ドラマチックダンジョン サクラ大戦 ~君あるがため~
【どらまちっくだんじょん さくらたいせん きみあるがため】
| ジャンル | ドラマチックダンジョンRPG |  |  | 
| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | セガ | 
| 開発元 | ネバーランドカンパニー | 
| 発売日 | 2008年3月19日 | 
| 定価 | 通常版:5,040円 限定版:7,140円
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 『サクラ大戦』初のローグライク オールスター総出演
 旧製作陣が最後に開発した事実上の旧シリーズ完結編
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| サクラ大戦シリーズリンク | 
 
概要
人気ゲーム作品『サクラ大戦』初のDS作品にしてローグライクゲーム。『サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~』の一年後の世界が舞台。
現代に復活したジャンヌ・ダルクの野望を止める為に大神一郎と大河新次郎のどちらかを動かして離れ離れになった華撃団の仲間と共にダンジョンを進むという内容。
当時『マガジンZ』で連載されていた『サクラ大戦 ショウ劇場』にも4コママンガが収録されていた。
評価点
全ヒロインの登場
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本作の発売当時はヒロインの一人であるソレッタ・織姫役を演じる岡本麻弥氏が歌謡ショウへの参加が出来なかった為出演は不可能か出てもライブラリ程度と思われていたが、本作では無事に出演している。
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また別のヒロイン神崎すみれも『4』発売後に部隊を退いている為に出演が危ぶまれていたが一時的な復帰という事で本作に出演した。
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更に特定の条件をクリアすれば三人娘やメルシー、ワンペアと言ったサブキャラやかえで・ラチェットと言った副司令、大神の親友で大河とも関係が深い加山までも使用が可能になる。
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中でもラチェットの声の人は声優ではなく元劇団四季の舞台女優の為ギャラが段違いに高いのだがきちんと新録音声を撮っている。
 
 
ジャンルが変わっても残る『サクラ大戦』らしさ
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町の見回りや時間制限有りの選択肢、風呂場の覗きイベントなどシリーズお馴染みのシステムは健在。とりわけ風呂場イベントは条件次第で敵のボスであるジャンヌ・ダルクの水浴びシーンを拝むことができるほか、アイリス・コクリコ・リカのロリヒロイン達を連れた後に風呂場に行くと三人一緒の入浴シーンがあるという嬉しいイベントもある。
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戦闘パートでもこれまで通り「風林火山」や「心技体」「ヘルプミー」のコマンドを使う事が出来る他、「かばう」を使えば回数制限こそあるものの対象のヒロインがノーダメージで済む。またシリーズの顔とも言える合体攻撃は一部サブキャラを除く殆どが新規書き下ろしグラフィックで描かれている。
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協力攻撃も残っており、大神が紐育、大河が帝都や巴里のヒロインに声をかける事も。
 
 
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各ヒロインにはそれぞれ固有のスキルがあり、「フロアの弁当を探す(リカ)」「一定の範囲内でテレポートが可能(アイリス)」「アイテムに化けたモンスターの変身を見破る(コクリコ)」と言った役立つものから「特定のモンスターから逃げる(すみれ、カンナ、アイリス、グリシーヌ、サジータ)」と言った困ったものまで。
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アイテム類も多様に渡り、中にはシリーズを知っているとニヤリとする物もある。
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例として「紅蘭の怪しい薬」は『初代』のシナリオ内で大神が飲まされた物の再現で、「HPが全快するが副作用で眠ってしまう」という効果。
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更にマニアックな物では、「ダマスカスソード」は『GB2~サンダーボルト作戦~』に登場した武器が元ネタ。
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GB2における「ウーツ鉱(錆びない、曲がらない、しなやかな鉄)で作られた」という経緯を反映して、本作では「サビによる弱体化を受けない(かつ基礎攻撃力も高め)」という主力にしやすい性能に仕上がっている。
 
 
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各シナリオパートには従来通り次回予告が挿入されている。
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敵ユニットもオリジナルだけでなく、脇侍やポーンと言った過去作の雑魚が登場。
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ED曲は全メインヒロインによる『笑って笑って』。総勢18人による歌はどれも歌唱力が高く、田中公平氏の楽曲により魅力を最大限に引き出されていると言っても過言ではない。
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作中使用曲も過去の音源を出来る限り忠実に再現している。
 
賛否両論点
性能差があり過ぎるヒロイン
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どのヒロインにも特性があり、性能がかぶる事は無いものの一部のキャラクターが明らかに万能すぎる。
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例えばマリアは銃弾を壁に跳ね返し跳弾させることで、部屋にいる殆どの敵にダメージを与えることができる。原作OVAでも銃弾同士を撃ち合ったりと超人的なテクニックを見せていたのだが…一応、銃弾を無効化するor銃弾でパワーアップする敵がいる為必ずしも無敵ではなく、レベルが上がると対処して攻撃をしなくなる。
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そうでなくてもマリアの場合、必殺技が数少ない氷属性なので優遇されすぎているのだが。
 
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また織姫も「未識別のアイテムを次のフロアで識別する」という便利なスキルを持っているが、原作ではそんなキャラではない。
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折角様々なアイテムがあるのだから、織姫が識別できるのは指輪などにして「未識別の発明品は紅蘭が識別する」「未識別の薬はダイアナが識別する」という風に分けた方が良かったのでは無いだろうか?
 
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逆にロベリアは炎を燃え上がらせる必殺技を使ってしまい床のアイテムを燃やしてしまったり炎でパワーアップする敵を強化したりするという困ったキャラ。エリカも最初は味方を誤射してしまう上に走ると時折転んでアイテムを床に落としてしまう。
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もっとも、これらは原作準拠である上に「必殺技をOFFにする」「エリカを同行させるときは走らない」と言った対処方法がある上に「店の品物を盗む」「呪われたアイテムを祝福できる」というプラスなスキルもある。
 
 
低すぎる難易度
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ヒロインが有能すぎるために『トルネコ』『シレン』シリーズと比べても明らかに難易度が低い。特に隠しキャラの加山を仲間にすると必殺技でフロアの敵を消しさってくれるのでさらに簡単になる。
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最もはぐれるとかなり辛くなるので、仲間を連れていけるダンジョンでは「ヘルプミー」が使える大河の方がやや有利なのだが。
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中盤までに殆どのヒロインが「ワナ発見」「ワナ解除」のスキルを覚える為ワナの意味がなくなる。
 
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またアイテムも「満腹感の指輪」や「霊力バリアの封紙」がわりかし簡単に手に入るためさらに難易度が下がる。
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一応「仲間が連れていけないダンジョン」「アイテムが持ち込めないダンジョン」もあるにはあるが此方もそこまで難易度は高くない。
 
問題
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定番コンテンツの削除
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ギャラリーモードが存在しない。
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セーブデータも一つしかない為、作中の一枚絵や次回予告を見るにはデータを全て消して最初からやり直さなくてはならない。
 
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『V』同様ミニゲームは削除。
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DSソフトの容量の都合上、仕方ない面もあるが、小規模でも定番コンテンツは残して欲しかったという声は多い。
 
 
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一部の不便な仕様
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未識別のアイテムには名前入力欄で「封紙:ひかり」等とある程度の固定した名前を付けることが出来るが小文字は何故か未対応のため幻術の封紙が「封紙:げんじつ」となる。
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また祝袋と呪袋など一部のアイテムは何故かこのシステムには対応していない。
 
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また、入力できる名前は4文字までなのだが、「対混乱の指輪」「対毒の指輪」はどれも「たいこ~」「たいど~」まで入力しなければいけない。
 
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バグ
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とあるダンジョンで大河のレベルが簡単にカンストするバグがある。これは公式も気づいたのか前述の漫画でネタにしていた。
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とはいえ、大神・大河は前述のバグ技を抜きにしても簡単にレベルが上がるため、真っ先にカンストしてしまう。
 
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アイテムを増殖させるバグが存在する。
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アイテム図鑑のようなものがあるが、ダンジョンに入った時に見ると未識別状態の名称のまま説明を見る事ができる。
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これによって過去に一度でも入手していれば、未識別状態であろうともどのアイテムなのかが丸分かりになってしまう。
 
 
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キャラ・演出面の問題
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本作オリジナルの敵ジャンヌ・ダルクと部下のラ・イール、ジル・ド・レイ、デュノワの四人には声が当てられていない。
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元々原作でイベントシーン以外で戦闘シーンのなかった加山までキャラとして使えた為、「加山が使えるなら双葉も出して欲しい」という声もあった。
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ただ、彼女の腕はオーバーキルと言っても過言ではないレベルのため、出さなくてよかったかもしれない。
 
 
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連動サイト要素
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『熱き血潮に』で不評だった携帯サイトとの連動コンテンツは残ったまま。
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ただし今回は携帯サイトのパスワードをゲームに入れると特定のダンジョンが現れ、クリア後に出てきたパスワードを携帯サイトに入力すると特製の待受画像が手に入るという完全に趣味の領域である為、まだマシではある。
 
 
総評
『サクラ大戦』シリーズのキャラが大好きな人には難易度の低さゆえにとっつきやすいがゲーム自体は簡単なため物足りないのは否めない。
純粋な不思議のダンジョンファンにも勧めにくいが、初心者にとっては不思議のダンジョン入門編としてちょうどいい塩梅といえるかもしれない。
その後の展開
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本作を最後に『サクラ大戦』シリーズで新作ゲームの製作が長らく途絶えた状況が続いていたが、2018年に完全新作の『新サクラ大戦』が発表された。
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プラットフォームはプレイステーション4で2019年12月12日に発売された。舞台は太正二十九年、1940年の帝都・東京となり、キャラクターとかつての主要スタッフの大部分が刷新される。
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2008年に舞台『紐育レビュウショウ~歌う♪大紐育♪3~ラストショウ』が開催されたが、この舞台で『サクラ大戦』の全てのコンテンツは終了する予定だったと、『新』の発売の際に田中公平氏が明かしている。
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当時、セガは本作を事実上の『サクラ大戦』のゲームの最終作として位置付けていたと思われる。
 
 
余談
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降魔の設定
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過去作のゲームでは日本東京に出現する魔物で巴里に出現する魔物とは区別されていたが、本作ではこの設定を捨ててサクラ大戦世界の魔物の総称として扱われるようになった。以降のシリーズのスマートフォンアプリや『新サクラ大戦』もおおむねこれに倣っている。
 
最終更新:2023年10月15日 06:29