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西遊記ワールド

【さいゆうきわーるど】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 ジャレコ
開発元 NMK
発売日 1988年11月11日
定価 5,500円
プレイ人数 1人
配信 ジャレコレ ファミコン編
Switch: 2024年12月19日/990円
判定 良作
ポイント 『ビックリマンワールド』とは別のガワ替え
今度はステージ構成までアレンジ
悟空が剣を使うのは西遊記らしくないかも
ワンダーボーイ/モンスターワールドシリーズ


概要

1988年11月にジャレコが発売したファミリーコンピュータロムカセットのアクションRPGゲーム。
本作のベースになっているのはセガのアーケード作品『ワンダーボーイ モンスターランド』であり、そのアレンジ移植となる。
なお同作品のガワ替えで有名な『ビックリマンワールド』はステージ構成もそのままの完全なガワ替えだが、本作はステージ構成なども含め、かなりアレンジが加えられている。


特徴

  • 根本的なゲーム内容は上記作品と同様に、敵を倒して得られるお金を稼いで、装備やアイテムを揃えてラスボスである牛魔王を倒すという内容。
    • 題材が西遊記ということもあって、主人公は孫悟空となっており、店員やボスキャラも西遊記キャラで統一されている。また、ザコキャラのデザインもアレンジされた。*1
    • なお、孫悟空の象徴的武器「如意棒」は最強武器であるため、終盤まで入手できず、ゲーム中のほとんどで剣系の武器を使うことになる。
    • マジックアイテムも「風神うちわ」「炎の石」など、題材に合わせてアレンジされており、お金も「ゴールド」からゲームの舞台の中国らしい「元」になった。
  • 基本のゲームシステムは『ワンダーボーイ モンスターランド』『ビックリマンワールド』から受け継がれており、敵を倒したり隠しコインなどを見つけてお金を貯めて、武器やアイテムなどを購入してパワーアップする。
    • 様々な店は、2度入ると以降は入れなくなる点は同じだが、本作では扉が閉ざされたりすることはないので見た目ではわからない。
      • つまり入ったか否かを頭で覚えていなくてはならなくなった。
    • 敵の仕様も同じで、お金を落とすのは一度だけで時間経過やスクロールのアウトインでリスポーンするが2度目は得点アイテムしか落とさず、3度目以降は体力が倍になり何も落とさなくなる。
    • 『ビックリマンワールド』ではオミットされたレバガチャによるお金を増やす技が本作では復活した。
  • お金を手に入れた場合、オリジナル版では黒ウィンドウで「○○ゴールドを手に入れた」と表示されたが『リンクの冒険』の経験値のように、コインや金袋を取得した際、その金額が数字で浮かび上がるのみになった。
  • ステージ構成は『ワンダーボーイ モンスターランド』→『ビックリマンワールド』では変わらなかったが本作では、この点もアレンジされている。
    • 全体的に建物(店)が増えている。
    • 建物そのものも中華風なデザインに一新されている。
  • セレクトボタンでステータスのサブ画面に切り替えられる。
    • サブ画面では、現在の体力やアイテム所持状況などを見ることができる。
    • ステージクリア時の処理も、この画面で行われる。
  • ボス撃破時にカギがなくなり、ばら撒かれたコインや金袋を回収すると連れ去られた僧が一人出現しメッセージをくれる。
    • このメッセージが最終ステージ突破のヒントになる。

評価点

  • 元々ゲーム性は非常に良好であり、その点はしっかりオリジナル版から引き継がれている。
    • 様々なアイテムでパワーアップしたり、たくさんの魔法系アイテムによって攻撃の幅が広く、防具や補助アイテムも充実しているため、選択の幅も広い。攻撃も旧来作品同様に、ある程度連射がきく。
    • アイテムがそれぞれ固有の役割を持っているなど、元の作品の良い部分は取り込めている。
  • 魔法アイテムなども西遊記らしくモデルチェンジ。
    • 竜巻が「風神うちわ」、爆弾が「龍の玉」など、元からあったものの特性を引き継いで、アイテムのグラフィックなども世界観に溶け込んだものになった。
    • 金袋の文字も「$」から世界観に合わせて「元」になっている。
  • ステージ構成もしっかりアレンジしているので、双方の経験者も新しく楽しめる。
    • 大元のシステムは同じでも新しいステージを楽しめる。
    • 建物(店)が多くなったことで、より多くのアイテムを使用できる機会が増えたので、この点も好材料。
      • またライフ全回復の病院の数も増えたことで、金さえあればピンチからのリカバリーもしやすくなった。
  • BGMもバッチリ中華風にアレンジされている。
    • オリジナル版は中華風の世界観にはまったく合わないものだったため、この点でもしっかり雰囲気を演出している。
    • 『ビックリマンワールド』はその点もオリジナルのままだった。
  • ステータス用のサブ画面を導入したことで、より現状の状況を把握しやすくなった。
    • こういった部分はコンシューマならではの利点を活用できている。
  • ガワ替えでありながら、アイテムはそのままであるなど中途半端*2だった『ビックリマンワールド』と違い、本作はこういった違和感を無くすことが徹底されている。
    • 背景も、しっかり中華風の建物に描きなおされており、上記作品ほど露骨なガワ替えではない。
      • ファミコン移植はハード性能の低さからグラフィックの劣化が恒例だが中華風に一新したことで、それが目立たない。
    • ザコ敵の中にはヘビなど、元のままなグラフィックのものもいるが、この点は西遊記の雰囲気を壊さないものに限られている。
  • ボス撃破時のカギがなくなり、ばら撒かれたお金を回収するだけでボス戦はクリアとなった。
    • オリジナル版では、カギを避けなければならなかったが自然な形でお金を全額回収できる。
  • レバガチャによる隠しコインの復活。
    • ノーヒントなのは変わらないが、これによりお金を獲得できる機会が広がり『ビックリマンワールド』のような金欠になりにくくなった。
  • サブステータス画面により、いつでも詳細な形で現状が確認できる。
    • オリジナル版のようなアイコン表示ではないので、アイテムの名前なども確認できる。
      • 防具なども名前が表示され、名称や今何を装備しているか把握しやすくなった。
  • 裏技ながらコンティニューを搭載。
    • ゲームオーバー後のタイトル画面で十字の下を押しながらスタートを押すとできる。

問題点

  • 西遊記ありきで考えると違和感がある点も。
    • 前述通り悟空の象徴的な武器である如意棒は最強扱いのため必然的に終盤まで使えないので、実際にはまるで関係ない剣系武器ばかり使うことになる。
    • 武器は購入できないので、ここは如意棒固定にしてレベルアップ制のような形を取り入れても良かったかもしれない。
    • おひつじ座など十二星座はギリシャ神話であり、西遊記ではそのような概念は出てこない。
      • また各ステージで得られるヒントについても最終ステージの星座のシンボルを理解していなければ役に立たない。一応当時は『聖闘士星矢』が大人気だったため、同作を通して認知度もそれなりに高められており、その点は幸いではあるが。
  • 入った店を頭で覚えなければならない。
    • 「2度入った店はとざされて入れなくなる」はオリジナル版や『ビックリマンワールド』でも同じだが、本作の場合2度入って入れなくなった店もグラフィックが変わらないため、その点ではプレイヤー依存度が高い。
      • 評価点と被るが店の数が増えているので、その点でも重荷に感じてしまうかも。
  • 最初のデモがスキップできず、スタートボタンでポーズがかかってしまう。
    • そのため、飛ばそうとしてもポーズで止まってしまい、かえって進行を遅くしてしまう。
    • ポーズ音も小さいので誤ってポーズがかかったことにも気づきにくい。
  • ハードと容量の都合上ある程度は仕方ないが、劣化した点が目立つBGM
    • 曲の数自体が減っていて複数あったフィールドの曲がほぼ1つだけに、洞窟系ステージの曲と城系ステージの曲が同じ曲に統一されてしまっている。城系ステージよりはるかに出番の少ない水中ステージには専用の曲があるにもかかわらずである。
    • このせいでステージ10の最後(ラスボスの城の入り口で、本来は城系ステージの曲が流れる)の曲がステージ1と同じ明るい曲になってしまっており雰囲気に合っていない。
  • 最終面の曲は繰り返し流れる最初の部分がけたたましく、うるさい。
  • 原作を知っていると引っ掛かりやすい罠がある。
    • ステージ6のボスが出してくるクイズのヒントを聞ける酒場に行く直前に画面の切り替えがあり、左を押していないと下に落ちてしまって酒場に行けなくなる。クイズに間違って戦いになってもボス自体が大幅に弱体化しているのが救いだが。
    • ステージ7の後半にある、原作だと笛を使ってステージの右側にある隠し画面を出すところが大きく変わっている。
    • 笛を使う地点自体は変わっていないが、原作ではゴール地点だった塔がゴールではなく笛を使う高台の偽物になっていてここに上がって笛を使うと敵が出てきてしまう。しかもボスを倒すとそのままクリアになってしまって後から笛を使えず、ボスを2度倒すことができなくなっている。
    • 笛を使ってからも上記のステージ6と同じような仕掛けがあり隠し扉に着くのが難しくなっている。失敗しても何度でも行けるようになっているのが救い。

総評

ファミコン故にハード性能が劣ることでグラフィックの一部に劣化した印象があることは否めないが、その点は世界観を一新したことであまり目立たないのは好材料。
元々の『ワンダーボーイ モンスターランド』の時点で良くできていたゲームシステムや難易度バランスはしっかりと引き継ぎ、未経験者でも親しみやすく、最初から躓くようなことは少なく、ある程度の達成感を得ながら徐々にゲームに慣れ、楽しめる幅を広げていけるという良好なバランスは維持されている。
更に『ビックリマンワールド』のように違和感を覚えるようなキャラだけのガワ替えではなく、ステージ構成などゲームの根幹部分もしっかりアレンジされているため、前述の2作品経験者でもそれらとは一味違ったものとして楽しめる。
一部で気になる点はあるものの、西遊記としての世界観も軽んじられておらず、BGMやグラフィックもそれに合わせて丁寧に作り直されている。
後述の通り『ビックリマンワールド』の代替にはならないだろうが、完全初見プレイヤーも兄弟作の経験者も満足させられる内容だろう。


その後の展開

  • 同じくジャレコから、1990年12月7日に続編『西遊記ワールドII 天上界の魔神』が発売された。
    • グラフィックの質こそ受け継いでいるが、本作と違って既存作品のガワ替えではなく完全新作であり、前作から56年後を舞台としていて三蔵も出てこなかったり、自由選択の6体のステージボスをそれぞれ倒すと新たな法力を得てパワーアップなど、例えるなら『ロックマンシリーズ』風になった全く別物のアクションゲームとなっている。
    • こちらの北米版は、悟空を西部開拓時代のネイティブ・アメリカンに差し替えた『Whomp 'Em』として発売された。
  • 2024年12月19日にはNintendo Switchにて、シティコネクションがジャレコのファミリーコンピュータ用ソフトを復刻するシリーズ「ジャレコレ ファミコン編」の1つとしてダウンロード配信が開始された。
    • 「ジャレコレ」共通の巻き戻し・クイックセーブ・簡易アチーブメント表示・シンプルタイマー・字幕ガイド・パッケージデザインや説明書閲覧機能に加えて、本作独自の追加機能として冒険中に得たヒントやゲーム中に確認しておきたい情報を可視化できる新機能を搭載している。
      • 具体的には、ゲーム内UIに体力が1減るまでの残り時間が分かる「いのちタイマー」や、現在ワールド・所持アイテム・所持金が常時確認できるようになったり、ボスの体力が確認できたり、ゲーム枠外UIとして「武具ステータス」「パワーアップアイテム」「マジックアイテム」「いのちエクステンド」の各種詳細が確認できるようになったり、弟子を助けた際の「弟子のお告げ」や「お守り・お札ヒント」を一覧で確認できるなど。
    • 続編『II』も同じくジャレコレで2025年8月7日に海外版同梱で配信。

余談

  • 本作と同じく『ワンダーボーイ モンスターランド』のガワ替え作品だった『ビックリマンワールド』は高額なPCエンジン購入が必須という子供にはかなり高いハードルもあってファミコン移植を望む声が多かった。
    • 本作はゲーム性としてはある意味半分は移植が叶ったと言えなくもないが、やはり当時の子供たちが欲しがったのは『ワンダーボーイ モンスターランド』ではなく「ビックリマンのゲーム」であったため、そんな実感などなかっただろう。
    • 加えて、仮にもし本作が『ビックリマンワールド』のファミコン移植として発売されていたと想定しても、PCエンジン版から1年過ぎたこの時期には既にビックリマンのブームに翳りが見えていた*3ため、遅きに失していた恐れも否定できない。
      • 実際、徳間書店の『ファミリーコンピュータMagazine』(ファミマガ)における「出てほしいゲームベスト20」(他ハード既存作のファミコン移植希望)で『ビックリマンワールド』は1988年初期の頃こそ上位にいたが本作発売の1ヶ月ほど前にあたる19号(10月21日号→10月7日発売)ではランク外に落ちていた。
  • 『ワンダーボーイ』シリーズはウエストンのライセンスだが本作のみ、その対象外となっている。
最終更新:2026年10月04日 20:20

*1 『ビックリマンワールド』ではボスキャラこそビックリマンキャラに差し替えられたがザコ敵は『ワンダーボーイ モンスターランド』のまま。

*2 このためヘッドロココが爆弾を投げたりなど、ありえないことをしていた。

*3 ミニ四駆などの他の新興ブームに押されたことやビックリマン自身も1988年12月の第17弾シール以降ではヘッドシールが12枚構成で混入数も同等となりレアでもなんでもなくなったことでコレクションの面白みが薄いものとなった。