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ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女 前編/後編 - (2021/03/14 (日) 13:17:17) のソース

*ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女 前編/後編
【ふぁみこんたんていくらぶ ぱーとつー うしろにたつしょうじょ ぜんぺん/こうへん】
|ジャンル|アドベンチャー|&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/174100165.jpg,height=150)|&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/174100164.jpg,height=150)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ ディスクシステム|~|~|
|発売元|任天堂|~|~|
|開発元|任天堂&br()トーセ|~|~|
|発売日|前編:1989年5月23日&br()後編:1989年6月30日|~|~|
|レーティング|【VC】CERO:C(15歳以上対象)|>|CENTER:&amazon(B0002M2U90)|
|コンテンツアイコン|飲酒・喫煙|~|~|
|配信|バーチャルコンソール(前・後編同時収録)&br()【Wii】2009年12月22日/600Wiiポイント&br()【3DS】2013年5月1日/500円|~|~|
|備考|GBA『[[ファミコンミニシリーズ]]』第三弾(2004年8月10日発売)&br()※前・後編同時収録|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[ファミコン探偵倶楽部シリーズ]]''|
#contents(fromhere)
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#center(){{
 &big(){''あなたのうしろに、恐怖が立っている''}
 }}
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**概要
『[[ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者>ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 前編/後編]]』の続編。~
時系列は前作から2年前(冒頭の「3年前」とは当時の現在である発売年から)の1986年にあたり、空木探偵の助手となった主人公が、丑美津高校で発生した殺人事件と、学校に伝わる怪談「うしろの少女」の背後に隠された謎を解き明かすために奔走していくことになる。 

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**ストーリー
>主人公である少年(=プレイヤー)は、生き別れた両親を探す旅の道中、ひょんなことから私立探偵・空木俊介と知り合い、~
両親の行方を捜すための手立てになると考え彼の助手となる。~
それから3ヶ月後、丑美津高校1年生の少女・小島洋子が河原で死体となって発見されるという事件が発生。~
少年は別件で多忙な空木に代わり調査を任され、彼女の死因を調べていく内、丑美津高校に伝わる怪談話『うしろの少女』と、~
15年前にこの街で起きたある殺人事件との接点を見出すことになる。
>
>果たして、謎めいた怪談話に秘められた真実とは……?!

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**特徴
-「謎解きよりもドラマ性重視」「システム側で選択肢や移動先の絞り込みをある程度行ってくれる」という点は前作を踏襲している。

-今作は誰にでも身近な学校を舞台に据え、馴染みやすい「学校にまつわる怪談話」が醸し出す恐怖感に重きを置いた内容となっている。
--特に最終局面などはドット絵の怖さと相俟って当時の子供にトラウマを与え、今もなお語り草となっている程である。

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**改善点
-繰り返し聞く必要の無い台詞の選択肢を選んだ時には内容が省略される。
--具体的には相手が無言になったり「必要なことはもう話した」と言ったりする。

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**評価点
-2つの事件を同時並行的に解き明かしていく中で、見え隠れする接点を軸に事件を解き明かしていくシナリオは相変わらず秀逸。
--特にラストシーン近くの衝撃の展開は、演出とテキストを含めて必見。一言一句を全て覚えてしまっている本作プレイヤーも珍しくないほどそのインパクトは絶大で、マニアの間ではネタとして弄られることも多い。
--最後までプレイすることにより、「うしろに立つ少女」というサブタイトルの真の意味が明かされるのもポイントが高い。

-世界観の変化に併せ、BGMもポップな曲調のものが増え、醸し出される雰囲気が前作とがらりと変化している。

-緊迫した場面では文字送り音が変わり、緊迫感を盛り上げる効果になっている。

-前作の劇画調のイメージデザインから、80年代の少女漫画風の親しみやすいデザインに変わった。
--ゲーム中のキャラクターは前作より一回りほど大きめに描かれるようになり、表情も前作より細かくなっている。

-シリアス一辺倒で緊張感に終始していた前作と異なってコミカルなシチュエーション描写も含まれており、緊張感を適度に解きほぐしてくれる。

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**賛否両論点
-前作で恐怖要素の1つだった突然流れるジングルがマイルドな音質になったためインパクトが薄れた。
//これは人によると思うが。少なくとも俺は十分にビビったぞ。
//突然鳴るからビックリというのはあるが、やっぱり迫力がないというのも頷ける
//すべてのプレイヤーの統一見解とは言えないので賛否点に移動。

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**問題点
-メッセージスピードの調整が相変わらず不可能。

-ストーリー後編序盤の3D迷路の探索シーンが複雑で詰まりやすい。
--説明書にはマッピング用の方眼紙がついているのだが、そもそも3D迷路に慣れていないユーザーにとっては辛い点。
//--このシーンはSFC版のリメイクでは削除され、テキストによる描写になっている。

-作中で発生する事件は2件と前作に比べて少なく、ゲーム開始冒頭での事件から次の事件が起きる終盤にかけてひたすら調査に没頭していくようになっているため、やや間延び感がある。
--もちろん、シナリオ構成自体は優れており、全体のメリハリや起伏もしっかりしているので、だれる事無く調査に集中していける。

-シナリオについての賛否
#region(ネタバレ)
-ネタバレになるため具体的な描写は避けるが、オカルト要素を絡めつつ事件そのものにはオカルト的な要素は一切かかわっていなかった前作に対し、本作は「オカルトは無関係だった」とは言い切れない微妙な疑問を残して幕を閉じることになる。
--これにたいして「リアリティ重視のサスペンスものとしてはいかがなものか?」という意見もないわけではない。
---とはいえ、『現実的に考えれば警察が探偵(それも子供)に調査を頼り切ってる時点でリアリティも何もない』といったツッコミもあったりするが。

-ストーリーは恐怖要素重視ながらも時代設定が前作より前のため、主人公やヒロインの身の無事は確定している。
--それゆえに、劇中で2人が危機に陥るシーン(中盤とラストシーン)に危機感や恐怖感があまり感じられないという意見も少なからずある。
//ラストシーンについては「怖い」という意見が普通に多いし、「怖くない」と断定的に書くのはおかしいので表現を微修正。

-一部のキャラクターの扱い
--後編で主人公に協力してくれるサブキャラ「ひとみちゃん」は、被害者の親友という立場でそれなりに存在感も大きく事件の調査に役立つ一面も見せてくれるのだが、終盤辺りで調査の進展に協力した後は出番がなくなり、主人公らからすらも言及されないまま存在そのものを忘れ去られてしまう上にエンディングにも出てこないというあんまりな扱いである。
--さすがにあんまりと思われたのか、リメイク版では最後の殺人事件の発生後に主人公に気遣いの電話を入れるという形でフォローされている。
#endregion


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**総評
横溝正史的な世界観とオカルトホラー色の強かった前作と異なり、高校という身近な舞台設定と、ポップな路線のBGMや全体的に明るさを増したグラフィック表現により、グッと親しみやすさが増した。~
一方で、売りであるホラーテイストと終始溢れる緊張感は健在であり、推理することよりも物語を読み進めていくことを重視したシナリオのドラマチックさも前作同様保たれている。

終盤の衝撃のどんでん返し含め、意外なシナリオ展開とホラー風味の作風が好きな人にオススメしておきたい1作である。

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**余談
-コマンド選択にちょっとしたお遊びが仕込まれている。

#region()
-序盤の被害者の検死シーンで、被害者のスカートをカーソルでしつこく調べると「まさかえっちなことを考えてるんじゃないだろうね」と検視官からツッコミを入れられてしまう。

-さらに、警察署に行くシーンで応対してくれる婦警の胸をカーソルでしつこく調べると、重要事実発覚時のSEと共にテキスト表示と共に「ゲームオーバー」となる……が、これは単なるドッキリ。
---後のリメイク版でもこのドッキリは引き継がれ、専用画面と専用のジングルまで用意された。更にそれとは別に本当にゲームオーバーになるポイントも用意されている(事前情報なしではまず気づかないが)。

-前編の旧校舎の一部を調べると「ファミコン探偵クラブだーい好きっ!」という落書きを見つけることができる。それに対して主人公は「そんなゲーム出てたっけ?」とメタな発言をする(確かに物語の舞台である1986年には出ていない)。
-上述の「ひとみちゃん」も「ガキの探偵はファミコンだけだ!」というメタ発言をする。これに関しては攻略本で「あのー、ファミコンなんですが」とヤボなツッコミがあった。
--1989年から見れば直近に「おもいっきり探偵団 覇悪怒組(1987)」「じゃあまん探偵団 魔隣組(1988)」などガキの探偵のドラマがあったがそれらは物語の舞台である1986年には放送されていなかった。もっともガキの探偵のファミコンソフトもなかったが、そこは「ガキが探偵できるのはファミコンだけだ」という解釈もできるので間違ってはいない。&s(){正直なところファミコン探偵倶楽部そのものを指しているんだろうが…} 

-中には前作を意識したものもある。
--前作の神田弁護士事務所(*16)に電話すると「神田弁当」という弁当屋に繋がる(恐らくこの経営者は前作の神田弁護士とは別人)。
---因みにこれに電話することが終盤でちょっとしたイベント発生のフラグになっている。
//んなのあったか?
//↑多分リメイク版の方だと思う
//祝日に美術室で駒田が犯人のフリしてからかってネタばらしして「ばかばかしゅうて話にならん」の後に発生する。それまでに神田弁当に電話していないと「あほらしいわしゃもう帰る」で即いなくなって終わり。一度でも神田弁当に電話していると「あー あほらし」状態になって「そうさやめる」の泣き落としになるってやつ。「分岐」と呼ぶほどじゃないので「イベント」ぐらいが妥当かと。これはファミコン版からある。
--用務員室の畳を調べると「あっ!畳に焦げが・・・ない」

#endregion

-前作はかなり強烈なインパクトのあるCMで話題になったが、今作はゲームボーイ本体やそのソフト『[[対戦型テトリス>テトリス]]』、糸井重里企画監修のRPG『[[MOTHER]]』といった新ハードや話題作に挟まれたためかTVCMは制作されなかった。
--CMがなかったためファミマガ等ゲーム誌非購読者等には存在認知が遅れたことや当時のディスクプレイヤーは書換えによる新作入手((ディスク全盛期から既に2年以上経過しており、全盛期に購入してプレーしなくなったディスクカードが持て余しがちだった。))が主体だったこと、存在を知った時には書換えが開始されていたという例も多々あったため、ただでさえ低い売上本数の中でも安価な書換えを選んだプレイヤーが多く、現在パッケージ版の中古価格は比較的高値がついている(特に後編)。

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**その後の展開
-発売直後のファミマガで行われたファミコン美少女コンテスト(13号で発表)でヒロインのあゆみが3位、ファミコン美少年コンテスト(16号で発表)で主人公が1位とソフト売上こそ低かったもののキャラクターの評価は当時から非常に高かった。
--美少女コンテスト発表の翌号では未使用イラストが載せられ、それは下記のリメイク発売時に任天堂公式サイトでも一部公開された。

-後にニンテンドウパワーでの書き換え専用ソフトとして[[リメイク>ファミコン探偵倶楽部 PARTII うしろに立つ少女]]された。

-GBAのファミコンミニでディスクシステム版が移植された。
--ちなみに、喫煙シーンと終盤の殺人シーンが原因で任天堂初のCEROレーティングによる対象年齢付きソフトとなった。

-Wiiのバーチャルコンソールでスーパーファミコン版、ディスクシステム版ともに配信、3DSではディスクシステム版のみ配信されている。

-本作の登場人物の一人である橘あゆみはBSサテラビューにて配信された番外編「BS探偵倶楽部-雪に消えた過去-」で初主演を勤め、その後『[[大乱闘スマッシュブラザーズDX]]』でフィギュアとして登場している。

-前作の制作・脚本を務めた坂本賀勇によれば、恐怖演出のノウハウについてイタリアのホラー映画監督ダリオ・アルジェントから学び取ったところが大きいといい、本作は同監督の著名な映画作品「サスペリア」シリーズのオマージュとして制作したと語っている。

-2021年5月にNintendo Switch版で『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』が発売予定。2度目のリメイク作品となる。