「ヘラクレスの栄光 ~魂の証明~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ヘラクレスの栄光 ~魂の証明~ - (2015/07/21 (火) 15:10:30) のソース

*ヘラクレスの栄光 ~魂の証明~
【へらくれすのえいこう ~たましいのしょうめい~】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00177YQ1Y)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|1024MbitDSカード|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|パオン、スタジオ最前線|~|
|発売日|2008年5月22日|~|
|定価|4,571円(税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|3つ|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|''戦闘テンポの悪さ''が最大の難点&br;クリアした地域には戻れない&br;サブイベントも皆無に等しい&br;それらを許容できれば良作|~|
|>|>|CENTER:''[[ヘラクレスの栄光シリーズリンク>ヘラクレスの栄光シリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
-『[[ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物]]』から14年ぶりの完全新作であり、神話の息づく古代ギリシャを舞台としたRPG。~
当初は「エターナルクロニクル Glory of Hercules V」と名付けられており、ナンバリングこそ無いが実質的には『ヘラクレスの栄光V』に当たる作品と言える。~
記憶喪失の状態で海岸に流れ着いた主人公は少年(?)ロコスと出会い、また同時に自分が不死であることを知る。同じく不死であるロコスと主人公は自分達の秘密を知るため、神々の住むオリンポスを目指す。
--本作の「主人公(達)は不死」「主人公(達)は記憶を失っており、記憶を取り戻す旅に出る」という2つのプロットは、もはや『[[III>ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙]]』以降の伝統とも言える。
--2DRPGだった従来とは異なり、今回は『[[グランディア]]』や『[[ゼノギアス]]』のようにマップは3D、キャラクターは2Dで描くゲーム画面となっている。
---キャラクターは3Dモデルを2Dドットに変換したものである。その為、ぬるぬるとよく動く。
---但し、カメラ回転は町でしか出来ず、ダンジョンでの視点は固定である。
--不死である事を利用して高所から飛び降りる、戦闘中に掛け声を上げる、各地の神殿で魔法を授かると言った、シリーズお馴染みの要素も健在。
--尚、今回はゲームオーバーの概念が存在し、全滅時は味方全員のHPが僅かな状態でコンティニューするかタイトル画面に戻るか選択する事になる。
-2003年にそれまでの発売元のデータイーストが倒産してしまったため、販売元が任天堂に変わっている。開発元のパオンはデータイーストからヘラクレスの栄光スタッフが独立した会社である。
 
**短所
-''戦闘のテンポが悪い。''これに尽きる。
--戦闘ログがあるためいちいち一人一人の回復・全体範囲の攻撃・毒ダメージなどの効果を見せられる。これが一度に表示される仕様であったなら快適さが全然違っただろう。
--魔法のエフェクトがやたら長い。公式サイトでそれがよく分かる動画が見られる。
---動画内で使用されているのは最強クラスの魔法なので、相応の派手さが求められるのは頷けるとしても、それを差し引いてもこれは少々長い。では弱い魔法はどうなのかと言うと、大差は無い。つまり魔法の演出はどれもこれぐらいの長さという事である。しかもこれに前述の戦闘ログの表示が加わるので、余計に長く感じさせられる始末である。
---オプションで演出の「ショート」「ロング」の切り替えは可能。ショートにすれば空が映る部分がカットされるので大分短縮されるが、それでも長いと感じる人には長い。
---しかし魔法が有効な攻撃手段なのも事実なので、使わなければテンポ云々以前に戦闘が長引くだけである。
--攻撃の度に「ターゲットの目の前にジャンプ→一呼吸置いてから攻撃→戦闘ログの表示が終わってから定位置に戻る」という一連の動作が行われるので、通常攻撃もかなりもっさり。
--しかも連戦が多い。船に乗るとお約束のように5~6連戦が挿入されるので、人によってはうんざりするだろう。
--一応店売りでエンカウントを0にするアイテムはある。
-序盤のチュートリアルが丁寧すぎる上にスキップもできない。特に二回目以降のプレイとなると苦痛でしかない。
--クリア後には図鑑等を引き継いで二週目がプレイ可能だが、このチュートリアルはもう一度全部見させられる。
-持ち物制限がキツく、後述の良点(装備によって変わるアビリティ)の魅力の妨げになっている。
-クリアした地域には戻れない。
--ストーリーの節目を越えるとそれ以前の地域には戻れなくなる。クリアしたダンジョンや通過した町には二度と行けない一方通行の冒険となっている。
--町で覚える魔法やスキル等は次の町でも全く同様に覚えられるが、店売り品等は買えるとは限らないので、欲しいアイテムがあっても買えない場合がある。
--その為、サブイベントのようなものは皆無に等しい。一応、隠しマップなどはあるので、探索の楽しみが無い訳ではないが。
--但し、以前の地域に戻れなくなる地点まで進むとセーブの確認と共にアナウンスが入るので、「え!?もう戻れないの!?」と後から気付くような事態はあまり無い。

**長所
-''戦闘のテンポ以外は評価されている''。
--BGMは[[シャドウハーツ]]シリーズなどで有名な弘田佳孝氏で高評価。
--シナリオも高評価。
---旧作に引き続き野島一成氏が担当。名作と名高い『III』に比べると王道の部類だが、数々の伏線が絡み合い、それら点と点が線で繋がって謎が次々と明かされる様相はシリーズの名に恥じない見事なものである。
---何故主人公達が不死なのか?何故ヘラクレスと呼ばれる人物が複数存在するのか?そしてサブタイトルの「魂の証明」の意味とは?提示される数々の謎は後半で一気に収束していく。プレイする場合はネタバレを全く見ないことを薦める((Wikipediaの記事には『III』と本作のみ、登場人物の正体や結末等が詳細に書かれている。閲覧には注意))。
--戦闘のテンポは悪いが装備によって変わるアビリティ、エーテルシステムのやりくり、オーバーキルでMPが回復できる、タッチペン操作で威力強化可能など戦闘システム自体は良い。
--操作性も良好。パッケージ裏に本作の売りであるかのように書いてある''「タッチパネルと十字キー・ボタン両対応」はそのキャッチ文に恥じない快適さを提供してくれる。''本作をプレイしてから他の良作RPGをプレイすると、大半のソフトでこの操作性が気になる事請け合い。
---世の中のDSソフトには、数字を入力するのにタッチペンでの手書きしか使えない上正解を書いても全然違う字に認識される脳トレソフトや、細かな操作の必要が全く無い広大なフィールドをタッチパネルでしか移動出来ないゲーム、まともにプレイする為には腕が3本必要、そこまで行かずともメッセージ送りだけでAボタンとタッチパネルが不規則に入れ替わるゲームやらが良糞問わず多数存在する。
--ゲームバランスも良い。連戦などの強制戦闘は多いが、そこで大分経験値が稼げるようにできており、ザコとはそれなりに戦っていればレベル上げ作業をせずとも無難に進める事ができる。また、パーティ内でレベル差が開いてしまっても、妥当な所で戦っていれば割とすぐに埋まるように調整されている。
-オープニングのみだがアニメムービーが収録されており、質も十分。
--アニメのバックに流れるBGMは旧作のタイトル曲。過去のシリーズ作品に慣れ親しんだ人には感慨深い演出である。
-場所によって例外はあるが、セーブはどこでも可能。

**総評
-戦闘のテンポ以外は軒並み高評価。ファンの中でも「テンポが良ければ…」と嘆く人も多い。
-良作に成り得るポテンシャルを秘めておきながら、戦闘のテンポだけの所為でその評価も得にくくなったゲームである。無論、テンポが良いゲームが良作とは限らないし、多少テンポが悪くても高評価のゲームは沢山ある。しかしプレイの快適さは非常に重要な要素である事は確かであり、本作のそれは他の長所を削いでしまうほどであった。
-『III』がシナリオの良さだけで不満点を全てはね除けた事を考えると、本作がテンポが他の良点の足を引っ張ってしまっている事は何とも皮肉な話である。
--『III』もテンポは相当悪かったが、シナリオの素晴らしさはそれすら霞むレベルに至っていた。本作のシナリオ含む長所はそこまでは至らなかったか、或いは時代の流れでユーザーの意識が変化した為か、どちらにせよ本作の評価はこのような形で落ち着いている。

-ただ、戦闘テンポも魔法エフェクトやロードが長かったPSのFF辺りと比較すれば、それより少し劣る程度である。その当時の作品に慣れている人や「内容さえ良ければテンポなんか気にしない」と言う人なら大きな問題も無く楽しめる。
--プレイを検討するなら、まず公式サイトの動画で戦闘のテンポを確認し、大丈夫そうだと思ったら購入する事を薦める。

**余談
-海外版(タイトルは「Glory of Heracles」)では戦闘のテンポはある程度改善されている。