王だぁ! ~ORDER~
【おうだぁ】
| ジャンル | シミュレーション |  | 
| 対応機種 | Wii(Wiiウェア) | 
| 発売・開発元 | ポイソフト | 
| 配信開始日 | 2009年6月2日 | 
| 定価 | 1,000Wiiポイント | 
| 備考 | 2019年1月31日にWiiウェアの購入期間は終了済み | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 新規メーカーの処女作 大味とみるか粗が多いとみるか
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概要
ポイソフトの業界参入作。
RPG界の王様となり、部下をこき使って一国を統べる「王様シミュレーション」。
主人公の分身である王様は自分では戦わず、多様なスキルやパラメータを持つ部下に指示を出し、勇者や自国軍の力で魔王の討伐を目指す…はずなのだが。
特徴・評価点
自国繁栄、治安維持、軍隊強化、他国と交渉、領土拡大などできることは多く、自由度の高さがウリ。
勇者に依頼をしたり、世界の敵である魔王と結託して暗躍することもできる。
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ゲームの最終目的は魔王の討伐、敗北条件は王様(主人公)の死亡。時間制限などは一切ないので、どちらかを満たさない限り半永久的にゲームは続いていく。王様は歳を取ると引退してしまうが、王子がいれば自動的に跡を継ぎ続行可能。
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システムはコマンド選択式。豊富に用意されたコマンドを決定する王宮画面と、結果を見守る進行フェーズを繰り返してゲームを進めていく。進行フェーズでは勇者や領民が城を訪ねてくることもある。
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指示を出せる人数は最大100人にも及ぶが、内務省や外務省など直属部隊以外の部署に部下を配置しておけばCPUがオートで行動を設定してくれる。また、各部署へは行動の方針も設定できるためいちいち手動で操作せずともある程度プレイヤーの思惑に沿う行動を取らせることができる。
 
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特徴的なのが勇者の存在。彼らは世界中を自由に行き来し、街の問題を解決してくれたり、ダンジョンを攻略したりする。
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城の宝箱を勝手に開けたりもする。王であるプレイヤーにとっては泥棒されたということ。身に覚えのある方も多いはず。
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城のセキュリティを強化すれば泥棒行為を未然に防ぎ、逆にひっ捕らえることも可能。捕らえた勇者には懐柔や拷問などあれこれ手を加えられる。
 
 
自由度は高く、どんなプレイスタイルを取るかはプレイヤー次第。
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周辺国と友好を保ち勇者をじっくりと育成する王道プレイ、逆に勇者には頼らず武力にものを言わせて力ずくで他国を制圧する覇道プレイなど遊び方は十人十色。ゲームの最終的な目的は「魔王の討伐」ながらそれに留まらないプレイが可能。
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盗みに入った勇者は片っ端から捕縛して処刑、他国からの友好使節さえふん縛って装備品を頂き処刑、果てには何もしていない勇者さえも捕らえて処刑…といった非道プレイも可。もちろん善き王を目指しても良い。
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魔王と友好関係を築ければ姫をさらってもらったり魔物を貸してもらうことさえできる。勇者に奪還を頼めば経験値稼ぎ等に利用できる。
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が、あまりに魔王と仲良くなりすぎると、現金や勇者の捕縛を強要されるなどの無理難題を吹っ掛けられることも(断ると友好度ダウン)。
 
 
問題点
処女作であるという点を考慮しても、不親切・大味な点、バグが多い。
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チュートリアルは一切なく、説明書の内容もコマンドの解説が主。初見では手探りで進行せざるを得ない。
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ゲーム外ではあるが公式サイトでいい王様と悪い王様の会話形式によるチュートリアルが掲載されている。(参照)
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「いきなり放り出される」感覚がむしろ良い、というプレイヤーもいる。
 
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他国の併合の条件があまりにも緩すぎる。友好度10程度(友好使節3・4回ほど)からあっさり成功するようになるので、わざわざ戦争を仕掛けるメリットは皆無。
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一応、断られると友好度がマイナスに一気に振り切れ、敵対国となってしまうというリスクもある。
 
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エルフの国を選択し人間の王でゲームを始めると、王の年齢にエルフの数値が適用されてしまい、ゲーム開始直後に天寿を全うしていきなりゲームオーバー。
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施設の建設を命令された部下が建設中に死んでしまうと、その土地はずっと建設中になってしまう。施設も完成せず破壊もできない。
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災害の中でも「魔法暴走」と「禁呪暴走」は、どちらもエリアが破壊され機能低下・停止するという特に強烈なものだが、ひとたび起こってしまうと収まらない。サポートによると解決不可能とのこと。
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禁呪暴走は勇者に禁呪[ザラストサバー]を与えさえしなければ未然に防げる。他国が勇者に与えてしまうこともあるが。
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一方、魔法暴走の原因となる魔術研究所は不死兵・モンスター兵・魔法兵の開発にどうしても必要なため、魔王軍に自力で対抗できる軍隊を組織したい場合は作らざるを得ない。
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本拠地から離れた僻地にまとめて建設し、欲しい兵種が開発されしだい改築する等の工夫が必要。それでも起きる時は起こってしまうが。
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なお、魔法暴走は勇者への報酬がたったの1sで済むため、不要な装備品や使い捨てのアイテムを押しつけるのに使えなくもない。
 
 
インターフェイス周りも改善の余地あり。
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勇者はレベル順に並べられているだけで、検索機能やソートは一切ない。勇者に用事がある場合はその都度名前一覧から該当者を探し当てる必要がある。
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シナリオにもよるが勇者の総勢は時として50名を超えることもある。自国の好きな勇者だけを表示、などということができないのはストレス。
 
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装備品の効果は説明文に記載されておらず、攻撃力や防御力などの具体的な数値は実際に勇者や部下に装備させるまでわからない。
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人材や勇者が持っているスキルも具体的な記載がなく、ゲーム中の曖昧な解説で効果を推し量るしかない。
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「命名イベント」の面倒くささ。『生まれた子供などに王様自ら名前を付けてください』という、これだけ見れば微笑ましいイベントなのだが…。
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命名を求める領民は領地全国からやってくるので支配エリアが広がってくると毎日ひっきりなしに命名に追われることになる。画面暗転→領民来城→命名→領民去城→画面暗転の流れはとても煩わしい。
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支配エリアが広大になるにつれこの傾向が顕著になるため、「テンポ良く本作を楽しみたかったら領地は広げるな」と言うのがプレイヤーの間では定説となってしまっている。
 
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命名するメリットも小さく、被命名者が自国を好きになり易くなる程度。
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さらに致命的なのが「被命名者の情報は何もわからない」という点。種族はおろか性別すら不明なので、美少女風の名前を付けた相手がドワーフのおっさんだったという事態がざらに起きる。
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ちなみにこのイベント時だけ何故かランダム命名機能も封印されてしまう。
 
 
総評
RPG世界の勇者ではなく王様に着目したコンセプトは良かったものの、至る所に散見される不親切さ、バグの存在がとても痛い。
しかしながら昔懐かしいテイストの粗いドット絵や奔放に動き回る勇者には妙な親しみやすさがあり、シミュレーションゲームとしても一定の水準には達している。
何より、新興メーカーが低価格ながらそこそこ遊べるゲームを繰り出してきてくれた、という事実を喜ぶ声がとても多い。
その後の展開
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世界観を共有する次回作に同じくWiiウェア『ボクも世界を救いたい』、3DSダウンロードソフト『夜の魔人といくさの国~さまよえるヴァンピール~』がある。
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2013年12月11日には本作と『ボクも世界を救いたい』のシステムを融合させた続編『王だぁ!ランド』が3DSダウンロードソフトとして発売されている。
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2017年9月28日にはSwitch版も配信開始。単なる3DS版の移植ではなくUIが改修された他、無料アップデート、有料DLCで追加シナリオが配信された。
 
余談
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口コミで評判が広まったのか、2009年6月13日のWiiウェア人気ソフトランキングで首位を獲得、6月16日の同ランキングでは配信が開始された『乱戦!ポケモンスクランブル』を抑えて首位の座を防衛している。
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ちなみに、作中に登場する地名は一見すると適当なようだが実は意味や元ネタがあったりする。
    
    
        | + | 地名の由来。長いので格納 | 
由来が偏っているところを見ると、北海道、四国出身のスタッフがいるようだ。
| アガリ | 琉球語で「東」 |  
| イリ | 琉球語で「西」 |  
| エカシ | アイヌ語で「長老」 |  
| クンネチ | アイヌ語で「月」 |  
| コタンコロクル | アイヌ語で「村長」 |  
| チセ | アイヌ語で「家」 |  
| トノト | アイヌ語で「神酒」 |  
| ノンノ | アイヌ語で「花」 |  
| ピリカ | アイヌ語で「美しい」 |  
| ミナ | アイヌ語で「笑う」 |  
| ユーカラ | アイヌ語で「詩」 |  
| グルーイア | Grewia。睡蓮木のこと。 |  
| エトピリカ | Etupirka。花魁鳥。アイヌ語で「くちばしが美しい」 |  
| エケベリア | Echeveria。メキシコ原産の植物。 |  
| オノジ | 高知県高岡郡檮原町大野地(こうちけん・たかおかぐん・ゆすはらちょう・おおのじ)。 |  
| ユスハ | 同上。 |  
| ラムジマウ | 高知県安芸郡馬路村(あきぐん・うまじむら)。 |  
| ティンカ | 四万十川各地にかかる沈下橋から。 |  
| コレヒドール | フィリピン国ルソン島の小島。 |  
| サンノゼ | アメリカ西海岸の都市名San Jose。 |  
| ウルムチ | 中国・新疆維吾爾自治区(しんきょう・ういぐる・じちく)の烏魯木斉市(うるむちし) |  |  
 
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王様の名前を「おっぱい」にしようとすると、10回以上も確認を取らされる小ネタが存在する。以下がその全文。
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「おっぱいというと、一般的に相当恥ずかしい名前ですが、よろしいですか?」→「ホントに?」→「ホントのホントに?」→「ホントのホントのホントに?」→「ホントのホントのホントのホントに?」→「ほんっっっっっっっとに大丈夫?」→「絶対後悔しない?」→「ホントに絶対、確実に後悔しない?」→「後になって文句を言わない?」→「親が見ても泣かない?」→「この言葉を駅のホームで叫べる?」
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ここまで全て「はい」と答えてようやく名前を「おっぱい」にすることができる。「何が何でも「おっぱい」にはさせない」というメーカーの強い意志が見て取れる。
 
最終更新:2023年08月11日 02:07