トイショップボーイズ
【といしょっぷぼーいず】
| ジャンル | シューティング | 
| 対応機種 | PCエンジン | 
| 発売元 | ビクター音楽産業 | 
| 開発元 | ミュウテック、ソフィックス | 
| 発売日 | 1990年12月14日 | 
| 定価 | 6200円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | おもちゃが敵のシューティング ミス後の復活が超困難
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概要
PCエンジンにおける常連サードパーティの一角であったビクター音楽産業(現:ビクターエンタテインメント)がリリースした縦スクロールシューティング。
おもちゃに支配された世界を救うため、3人の少年たちがおもちゃの武器で戦いに挑むというストーリー設定。
一人プレイ~二人交互プレイ対応。全6ステージ構成の周回制。3段階の難易度選択が可能。
ゲームルール
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操作体系
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自機にあたる少年たちは先頭キャラ1人と待機キャラ2人の三角形型の陣を組んでおり、各操作は3人同時に行う形となる。
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当たり判定があるのは先頭キャラのみとなるが、待機キャラに敵弾が触れるとノーダメージでかき消せる。
 
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十字キーにて3人の少年たちの移動。ボタンは各自、ショットボタンとキャラクターチェンジボタンに使用する。
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十字キーで8方向移動操作。少年たちの移動のさせ方によっては左右にもスクロールする。
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ショットボタン押しっぱなしで先頭キャラの専用ショットを撃つ(ボタン連射は不要)。攻撃を行うのは先頭キャラのみで待機キャラは攻撃しない。
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キャラクターチェンジボタンで先頭キャラの切り替えを行う。切り替えに使用回数などの制限はない。
 ボタンを押す度に「赤い帽子の少年 ⇒ 緑の帽子の少年 ⇒ 青い帽子の少年 ⇒ 以後赤帽子からループ」の順に変化し、それぞれ性能が異なるショットを撃てる。
 
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以下、各少年のショット性能を表記する。
 
    
    
        | + | ショット性能の詳細 | 
| 赤い帽子の少年 | 前方に連射性能に長けた「エアガン攻撃」を撃つ。パワーアップすると攻撃範囲が増す。 クセの少ないショットで前方の敵を攻撃するのには向いているが、前方以外の攻撃範囲ががら空きになってしまう。
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| 緑の帽子の少年 | 前方に敵追尾性能を持つ「ブーメラン攻撃」を撃つ。パワーアップすると連射性能が増す。 勝手に画面全域を攻撃してくれる利便性はあるものの、状況によっては攻撃の隙が発生しやすいのが難。
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| 青い帽子の少年 | 少年の周囲に接近戦に特化した「チャンバラ攻撃」を出す。パワーアップすると攻撃のリーチが伸びる。 他の少年に比べ攻撃のリーチが極端に短い上に地上の敵を倒せないという欠点はあるものの、攻撃判定が強く敵弾をかき消せる。
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風船について
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光る敵やプレゼントボックスを破壊すると、以下の風船アイテムが出現する。
 
    
    
        | + | 風船一覧 | 
| パワーアップ | 少年たちの各ショットを全員一括で1段階上げる。最大で4段階までのパワーアップが可能。最大時で取得すると敵全滅の効果。 |  
| スピードアップ スピードダウン
 | 前者は少年たちの移動速度を1段階上げ、後者は下げる。デフォルトでは2速、最高で4速まで速度を上げられる。 |  
| シールド | 少年たちが金色になり、2回までのダメージを無効化できる。 |  
| 敵全滅 | 画面内にいる敵を全滅させる。 |  
| 1UP | 1UPの効果。スコアエクシテンドによる1UPもあり。 |  | 
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ミス条件について
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残機制を採用しており、残機がすべてなくなるとゲームオーバー。ミス後は戻り復活となる。
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先頭キャラが空中の敵及び敵弾に触れると一撃ミス(シールド効果時は例外)。ミス後はすべてのアイテム効果が失われるペナルティ。
 
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コンティニューは無制限に可能。
 
評価点
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良くいえば分かりやすいアーケード風シューティング
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ゲームとしての問題点も決して少なくないが、複雑なシステムは皆無で無難に遊べる内容ではある。
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「3種類のショットを切り替えながら戦うシューティング」の一言で大体の説明は付く。各ショットに明確な性能差が図られているので、使い分ける必要性も出てくる。
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敵の出現率はそこそこ多めで、どちらかといえば敵破壊に特化したシューティングといえる。もちろん敵弾も飛び交うので弾避けスキルも必須である。
 
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どことなくアーケードゲームを、もっといえば初期の東亜プランシューティングを意識したかのようなゲームデザイン。
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「敵が戦車などの地上物が多い」「トリッキーな動きの空中敵が定期的に出現」「画面が左右にもスクロールする」といった要因に共通性がある。
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家庭用シューティングとしては珍しい二人交互プレイ対応だったり、ステージクリア後の敵殲滅率が表示されるといった面もアーケードチックといえる。
 
 
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コミカルながらも不気味なホラー感
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外観上はコミカル系の世界観ながらも、「子供のおもちゃが群れを成して少年たちを襲う」という設定が不気味でいい味を出している。
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悪くいえば派手さにかけるグラフィック使いではあるが、それがかえって「無機質な者たちが無言で襲い掛かる」という特有のホラーっぽさを演出している。
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原則として敵は子供のおもちゃそのものだが、一部は本気でホラーな外見の敵も出てくるので油断できない。
 
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グラフィックそのもののクオリティはPCEとしては及第点な方で、それなりの書き込みがなされている。
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だるま落としやぬいぐるみなどの定番のおもちゃの他に、本作の発売時に流行っていた某四輪駆動車や某怪獣のおもちゃなど時代を感じさせるものも描かれている。 
 
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BGMはほのぼのとした楽曲がメインで、妙に平和的な雰囲気を漂わせる。
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「おもちゃに囲まれた放牧的なイメージ」が伝わる楽曲で、その一方でホラーとの親和性も別の方向でマッチしている。
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ボス関係のBGMは従来のシューティンクらしく緊張感のある楽曲が流される。1ループあたりが短いのが残念だが、曲としてはなかなかのクオリティ。
 
 
問題点
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異様なまでの死にやすさと復活のし辛さ
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見た目はお子様向けゲームといった印象を持つ本作だが、その実態は意外な位にミスしやすい容赦なき難易度である。
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敵の配置や攻撃自体はさほどきついわけではないが、自機の当たり判定が妙に大きく敵の攻撃を避けるのが困難となる。
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ボンバーなどの緊急回避となる行動が存在しないのも厳しい原因の一つ。幸いにもシールド風船が時折出現するので許容ダメージに若干の余裕があるのが救い。
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スクロールが頻繁に左右スクロールするため、唐突な流れ弾や敵に衝突しやすのも厄介。正直ここまでスクロールさせる必要があるのかと思える局面も多い。
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ミスを回避するにはできるだけ「敵弾を撃たせない」「袋小路へと追い込まれる環境を作らない」「左右スクロールさせない」といったパターン把握が重要となる。
 
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そして本作最大の鬼門なのがミス後の復活がいばらの道なところ。
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ミスしてしまうと戻り復活な上に初期状態へと戻されてしまい、難易度を抑えてくれる救済処置も全くされない。
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初期状態の少年たちは攻撃性能が貧弱かつ移動速度が遅く、強敵と戦うにはあまりにも戦力不足なため、パワー及びスピードアップ風船の回収が急務となる。
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特にえげつないのはボス戦前のミスで、風船がほとんど出現しないままにボスに挑まなければならないと鬼畜っぷり。本当にどうしようもない。
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本作は1UPの発生率が高いものの、復活があまりにもきついので溜めていた残機がどんどん削られていくという生殺しに合いやすい。
 
 
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シューティングとしての出来が微妙気味
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同期のPCEシューティングと比べても、敵の配置箇所や行動パターンが単調気味で作り込みがあまり練られていない。
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特別にシューティングとしての爽快感がある訳でもなく、上記の理由によりゲームバランスが良い訳でもなく、全体的に漂う微妙さが半端ない。
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1990年付近のPCEといえば数多くのシューティングを輩出しており、それらに比べても本作の完成度はいまいちパッとしない。
 
 
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ところどころに垣間見れるネタ切れ感
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最終ステージは1~5ステージの中ボス~ボスラッシュとラスボスしか登場しない。ラスボス以外の新手の敵や仕掛けが全く存在しない手抜きっぷり。
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オールクリア後の周回プレイの内容にもほとんど差が感じられない。何のための周回制なのかよく分からない。
 
総評
シューティングとしては遊べなくはないが、かといって定価相当の面白さかといわれると首を横に振りたくなる微妙な一作。
ゲーム中の世界観や小味を効かせたホラー感には特有の魅力があるので、雰囲気ゲーと割り切ってプレイする分にはいいかもしれない。
最終更新:2020年05月03日 16:18