真・魔装機神 PANZER WARFARE
【しんまそうきしん ぱんつぁーうぉーふぇあ】
ジャンル
|
シミュレーション
|
 |
対応機種
|
プレイステーション
|
発売元
|
バンプレスト
|
発売日
|
1999年11月25日
|
定価
|
6,800円
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
従来の魔装機神シリーズとは別物 ゲーム性は薄いがストーリーは良好 敵が可哀想なくらい魔装機神が強い 公式の扱いが不遇
|
スーパーロボット大戦関連作品リンク
|
概要
『スーパーロボット大戦』シリーズの外伝的存在で、SFCソフト『スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL』(以下『LOE』)に続く、魔装機神シリーズの第2弾。
前作を開発したウィンキーソフトとスパロボシリーズ発売元のバンプレストの提携が解消されている時期に生み出された。
そのため世界設定は一新され、登場するメカ以外に前作との共通点は殆ど無く、公式のスパロボ20周年史ではシリーズに数えられていない。
特徴
-
ストーリーは完全に一本道で、全35面を順にクリアしていく。隠しイベントや隠れキャラなども存在しない。
-
仲間の加入・離脱は強制で決まっており、更にユニット乗り換えも強制で行われる。出撃メンバーも強制であり、プレイヤーが選択することはできない。
-
戦闘時のセリフはザコ敵を含めてフルボイスである。
-
『LOE』同様ユニットはリアル頭身で描かれている。また「向き」の概念があり、背後から攻撃されるとダメージが増す。
-
一方マップはスクエア式ではなくヘックス式になっている。
-
資金はそもそも存在せず、ユニット改造はできない。強化パーツ(アイテム)も存在しない。
-
経験値によるレベルアップは存在するが、パイロットとユニットのレベルアップは一体である。
-
なお一般的な『スパロボ』関連作品と違って、敵を撃墜しないと経験値は入らず(攻撃を命中させただけではダメ)、また彼我のレベル差によってもらえる経験値が増減する事も無い。
-
精神コマンド「努力」を使用することで取得経験値を2倍にすることはできるが、最終的に自軍に残るメンバーで努力を覚えるのは1人のみである。
-
ザコ敵が無限湧きする面は無く、全滅プレイもできないため、ゲーム中に入手できる経験値は有限である。
問題点
戦闘関連
-
戦闘アニメはフル3D…のように見えるが、機体がプリレンダCGで描かれているだけでアニメの内容自体はウィンキー時代と大差なく、出来はかなり悪い。しかも攻撃演出にも流用が多い。
-
その上戦闘前に「(自軍ユニット名)VS(敵ユニット名)」というプロレスの対戦の様なアイキャッチがいちいち入ったり、攻撃モーションがもっさりしていたりと、テンポも悪い。
-
ボイスもボリュームがおかしく、途中から聞こえ始める事まである。
-
ただし戦闘前にスキップの選択ができる。
-
序盤は、仲間はそれほど強くない代わりに人数が多いため、役割分担をさせたり協力して攻撃させたりと、一般的なシミュレーションゲームのような感覚でプレイできる…のだが、第12話で主人公が魔装機神に乗り換えた途端バランスはガラリと変わってしまう。
-
主人公とヒロイン以外の仲間が全員離脱し二度と操作できなくなる。前述の通りゲーム中に入手できる経験値が有限である事もあり、この2人以外の仲間で敵を倒すと損をすることになる。
-
後に新たな仲間が2人加わり、最終的に味方は魔装機神4体のみとなるのだが、この4体が尋常では無いほど強い。
-
一応この4体は、どれか1体でも撃墜された瞬間ゲームオーバーとなる…のだが、ザコの攻撃にビクともしないどころか、ボスの攻撃でも4発ぐらい受けないと倒されない上、HPを毎ターン一定量回復してしまうのでまるでハンデになっていない。
-
一方、敵は妙に頑丈な者が多く、しかも射程外からの攻撃には「防御」を行う。そのうえ信頼・根性・友情といった回復系精神コマンドをザコでも頻繁に使ってくるため、撃墜には手間取りやすい。つまり攻撃力は弱いくせにしつこい敵ばかりという印象が強く、ダレる。
-
魔装機神の中で、ザムジードだけがやけに育てにくい。移動後使用できるマップ兵器を唯一持たず、「必中」も相当育てないと覚えないので攻撃を当てにくい。また「空」の地形適応が低いため、着陸できないシナリオでは弱体化する。最強武器は自分と同じ地形にいる敵にしか使えないため、敵の多くが飛行してくる本作ではあまり強く感じられない。…それでも楽勝のゲームバランスだが。
-
一方ガッデスは水中戦が最も得意だが、本作では水中戦の機会がそれほどない。しかし他の地形でも十分強い上、パイロットが「努力」持ちなのでむしろ育てやすい。
-
武器選択画面では、攻撃力などの文字のフォントが妙に小さく、またウィンドウの色が原因でパッと見では確認しにくい。
その他の問題点
-
パッドリセットはできるがクイックロードはできない。
-
各シナリオの冒頭で
厨二臭い詩的な表現の文章がテロップで表示されるのだが、やたらと回りくどい表現が多く、しかも背景のタイトルロゴと文字色が被っているため読み辛い。
-
そのシナリオではなく直前のクリアしたシナリオの内容に関する文章であるため、読まなくてもストーリーの筋を理解する上で邪魔にならないのが救いか。
-
「魔装機神は国をも滅ぼしうる力を持つ」「並みの機体では相手にならない」という設定が度々語られており、確かにゲーム中もその通りの性能である。この為「設定上は強いはずなのになぜか実際は弱い」という、設定と実際の強さのギャップは感じられない。
-
しかしおかげで敵側に悲壮感が漂いまくるストーリーになってしまっている。敵のネームドキャラは、どれも初登場時は「魔装機神がどれほどのものか、戦うのが楽しみだ」と余裕綽々なのだが、一度敗走した途端「あんな奴らにどうやって勝てっていうんだ?」「死んで来いって言うのか!」とぼやき始め、実際の戦闘でも勝負にならないものだから、プレイヤーが弱い者いじめをしているかのような雰囲気が漂ってくる。
-
挙句の果てに馬に乗った兵士という敵ユニット(HPたったの1!)まで登場するため、巨大ロボットに乗った主人公で馬に乗った人間を殺さなければならない。もうどちらが悪役かわからない。
-
サウンドテスト・CGデモ観賞機能は存在する…のだが、なぜか隠しコマンドを入力しないと閲覧できない裏技扱いである。
-
『スパロボ』でお馴染みのキャラ&メカ事典も存在しないので、設定がわかりづらいのも難点か。
評価点
-
戦闘アニメとは裏腹にオープニングアニメはかなり出来がよく、悲壮感漂う主題歌も名曲である。おかげで本作の価値はオープニングとまで言われてしまうが。
-
ストーリーは本作1本できちんとまとまっており、思わせぶりな引きなどはない。
-
ネームドキャラは少なめだが、その分各々のキャラ立ちはしっかりしている。悪く言えばテンプレ的性格の者ばかりだが。
-
ラスボスだけはキチンと強い。大量のザコと一緒に攻めてくるうえ、1ターンで一気にたたみ掛けないと精神コマンド+マップ兵器で追い込まれてしまう。
総評
バグや致命的な欠陥は無くシナリオについてはそれなりの評価を得ているが、魔装機神の名を冠して機体や名前を借りる必要性が感じられない内容。
ゲーム性の低さもあって本家やシリーズのファンからの評価は一般ユーザー以上に芳しくない…というより、公式年表に載っていない事もあってそもそも存在が知られていない。
その他の話題
-
ソフトを起動すると真っ先に、同時期に放送されていたTVアニメ『魔装機神サイバスター』(通称『アニバスター』)の宣伝映像が流れる。しかし同作は主題歌の評価は非常に高いが本編の評価は散々なものであった。
-
また『スーパーロボット大戦コンプリートボックス』を最後に、上記の提携解消がなされており、当時は魔装機神の権利問題に関するキナ臭い噂も絶えなかった(後の2010年に再びウィンキーソフト開発のシリーズ作が発売された)。
-
これらの経緯から、本作を「アニバスターをゲーム化したもの」と誤解している人もいるが、実際は全く異なる内容である。
-
なお当時スパロボシリーズのプロデューサーだった寺田貴信氏は2023年、X上で本作を「自分は関わっていないが、魔装機神のIP存続のためにはアリだと思った」と言及しており、本作の存在を否定しているわけではない。
-
従来シリーズとの関連性
-
天からロボットの腕が落ちてきて人々はこれを「神の腕」と呼び、技術や封入された情報を解析して魔装機や再現した魔装機神を作ったという設定。この腕の正体が従来シリーズの風の魔装機神サイバスターの片腕である。
-
本作の魔装機神は出来の劣る模造品であるため、本物のサイバスターの腕を組み込んだラスボス機こそが「真の魔装機神」であるとラスボスが主張する。まるで本作自体を揶揄してるかのようにも聞こえる形でのタイトル回収に思わず苦笑いしてしまったプレイヤーも居ることだろう。
-
本作のヒロイン・アルマには、「人差し指を口元に当ててトボケ顔をしている」という立ち絵があるのだが、よく見ると指が6本描かれている。
-
2008年発売の『スーパーロボット大戦Z』にて、ある機体が使う技の演出内に本作のサイバスターと前述の『アニバスター』版サイバスターらしき機体が一瞬登場しユーザーを驚かせた。
-
しかしそれ以後、本作絡みの動きは特に起こっていない。
-
本作のメインシナリオを担当したのはTRPGのデザイナーやリプレイ作家として知られる菊池たけし氏である。
-
氏の手がける「主八界」と呼ばれる世界観について「第四世界は精霊界の力をつかった魔装騎といわれる魔導ロボットが闊歩する『ワースブレイド』のようなファンタジー世界」と雑誌で記述されたことがあり、本作品の舞台であるア・ゼルスが主八界における第四世界ではないかと噂するファンも存在した。
-
その後、第四世界についての情報が明らかになったことで、現在ではア・ゼルスが第四世界ではないことが明確になっている。
最終更新:2023年09月04日 21:59