シャイニング・アーク
【しゃいにんぐ・あーく】
| ジャンル | 心をつなぐRPG(コンピュータRPG) |  
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| 対応機種 | プレイステーション・ポータブル | 
| 発売元 | セガ | 
| 開発元 | メディア・ビジョン | 
| 発売日 | 2013年2月28日 | 
| 価格 | 6,279円(UMD版) 5,600円(DL版)
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 改良されている部分もあるが改悪されている部分もあるシステム 冗長なシナリオ
 賛否分かれるヒロイン
 ユーザビリティは改善されている
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| シャイニングシリーズ | 
 
プロローグ
美しい自然に囲まれた絶海の孤島「アルカディア」には、あちこちに朽ちた古代遺跡が顔をのぞかせている。村に住む少年フリードはある日海岸で、背中に片方だけ黒い翼が生えた不思議な少女を見つけた。
概要
Tony氏がキャラデザを勤めるシャイニング5作目。基本システムは前作『ブレイド』とほぼ同じ。また、ストーリーの導入部は前々作の『ハーツ』に近いプロットになっている。
前作がぬるすぎる難易度やシステム面の甘さ、シナリオなどで大きく批判されていたため、必然的に本作の出来は注目されていた。
賛否両論点
メインヒロイン
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ヒロインであり重要人物でもあるパニスだが、彼女に対しては賛否両論が大きい。
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「無邪気な幼女」と見た目・設定だけでも好き嫌いが分かれそうなキャラだが、そんなものは序の口。
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主人公フリードを始め、周りの人間も何か問題が起こるとやたらとパニスを「いい子」「何も悪くない」とかばい立てする。それも何度も何度も。ヒロイン性を強調させるとしても、ちょっとやりすぎの感がある。
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パニスの正体及び「どうしてこうなったかという真相」は(ネタバレになるので伏せるが)人によっては自業自得じゃないか?と思わせるもので、受け取り方は人による部分が大きい。
 
 
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戦闘パートでは一部の離脱イベントを除き、彼女は必ず出撃する。主人公ですらパーティーから外せるのに…。
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しかもAI操作で、こちらがコントロールすることができない。基本的にAIの性能は悪くはないのが救いだが。
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好感度をあげていくと、中盤あたりからようやく指示を出すことができるようになる。できるのは攻撃・支援・歌(フォースソング)・おまかせ(いつも通り)の4つ。
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気分は特定のパンを食べさせることである程度コントロールはできる。
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その後のある時点からはプレイヤーが完全に操作できるようになるが、それまでが非常に長いため、彼女に思い入れのない人は苛つきかねないだろう。戦力としてはステータスも高く、強力な魔法も使えるため使い勝手は良いのだが…。
 
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ただ、彼女も相応に魅力的なヒロインであり、キャラ性に関しては好みの範疇を出るものではない。
問題点
冗長なストーリー
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『ブレイド』では単調なストーリー展開が批判されていたが、本作でもそれはほぼ同様。基本的に「あるアイテムを取りにある場所へ向かう」→「敵がいたので戦闘」→「帰って睡眠」という流れの繰り返し。なんとストーリーのラスト直前まで。
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さらに悪いことに、プレイヤーの選択自由度は増えるどころか、ますます減っている。
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これまでのシャイニングシリーズは様々なヒロインがおり、それぞれと結ばれる個別エンディングが用意されているのがほとんどだったが、本作のヒロインはメインヒロインであるパニスだけに絞られており、サブヒロインは攻略対象にすらなっていない。
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主人公は終始パニス一筋で、他の魅力あふれるサブヒロインはアウトオブ眼中。Tony氏のキャラデザインが素晴らしいだけに、「なんでこんな仕様にした」「勿体なさすぎる」という声が多い。
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一応、この作品にも味方キャラ全員分の個別エンディングが存在するには存在する。が、既に述べられたように主人公はパニスにぞっこんであり、それが覆ることは決して無い為、個別エンディングを迎えるキャラクターによってはそこで主人公に遠まわしに振られてしまうという悲惨なことに……。
 
 
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今回も過去のTonyシャイニングと世界観を共有している。
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アイテムを得られる「釣り」「パン焼き」といった脇道も一応あるのだが、戦略性が皆無。
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過去作の『ハーツ』ではミニゲームが挿入されたり一応プレイヤーの介入する要素があった。にもかかわらず、今回はただパンの素材、及び餌を選んでアイテムが出てくるのを待つだけ。これではただのアイテム交換である。
 
バトルシステム
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前作は完全ターン制で、規定の回数分キャラクターを動かすことができたのに対し、本作では敵味方問わず素早さが高い順に行動順が回ってくるようになっている。
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このため遅いキャラは思うように経験値稼ぎができず、またパニスや雑魚がどうでもいい行動をとり続けることによってテンポの悪化にもつながっている。
 
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出撃枠は4人までだが、パニスが常に強制出撃なので自由出撃枠は実質的に3人だけという有様。前作(5人)よりも減っている。
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シナリオ中パニスが一時的に離脱する時期があるのだが、その時でも枠は増えない。
 
その他
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「孤島が舞台」「腹ペコ属性のヒロイン(それでいて物語の中核)」「身近なサブキャラにパン職人」など、全体的に『ハーツ』の焼き直し感が否めない。
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今作はローナやセラフィムなど、特定のコンテンツを購入しないと解放されない要素が登場するようになった。
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以前でもパスワードがあったが後に公開されるためあまり大きな短所にならなかった。しかし今作ではプロダクトコードのため1人1回しか入力できない。
 
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ロードが長い上に頻繁に発生する為、非常にテンポが悪い。
評価点
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今回もBGMやキャラグラフィックの完成度は非常に高い。
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二丁拳銃を使うシスター「キルマリア」、魅惑の女海賊「ベルベット」、天使を狙う「ヴァイオラ」など、セクシーかつ美麗な女性キャラ陣は健在。パニスについても否定的なプレイヤーからもキャラデザは好評である。だからこそ、先述の仕様が惜しまれてしまうのだが…。
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『神々の遺産』以来シャイニングシリーズにちょくちょく名前が登場する古代のロボット「アダム」がTonyシャイニングにも登場する運びとなった。
 
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サウンドテストやキャラクター図鑑、CG閲覧モードが登場している。
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海戦は雰囲気を壊すことなく溶け込んでいる。
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難易度の変更が可能になった。難易度は「カジュアル」「スタンダード」の2つが選べる。
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一応前作の反省が活かされている点もいくつかある。フォースソングの曲調がシリーズの世界観に近づけたものになったり、前作で批判が寄せられた「難易度の低さ」についてもある程度改善の様子が見られるなど。
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前述の通り賛否の分かれやすいパニスだが、その出自から来る苦悩や葛藤の描写は素晴らしく、ハマる人にはハマるタイプのキャラクターでありファンは少なくない。
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彼女の個別エンディングはトゥルーエンドというだけはあって感動的であり、少なくともそこまでパニスを推し続けたプレイヤーにとっては涙無しには見る事の出来ないであろう素晴らしいものになっている。
 
総評
良くも悪くもパニス中心で進むゲーム。「心をつなぐRPG」と宣伝されてはいるものの、正直彼女と心をつなげられるか否かが本作の評価につながると言ってもいいだろう。もう少し、パニスに思い入れを持てないプレイヤーに選択の自由を持たせるべきだったと感じられるが、彼女に思い入れを持ったプレイヤーにとっては諸々の問題点が気にならなくなる神ゲー足り得るだろう。
余談
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次回作『シャイニング・レゾナンス』では世界観が一新された為、Tonyシャイニングの常連だったエルフの王女「エルウィン・ラナ・シルフィス」の皆勤は本作までとなった。
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クソゲーオブザイヤー2013携帯機部門に選評が届いたが、選外となった。
最終更新:2022年07月02日 21:33