ドラえもんのクイズボーイ
【どらえもんのくいずぼーい】
ジャンル
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教育
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対応機種
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ゲームボーイカラー(専用)
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発売元
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小学館
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発売日
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2001年1月12日
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定価
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3,800円(税抜)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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問題の質が悪すぎる 出木杉が使える ある意味貴重なドラえもんクイズ
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ドラえもんシリーズ
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概要
小学生向けのドラえもんのクイズゲーム。小学校の教科書から出題された約4500問の問題が収録されている。
単なるクイズモードに限らずパーティーゲーム的な性格のモードも収録されている。
特徴
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ゲームモードは4つ。
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ひとりプレイ: CPUと対決するモードで、ドラえもんを使用しのび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出木杉の5人をうち1人を選び、ゲームルールを決めて対決するモード。
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つうしんたいせん: 通信ケーブルを使用し最大2人で対戦できるモード。
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チャレンジ: ドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出木杉のうち1人をプレイヤーとして選び、6人のCPU(このゲームのオリキャラ)と対決するモード。ゲームルールは自分で選べず、全ての相手に全てのゲームルールで対決する方式。6人倒すと認定証がもらえる。
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オプション: ゲームの難易度や文字スピードを変更できる。
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ゲームルールは3種類。
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アップダウンクイズ: 正解するとゴンドラが1段上昇し、不正解だと下降する。先に最上段まで到達した方の勝ち。なお最下段まで落ちてしまうと相手の状況に関わらず敗北になる。
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タイムトライクイズ: 唯一相手が参加してこないルールで、プレイヤーはもともと設定されている相手の問題の正解数を越えれば勝利。全体の制限時間があり、時間までに相手の正解数を越えられば敗北。残り時間が一定以下で正解すると制限時間が回復していく。
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パネルアタッククイズ: 交互に、国語、算数、理科社会、ノンジャンル、ドラえもんクイズのいずれかの問題のパネルを自由に選んでいく。パネルには10~40のポイントが設定されており、正解するとパネルに応じたポイントがもらえる。全てのパネルを選び終わって正解のポイントが高いほうが勝ち。
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ジャンルは「算数」「国語」「理科・社会」「ノンジャンル」「ドラえもんクイズ」の5つ。
問題点
問題の質
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「〇〇●☆★●☆(記号の羅列)…★はいくつ?」「部首は何でしょう? 敗」など、問題文の文末に本題が来る問題が多く、問題文の肝心な部分を読める時間が非常に短い。回答権争いが始まるタイミングが完全に決まってしまうため、早押しとしても面白くない出題になっている。
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未就学児レベルの易しい問題から後述のように非常に難しい問題までが1つのレベルで出題される可能性があり、バランスが悪い。
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極端に易しい問題の例
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「ーーー(長さの違う線が3つ並ぶ)… 一番長いせんはどれ?」「おおきいかずはどっち?4と7」など
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国語は誤答が見間違い狙いやダジャレばかり。書き入力メディアがないので仕方ない面もあるが、もっと工夫のしようはあっただろう。
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「おさむらいはどれ? …1.ぶ土、2.ぶ士」「50m走100m走のことを何という?…1.走走走、2.走競走、3.徒競走」など
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算数は問題の本質外が無駄に難易度を上げている。桁数が千万・億など極端に多い四則演算、帯分数かつ分母の違う分数の足し算など、限られた時間では問題文を理解することすら困難な問題が多い。
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「1億から1少ない数はどれ?…1. 99999999、2. 999999、3. 9999999、4. 9999」「780000を150でわった商とあまりは?」など
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理科・社会は(問題自体は)マシなものが多いが、地域史レベルの人物名を答える問題など、標準的な学習範囲から離れていると思われる問題もある。
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「神奈川県の箱根用水をつくるのに努力した人物は?」「錦帯橋をつくるのに努力した人物は?」など
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ドラえもんクイズは出題がマニアックすぎる。特定エピソードのピンポイントの話題を突いてくる。
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「のび太の結婚したホテルの名前は? (正解:プリンスメロンホテル)」「トッカエ・バーでのび太が入れ替わったアイドルの名前は? (正解:丸井マリ)」など
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大長編に限っても『のび太と恐竜』(1980年公開)からが範囲のため、長寿アニメ故に子供たちには理解できない問題も多かった。
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事あるごとにコロコロやアニメスペシャルで再放送をするとはいえ、純粋に未見のエピソードの話題がそれなりに出てくると思われる。
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誤解を与えかねない問題・誤答など悪問の存在。
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分数の計算問題で、選択肢として約分されていない分数が表示される。テストでは確実にアウトな解答である。約分したかしてないかを問う問題でもない。
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「『かえるのがっしょう』のおんかいはどれ?…1.ドドソソララソ、2.ドレミファミレド、3.ミレドレミミミ (正解:2)」
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「だがっきでないのはどれ?…1.たいこ、2.ピアノ、3.シンバル (正解:2)」
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ピアノはハンマーで弦を叩く構造を取っており、一応弦打楽器という打楽器の一種とみなす立場もある。
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「海で貝がらを取ることを何という?…1.ひおしがり、2.しおひがり、3.ひしおがり (正解:2)」
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当然ながら潮干狩りで取るのは身入りの貝であって、貝がらではない。
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「しずかちゃんがならっているのはどれ?…1.ピアノ、2.バイオリン、3.おこと (正解:2)」
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『ママをとりかえっこ』『のび太の日本誕生』冒頭など、しずかがピアノを無理にではあるが習わさせられているというエピソードは繰り返し描かれたはずだが…
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「『ネコあつめすず』はなんとなる?…1.ニャーン、2.チリーン、3.ならない (正解:1)」
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ドラえもんの所有する『ネコあつめすず』は、当初故障中の後小型カメラに交換されており、「鳴らない」。設定本形式のスピンオフ『ドラえもん百科』では「ニャンゴロ」とされているが、『のび太のひみつ道具博物館』では「チリ~ン」と鳴っており、公式にこれといった設定は無いと思われる。
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「次のうち食べられるのはどれ? …1.ウシ、2.モグラ、3.ネズミ (正解:1)」
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日本国内での一般的な認識からこうなったのかもしれないが、3つとも地域によっては食されているうえ、食べるべきでない、普通は食べないとかいった意味で除外するなら、今度は「食べられない」地域や宗派が三種すべてに存在するし、そもそも日本の仏教でさえ、本来なら肉食が禁忌で全て食べられなくなる。
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国語的にも「たべられる」の文意が曖昧で、「人間が食べることができる(食用としている)のはどれ?」とも、「他の動物に捕食されるのはどれ?」とも解釈できるしさらにどちらにしても正解がひとつにならないというのがまた厄介。また「植物の餌になるのはどれ?」と解釈もできてしまう。
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まあ時代背景的には「ウシは食べないがモグラやネズミを食べる」人がこのゲームをする可能性はかなり低いが…
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ジャンル分けがおかしい
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特に「理科・社会」と「ノンジャンル」の区別が曖昧。
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「ノンジャンル」に「日本に一つしかないのは?…1.都、2.府、3.県」といった社会科の問題が収録されている。通常のクイズであれば、計算問題や「平成○☓年は西暦何年?」「今何問目?」「母の姉の叔父の息子は?」といった知識の一問一答ではない問題が入るのだが。
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逆に、「理科・社会」にも「カリフラワーが売られているのはどこ?…1.やお屋、2.肉屋、3.薬屋」といった生活科のような問題もある。
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どうも「社会」に、地歴公民だけでなく一般常識の問題も入れているような節がある。
その他
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難易度の設定が機能していない
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ゲーム難易度が設定できるが、これは
「問題文表示終了後何秒でCPUが回答するか」
を操作している。問題文を読む時間が限られるだけで、難易度として機能しているとは言いがたい。
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ゲーム内説明書では「『むずかしい』では高学年の問題が出題されます」としているのだが、先述の通り「一番長い線はどれ?」などとてもそうは思えない問題も出てくる。
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CPUの早押しが早すぎる。
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「やさしい」であっても問題文が終わって1秒も待ってくれない。「むずかしい」に至っては問題文終了前に押さないと回答権の獲得はほぼ無理。
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一方で正答率はかなり低く、3面のマケマせんにんでも5割程度。
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読み終わっていない問題の回答権を高速で取られ、よく分からないまま誤答され、正解も分からないまま次の問題、というプレイヤー置いてきぼりのゲームが展開される。
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学習ゲームに必要な機能が無い。
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誤答した時に正しい答えを示してくれない。
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教科別・学年別のクイズに絞って出題するモードが無い。
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解説や誤答復習のモードもない。
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演出面
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正誤判定が妙に小さく、正解した実感が湧きにくい。
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正解時喜ぶなどのアクションがドラえもんにしか無く、他のキャラは2つのスプライトを繰り返すだけ。
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チャレンジモードも、せっかくオリジナルキャラを出したのに短い名乗りとタイムトライクイズのノルマ発表で出番は終わり。プレイヤー勝利時の反応くらいあってもいいのでは。
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原作に無関係なキャラクター。
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「チャレンジ」モードで登場する6人のキャラは、オリジナルと思われる妙なキャラばかり。特にストーリーや統一された世界観もない。
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「どっちカニ」「マケマせんにん」あたりはまだ学習まんがのノリと捉えられるとして、「セーカイリュウ」「ミュータン」あたりは意味不明。
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同級生であればはる夫ややす夫、先生やスネ吉などの大人、セワシやドラミまでサブキャラは作中からいくらでも選べたと思われるが…
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ミュータンが言うには「ドラエモンッテナンデスウ、ピピピッ」だそうだ。ドラえもんクイズに特に弱いというわけではないのに、キャラ設定が雑すぎる。
評価点
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4500題と豊富な問題数。クイズも小学校低学年・中学年・高学年まで対応している。
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学習漢字はもちろん、地名・人物名なども常用漢字レベルの字はほとんど網羅しており、GBCながら不完全さを感じさせない。
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地図記号、筆算、八分休符などの音楽記号も直接表示される。
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グラフィックのレベルが高い
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チャレンジモードのオリキャラ達はしっかりと描き込まれている。アップダウンクイズのゴンドラやスプライト類も小さいながら違和感のない出来。
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原作の画風再現も上手い。特にクイズ終了後の顔グラは原作の表情に忠実で、カラーであることも相まって雰囲気がある。
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一部なかなかセンスのいい問題もある。
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2文の間の適切な接続詞を選ぶ問題など、テスト向けにしっかり学習できる問題。
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「テニスや卓球で、ボールを何度も打ち合うことをなんという?…1.ラリー、2.レース、3.グランプリ」
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「『鉄人兵団』でのび太が作ったロボットは?…1.ザンダクロス、2.ラッコちゃん、3.ミクラス (正解:1)」
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問題の質はともかく、ゲームモードのシステム面には大きな穴はない。アップダウンクイズなどは自分に合った設定をすればそれなりにエキサイトできる。
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「大人がやると楽しかった」との声もある。もっとも本来のターゲット層を外している事実は覆らないが。
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大人向けに近いハードなドラえもんクイズを収録した作品はこれと『ドラえもんメモリーズ』くらいだと思われ、これに限っては現在においても価値ある部分である。
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「ころばしやのキャンセル料はいくら?」など、マニアを唸らせる良問が多い。
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上記『鉄人兵団』のロボットの問題のように、選択肢自体もツボを押さえている。一部簡単すぎるものもあるが…
総評
問題不備、機能不足、謎難易度
の三拍子揃ったクソゲー。
設問不備は教育・学習ゲームとして許されないのは当然だが、出題範囲や出題形式にもおかしなものが目につく。
クイズゲームとしても、出題形式と高速早押しの食い合わせが悪く、特に学習ものとしては厳しい難易度。
機能面では教科別のモードが無いのが痛く、良問の多いノンジャンル・ドラえもんクイズのみ游ぶ、という遊び方もできない。
表示内容の多彩さ、クイズルール、再現度の高い顔グラなど光る部分はあるだけに、作りの雑さが悔やまれる作品。
余談
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実は、出木杉をプレイヤーキャラとして使えるゲームは今作が初である。
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タイトル画面のイラストは『ドラえもんのスタディボーイ6』のカセットのイラストの使い回しである。
最終更新:2024年08月02日 14:25