レイブレーサー

【れいぶれーさー】

ジャンル レース
対応機種 アーケード
メディア SYSTEM 22
発売・開発元 ナムコ
稼動開始日 1995年7月
判定 良作
ポイント より操作し易くなった挙動
一新した収録要素
370km/hモード
リッジレーサーシリーズ


概要

『リッジレーサーシリーズ』の記念すべき3作目。
前2作が好評だった事もあり、今作も期待を込めて注目された。
そして3作目としての役割を果たせ、新作が出でいる今もなおシリーズ最高傑作と称される程の大人気ゲームとなった。


ゲームの流れ

  • 1.まずコインを入れると「LINK(通信プレイ)」か「SOLO(一人プレイ)」が選べる。通信非対応の筐体や、通信が出来ない状況の場合はこのステップは無視され、次のステップに進む。
    • ここで「LINK」を選ぶと空いている台の画面に対戦者募集の表示が出る。最大8人まで対戦可能。
  • 2.次にシフトタイプを「AT」か「MT」を選択し、同時にレース中BGMを選択する。通常は(仮想の)DISC1が選択出来るが、ブレーキを踏むと(仮想の)DISC2を選択する事が可能になる。何もしていない場合は全曲からランダムでセレクトされる。
  • 3.最後にコースを選択する。視点切替を選択しながらコースを選ぶとタイムトライアル(以下T.T.)になる。またコマンドを入力するとグラフィックが左右反転したミラーコースになる。
    • ミラーモードのコマンドは、コース選択時にハンドルを右に2回切ってアクセルとブレーキを同時に踏む。
  • 4.1位でゴールすればパイロンゲームが出来る。そこで画面がフェードアウトする前にパイロンを全て倒す事が出来たらエンディングになる。但し最上級の場合はそのままエンディングになる。
    • 曲こそ同じだが、レースとT.T.ではエンディングのリアルタイムムービーが変わる。
  • 5.筐体内最速タイムを出す事が出来たらネームエントリーになる。出せなかった場合はそのままゲームオーバー。因みに無条件でコンティニューは出来ない。

評価点

前作から進化した演出面

  • やはりと言うべきか「SYSTEM 22」から出力されるグラフィック郡は1995年製とは思えない程綺麗で細かく、60fpsで滑らかに動く。家庭用ゲーム機で例えるならばPS末期以上の綺麗さ。
    • テクスチャのクオリティも素のグラフィックは勿論、アルファチャンネルを組み込んだ画像が多用される等もあり、特にタコメーターは前作から見違える程に綺麗になった。
  • ジャンプした時の挙動がよりダイナミックになり、着地した時は大げさに動く演出も迫力があり良質。
  • レース中のボイスの声に女性の声が追加された。同時に男性ボイスの声は別の物に変更された。

扱いやすくなった挙動

  • リッジならではのドリフト制御は前作よりも更にテールスライドが容易になり、操作し易くなっている。本気で『リッジレーサーV』までの家庭用よりも爽快かつ簡単に操作出来ると言って良いレベル。
    • 壁に接触した時の減速も従来の90km/h辺りから150km/h位に抑えられており、うっかりミスのダメージを減少させている所も評価点。
    • 本作ではドリフト中に敵車と接触しても大幅に減速したり、ドリフトが中断されることがなく、この点もドリフトのしやすさに繋がっている。

新コース

  • 新コースが2つ追加されている。どちらも個性豊かで見ているだけでも面白い。
    • 中級「CITY」…横浜が舞台のシティコース。道路幅が広くて走りやすく、こちらが初級に相応しいのでは無いかと言われているコースでもある。バックストレートの3連ジャンプはこのコースを語る上で欠かせない所である。終盤はアップダウンが目立つ工場地帯を走るが、そこまで難しくは無いだろう。
    • 最上級「MOUNTAIN」…山中のサーキット。最初のコーナーはアウトに膨らみ過ぎると崖に落ち、迂回路を通る羽目になる。他にもドリフトしながらジャンプするコーナーや、全長が短いながらも狭い道幅の中でのS字カーブ等、ドライバーを苦しめる要素が盛り沢山。
  • 既存のコースにも手が加えられており、初見殺しかつ理不尽気味な「複合コーナーにジャンプポイントが存在している」等のポイントが無くなり、走り易くなっている箇所もある。
    • 逆にバックストレート後のヘアピンでアウトに膨らみ易くなって難しくなっている所もある。
  • 上記の通り、全てのコースでT.T.が選べるようになった。前作はT.T.もコースの1つ扱いだった。

UI周り

  • 今作から全タイプの筐体に反力機構が搭載されるようになった。コンバージョンキットで改装出来るキットも販売されたが、搭載しなくてもゲーム自体は起動する。
  • 家庭用リッジで採用されていた視点切替がついにアーケードである今作にも導入された。

より現実味を帯びたカッコ良い架空車種群

  • 車は全て一新されており、より現実味を帯びたデザインに進化している。
  • ライバルカーが前作の黄車に青車が加わって2台に増え、より緊張感のあるレースが楽しめるようになった。特に青車のライバルカーはノーミスで走っても追尾する位速い。
    • CPU車は基本的に青車>黄車>それ以外の車種>廉価車と性能が変わる。
    • 因みにプレイヤーが使用する場合、車種の性能は全て同じである。
      • 一応FR、ミドシップ、総排気量、ターボ…等車種の設定上の違いはあるが、反映はされていない。
    • 一方で初期設定ではCPU車は11台に減った。これは後のリッジのスタンダードとなる。

多彩になったBGM

  • 曲も前作から一新された完全新曲が12曲収録されているが、どれも『リッジレーサー』と言う雰囲気に合う名曲に相応しい物ばかりである。
    • 作曲者は「megaten*1」「AYA」「sanodg」「J99」であり、全員前作から引き続き参加している。
    • 1~2作がジュリアナ調気味の曲が多かったが、期間が経ってジャングル系やトランス、フュージョン系、ジャズ調等レイブレーサーが出た当時に流行りのリズムの曲が増えた。
      これはリッジレーサー1作目の曲の発注が「フュージョンっぽいもの」だったのがレイブレーサーでやっと(?)叶った形である。
      • 当時の雑誌で各曲のライナーノーツ的なものが載せられた。前々作が「ROTTERDAM NATION」をぶっ飛んだ曲、前作が「RARE HERO2」を反則曲と言われたが、今作は「EUPHORIA(DISC2-3曲目)」を「サビの盛り上がりが異常な曲」と紹介していた。
    • 前作からであるが、ゲームセンター側で曲の選び方と、店員さん独自の曲紹介、感想、オススメ曲ランキング等をPOPで表示する店舗が現れた。リッジレーサーシリーズはゲームセンターに通い詰めるゲーマーだけでなく一般層もハマった作品なので、選曲できる事を知らずに遊んでいる人が意外と多く、魅力を店が発信する好材料となった。
      どれだけ凄いことかと言えば、『ダービーオーナーズクラブ』『電車でGO!』と並ぶ「非常に優秀な一般層を虜にしたゲーム」と肩を並べるほど。
      この『リッジレーサーシリーズ』の場合だと、特に当時の車好きや若手サラリーマン、本家走り屋、また走り屋もどきまで、ゲームとは無縁だった層をゲームセンターに呼び寄せたほどの影響力である。

問題点

仕様上の問題点

  • 相変わらず車種はプレイヤーからでは選べず、テストスイッチでのみしか変更出来ない。そもそも車種による性能の差もなく、プレイヤーにクルマを選ばせる積極的な理由はないといえばない。
  • 「反力機構搭載」の表示はテストスイッチの手動設定で決まるので、表示があっても実際は反力機構が搭載されていないと言う詐称が出来てしまう。
  • 上級は長い上に後半セクションが狭いせいか対戦では選べず、代わりに最上級エキスパートが選べる…のだが、これは単に最上級からスローカーブーストがオフになっていると言う水増しと言う代物。
  • ネームエントリーを除いて全体的に制限時間が短い。特にシフト兼曲選択の制限時間が作業内容に対して異常に短く、6秒しか無い。曲は前述の通りに選択するのだから尚更短く感じるのは間違い無いだろう。
    • これは前作のリッジレーサーのDX筐体からのコンバートが前提だったからと思われる。この筐体はH型シフトなので1~6速にシフトレバーを入れることによりダイレクトに選択が出来る。SD筐体、もしくは2筐体からのコンバートの場合シフトレバーを前後にガチャガチャやらないといけないので完全に時間不足。
    • 追い打ちとばかりにレース中の制限時間も勿論短い。特にT.T.での制限時間は後述の裏技の使用を想定してか、リッジ初期三部作の中でもかなりシビアな設定で少しでもミスを繰り返せばタイムアップは必至。

ランダム要素「青車の速度」の弊害

  • ライバルカーである青車の速さにランダム要素が入っている。これだけだと一見特に問題がないように見えるが…。
    • この青車が異常なペースで独走状態になることがあり、こちらがノーミスでも青車に追いつけないという状況に陥る。運悪くこの現象が発生した場合、1位を獲るのが非常に難しくなってしまう。
      • 最上級でこの現象が発生しやすい。上級でも発生したという報告もあり。

総評

視点切替、リアリティのある架空車種、個性豊かなコース、より扱い易くなった操作性、個性的なBGM等、以後のシリーズの基礎を固める事が出来た功績は大きいものである。
シリーズ3作品目はシリーズ物の分岐点や総決算であると言われている伝統を見事に良い方向に昇華出来たゲームと言っても良いだろう。
家庭用には移植されていない上、基板と筐体共に稼働から20年落ちを迎えた故に長期稼働による老朽化や経年劣化により徐々に撤去されていく為、やるなら今のうちである。
そして後述の裏技の発見により、このゲームの素質がより見出される事となった…。


余談

裏技の発見でベストタイムが大幅に縮まった

  • 稼働から2ヶ月程の1995年9月に全てのコースで最高速度を370km/hにする裏技が発見され、ベストタイムが大幅に更新される事となった。
    それまでは44秒台だったベストタイムが35秒台にまで短縮され、最終的には30秒台にまで短縮される事態となった。
    以下Raveracer氏のサイトから引用(引用先)
    + 370km/hモードの詳細
  • 1.コインを入れて「MT」を選び、コースを選択し、決定する。
  • 2.スタート時にわざと空転させ、それを完全に起こす。
    • 中級の場合は5~6km/h位空転させる。
  • 3.ジャンプポイントでジャンプ中に車に乗っかる。ジャンプする前に車にくっついているとやり易い。
  • 4.乗っかった後は着地するまでに1速にシフトダウンする。
    • 最上級に限り、完全に空転させた後、1速のまま逆走してレイブレーサーウォールに突っ込むだけで発動する。
  • 5.成功すれば、レースなら334km/h、T.T.なら370km/hが出る。ATの場合は当然シフトダウンが出来ないので一瞬だけ出てその後元の速度に戻る。 但し以下の行為をすればキャンセルされ、失速する。
  • 1速よりシフトアップさせる。一瞬だけシフトアップさせてカーブを攻略するテクニックもあるが、かなりハイリスクである。
  • 310km/h未満でブレーキを踏んだりアクセルを離したり壁に接触する等減速する。若しくはジャンプ後の着地で310km/h未満になった。
  • ジャンプ中に壁に接触する。着地後に310km/h未満になる為。
  • 最上級の最初のコーナーから落下する。その為迂回路を経由して370km/hモードを発生させる事は不可能。 これらの事もあるので370km/hモードを維持するのには相当やり込まないといけない。
    因みに今作は現在以上にドリフトすると、かなりアウトに膨らみ易い挙動なので、今のリッジに慣れている人でもやり込まないと維持をするのは難しいと言って良い。

アトラクトに登場する女性キャラクター

  • アトラクトに登場するポリゴンの女性キャラクターには名前は無い。因みに「レイブレイ子」と言う名はゲーメスト大賞のキャラクターノミネートにおいて暫定的に付けられた名前で正式名称では無い。
    因みに彼女は本作の主人公でもあり、チラシ等でNo.3号車のドライバーとして描かれている。名前が付けられなかった理由は彼女がこのゲームの主人公で所謂プレイヤーの分身であるからという説もある。
    • 尤も、主人公キャラにはデフォルトでの名前が設定されておらず、プレイヤー自身による入力で名前が登録されるという設定は、RPG系等を筆頭に当時のゲームではよくある現象であった。
    • なお、彼女はアトラクトデモ以外にも対戦待ち画面にてハイレグ水着姿で登場している他、CITYコースの最初のチェックポイント直後にあるトンネル入り口の大型ビジョンの表示にて腰を振って踊る女性型のネオンとしても登場している。
      ※海外仕様では普通の大きな左カーブのサインに変更されている。
    • 因みに、ショートカットがとても似合っているが「当時のポリゴン技術ではロングヘアが難しかったから」とされている。その後、各メーカーがポリゴン+テクスチャーのゲームを作る際の女性キャラは大概がショートなのは同等の理由である。
      仮にロングヘアに出来たとしても、今度は女性キャラが着ている革ジャンの背中部分のタイトルロゴが隠れてしまう問題が起きるので何とも言えないところではある。因みに臍が出ていないのも同じく当時のポリゴン技術の限界ではないかとされている。
      • 結局『リッジレーサーズ』にアトラクトが収録される際、ナムコの現存資料を調査したとの事だが…残念ながら名前は見つからなかったとの事。

家庭用移植にまつわる大人の事情

  • 本作発売後の翌年にNECホームエレクトロニクスがWindows PC向けのグラフィックカードとして発表したVideoLogic(現:Imagination Technologies)社のグラフィックプロセッサ、PowerVR PCX2搭載の「NEC PC 3D Engine 2」のバンドルソフトとして移植の予定があったのだが開発中のスクリーンショットが数枚出たきりで肝心のカードを含めお蔵入りとなった。
    • 因みにこの「PowerVR PCX2」とはDCやNAOMI基板に搭載された「PowerVR2」の1世代前のグラフィックプロセッサの改良版で、2D描画機能を持たない3D描画を専門としたプロセッサである。当時、PCゲームの3D描画専門プロセッサとしても有名な3dfx社の「VooDoo」や後継の「VooDoo2」搭載カードと同様、別途グラフィックカードが必要とされた。
    • PSにも移植が予定され、前述のPC版と同時期に開発されていたのだがこちらもお蔵入りに終わっている。
      • 結局家庭用リッジの3作目は完全新作となる『レイジレーサー』となり、PC用リッジは2012年発売の外注作『RIDGE RACER:UNBOUNDED』まで待たなくてはならなかった。*2

その他

  • 出回りもリッジ2の普及の良さもあってnamco直営店以外でも8台通信設置も良く見かけられた。特にとしまえんや横浜ドリームランド等、何故か遊園地で見かける事が多かった。
    • 遊園地系はメーカーのゲームレンタル部門が持て余している大型筐体を交渉無く設置出来たので、売上あろうが無かろうが倉庫で眠らせるより良いという事で置いていた後ろ向きな事情も。
      遊園地側も秋~冬場は寒さで客足が極端に少なくなるので屋内機種を入れる分には大歓迎だったので双方共得するのだから尚更だろう。
    • ほか、珍しいところでは「熱海のロープウェイ乗り場併設のゲームコーナー」「箱根大涌谷の売店の中」など、なんでそんなとこに?と思うほどのロケーションに置かれていたこともある。それほど人気があり、出回りの多い機種だったという証といえよう。
最終更新:2021年03月14日 19:40

*1 ゲーム内では本名である細江慎治名義。

*2 日本では未発売