このページはSFC用ソフト『夜光虫』と、移植版であるGBC用ソフト『夜光虫GB』の紹介をしています。
夜光虫
【やこうちゅう】 
| ジャンル | サウンドノベル |  
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| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 16MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | アテナ | 
| 発売日 | 1995年6月16日 | 
| 定価 | 10,800円(税別) | 
| 書換 | ニンテンドウパワー 1997年12月1日/1,000円/F×4・B×4
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| 判定 | なし | 
| ポイント | ルートの乏しさ | 
 
概要
チュンソフト以外のメーカーから発売された、初のSFC用サウンドノベルソフト。(パッケージ裏の表記上はマルチストーリーAVG)。
太平洋を航行中の貨物船を舞台としたゲームで、シナリオは後にドラマの脚本やノベライズを多数手掛ける白石マミ。
音楽は工藤静香など数多くのアーティストに曲を提供している音楽プロデューサーの後藤次利が担当している。
特徴
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主人公は貨物船の船長であり、航海中の貨物船で起きる奇妙な事件を描く。
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そのため、基本的に物語は貨物船内および海上でのみ展開する。
 
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チュンソフト製の元祖サウンドノベル『弟切草』『かまいたちの夜』を意識して作られており、作中では主人公が「読む小説とでも呼ぶべき縦書き草の夜」なるゲームをプレイしているという台詞がある。
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ちなみに、『かまいたちの夜特別編公式ファンブック』に、本作に関するちょっとしたエピソードが記載されている。
 
評価点
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貨物船という珍しい舞台設定
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貨物船の船長という主人公の肩書や、航行中の貨物船の中で事件に巻き込まれるという舞台設定は他に類を見ない。
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ただしこの舞台設定が本作のオリジナリティでもあるとともに、舞台や登場人物が限られてしまうことによって後述するシナリオのバリエーションの乏しさに繋がっている面も否めない。
 
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何度かプレイしていると、冒頭の主要キャラ紹介のテキストがカットされる。
問題点
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シナリオ自体のバリエーションが少ない。
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基本シナリオは「近藤編」「密航者編」「殺人蜂編」の3種類あるが、各エンディングバリエーションは多くない。
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これも前述のように舞台や登場人物が限られている事が一因と思われる。
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登場人物は個性はあるのだが、ほぼダイアナの乗組員だけなので話も広がりにくい。
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舞台の関係上、登場人物の殆どは男性。ヒロイン的存在の婚約者も冒頭のみの登場であり、他に女性キャラは密航者ぐらいしかいない。男性主人公&パートナーの女性を中心に展開する王道の流れから敢えて外れたとも言えるが…。
 
 
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選択肢も「どれを選んでも結局同じ」というものが大多数。
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「殺人蜂編」では、蜂に刺されても刺されなくてもエンディングは結局同じ。1度刺されたら体内に卵を植え付けられるから助からないという医者の台詞も出てくるのに、である。
 
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1度見た結末をもう1度見ると結末が若干変わるという仕掛けも少しはあるのだが、「近藤の霊に導かれて主人公達は助かった」という結末が、最後の選択肢でどちらを選んでも「これから助かるかどうかも結局わからない」に変わっているという謎の変化もある。
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後のGB版ではこの最後の選択肢で助かる結末があり、また上記「殺人蜂編」の矛盾も追加分岐でフォローされている事から、容量不足で急遽削ったのかと勘繰ってしまうほどである。
 
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コンティニューは「オートセーブの続きから始める」か、「最初からやり直す」かのみ。『かまいたちの夜』の様な章単位のコンティニュー機能は無い。
総評
速読みなど便利機能が存在しないのは時代を考えれば仕方ないとしても、システム面には「本作ならではの長所」はほぼ無いと言って良い。
シナリオに関してもバリエーションの少なさは如何ともしがたい。
夜光虫GB
【やこうちゅう げーむぼーい】 
| ジャンル | サウンドノベル |  
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| 対応機種 | ゲームボーイカラー(専用) | 
| メディア | 16MbitROMカートリッジ | 
| 発売・開発元 | アテナ | 
| 発売日 | 1999年10月22日 | 
| 定価 | 3,800円(税別) | 
| 備考 | ゲームボーイカラー専用 | 
| 判定 | なし | 
 
概要(GB)
ゲームボーイカラー専用として発売された移植版。
テキストの差し替えやシナリオの追加などが行われている。
文章中の漢字の読み仮名が参照できる機能がある。
評価点(GB)
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スペックに劣る携帯機への移植でありながらも、シナリオ面では各ルートに新しい選択肢とEDが追加され、「グスタフ編」という完全新規のルートも追加されるなどボリュームがかなり増強された。
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単純にED数だけで言っても3倍に増えている。「2度目で結末がなぜかバッドエンドに変わる」の修正や、殺人蜂編で刺された場合の分岐追加など、不備も改善されている。
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EDリストの追加などはないが、シナリオ達成率が表示されるようになり、コンプリートしたかが分かるようになった。
 
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通常のセーブファイルと中断セーブが別扱いである等、システム面でSFC版から改善された点もある。
賛否両論点(GB)
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本格的な漢字まじりのテキスト表示をGBで実現した数少ないソフト。
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文字は8×8ドットで、多くの文字は縦7ドットに収まってなるべく隣の文字と接触しないように配慮されている。
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とは言えこの文字サイズでの漢字表示はやはり大分無理があり、文字が潰れて判別に難があることも多い。読み仮名表示はこれへの対処の面もあるか。
 
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追加変更された選択肢や分岐には、GBの低年齢ユーザーを考慮したのか、若干キャラクターを壊すようなコミカルな内容が多くなっている。
問題点(GB)
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SFC版から音楽は全て差し替えとなり、グラフィックもかなり劣化している。
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ただしその一方で、うめき声や叫び声のSEがSFC版と比べてかなり増やされており、低スペックながら雰囲気を壊さないよう努力されている。
 
総評(GB)
グラフィックやサウンドは弱いが、シナリオ面は改善・強化されており、完成度ではGB版の方が高い。どちらかを買うとするならGB版の方が良いだろう。
その後の展開
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GBC版発売と同日にN64で『夜光虫II 殺人航路』が発売されている。ただし、第1作とのストーリー上の繋がりはない。
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こちらは短編集に近い本作と異なり、一本のメインシナリオを軸にそこから別ルートへ分岐するという『かまいたちの夜』に近いものとなっている。
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内容も、殺人事件などホラー・サスペンス色が強いルートが多く、貨物線から客船がメインとなった事で登場人物も主人公とヒロインを始め個性豊かになった。つまり全体的に『かまいたちの夜』化している。
 
最終更新:2025年05月12日 00:51