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西遊記ワールドII 天上界の魔神

【さいゆうきわーるどつー てんじょうかいのまじん】

ジャンル アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 ジャレコ
発売日 1990年12月7日
定価 5,600円
プレイ人数 1人
配信 ジャレコレ ファミコン編
Switch: 2025年8月7日/990円
判定 なし
ポイント 前作とは実質別物で『ロックマン』風なSFを交えたアクション
滑らかなアクションは健在
ポーズ中に法力(武器)選択ができず煩わしい
ステージ数は前作よりも大幅ダウン
西遊記ワールドシリーズ
西遊記ワールド / 西遊記ワールドII 天上界の魔神



暴れ猿、悟空只今見参!!



概要

1990年12月にジャレコが発売したファミリーコンピュータロムカセットのアクションゲーム。
前作は1988年11月に発売された『西遊記ワールド』だが、そちらの作品はセガのアーケード作品『ワンダーボーイ モンスターランド』をアレンジしたファミコン移植であった。
一方、本作はそのような経緯はなくジャレコ自身が開発したオリジナル新作であるため、続編を名乗りつつも毛色が大きく異なる作品になっている。
世界観も完全オリジナルとなっており、原作の『西遊記』がベースなのは主人公の悟空などごく一部のキャラ程度で殆どが本作独自のもの。


ストーリー

欲界の最高神、 魔羅 (マーラ)によって宇宙の均衡を保つ七つの天珠が盗まれた。
三蔵より天界の危機を知らされた悟空は、再び如意棒を手に生まれ故郷の花果山をあとにした。
目指すは、6つの州に渡って隠された天珠。
魔神を倒し6つの天珠を手にした時7番目の新たな宝力が宿り魔羅を倒す力となるという…
かくして悟空の冒険が始まった。

 (取扱説明書2・3頁より引用)


特徴

  • 前述の通りストーリーは完全オリジナル。
    • 悟空以外はエンディングでお釈迦様が出てくるのみ。
    • 三蔵も説明書記載のストーリー上で出てくるものの、ゲーム本編では登場しない。
  • 前作のようなお金を稼いでアイテムを購入するRPGのような要素はなく、基本的に純粋なアクションゲームとなっている。
    • ただし一部のアイテムは前作から続投している。
    • また経験値によるレベルアップのようなものがあり「ひょうたん」を一定数集めるとライフ最大値が1つずつ増える。ライフはハートで表示され初期値は4つ、最大で12まで。
    • ゲームスタートで始まる「花果山」はオープニングステージでクリアすると、前述の6つの州(ステージ)から選択して1つずつ攻略していく。
      • それぞれのステージでボスを倒すとクリアとなり、法力が手に入る。感覚としては『ロックマンシリーズ』に近い。
      • ただしビーム(飛び道具)主体だった上記シリーズとは異なり、悟空の攻撃は如意棒による近接攻撃が主体となる。
      • また、法力も「龍頭斬」以外はリソース消費の有限なものではなく無制限に使える。
    • 6つすべての州をクリアすると7つ目の法力が手に入り、魔羅のいるラストステージへ行ける。
    • 残機制はないが、コンティニューは無制限に可能。州選びから再開となる。
  • 操作は左右で移動し、上で如意棒を構えた防御(上からの落下物などの攻撃を防ぐ)、下でしゃがむ。
    • Aでジャンプ、Bで如意棒を伸ばしての攻撃。そこまで長くはならないがB長押しすると伸ばして突く。
    • ジャンプ中に上で上突き、ジャンプ中に下で下突きができる。下突きで敵を攻撃すると踏みつけるようにバウンドする。
    • ポーズはセレクトでかかる。この時「あと〇コ」と次のレベルアップまでの必要なひょうたんの数を表示。
    • スタートボタンで法力(デフォルトの如意棒含む)を選択。

法力

法力 獲得州 法力の効果
火炎刀 炎の州 伸縮はできないが攻撃力は如意棒の2倍。氷のブロックを破壊できる。
筋斗雲 冥の州 呼び出すと悟空の周りを漂う*1。乗ることで空中を自在に移動できるが一定時間経過で消える。
旋破風 木の州 崩れかかった壁を壊せる。一部の敵の弾を弾き飛ばしたり、降り注ぐ岩石を砕いたり、特定の敵には大ダメージを与えられる。
束体糸 腐の州 蜘蛛の糸に敵を捕らえて、放すとそれを飛ばして攻撃できる。
氷雪粉 水の州 氷のスプレーを吹き付けて敵を凍らせ、それを足場にできる。
分身棒 金の州 棒を真正面に飛ばして攻撃できるが威力は弱い。壁などに当たると突き刺さり足場にできる。刺さった棒は一定時間経過で消える。
龍頭斬 6つの州をクリア 威力のある飛び道具だが真正面にしか飛ばせず、一発撃つごとにハート1つ分のライフを消耗する。

ステージ

州 ボス 州の特徴
花果山 - 特に変わった特徴はない。ただ縦長の区画では一部に針状の岩のある足場がありダメージを受ける。
炎の州 煙羅炎羅 所々に溶岩の沼があり、落ちるとダメージ。縦長区画ではガスバーナーのように炎が定期的に噴き出す罠がある。
冥の州 牛魔魂 縦長区画では棘のある足場の他に、下から敵が襲ってくる。
木の州 葉葉鬼 特に厄介なギミックなどはないが、終盤に動くリフトを飛び移りで上る箇所がある。
腐の州 婆具魔 炎の州と同じく落ちるとダメージの沼があり、シダの葉の動く足場やジャンプ台を飛び移って進む。
水の州 邪婆大王 水中区画は息が続かないため、一定時間ごとにライフが減る。
金の州 魏岩斗 序盤は滑りやすい足場と地雷地帯。終盤には乗っていると上昇して落とされる足場がある。
天上界 魔羅 雑魚敵は今まで倒したボスキャラを小型化したようなものが登場する。雲の足場はちょっとしたジャンプ台のようにピョンピョン弾む。
3番目にあたる氷の区画では穴に落ちると最初に戻され、5番目の区画は無重力なので如意棒を出したり敵にぶつかったりの反発力で進まなければならない。

アイテム

  • これらは基本的に敵を倒すと出現するが、特定の箇所を通過、ジャンプ、攻撃して出現するものもある。
アイテム名 効果
スモールハート ハート1つ分のライフを回復。
ビッグハート ライフを全回復。
こて 一時的に悟空の攻撃力を2倍にする。一定数敵を攻撃すると効果がなくなり上空に吹っ飛んでいく。
冠 一時的に悟空の防御力を2倍にする。一定数敵を攻撃を受けると効果がなくなり上空に吹っ飛んでいく。
ひょうたん 経験値アイテムで一定数集めるごとにライフ最大値が増える。既に最大レベルならばスモールハートと同じ効果。
羽織 一定時間悟空が半透明になり無敵化する。
金丹 ライフが尽きると同時に自動消費されハート6つ分回復。3つまでストック可能。
金箝種 如意棒の長さが倍になる。その州をクリアするかやられるまで効果が持続。

評価点

  • アクションは前作よりも一層身軽になった。
    • 如意棒を正面に突くだけではなくジャンプして上突きや下突きなど、デフォルトでの使い勝手が大幅に向上。
  • 良質なグラフィック。
    • 背景・キャラクター共にファミコン後期の標準以上のクオリティで、腐の州のアニメーションする背景の描きこみは特に見ごたえがある。
  • オープニングステージ「花果山」は練習ステージとしてうってつけな構成。
    • ここでは上突き、下突きの練習もできるし、岩場を小刻みにジャンプして登っていく区画もあり、ジャンプのコツなども掴むことができる。
    • 敵もそれぞれの基本技が有効的に活かせるものが満遍なく配置されている。
  • 法力の様々な個性。
    • 単純にすべてが攻撃でなく、直接の攻撃はせず補助的な役割に徹した「筋斗雲」などもあり、こういった部分は『ロックマンシリーズ』からしっかり良い部分を踏襲している。
      • それぞれに得手不得手があり、活かせるステージを見つけることで攻略がよりスムーズになるなど、深い戦略性も生み出している。
    • また『ロックマンシリーズ』のように、リソースが有限であることから使用を渋ってかえって苦戦してしまうという初心者が陥りやすい点が見られるが、本作ではそれが無制限に使えるので、初心者でも制限に囚われず思う存分試すことができる。
  • ドロップ上限の解禁。
    • 前作は「リスポーンした敵はアイテムを落とさない」という元の作品『ワンダーボーイ モンスターランド』からシステムの難点まで引き継いでしまっていたが、それが改善された。
    • このためアイテム稼ぎができるようになり、ライフの回復も容易になった。
  • ひょうたんによるライフアップ。
    • アクションRPGだった前作と異なり完全なアクションになったが、成長要素があることでザコ狩りにも意義が生まれ、初心者への救済にもなっている。
      • 最大まで増やせばひょうたんが回復アイテムにもなるので、そのパワーアップをより実感できる。
    • ただしこちらのライフ最大値が増えると各州のボスキャラクターの体力も増える。道中は確実に楽になるが、ボスに対してはある程度の地力が求められる。

賛否両論点

  • 西遊記というよりはほとんどSFやファンタジーに近い。
    • 前述通りほとんどオリジナルというのもあるが三蔵・八戒・悟浄はまったく出ないし悟空以外西遊記に直結したキャラクターはいない。
    • BGMの出来そのものは良いのだが、西遊記によく似合う中華風の曲はオープニングステージと木の州ぐらい。
      • こういう部分は『ロックマン』の影響を色濃く受けており本来の西遊記らしいかと言われるとらしくない。
    • ただ悟空だけが違う冒険をしているのも悪いものではないしストーリー的にも「宇宙の均衡を保つ」とあるので、そういう意味では世界観に乗っ取れていると言える。
    • BGMは『プラスアルファ』や『E.D.F.』などを作曲した多和田吏氏が担当。同氏がジャレコ在籍中に手掛けた最後期の作品に当たる。

問題点

  • この時代のアクションゲームとしてはボリューム不足。
    • 『スーパーマリオブラザーズ3』(1988年)や『悪魔城伝説』(1989年)、『ロックマン3』(本作の約3か月前)など、大ボリュームのアクションゲームがすでに何作も世に出ている中で、初代『ロックマン』より少ない8ステージは流石にボリュームが不足している。
    • 前作と比較してもステージ数が11から3つも減少しており、難易度変更の要素もない。
  • 買い物ができなくなったことで装備による強化の幅が狭くなった。
    • 装備自体はドロップアイテム扱いになったが、悟空の見た目に反映されなくなり、効果も限定的になった。
    • ゲーム自体が元々違うものであるため仕方ないものの、続編という位置づけで考えるとゲーム性の退化に思えてしまう。
  • 法力の切り替えが煩わしい。
    • 『ロックマンシリーズ』のようにポーズを挟んでじっくり考えながら切り替えられないので、順番を頭で覚えてスタートボタンを何度も押して切り替えることを瞬時に判断しなければならず、単純にやりづらい。
      • ステージをクリアする度に新たな法力を獲得する仕様上、ボタンを押す回数も増えていってしまう。
      • この点はポーズ中の切り替えを有効にするべきだっただろう。
  • ライフが残りわずかになったときに常時鳴る警告音がけたたましく、BGMを阻害してしまう。
  • 筋斗雲は便利なようで扱いにくさもある。
    • 悟空が乗っていないとフラフラと漂って安定せず乗るためにはタイミングを計る必要があり、それでいて狙って乗れないことも多々ある。
    • また乗っている状態で一定時間が経つと消えてしまう。この点も扱いにくさを助長している。
    • ジャンプするとまた漂い状態になるので、地面に着地するつもりでいたら意図せず乗ってしまうことも多々ある。
  • 金丹を奪うボス敵。
    • 冥の州ボスの牛魔魂と腐の州ボスの婆具魔は自身の体力が少なくなると、こちらの金丹を奪い自身に使用してくる。
      • 金丹自体は敵のドロップ率がかなり低く、隠し場所以外ではそうやすやすと手に入らないので、さすがにやりすぎに思えてしまう。
  • ライフ最大値を増やすためのひょうたんの要求数が膨大になっていく。
    • ライフ4つ分までは9個・12個・16個・22個…と比較的まともな要求数なのだが、後の4つ分は30個・42個・62個・99個と特に最後の2つ分の要求数が非常に多くなっている。
      • 後半は意図的に稼がないと無理な数で、効率がいい場所で稼いでも結構な時間がかかってしまう。
      • パスワードコンティニューもないため、ライフの最大値に不安のあるプレイヤーは毎回時間をかけて稼ぐことを強いられてしまう。
  • ラストステージの一部ギミック。
    • 3番目にあたる氷のエリアでは穴に落ちるとスタート地点に戻されてしまう。ジャンプでは越えられない大きな穴もあり、必然的に筋斗雲を使っていくのだが、前述のように筋斗雲は扱いにくく、またその最中にも敵が襲ってくる。
      • 場合によっては何度も下に落ちてスタート地点に戻される可能性があり、かなりストレスフルである。
    • 5番目の無重力エリアは操作のクセが強く、ほとんど制御がきかない上に敵の攻撃のノックバックで飛ばされたりもするし、その勢いで壁に跳ね返ると立て直しがしにくいなど、かなり厄介。
      • ゲームの最終盤でいきなり特殊な操作を要求してくるため、プレイヤーがアンフェアだと感じやすくなってしまっている。

総評

前作とは実質別物になり、まったく新しく生まれ変わったため前作の良さはかなり失われてしまったものの、これはこれでまたアクションゲームとしては新しい味を楽しめる。
滑らかなアクションに加えて、デフォルト武器の如意棒もただ横向きに突くだけでなく『リンクの冒険』よろしくジャンプを交えた上下突きができるようになったことなどはじめ改良もされている。
ゲーム性を構築する上でモデルとしたと思われる『ロックマンシリーズ』に対しても、ただの猿真似ではなく会得した法力がそれぞれ持ち味がありながらデフォルトの如意棒が下位互換にならないなど差別化が図られている。
残念なのは、その法力をポーズ中に選べないという不便さと、この時期にしてはもちろん前作と比べてもボリュームがかなり少なく手慣れた者には手応えがイマイチなど、いくら実質別作品とはいえ全般的に進化が上回ったものではない点に尽きる。
とはいえ、しっかり個性を持ったゲームではあるし世界観は西遊記にしてはかなり突飛にはなったものの、これはこれで独自の面白みが出せている。


その後の展開

  • 北米版は、世界観をアメリカの西部開拓時代に移して一部のグラフィックを差し替えた『WHOMP 'EM』として発売された。
    • 主人公は若きネイティブ・アメリカン(所謂インディアン)の槍使い「ソアリング・イーグル」に変更され、如意棒は槍、法力はトーテムの能力に。性能自体は悟空そのまま。
    • 他にも木の州(SACRED WOODS/聖なる森)のパンダが熊になっているなど、いくつかの変更点が存在する。ただし原作からの流用箇所も多く、敵や背景にアジアン風っぽさは残ったままのなんともいえない雰囲気。
  • 2025年8月7日にはNintendo Switchにて、シティコネクションがジャレコのファミリーコンピュータ用ソフトを復刻するシリーズ「ジャレコレ ファミコン編」の1つとしてダウンロード配信が開始された。
    • 国内版だけでなく、北米版『WHOMP 'EM』も同時収録されており、タイトル画面で選択可能。さらに『WHOMP 'EM』はゲーム内に日本語字幕が追加されている。
    • 「ジャレコレ」共通の巻き戻し・クイックセーブ・簡易アチーブメント表示・シンプルタイマー・字幕ガイド・パッケージデザインや説明書閲覧機能に加えて、取得したアクションと効果をいつでも確認可能な「如意棒&法力情報」/「槍&トーテム攻撃」、ライフアップに必要なひょうたん数を画面に常に表示させる「ひょうたんあと何コ」、隠しアイテムが近くにあると悟空/イーグルの顔アイコンが変化する「わくわくフェイス」といった新機能も追加されている。
      • 「如意棒&法力情報」機能が追加された事により法力の並び順を可視化する事が可能になったので、この機能をONにする事で原作の問題点であった法力の切り替えの難しさを緩和する事ができ、幾分か遊びやすくなった。

余談

  • 設定上は前作から56年後とのこと。
    • 三蔵はゲーム本編に直接登場しないものの、前述のようにストーリー上では「三蔵より天界の危機を知らされた」とあるように裏設定として気持ち程度絡んでいる。
      • なお三蔵は日本国内では割と年配のイメージを持たれていることもしばしばある*2ことから「そんな年月が経っているなら生きていないのでは?」と一見疑問に思うかもしれないが、実は原典である本家『西遊記』では24歳前後*3とかなり若く、その56年後ならば大体80歳前後なので「死んでこそいないものの直接冒険はできない」と設定としてうまくかみ合っている。
  • 一部雑魚キャラクターの造形について。
    • 金の州や水の州に日の丸扇子を持った雑魚敵が登場するが、同じような姿の雑魚敵が同社のファミリーコンピュータ用ソフト『つるピカハゲ丸 めざせ!つるセコの証』(1991年)にも登場する。
    • 金の州冒頭にて、同社のアーケードゲーム『天聖龍』(1989年)の自機とよく似た姿の龍型の雑魚敵が登場する。
最終更新:2026年10月31日 20:23

*1 筋斗雲からジャンプ等で降りると再び漂い状態になる。すでに出ている状態ではBボタンでデフォルトの如意棒攻撃ができる。

*2 1988年に公開されたアニメ『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』では恰幅の良い姿で描かれている。なお日本では前述の映画で、しずかちゃんが三蔵の格好をしていたり日本テレビ系で放送されたドラマ『西遊記』(1978~1979年に第1期、1979年~1980年に第2期)の人気もあって女性っぽいイメージも持たれている。

*3 そして、そのモデルとなった史実の玄奘三蔵は27歳という若さで仏教を学ぶため、中国からインドまで往復3万キロ、17年もの年月をかけて過酷な旅を行った。