝氏が生前に収録していたザンボット3との合体攻撃での掛け合いの音声が本作で初使用され、多くのユーザーを驚かせた。

賛否両論点

  • マップの2D化
    • キャラクターグラフィックも顔アイコンとなり、事実上任天堂携帯機作品と同じ仕様となった。据え置き機と同等の性能があるPSPなので3Dマップを望む声も多かった。
    • ただしマップに関しては『MXP』の3Dマップが極めて見難かった事もあり、この方が見やすいという意見もある。後の『第2次Z』でも本作と同仕様となっている。

問題点

  • 初心者には若干取っつきにくい難易度
    • 「SRPGとしての戦略性」が重視され、ユニット能力やバランスが大きく改善された。一方で全体的な難易度がGBA版よりも向上している、初心者向けというよりも、シリーズ経験者向けの調整と言われても仕方なく、ライトユーザーからの受けはやや悪い。
    • 『αシリーズ』や『スパロボW』等のように、「好きな機体を使ってサクサク進めるのが好き」というプレイヤーには辛いだろう。
  • 高難度なりに良好なバランスだが、終盤の火星ルートのボス「ドン・ザウサー」だけは話が別である。ある意味ラスボスをも凌ぐ本作最大の難敵となってしまっている。
    • GBA版でもかなり強敵だったが、本作では更に強化されている。HPは181500もある上にHP回復能力により毎ターン18000も回復されてしまう。また、無消費かつ射程1~8の武器を持つので弾切れにして行動不能に陥らせる事もできない。装甲も高く底力LV9持ちなので、HPが減ると異常なまでに防御力が上がり、回避力も跳ね上がるため、必中や感応などの精神コマンドなしでは攻撃が当たらなくなっていく。武器は改造値最大まで改造したユニット(又はスーパー系やゴッドガンダム等、元から強めのユニット)でないとマトモにダメージを与えられない。*19
    • おまけにドン・サウザーと戦う前には気力減少イベント*20とコロス戦があり、コロスはドンより若干弱い程度*21の強敵であるため、ここでSPを使い切るとドンに勝てる見込みがなくなってしまう。ユニットの武器改造段階次第では詰みの可能性もある。*22
    • また底力の影響で固くなってきたら、ガンダムW勢の『自爆』の連発でHPを削る方法もある*23。開発側がそれも計算に入れて難易度を設定したのかどうか不明だが、都合のいいことに本作では味方ユニットが撃墜されても修理費用は一切かからないので心置きなく自爆できる*24
  • 戦闘アニメーションは非常に秀逸だが、その反面SEが増えてやけにやかましくなってしまい、携帯機作品にはあまり向いていない状態になってしまった。
  • エースボーナスの弊害
    • 撃墜数が周回で引き継がれるようになっているが、これは当初敵として出てくるキャラクターのエースボーナスにも適用される。
      • 東方不敗の「気力上限200」や白鳥九十九の「底力の効果2倍」は、敵に回すと厄介。ただしその時にはこちらも引き継ぎで強くなっているので、そこまで大幅な難易度上昇にはなっていない。
    • ウラキに至っては「努力が愛に変更」というエースボーナスのせいで、「愛に目覚めて努力する事を忘れてしまった男」とネタにされた。「愛」は"努力(経験値2倍)+能力上昇5種(必中+閃き+熱血+幸運+集中)"なので、かなり強い精神コマンドなのだが消費が多すぎる、低消費で使える「努力」の方がレベル上げには有効な場面もあり、2周目序盤のレベル上げがしにくくなってしまったという不満もある。
  • 一部BGMの変更
    • ひとつが『機動戦士Zガンダム』の戦闘BGM。
      • 戦闘BGMが変更されたせいで、森口博子氏の名曲である「水の星へ愛を込めて」が聞けなくなっている。作曲を担当したニール・セダカ*25の曲の版権料はかなり高いらしく、それが原因と思われる。スパロボA以降の作品、およびAPと同時期に発売・稼働した『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』及びその派生作品も、やはりΖガンダムは劇中BGMであった。
      • ちなみにスパロボで戦闘BGMとして聞けるのは、本作を除けば『初代α』と『α外伝』のみで、しかも条件付きである。
    • もうひとつが『機動武闘伝Gガンダム』の戦闘BGM。
      • 元々必殺技時以外の通常戦闘BGMは前期OPの「FLYING IN THE SKY」であったが、本作では『MX』以降で採用されている「最強の証~キング・オブ・ハート」に変更された。
      • 明るい曲調のオープニングから、緊迫した戦闘BGMに代わってしまい、例えばドモンの初登場シーンの印象もやけに重苦しくなってしまっている。
      • 「最強の証~キング・オブ・ハート」も印象的で人気のある曲ではあるが…*26。近年のシリーズで「FLYING IN THE SKY」が使用されていないことにガッカリするプレイヤーも多い。
      • また、シャイニングガンダムの必殺技「シャイニングフィンガーソード」のBGMも本来ゴッドガンダムのとどめのBGMである「明鏡止水」である。他のシャッフル同盟ガンダムの単体最強技は初期の必殺BGMだった「燃え上がれ闘志」が使われているのに…
    • その他『マジンガーZ』『グレートマジンガー』『UFOロボ グレンダイザー』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』もBGMが変更されている。
  • 一部戦闘デモの雑さや劣化部分
    • 一部の戦闘デモや、『A』で採用されていた故に復活した一部の武器の戦闘アニメが非常に簡素。携帯機のリメイクなので仕方ないとはいえ、同時期に発売された他スパロボシリーズの攻撃演出が凝っていることも相まって貧相に見えてしまう。ビームサーベルや格闘は顕著で、「サーベルは二回斬り付け」「格闘は1発殴るだけ」で固定になり、やや物足りない。
      • 『Gガンダム』はその点が非常にわかりやすい。流用されたゴッドガンダムは、「格闘」がMXのゴッドスラッシュの流用のため殴ってからゴッドスラッシュで斬りつけるモーションだが、本来のゴッドスラッシュは突っ込んでサーベルで十字に斬りつけるだけになり、威力面では優位に立つはずが、演出面で劣化している。
      • この仕様のため、リメイクされたガンダムEz8やガンダムシュピーゲルは、サーベルやブレードなど一部の武装演出がIMPACTよりも明らかに劣化したりした*27
    • 先の通り全てが劣化しているわけではなく、むしろ凝っているものは多数存在する。意図的に短くスピーディになっている攻撃演出も多いのだが、過去作からの雑な流用がいくつか目立つため、過去作よりも演出面で劣るものが増えてしまったのは残念なポイントである。
  • ウイングガンダムゼロの攻撃力が悲惨
    • 武器改造の攻撃力上昇が最弱クラス*28。本機の象徴であるツインバスターライフルも、フル改造した際の最大攻撃力が『ダイモス』の戦闘機であるガルバーFXIIのフル改造時ミサイルと同じという悲惨さで、エネルギー消費も尋常ではなく*29、使うには愛が必要になる。ツインバスターライフルの演出は新規描き起こしになってはいるが機体性能がこれでは……。
      • MAP兵器の強力さは健在であるが、「人気のある主人公キャラなのにMAP兵器要員としてしか使い道が無くなったのがちょっと残念」という声も*30
    • その一方で他4機のガンダムは、エースボーナスやカスタムボーナス、バランス変更等によってより優秀な機体に仕上がっている。
      • バランスブレイカ―と言われたデスサイズヘルに至っては、弱体化どころかより一層強化された。GBA版ではただのジャマー扱いだったハイパージャマー(分身回避)が実装され、またエースボーナスとカスタムボーナスにより回避率が更に上昇、「集中」を使わずとも単機で雑魚を壊滅できてしまう。避け続ければいずれ当たってしまうという連続ターゲット補正も、新しく追加された「不屈」によりカバー可能と隙がない。相変わらず射程&地形対応空という問題はあるが、射程に関してはガンファイト習得によりフォローしやすくなっている*31

その他の問題点

  • 『第3次α』以降の作品では、ゲームの進行と同時に図鑑の解説文が加筆されていくのだが、本作にはそういった演出がなく、1回登録されたら最後まで同じ解説文である。
  • 若干戦闘ボイスの種類が少なめ。
    • 容量の少なかったGBA作品が元である為、同時期のスパロボ作品に比べると会話演出数が少なめ。有名なキャラ同士の対決でしか特殊台詞が出ない場合が多い*32。また、合体攻撃用のセリフも総数が少なく、たまに台詞が噛み合わない事がある。
  • キャラクターの顔グラフィックが各キャラ1種類のみ。
    • リメイク前も1枚のみだったが、同時期のスパロボ作品は1キャラにつき数枚の顏グラフィックがあるため、やはり少なく感じる。他のキャラが1種類しか無いときでも導入されてた『Gガンダム』系のキャラのスーパー・ハイパーモード時の顔すらないというのは首を傾げたくなる。
  • 容量の都合上、BGMデータが高圧縮され音質が劣化している。

総評

あらゆる点を据え置きと同等のクオリティに引き上げ、更に新旧様々な要素を搭載。ハードの進化による快適さと、高い戦略性を楽しむ事ができる作品。
その反面、難易度の急激な上昇により新規プレイヤーには少々辛い作品になっており、戦闘アニメの流用も気になるところではある。
人によって賛否は別れるだろうが、1つの作品として全体的に見れば、十分に良作であると言えよう。
また、『MXP』と比較すると、ノウハウの蓄積や改善が顕著に感じられる作品である。本作の仕様はその後の作品にも一部受け継がれている。


余談

  • 一部の容量節約要素について
    • 恐らくこれらの原因は、ROM容量の節約やロード時間の短縮のためではないかと思われる。PSP本体にもよるが本作のロードはわりと短めである。
      • インストール機能をフル活用し、ロード面と演出面を両立させた『第2次Z』ではグラフィックが変化するようになった。