ライムライト・レモネードジャム
【らいむらいとれもねーどじゃむ】
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ジャンル
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青春バンドADV
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対応機種
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Windows 10/11
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発売・開発元
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ゆずソフト
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発売日
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2025年9月26日
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定価
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【パッケージ】10,989円 【ダウンロード】8,470円(共に税10%込み)
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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良作
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ポイント
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久々のファンタジーなし路線 丁寧かつ差分が多い立ち絵演出
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概要
「ゆずソフト」(株式会社ユノス)の13作目。公式略称は「ララジャム」。
本作でのヒロインの名前の共通テーマは葛飾北斎の「富嶽三十六景」となっている。
ゆずソフトでファンタジー要素がないのは『ぶらばん! -The bonds of melody-(2006年)』『のーぶる☆わーくす(2010年)』のみであり、本作発売までは14年以上ファンタジー要素のあるタイトルが続いていた。
ファンタジー要素を上手く扱いきれているかは賛否が分かれており、ファンタジーなし路線も求められている中発表された本作は、発売前からファンタジーなしを強調していた。
音楽題材のアダルトゲームは「OVERDRIVE」の『キラ☆キラ』等が有名だが、そちらの代表のbambooが楽器デザインなどで本作の制作に協力している。
あらすじ
「一緒にバンド組みませんか?」
音楽、仲間、そして恋。彼女と出逢った日から世界は輝く――
ベースは上手いが、特定のバンドに所属することのなかった【沖浪雪鷹】。
目標がない、けれど他にやりたいこともない。
漫然と音楽活動を続ける中で見かけた路上ライブが、変わり映えしなかった【沖浪雪鷹】の日常を一変させる。
素人同然のギターで、たった一人で弾き語りに挑戦する少女【陽見恵凪】。
彼女の路上ライブを見かけた瞬間から【沖浪雪鷹】の日常が、再びキラメキ始める。
(公式サイトからの引用)
メインヒロイン
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陽見 恵凪(はるみ えな)
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センターヒロイン。ギター・ボーカル担当。
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主人公と同じ学園に転校してくる。普段はおとなしいが、高まった時にはFワードが飛び出す。
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隠 杏珠(なばり あんじゅ)
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リードギター担当。
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主人公と同じバイト先で、気安く絡める関係だが、実はお嬢様学校に通っている。
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嶌越 月望(しまこし つきみ)
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キーボード担当。
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主人公とは別の学園に通っており、体験版範囲では主人公との接点が極端に少なかった。
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幼いころからピアノを学んでおり、実力が高い。
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二見原 莉々子(ふたみはら りりこ)
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SNS担当。
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主人公の幼馴染で、朝起こしに来る主人公を煽情的な格好でよくからかってくる。
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過去に楽器に触れたことはあるが、現在はサポートに徹している。
特徴
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選択肢で分岐するADV型のエロゲー
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『千恋*万花』以降のシステムをベースとしており、フローチャートやお気に入りボイスなどの便利機能を搭載したノベル。
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メイン4人+サブ2人の個別ルートが用意されたスタンダードな形式。誰とも結ばれなかった場合はノーマルエンドとなる。サブはメイン1人攻略後に解禁される。
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クリア後はキャラに対応したアフターストーリーの項目が解禁される。
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過去作との差異・追加要素
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ほとんどの文章はテキストウィンドウに表示される一般的な形式。
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心情描写などの一部の長文は画面全体のテキスト表示形式となる。
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エッチシーンではCGをなるべく隠さないようにテキストが下に寄って表示される。
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LINE風のメッセージアプリのやり取りは専用画面になり、アプリ上の写真をクリックして拡大できる・バックログとは別にテキストを遡れるなど、アプリの操作性を再現している。
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ゲームが進行するとフローチャートに「ANOTHER VIEW」が追加される。ヒロイン目線での補完イベントであり、任意のタイミングで閲覧可能。
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ゲーム終盤にフローチャートにTrueルートのような最後の項目が追加される。ただしエピソードとしてはかなり短い。
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ストーリーは1年を通して描かれる。四季に合わせた私服や背景差分を売りとしている。
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劇中音楽は生演奏を使用。バンドものだけに、劇中歌はブランド最多となる。
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修正・演出強化パッチ
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細かい誤字やシナリオミスの修正パッチが数回に分けて配信された。
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教師や母親などサブキャラの一部はパッチで立ち絵が追加。無料で2回に分けて配信された。
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ゆずソフトのお約束として、過去作のキャラらしき人物が登場するスターシステムがあり、『天使☆騒々 RE-BOOT!』のキャラが背景に追加された。
評価点
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演出面
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高品質を維持しつつ、基本一枚絵は110枚超え+SD30枚越え、BGMとボーカルは(アレンジや既存のピアノ曲も含め)95曲超えと、潤沢な素材が用意されている。
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立ち絵やSD絵の差分も多く、ボケとツッコミに応じて頻繁に絵も切り替わるため、視覚的に飽きさせない。
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元々十分だったが、無料パッチによりモブキャラにも立ち絵が追加。追加された学生たちはサブヒロインと見間違えるほどにビジュアルも優れており、これらの差分もまた多い。
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オープニングムービー「明け星」は作中のライブシーンに合わせて挿入され、演出として評価が高い。
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出来の良い『千恋*万花』以降のUIをベースにしているため、読みやすさや再読の安易さなどはノベルゲームとして群を抜いている。
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独自の追加要素の一部場面の全画面テキストや「ANOTHER VIEW」も、心情描写の深掘りに貢献しており、後者はスルーも可能なため話のテンポを崩さない。
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演出面と合わせ、際立った点こそないものの、ノベルゲームの基本に忠実なまま、土台の完成度を高めたと言える。
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ストーリーの強化
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音楽知識が少なくても楽しめるよう、基本的に分かりやすい表現が用いられ、踏み込んだ用語には解説が入る。
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音楽と学業の両立や、金銭を確保するためのアルバイト、それらを通じて繋がった先駆者の大人たちのアドバイスを受けるといった現実路線になったことで、地に足のついた主人公として好感を持ちやすくなっている。
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ライバルグループの「gem of rubble」のメンバーは三兄妹で妹がサブヒロイン。舞台の上では争うものの、日常の絡みでは好意的で、好感を持ちやすい。
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主人公のバンドにも男友人がおり、同性ならではの会話や相談事の描写もある。こういった題材にありがちな不自然なまでの男女比率になっておらず、会話に幅がある。
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解決すべき課題も「SNSを通じて観客のネガティブな評価が奏者に伝わってしまう」「バンドをしていると不良のイメージで見られる」といった仲間との協力で立ち向かえる範囲に収まっており、説得力が増した。
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恋愛要素
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「普段はおとなしいが、自分のやりたいことに対してはアクティブな恵凪」「バイトでは冗談を言い合える関係ながら、バンドでは自分に自信がない杏珠」といったほどよいギャップ萌えが機能しており、恋愛要素においてもプレッシャーの弱さから予期せぬ突発的な告白と戸惑いなど初々しさやそのキャラらしさが表れている。
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エッチシーンにおいても、主人公のモノが入る位置に合わせて、お腹にヘロヘロの線とハートマークを書く莉々子や、主人とメイドのわざとらしいロールプレイをする月望など、エロの邪魔をしない程度にネタ要素も含まれている。
賛否両論点
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ファンタジーなしだが、リアル路線とはいいがたい
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主人公の周りに実力のある美少女が集まるなどのエロゲ的事情はお約束だが、「ファンタジーなし」は守られており、特殊能力を持たない人間だけのドラマが展開される。
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挫折や失敗自体はあるものの、おおむね順調に音楽活動を成功させ続けて負の面はあまり描かれない。投稿した動画が1.5億再生など「ありえなくはないが、非現実的な数字」なども見られ、エロや恋愛に無関係な部分でご都合的な部分がある。
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キャラクター重視の作風を維持している点は従来のゆずソフトと変わらない。前述した「OVERDRIVE」ではバンドの暗い面も多く書かれるため、比較対象としてよく挙げられた。
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月望ルート
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『つよきす3学期』や『EVE rebirth terror』等を手掛けたさかき傘が担当しており、氏の作風が強く出ている。
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月望以外のキャラのノリが大きく変わっており、カップルの尾行を楽しむメインヒロインなど、共通ルートの性格から地続きになっていない描写が目立つ。
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肝心の月望に関しては共通ルートでの出番が少ないために、そもそもキャラがあまり固まっておらず、キャラ崩壊にはなっていない。
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ネットミームやパロディネタも目に見えて多くなっている。
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目立つところでは、さくらみこのサノバウィッチ起動事件をほぼそのままパロディしており、ユーザー間のネタが本家に逆輸入されたと言える。
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ゲーム外のカウントダウンムービーではパロディネタも多かったが、ゲーム内ではここまで激しくはない。
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他ルートでは「女性でも払うんですか? ワタシ、女なんですけど……?(「伝説の92」パロディ)」のように、元ネタを知らなくても会話は成立するのに対し、
「うわ! なんだよお前ら!」→「大阪や!(「どっちがヤクザかわからん」パロディ)」のような元ネタを知らないと意味不明なやり取りも目立つ。
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ライターの色が強く出たことで、共通ルートで影の薄かった月望が目立つようになった点は評価できる。
しかし、肯定的に見るプレイヤーすらも「月望ルートは空気が別物」という見解は共通している。
問題点
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しつこすぎる天丼ネタ
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主人公が「ノンデリ」(ノンデリカシーの略称)呼びされる回数が極端に多い。ゲーム全体を通して95回にわたって、このワードが使われる。
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幼馴染の身内ネタと言えど、そもそもノンデリ呼ばわりされるほど主人公はヘマをしないので、悪口をあだ名感覚で使われるのに違和感が強い。
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恵凪のFワードも133回(「ふぁっ」から始まる派生形含む)に及ぶ。ノンデリほどではないが、こちらも回数の多さに嫌気がさす人も。
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シナリオの齟齬
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ゆずソフトは複数ライター制のため、共通ルートとそれぞれの個別ルートでキャラの一部言動にブレが見られる。
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散々主人公をノンデリ扱いしていた莉々子が、カップルの出歯亀を繰り返す月見ルートなどは最たるもの。
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言うまでもなく出歯亀はデリカシーのない行為であり、人をノンデリ呼びできる立場ではない。
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ガールズバンドやクラスメイトのモブキャラ立ち絵がなく、杏珠ルートで話者が分かりにくい場面がある。
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重要人物ではないため、勘違いしても話の大筋には影響しない。クラスメイトについてはパッチで追加されて改善した。
総評
「CGやUIは文句なしだが、シナリオは改善の余地あり」と評されることが多かったゆずソフトが、久々にファンタジー要素を廃した一作。
複数ライターによる粗などはあるものの、個別ルート単位で見れば音楽活動と恋愛のバランスが取れたテンポの良い話に仕上がった。
元々評価の高かった部分を引き継ぎつつ、豊富な素材や細かい差分などでさらに豪華に仕上がり、恋愛ゲームやノベルゲームとして高い完成度となった。
余談
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タイトルについて
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「ライムライト」は『脚光・名声』、「ジャム」は『即興演奏』を意味する。(カウントダウンムービーより)
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上述したように公式略称は「ララジャム」だが、他の候補として「ラードジャム」がネタとして挙げられていた。
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サンプルCGの中に「淫紋」があったため、「ファンタジーじゃないなら、これはなんなんだよ!」と突っ込みを受けていた。
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序盤の体験版範囲で真相が明らかになるが、シールを貼っただけである。
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LINEスタンプが発売されている。
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Fワードがまずかったのか、恵凪のスタンプは「ファッ」「ふぁっ!?」に表現が変更されている。
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同日発売に話題作が多かった
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ロングヒットしたシリーズ新作の『アマカノ3』、『顔のない月 -待宵の双椿-』『野々村病院の人々リメイク』といった往年の話題作のリメイク、抜き系では『アイコミ』など話題性のあるフルプライスタイトルが揃っていた。
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前後の2025年8月・10月は『天翔炎華エンブレイズ(DL先行販売)』『光翼戦姫エクスティアコンチェルト フィナーレ』とそれぞれフルプラが1本ずつだったため、9月に集中していたことがよくわかるだろう。(8月はコミケと被るため元々タイトルが少なくなりがちではある。)
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そんな中、販売店舗の駿河屋では累計新品売上が1位、アリスNET・FANZAダウンロード版は2025年の売上1位を記録するなど、存在感を大きく示した。
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本作のライターの一人「かずきふみ」は、2026年5月1日発売のライトノベル『無自覚たらしな幼馴染とは両想いじゃ終われない』でもライターを担当している。
最終更新:2026年04月25日 00:26