SEGA AGES 2500シリーズ Vol.33 ファンタジーゾーン コンプリートコレクション
【せがえいじす にせんごひゃくしりーず ぼりゅーむさんじゅうさん ふぁんたじーぞーん こんぷりーとこれくしょん】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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セガ
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開発元
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M2
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発売日
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2008年9月11日
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定価
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2,500円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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配信
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ゲームアーカイブス 2014年4月16日/1,500円(税込)
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判定
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良作
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ポイント
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6作品11タイトルを移植した永久保存版 新作「System16版ファンタジーゾーンII」 サンソフト開発のファミコン版のアレンジも収録 SEGA AGESシリーズ最後にふさわしい良移植+アレンジ
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ファンタジーゾーンシリーズ
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SEGA AGESシリーズリンク
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概要
2008年にてセガがプレイステーション2にてリリースしたSEGA AGES 2500(以下エイジス)シリーズの第33弾
セガの名作シューティングである『ファンタジーゾーン』シリーズの数々を忠実移植で網羅したオムニバス作品である。
旧作の移植に加え、『System16版ファンタジーゾーンII』、サンソフト作のファミコン版をベースにビジュアルを一新した「ネオクラシック版」が新作として収録されている。
本ページでは、新作2タイトルと全タイトルを通しての批評を取り扱う。
収録タイトル
新作タイトル
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ファンタジーゾーンII オパオパの涙 System16版
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ファンタジーゾーンはアーケードからセガ・マークIIIに移植されたが、ファンタジーゾーンIIはマークIIIからアーケードに逆輸入された形であった。
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マークIII版をそっくりそのままアーケードに移植、いわばぶっこ抜きの状態であり(多少変更はあるが)基板もSystemEのため、System16を用いた初代よりもチープな出来であった。
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それを、もし当時のアーケード版がSystem16を用いて作られていたら、という名目で作られたのが今タイトルである。
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既に既出のタイトルの移植だけでボリュームが多い今作だが、決して手抜きではなく、実際に当時アーケードゲームとして発売しても全く違和感のない出来である。
ちなみにだが純正のSystem16基板ではRAMが足りない為に再現出来ないとか。そのため元のSystem16のRAMモジュールを交換して容量を増やしたSystem16Cと称される専用基板を使用している。
エミュレーション環境だけでなく、1枚だけだが実基板が製作されイベント時に稼働する事がある。
一部オークションサイトでこの実基板が出品された事があるが、M2の堀井社長は「本物の実基板は手元にある、あれは海賊版」と警告を発しているので、見かけても買わないように。
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ファンタジーゾーンネオクラシック版
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ファンタジーゾーンのファミコン版はサンソフトが移植を担当しており、その完成度の高さから人気を博していた。
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そのファミコン版のグラフィックを現代風にアレンジし、音楽も鮮明な音に変更したのが今作である。
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ボスキャラの仕様も、ウィンクロンの渦も3本になっているなど、ファミコン版準拠となっている。
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このタイトルはシークレットであり、公式サイトには存在が書かれているが、パッケージ裏には記載されていない。
評価点
新作タイトルについて
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1タイトルとして全く遜色の無い完成度
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今作は「コンプリートコレクション」の名の通り移植がメインだが、新作タイトルも今作の魅力として非常に評価が高い。
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ファンタジーゾーンIIでは初代の作曲家が使っていたサウンドドライバ(+当時の他のセガ製ゲームのドライバ)をほぼそのまま使っており、全体を通してSystem16実機で動作するかの確認も取っているという記述が説明書のコラムに記載されている。
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そのため、初代ファンタジーゾーンのようにこのSystem16版が原作だと思い込んでしまうことだってあり得る完成度である。
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シークレットであるネオクラシック版も、一部の効果音がファミコン版のままだったり、なんと"画面切り替えによるスプライトのチラつき"というファミコンの仕様まで再現している。見事な表現力である。
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公式サイトで言われている通り、ファミコン版特有の操作性なども違和感なく再現されている。
全タイトルを通して
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ボリュームの多さ
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単純に11タイトルで定価2,500円というのは非常に安価だと言えるだろう。
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特にファンタジーゾーンギアや、ギャラクティックプロテクターなどはソフト単体での希少価値が高いため、非常に需要の高い移植である。
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ただし現在では入手困難でプレミア価格が付いている。
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移植度の高さ
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実質的にアレンジ移植だった『SEGA AGES 2500シリーズ Vol.3 ファンタジーゾーン』と異なり、移植に定評のあるM2による忠実移植のため、違和感なく遊ぶことができる。
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さらに、ボタン配置やその他環境設定の変更も容易であり、リプレイ機能も搭載と、単なる移植に留まらない充実した環境を完備している。
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ちなみに、ファンタジーゾーンに関しては日本版や海外版などの変更も可能。
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System16、SystemE、マークIII、メガドライブと実に他機種に渡った移植だが、どれか一つが極端に動作が重いなどの問題点も無い。
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ロードが少ない
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PS2を起動してからのロードは短く、遊んでいるゲームを変える時のロードもほぼ無い。もちろん、ゲーム中にロードが入ることもない。
賛否両論点
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一部の未収録タイトル
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ファミコン版の「アレンジ」というだけで、アレンジ元の『ファミコン版ファンタジーゾーン』は未収録。また『MSX版ファンタジーゾーン』、『ファミコン版ファンタジーゾーンII』など未収録。
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もっとも、任天堂などの他社のものをSONYに移植するのも難しい話だが。公式サイトでも「サンソフト版」と、元がファミコンであることをぼかした表記になっている。
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ほかの移植で追加された「スペースハリアー面」や、「8面〜10面」も未収録である。
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あくまで原作の移植のため、と割り切ってしまえば気になる問題では無いだろう。
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UIが少々チープ
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青いウィンドウに文字が表示されるのみ。パステルカラーが特徴のゲームに合っているとは言い難い。
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こちらも、ゲーム本編に関わる話ではなく、また2500円のシリーズであると考えれば少々わがままにも聞こえる程度の問題である。
問題点
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一部の再現度の低さ
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唯一気になるのが「スーパーファンタジーゾーン」の音楽で、音がくぐもっており、実機と聞き比べると音質が悪く聞こえる。
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勿論メガドライブのサウンドドライバの移植は難しいものがあるため多少なりとも劣ってしまう点は仕方なく、破綻しているほど酷いわけではないが、他タイトルの移植度が素晴らしいこともあるだけに、少々気になる点である。
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また「ファンタジーゾーン(AC版)」において、ラスボスが涙を流さないという演出上の致命的なミスが存在する。
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PS2アーカイブスでの配信バージョンでは修正済み。
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「ギャラクティックプロテクター」については原作がパドルコントローラー必須のゲームなのだが、原作の左右回転操作をアナログスティックで代用するという方式にしているので「敵のいる方向に向かって素早く狙いをつける操作」がいまいちやりにくい。
総評
若干の気になる点はあるが作品そのものを大きく損ねているとはいいがたい微々たるものに収まっており、各タイトルの移植度も総合的に見て驚異的と言ってよく、更にプレイ環境回りもきっちり整えられている、と、移植作としてはこの上なく高いレベルでまとめ上げられている。加えて新作2作も徹底的に作りこまれており、シリーズ作品に恥じない高い完成度を備えている。
ファンタジーゾーンの世界を楽しみたいのであれば間違いなく今作を選ぶべきである。そう断言して差し支えない決定版である。
最終更新:2025年02月01日 11:51