南方珀堂登場

【みなかたはくどう とうじょう】

ジャンル 推理ゲーム
対応機種 プレイステーション、セガサターン
発売元 アトラス
開発元 シンキングラビット
発売日 1997年8月7日
定価 6,090円
判定 クソゲー
ポイント 推理ゲームなのに推理できない
寒いギャグと酷いシナリオ
設定や演出は良好だが


概要

犯罪心理学の教授・南方珀堂とともに殺人事件の謎を解決していく(自称)推理ゲーム。現場を訪れずに事件を解決する「安楽椅子探偵」の要素を取り入れていることや「映像を再生して怪しいところを調べる」という独自のシステムを採用していることが特徴だが、それがどちらもゲーム性とまったく結びついておらず、単調で面倒くさいだけのクソゲーになってしまった。


問題点

本作は「推理ゲーム」を名乗っているが、実際は怪しいところを指摘すると登場人物の会話が始まって勝手に話が進んでいくため、プレイヤー*1が自分で推理をする場面は皆無である。それに加えて登場人物の台詞が冗長ですべての情報を会話だけで説明しようとするため、1人1人の発言が無駄に長く、テンポがものすごく悪い。特に終始ふざけ合っていて寒いギャグを連発する南方先生の2人の生徒には心底うんざりさせられる。

  • 寒いギャグの一例:「トリックが成功していたら、犯人は笑いが止まらなかったでしょうね」
    「いや、犯人は泣いていたかもしれない! もしかしたらカレーを作ろうとして玉ねぎを剥いていたかも!」

シナリオはこれに輪をかけて酷い。数が少ない(チュートリアルにあたる2つの練習問題と本編にあたる2つのシナリオしかない)だけならまだしも、どれもこれも説明が中途半端で腹立たしい終わり方をするのである。

+ 各話の問題点。一応、ネタバレ注意
  • 全体的な問題点
    南方先生は心理学的なことにしか興味がないらしく、登場人物の心情については詳しすぎるぐらい詳細に語る一方で、証拠やトリックの話は投げっぱなしにする。だったら心理トリックを用いた話にするなりやり方はあったと思うのだが。
  • 練習1
    資産家の未亡人を殺害した犯人を、容疑者3人の会話を聞いただけでいきなり答えさせられる
    間違ってもペナルティはないが、正解しても南方先生が全部自分で解説してしまうため、プレイヤーができるのは犯人の名前を選ぶことだけである。
  • 練習2
    編集長を殺害した犯人を2人の容疑者から探す。
    と思いきや、FAXを使った自動発火のトリックもどちらが犯人でなぜトリックを仕掛けたのかという謎も向こうが勝手に説明してしまうので、プレイヤーがすることはやっぱり何もない。
    挙句の果てには南方先生が突然、「実は今までの話はまだ事件の始まりに過ぎなかったんだ」「続きは次の授業に取っておこう」と言って話を打ち切ってしまう。もちろん次の授業などないので、真相は謎のままである。
  • シナリオ1:奇術師の誤算
    討論番組で「完全犯罪は可能か」をめぐって警視総監と大喧嘩をした奇術師が、舞台上で完全犯罪を行うと宣言。脱出マジックの最中に妻を殺害した事件の真相を暴く。…南方先生が
    しかも、奇術師の動機を説明するだけで、肝心のトリックには一切触れずに話を終わらせてしまう。あれだけ完全犯罪云々で引っ張っておいてそこを投げっぱなしにするのはどうなんだ。

評価点

  • ビデオの映像はクレイアニメ風のCGで作られており、完成度は非常に高い。また、ビデオや南方先生たちの会話は全編フルボイスで、いわゆる棒読み声優もいない。一時停止で調べられる箇所も多く、一つ一つに違った会話が用意されている点を見てもきちんと作りこまれていることが分かる。
    だからこそ鬱陶しいのだが
  • 「上に感熱紙があるのに黒くなっていない」→「ロウソクに火がついていなかった」など推理だけはちゃんとしており、謎の答えも状況説明の時点できちんと伏線が張られている。そういう謎解きをプレイヤーにやらせるべきであった。

総評

一言で言うなら、出来の悪い2時間ドラマのような作品である。安楽椅子探偵を採用したことや設定・演出面の作りこみは評価できるのだが、プレイヤーがひたすら受け身の姿勢を強いられること、好みが分かれそうな登場人物の会話(特に長くて寒い漫才部分)、中途半端で釈然としないシナリオ、操作性の悪さ…とマイナス要因があまりにも多すぎる。純粋に面白くない、「腹が立つクソゲー」の1つである。