ザ・マスターズファイター
【ざ ますたーず ふぁいたー】
ジャンル
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格闘ゲーム
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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シネマサプライ
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開発元
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UNiCO Electronics
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発売日
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1997年11月20日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ファミ通レビュー13点 パクリだらけ ダウン=死亡 中段!中段!中段!ガード不能!
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概要
通称『ザマス』と呼ばれる、1995年に稼働した対戦格闘ゲーム『Master's Fury』のPSリメイク移植版。
他社ゲームからのパクリがやたらと目立つ事で悪名高いが、パクリ抜きに見ても文句無しにクソ要素が盛りだくさんである。
システム
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一般的な2D格闘ゲームの基礎程度のシステムしか無い。
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大雑把に言ってしまえば、初代『ストII』に『餓狼伝説2』の超必殺技システムを合わせただけと言った具合。
問題点
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SFC以下のグダグダなキャラグラフィック。
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小さめなグラフィックを画像編集ソフトで単純に拡大したようなものが使われている。おかげでキャラを構成するドットが大きい。
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モーションの枚数も少なく、動きがかなりカクカクしている。
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VRAM容量の関係で解像度を荒くしてもモーションを取ったのであればまだわかるが、解像度が低くてモーションも荒いとなると、さすがに手抜きとしか言えなくなるであろう。
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ちなみに勝ちポーズ、負けポーズ共に一種類だけ。喰らいポーズも立ち状態のものしかない…と、とにかくキャラ絵が少ない。
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キーレスポンスが異様に悪い。
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純正コントローラーでは波動拳コマンドすら出しづらい。スクリューコマンドにおいては、ジョイスティックでもほとんど出ない。
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原因の一つが技の発動中やガード硬直中などで、入力を受け付けないせいだと思われる。このため、ガード直後のリバーサル必殺技が出ない。通常技で牽制中に早めにコマンドを入力してしまい、前半部分が受け付けられておらず技が出ないことなどザラ。
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さらに言えば、ボタンの初期の割り当ても□(弱パンチ)、○(強パンチ)、△(弱キック)、×(強キック)と純正コントローラーでの配置を考えてないと思われても仕方ない割り当て。これはキーコンフィグで直せるのが幸いか。
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キャンセルができない上に通常技の近距離、遠距離の違い、必殺技・超必殺技による削りがない。
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これらはストⅡで出てきて以降2D対戦格闘ゲームでは当たり前とも言えるシステムだが、本作では全くない。
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しかしキャンセルがない点は、本作においては必ずしもマイナスポイントとは言えない。むしろさらなるクソへの凋落を防いでいる面もある。何故なら、このゲームの必殺技は中段だらけなのだから(後述)。
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どういう訳か投げスカリだけはちゃんとある。数少ない同時期の格闘ゲームと肩を並べられる要素か。
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ダウンは死に直結。
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ダウン復帰後、操作可能になる前に喰らい判定と投げ判定が復活してしまう。このため、起き上りに技を重ねられると必ずヒット。なす術なし。
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コケたら追加ダメージを覚悟するしかない。相手によってはそのまま終わってしまう。特に画面端に追い詰められてのダウンは、死を意識した方がよい。
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この仕様は初代餓狼伝説のCPUキャラとPCのジョーにもあったのだが、あちらは対戦格闘というよりは格闘アクションの面が強かった。こちらは純粋な対戦格闘ゲームなので…
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ちなみに本作は、ジャンプや突進技、通常技も含め、わずかでも宙に浮く行動が落とされると必ずダウンする仕様。ダウンの機会は一般の2D格闘ゲームよりはるかに多い。他のゲームのような感覚のジャンプは、死を引き寄せるだけ。
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通常技を合わせるのは意外に難しいが、必殺技なら比較的楽。しかも本作の必殺技はダウン効果付きのものが多いので、まさしくダウンと死は隣り合わせ。
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細かい点だが、ダウン時の効果音が何故かない。
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他では見られない各種技の効果も、残念ながら悪い意味で本作の数少ない独自のもの。
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ほとんどのキャラの通常立攻撃が、しゃがんだ相手に当たらない。そして立攻撃とは逆に、ほとんどのキャラのしゃがみ攻撃はパンチだろうと下段。これらは3D格闘ゲームの上段下段のようにも見える。
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無敵必殺技がない。一見昇龍拳系に見える技も、ことごとく潰れるか相打ち。
もはやガッツポーズに攻撃判定がついたものと言った方が…
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各キャラの注目点
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折り畳み
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北沢タクヤ:必殺技の全てが中段。飛び道具も中段。衝波のような超必殺技も中段。打撃投げすらも中段と言う徹底ぶり。おかげで発動中に立ガードされるとノーダメージ。
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ロン・ヴェイ:ダウン効果のある昇龍拳系の技が中段。さらにフルヒットすれば気絶→気絶で即死する、サイコリフレクターのような必殺技がある。一方超必殺技がまるで使えない。乱舞系なのだが、画面端だろうが途中で必ずスカる。
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カン・ティ・コン:こいつも必殺技のほとんどが中段。突進技やダウン効果のある飛び道具も中段。さらに通常技もおかしい。ローキックにしか見えない立弱キックが中段。極め付きは、しゃがみ強キックが通常技なのにガード不能。そんな中、何故か通常技でダウン効果のある技がない。乱舞系の超必殺技は1ラウンド一回しか使えない上、ロンと同じく途中でスカる。
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ミシェール:ほとんどの必殺技、超必殺技に中段もしくは下段の属性付き。彼女も通常技でダウン効果のある技がない。しかし必殺技にダウン効果のあるスライディングがあり、相手をダウンさせれば勝ったも同然。ボイスは当時の代々木アニメーション学院の生徒が担当しており、「らいとにんぐかったぁ~」と平仮名表記したくなるほどの脱力系の演技。
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ガンプ:妙な技を持っているキャラが多い中、かなりの冷遇ぶり。キーレスポンスが悪いこのゲームで投げキャラな上、中段が特殊技一つだけ。唯一使える突進技は、しゃがまれると外れる。
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ビル・ガーデス:ダウン効果付き中段必殺技の宝庫。パクリ元のスーパードロップキックそっくりな技も中段。さらに、一見下段なダウン効果ありの中段飛び道具まで持っている。投げ技も豊富なのだが、別にいらない。
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J:竜巻旋風脚のような技は、フルヒットすれば気絶→気絶の即死技。しかし、打点が高すぎてしゃがむと当たらない上、一部のキャラにはフルヒットしない。全く当たらない者すらいる。その上、落とされやすいので使うには勇気が必要。彼女も通常技でダウンさせられない。超必殺技は昇龍裂破のような技。だが密着状態で当てても、二発目はガードされるという有様。判定の強い昇龍拳系が対空に一応使えるのと、リーチが比較的長いのが救い。
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坂本辰之助:冷遇されすぎキャラ。水月刀のような技を持っているが、他のキャラと違って普通の飛び道具。中段は今一つな特殊技のみ。タメ技は全てニュートラル経由必須という使い勝手の悪さ。武器を持っている割にはリーチもそんなに長くない。
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アザール・ウィッツ:ダウン効果ありの中段飛び道具、ダウン効果ありのリーチの長い通常技中段、ワープ技も装備。どうとでも戦える。フライングアタックそっくりな技があるのは、パクリ元へのリスペクト…な訳がない。
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Mr.Death:同じリョウパクリのタクヤとは打って変わって、がっかり性能。必殺技、超必殺技がことごとく役立たずで、辛うじて使えるのは必殺技の飛び道具くらい。一応、中段必殺技はあるが打撃投げのみ。この打撃投げ、タクヤより優秀で立ガードされてもノーダメージではない。もっとも、弱パンチ程度のダメージだが…。特筆する部分は立弱キックが中段という点と、勝利時の掛け声「おーっ!しゃしゃしゃしゃしゃ~!」がやけに耳に残る&爆笑モノレベルな事。しかしその掛け声も1ラウンド目ではボイスの途中で途切れてしまい、2ラウンド目に至ってはボイスは全て流れるがその途中でロード画面になってしまうという体たらく。
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カイン・ザハート:ボスの割には残念な扱い。昇龍拳系が一応中段なのだが、落下中だけなので意味があまりない。もちろん対空としては使えない。他の必殺技も役立たず。ただ通常技の半分以上が中段。ダウン効果のある通常技はない。中段効果のある特殊技だが、これはしゃがまれると当たらないという訳の分からない代物になっている。見た目は打点の低いとび蹴りなのだが…。こんな中、パクリ元と同じくスライディングだけは結構強い。乱舞系の超必殺技は他とは違い、ちゃんとロックするし中段。難点はコマンドの最後が斜め上なため、失敗するとジャンプしてしまう事。落とされれば当然ダウン。
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T-660:全体的におかしすぎる。立攻撃の全てが中段。さらに、彼もしゃがみ強パンチがガード不能。もちろん必殺技も中段多数。ダウン技も完備。この上、小さいので多くのキャラの技が立っていても当たらない。さすがは隠しボスと言うべきなのか…。
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ストーリーモードは闘うキャラの順番が固定。
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キャラ選択画面では「2P」というカーソルがあるのだが、別に一番手を選べるといったことはなく、たとえ2Pコントローラーを操作しても動かない。
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実はVSモードと同じキャラ選択画面をそのまま使い回しており、1Pモードでも2Pカーソルが消されていない。
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世界を巡り格闘家達と戦うのだが、配置がおかしい。ケニアにいる設定のガンプがニューオリンズ辺りにいたり(背景はケニア)、ビルがコンゴ辺りにいたり(背景は高層ビル群の夜景)、坂本はチュニジア辺り(背景は日本料亭らしき所)という具合。
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CPU戦の難易度はあまりにも低く、適当に足払いを出していればあっさりクリアできてしまう。
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ラウンドボーナスが無い。
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本作では技を当てる以外に得点が加算されないため、どれだけ早く相手を倒しても、パーフェクト(本作では「エクセレント」と表記)で勝っても意味が無い。
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プラクティスモードが無い。この時期は家庭版でプラクティスモードを搭載した格ゲーもぼちぼち出てきてたため、尚の事目についてしまう。
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EDのグラフィックが鉛筆下書きに直接着色したような、投げやりなもの。しかもキャラにしか色がついていない。おまけにスタッフロールは白地に明るめな灰色の文字(+濃いめの赤文字)という視認性の欠片すらない配色で非常に見にくい。
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誤植まみれな説明書。
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文章はおろか、大事な必殺技コマンドまで間違っている。一応、誤植訂正の紙が同封されているのだが、こちらにすら間違いがある。
「誤植訂正文でも誤植する」のはこれとゲーメストぐらい。
評価点
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EDのテーマ曲が本作に勿体無いほど良曲。というかこれぐらいしか評価点が見当たらない。
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格闘ゲームとして酷い代物な上、BGMも微妙なこのゲーム。クリア後の徒労感の中、耳に入るEDテーマの出来には清涼感すら覚えてしまう程。
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EDを作曲したのは、もちろんBGM作曲者とは別人。
総評
パクリがよく話題になるが、粗雑なグラフィック、劣悪なキーレスポンス、誤植に溢れた説明書…欠点を上げればきりがない。
その中でも大きな問題点が、ダウン復帰時の判定処理だろう。ダウンしただけで死に繋がるのでは、もはや対戦格闘ゲームとして破綻してしまっている。
数少ない独自要素と言える技の数々だが、どういう訳かしつこい程中段にこだわっている。
もしかしてキャラを常に立たせる事で、ダウンを狙いやすくしたのかもしれない。ダウン=死が、このゲームの目指すコンセプトなのだろうか。
本作は単なるパクリゲーでは終わらない、並のクソゲーを超越した存在だと言えるだろう。
そう言った意味では、『修羅の門 (PS)』や『覚悟のススメ』と相通じるものがあり、PSプラットフォームで一二を争うクソ格闘ゲームである。
キャラのパクリ疑惑
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格闘ゲーム界は昔から様々なパクリと縁の深い世界なのだが、それでも若干のアレンジを加えるなどしてオリジナル性を出す努力が行われてきた。しかし今作のキャラたちは、格闘ゲームに精通した人なら一目で分かるであろうモロパクリのメンバーばかりであり悪い意味で有名になってしまっている。
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各キャラのパクリ元一覧
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折り畳み
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北沢タクヤ:ニュートラルポーズは『餓狼SP』のキム・カッファンで、動きは『龍虎1』のリョウ・サカザキ。なのにモーション自体は『餓狼SP』のもので、しかも勝利ポーズは豪鬼。一部では
「ジェネリックキム」
とまで言われるほどに。
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ロン・ヴェイ:モロに『ワールドヒーローズ』のキム・ドラゴン。ニュートラルポーズ、動きもそのまま。
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カン・ティ・コン:見た目は『餓狼SP』のタン・フー・ルー。動きはタンと『龍虎2』のリー・パイロンを組み合わせたもの。
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ミシェール:これも、モロに『龍虎2』のユリ・サカザキ。
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ガンプ:見た目は『餓狼』のリチャード・マイヤ。ニュートラルポーズはオリジナルか? だが、モーションは『ワールドヒーローズ』のシュラ。
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ビル・ガーデス:またもモロなキャラクター。ベースは『龍虎2』のジャック・ターナー。
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J:見た目は紅丸頭なボディコン美女だがベースは『餓狼SP』の不知火舞で、一部ユリ・サカザキも入っている。
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アザール・ウィッツ:これのベースは『龍虎2』のジョン・クローリー、頭部はMr.BIG。技のモーション(と内容)に至っては如月影二も混じっている。
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坂本辰之助:もはや一目見れば明白だが、『サムスピ』の柳生十兵衛。
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Mr.Death:タクヤの別バージョンだが、ニュートラルポーズまでリョウ。
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カイン・ザハート:デザインも含めわずかな違いしかない、頭部以外は『龍虎2』のギース・ハワードで、しかもボスキャラ。
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T-660:一見『KOF』のチョイ・ボンゲ。しかし実は『ストII』のブランカのパクリ(ニュートラル時の構えを見ると一目瞭然)。いかにも雑魚な見た目の割には何故か隠しボス。
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余談
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本作のデベロッパーであるUNiCO Electronicsは1988年に設立された韓国のゲーム会社。
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一応、過去には1994年に『DRAGON MASTER』という格ゲーを韓国のAC市場でリリースしている。
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こちらも本作ほどではないが、あちこちにパクリが見られる。
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前述にもあるが2020年になってから、元となったAC版の『MASTER's FURY』の動画がYoutubeに公開されている。本作と比較してみるとかなり違和感を感じるであろう。
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AC版『MASTER's FURY』のプレイ動画
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女性キャラ(ミシェールとJ)の勝利画面をよく見ると明らかに乳◯が勃っている(としか思えない絵面)。しかも、Jに至ってはOPムービーの段階でも確認できるので、どうやってソニーチェックをすり抜けられたのか未だに謎である。
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ノベライズ版『ザ・マスターズファイター 序章編』が存在する。
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UNiCO Electronicsは2001年に「UNIANA」に社名変更。2010年代半ばを境にゲームの自社開発から事実上撤退した。
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現在はコナミなど他社製アーケードゲーム・家庭用ゲームソフトの韓国国内向け販売が主な事業となっている。
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当作を含む一部のUNiCO Electronics製アーケードゲームの版権は2020年春、アメリカのPiko Interactiveが獲得した。
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2021年10月12日に初代PSのソフトをコレクションするTwitterユービーである灼栗(しゃっくり)氏が、本作の入手を最後に発売された全3289作のコンプリートを達成した。
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本作はその内容とは裏腹に高額レアソフトとして有名である為、入手は困難を極めたという。
最終更新:2024年07月28日 09:16