修羅の門
【しゅらのもん】
ジャンル
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対戦格闘アクション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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講談社
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開発元
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ジャパンヴィステック
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発売日
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1998年4月2日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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「超ヤバい!!本当に完成品か!?」 ファミ通レビュー最低記録 極めたら、折れ!! BGM&SE仕事しろ 最低レベルのグラフィック キャラボイスなし チートキャラレオン
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少年マガジンシリーズリンク
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概要
『月刊少年マガジン』で連載されていた川原正敏氏原作の漫画をゲーム化した作品。
一見してわかるほどのクオリティの低さや、雑誌での酷評などから原作ファン以外にも存在が知れ渡ってしまった不名誉なゲーム。
特徴
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ゲームモードはCPU戦を勝ち抜いていく「一人」と対人戦が行える「対戦」の他に「百人組手」、「設定」の計4つ。
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純和風テイストの作風
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設定にある「視点」の選択が「甲・乙」だったり、タイトルやキャラクター選択画面、体力ゲージやローディング画面にスタッフロールまで全体的に純和風テイストで纏められている。
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登場キャラは陸奥九十九(陸奥圓明流)、龍造寺徹心(神武館空手)、海堂晃(神武館空手)、片山右京(鬼道館空手)、飛田高明(レスリング)、イグナシオ・ダ・シルバ(神武館空手)、ジョニー・ハリス(レスリング)、レオン・グラシエーロ(グラシエーロ柔術)、不破北斗(不破圓明流)、龍造寺舞子(神武館空手)、破壊王(レスリング)、ドルジ・アリウナー(後述)、毅波秀明(空手?)の13人。その中「北斗~アリウナー」の4人は隠しキャラ、毅波秀明は
百人組手専用のザコキャラ
である。
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人物関係は主人公の九十九から見て時系列的にまとめると、以下のようになる。
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最初に神武館道場破りに向かったら先に道場破りしていた看板の奪い合い対決になった奴(毅波秀明)。その神武館道場の娘(龍造寺舞子)。
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その時別の場所にいていなかったので後で対決した神武館のエース(海堂晃)。
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強い奴らと戦いたい九十九が参加した全日本異種格闘技選手権の参加者たち(飛田高明、片山右京、龍造寺徹心、不破北斗)。
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その後、決着をつける相手を探すためブラジルに向かった所、ヴァーリ・トゥードの大会に参加することになり、そこの参加者たち(イグナシオ・ダ・シルバ、ジョニー・ハリス=破壊王、レオン・グラシエーロ)。
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原作者描き下ろしのオリジナルキャラで本編未登場のドルジ・アリウナーはモンゴル相撲+コマンドサンボという全く新しい格闘技の使い手。
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「今大会に参加した唯一の女性格闘家」として説明書でもプッシュされているが、あまり色気のあるデザインではない。原作者のデビュー作は『パラダイス学園』と言うお色気漫画なのに…。
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と言いたい所だが原作のヒロイン・舞子でさえ(一応美少女ではあるが)お色気シーンが皆無である。極端な話、『修羅の門』(もしくはTVアニメ化された外伝『修羅の刻』)以降に川原氏を知った人からは「あの絵柄でお色気漫画書いてたの?」と不思議がられるぐらいである。
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言い換えればヒロインではなくライバルとして登場する以上、世界観的には合っている女性キャラである。不細工でもないし。「本作のプレイアブルキャラに女性キャラが必要なのか?」と言う話にはなるが…。
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使う技は現存キャラの使い回しが多く、コマンドサンボはともかくモンゴル相撲らしさがどこに現れているのかはわからない。
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百人組手専用のザコキャラとして「毅波秀明」が登場。
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原作では主人公の最初の相手として一蹴された噛ませ犬で、ゲーム化された当時はファンでも知っている人の方が少ないと言われるほどのマイナーキャラであった。
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後に原作では強敵として再登場し、ファンを驚かせている。
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肢体破壊技
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「極めたら、折れ!!」のキャッチコピーの通り、関節技などで腕や足を折ることができる。
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腕が折られると折られた腕を使った打撃技が出せなくなり、投げ技、組み技も使用不能、両腕を折られるとガードもできなくなる。
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足が折られると移動速度が大幅に低下、ステップイン、ダックイン、バックステップが使えなくなるが、
両足が折られることはない
。
問題点
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なぜか純和風テイストで統一されている
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外伝の「修羅の刻」は確かにごく一部を除き純和風だったが、「修羅の門」は世界を股に掛けた異種格闘技戦を描いた作品なので、無理に純和風で纏めるのは逆に少々滑稽とも受け取られてしまう。
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セーブ機能がない
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98年のPSのゲームとしては異例。当然隠しキャラを出現させても百人組手をクリアしても記録は一切残せない。
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一人モードをクリアすれば使用可能になる隠しキャラを、隠しコマンドで出現させることもできるのは救いか。
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ステージが意味不明
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原作ファンでも見覚えのないステージばかりで、どこで戦ってるのかよくわからない。大会という設定らしいが大会会場らしきステージがないのも気にかかる。
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神父であるレオンのステージが教会だったり、元サッカー選手のイグナシオのステージがスタジアムだったりと一応原作の設定を反映してはいるが、原作でもそんな所で戦ったりはしていない。スタジアムが現実に格闘技の大会が開かれたブラジルのマラカナンだとすれば納得できなくもないが、ゲーム中のスタジアムに観客はおらず、地面も芝生のまま。
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ちなみに原作でヴァーリ・トゥードの大会が開かれたのはマラカナンではなく、小マラカナンである。にもかかわらずゲーム中に小マラカナンのステージはない。何故…?
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異種格闘技戦が再現できていない
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キャラのチョイスがかなり偏っており、異種格闘技戦をテーマにしていながら毅波を除く実質12人の使用キャラのうち圓明流系が2人、空手系統5人(うち4人は同一流派)、レスリング3人(うち2名は同一人物)、柔術とモンゴル相撲+コマンドサンボが1人づつという、半分近くが空手家で、しかもモーションを使いまわしている。
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参考までに原作ではキックやシュートボクシング、普通のボクシング、相撲、カポエラ、傭兵の戦闘術などを使うキャラクターが登場しているのだが、今作では全日本異種格闘技選手権とヴァーリ・トゥードの間にあったボクシング編のキャラが誰も参戦していないというボクシング冷遇とかの次元ではない扱い。もっともボクシング編のキャラはボクシングのルールで戦っている純粋なボクサーなので、忠実に再現しようとしたらキックがないのはともかく、投げ技もない、つかみ技もない、しゃがみ攻撃もないということになってしまうので参戦させるのは難しいのも事実ではあるが…。
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投げ技に対する投げ抜けは用意されているが、それ以外の組技や寝技の攻防などはまったく再現されておらず、極められたら折られるのみ。
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中でも酷いのがレオンのマウントポジションで、原作でも対抗策が確立されていなかったため、いかにしてマウントに持ち込ませないか、持ち込まれた場合どう対処するかが攻防の中心として描かれていたのだが、このゲームではマウントポジションが強いという所だけ再現しているので、下記の対処法を知らない場合ぶっちぎりの最強キャラになってしまっている。
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レオンのマウントポジションのインパクトに隠れがちだが、後述の片山の菩薩掌も
SEとエフェクトがショボいが決まると相手がダウンするので、起き上がりに重ねればほぼハメる事が出来るというなかなかに凶悪な技。
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…と思われがちだが、実際には上述したマウントポジションや起き上がりに菩薩掌のハメは
回避操作を知っていれば容易に回避可能。
「修羅の門はクソゲー」との風潮だけが先歩きしすぎた結果この対処法が知れ渡らなかった結果ともとれるが…。
(近年行われたガチ勢の考察ではレオンはぶっちぎりの最強キャラでもなんでもなく、寧ろ弱キャラ候補)
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ゲーム中でのキャラクターは前述の通りかろうじて見分けが付くレベル
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ノペっとしたポリゴンを無造作に組み合わせただけの悲しい造詣で、PS黎明期のと比較しても残念な出来。
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常人には理解の難しいOP
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今作のOPは、真っ暗闇の中スポットライトを浴びて神武館館長・龍造寺徹心と思われる木彫り人形のようなものが動き続けるというもの。
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この動きは空手の型である「転掌」の演武らしいのだが、モーションキャプチャーが失敗しているらしくとてもそうは見えない内容となってしまっている。このゲームが発売した時期はかの『鉄拳3』PS移植版が発売した1週間後であり、余計に悪目立ちしているともとれるが…。
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根本的な問題として、何故主人公の九十九ではなく原作では一脇役に留まる徹心がOPを務めるのだろうかとの声もある。
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キャラボイスなし
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確かに原作は叫びながら戦うような作品ではないが、掛け声一つないというのは流石に寂しいものがある。
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技を繰り出すたびに叫ぶような演出があっても原作無視が甚だしいが、原作でも心の声の描写や言葉による駆け引きは多用されているため声を絡めた演出は決して不可能ではなかっただろう。
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恐ろしくチープなSE
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打撃の音が「ぺしっ」「ぴしっ」と聞こえるほど軽く、格闘ゲームとしては致命的。
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その中でも特に槍玉に挙げられるのが片山の必殺技・菩薩掌。この技のSEはビープ音のような
「ブー」
という脱力感満点な代物で、脳への打撃による振動の表現をしようとしたと仮定しても酷いSEと化してしまっている。
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本来は非常に恐ろしい必殺技なのだが、映像エフェクトもダメージも、それを全く感じさせないくらいにショボい。
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ロード時間が非常に長く、読み込みに20~30秒もかかる。
評価点…?
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全面にわたって無いと言っても過言ではないが、あえて挙げるとすれば肢体破壊技によって独自性がある。この手の部位破壊システムを採用した作品は『餓狼伝』シリーズ等かなり少なく、そういった意味では貴重かもしれない。
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また変にオリジナル技をねじ込むなどして原作の雰囲気を壊すようなことはしていない。その結果ゲームとしては地味な内容となってしまった感は否定できないが…。
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和風テイストなメニュー画面の移動・選択SEや熱い雰囲気を思わせるキャラセレ画面のBGM等光る点もあるにはある。問題は上述した表面的問題が厚すぎて中々話題に上がらない事だが…。
総評
当時の対戦格闘ブームの流れに乗ったはいいが、修羅の門のテーマであるリアルな異種格闘技戦を完全に扱いかねており、いささか技術力が足りなさすぎた模様。
異種格闘技戦をリアルに再現したゲームは当時でも少なく、特にグラウンドの攻防をシステムに組み入れるのは現在でも困難である。
戦いの爽快感より息詰まる緊張感を追求する原作を持つだけに、派手な演出も使えず、半端にリアル(?)で地味なゲームになってしまった。
余談
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『修羅の門』は本作発売以前の1992年に、メガドライブでコマンド選択式格闘アドベンチャーゲームとしてゲーム化されている。こちらはこちらで「原作単行本が攻略本」と言われるぐらい原作と同じ行動を要求されるが、その分原作再現度は高くファンには高評価。
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本作はファミ通クロスレビュー
12点
の最低記録タイ保持ゲームのひとつであり、中でも乱舞吉田には
2点
を付けられた。ちなみに、他のレビュアーの点数は3点、3点、4点。
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販売元の関係上「提灯記事」にもならず、レビュー内容も衝撃のワードが多数。一般的にこういったレビューは信用出来ないものが大多数だが、これについては信用出来るものである。
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なおクロスレビューで2点が付いたゲームは据置機だけに限っても、『F1チームシミュレーション PROJECT-F』(PCE/1992年9月/レーザーソフト)や『SIMPLEキャラクター2000シリーズ Vol.8 科学忍者隊ガッチャマン THE シューティング』(PS/2002年6月/バンダイ)、『SIMPLE キャラクター 2000 シリーズ Vol.17 戦闘メカ ザブングル THE レースインアクション』(PS/2003年4月/バンダイ)などが存在するため、本作が唯一ではない。
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また、クロスレビューで12点を獲得したゲームには本作の他にも『パチンコCR 大工の源さんGB』(GB/1998年3月/日本テレネット)と『プロゴルファー猿』(Wii/2008年10月/バンダイナムコエンターテインメント)が存在する。
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『プロゴルファー猿』と同じ点数というのはつまり所謂「クソゲー七英雄」クラスの評価ということであり、これは「例年ならKOTY大賞クラスのクソゲー」というレベルである。尤も、発売した1998年当時KOTYはまだ影も形もなかったが…。
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以下、クロスレビュー全文。一番下のものが2点をつけた乱舞吉田のものである。
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昔ながらの典型的なキャラゲー。 原作に対してもゲームに対しても、愛が感じられない。 グラフィックはガキガキ、サウンドはシオシオ。もの悲しい雰囲気。 レスポンスの悪さとヘナチョコな動きにより、駆け引きなど味わえない。 原作のファンかどうかは、楽しめるかどうかと無関係。
キャラクターの一部の動きに見るべき点がないでもない。 という困った言い回しをせざるをえないほどお粗末。 すれ違う対戦、ないに等しいBGM、 長い読み込み(手元の時計で25秒も計測)、爽快感皆無。 原作のファンといえども「え?いまのが菩薩掌?」と脱力すること必至。 どうスか。
シンプルといえば、すげーシンプルな格闘ゲーム。 対戦時でも「ビシッ」とか「バシッ」とかいう効果音だけだからね。 腕を折ったりして、相手を不利にする肢体破壊技はいいと思うよ。 だけど、キャラの動きがギクシャクするなど、 ちょっとツライところがチラホラあるのがね……。
超ヤバイ!!本当に完成品か? キャラの動きは不自然。演出と呼べるモノは皆無。 そしてなによりも、試合中にひとことも声を発しないキャラ。 格闘ゲームでキャラのボイスが入ってないなんて前代未聞。 原作のイメージ云々なんて理由の声なしゲーム。 ユーザーは納得しますか?
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参考動画
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「修羅の門」オープニングデモ 館長の演武がここに
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最終更新:2022年02月01日 22:48