アルカナハート2
【あるかなはーとつー】
ジャンル
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ハートフル2D対戦アクション
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対応機種
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アーケード(eX-BOARD)
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開発・販売元
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エクサム
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稼働開始日
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2008年3月21日
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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順当に進化した続編
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概要
2006年に稼働した全キャラ女性の格闘ゲーム『アルカナハート』及び、その拡張版『アルカナハートFULL!』の続編。
『FULL!』は内容としては調整版だった為、実質初の続編となる。
『2』での追加・変更点
前作のページがない為、変更がない点も合わせて説明する
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基本システムは5ボタン式の格闘ゲーム
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ABCの3ボタンが弱中強の攻撃ボタン、Dが後述のホーミングシステムに使用するホーミングボタン、Eがアルカナ攻撃に使用するアルカナボタン
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1作目ではEボタンがなく、Dボタンをホーミングとアルカナ攻撃の両方で使用していたが、『2』からボタンを分離。
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格闘ゲームではよくある「体力が無くなったら負け」となる。
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ホーミングアクション
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時間経過で最大3ゲージ貯められるホーミングゲージを消費して発動するアクション
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大まかにいえば、緊急移動システム。ボタン操作と合わせ相手を自動追尾する移動をしたり、各種行動をキャンセルするのに使用する。
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ガードキャンセルやダウン回避にも使用する。
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アルカナアクション
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戦闘開始前に選んだサポート役となる「聖霊」の力を借りる行動
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設定上は各キャラ一人一人に固有のアルカナが設定されているのだが、ゲームシステム上は全キャラのアルカナの中から自由に選ぶことが可能。
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追加1キャラ分の必殺技等が使えるような形になっており、キャラ自体は投げ特化のキャラでも飛び道具を使用できるようにも出来る等、組み合わせでかなり使い勝手が変わってくる。
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アルカナフォース
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1ラウンドに1回のみ使用できるアルカナの力を借りてフィールド展開する行動。食らい抜けも内蔵した一時的な強化システム(ロック技中は無理)。使用するとパワーゲージが減り続け、ゲージがなくなると展開終了。展開中はアルカナごとの強化効果を得られる。
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アルカナブレイズ
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アルカナフォース中に使用できる特殊行動で、残りのゲージを全て使用してアルカナによる超必殺技。
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追加システム
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アルカナブラスト
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アルカナフォース未使用の場合のみ使える、1ゲージ使用の無敵攻撃。ギルティギアシリーズのサイクバーストに近い。短時間だがアルカナフォース同様の強化効果も得られる。
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アルカナホーミング
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アルカナ攻撃を分身に行わせ、自分はホーミング移動する。
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クリティカルハート
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3ゲージ超必殺技。『1』の時点で一部キャラのみ3ゲージ技をもっていたが、『2』から全キャラに共通システムとして搭載された。
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その他システム変更点
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ラウンドコール中に動けるようになった。
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それに合わせ、ラウンド終了後に初期位置への仕切り直しがなくなった。
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ゲームモード
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ストーリーモード、アーケードモード、VSモードがある。
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ストーリーモードは同キャラを除くCPU7体と戦う構造となっており、2体目と5体目はキャラごとに設定された固定キャラ、6体目はアルカナ無しアンジェリア(アンジェリア操作時は舞織に変更)、7体目はアルカナ付きアンジェリア(アンジェリア操作時のみ神依に変更)と戦うことになる。
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追加キャラ
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ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト、契約アルカナ:聖のアルカナ ジラエル
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ゼニア・ヴァロフ、契約アルカナ:氷のアルカナ アルマシア
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エルザ・ラ・コンティ、契約アルカナ:罰のアルカナ カシマール
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クラリーチェ・ディ・ランツァ、契約アルカナ:罪のアルカナ サルヴァーチ
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キャサリン京橋、契約アルカナ:磁のアルカナ メデイン
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ドロシー・オルブライト、契約アルカナ:鏡のアルカナ ヘリオガバルス
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アンジェリア・アヴァロン、契約アルカナ:光のアルカナ ミルドレッド
評価点
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格闘ゲームとしてはしっかりした作り
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見た目からして所謂「大きなお友達」向けのキャラゲーとも言え、軟派な雰囲気であるが、格闘ゲーム特有の「プレイヤー同士の駆け引き」は本作でもきっちり楽しめる。
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ホーミングシステムやアルカナ選択による立ち回りの自由度の高さや、相殺やガードキャンセル等の読み合いのポイントの分かり易さが本シリーズの売り。対人であってもしっかり実力が表れる。
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キャラクターは追加キャラ含めて魅力的
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前作でも癖の強いキャラが多かったが、本作も負けずに癖のキャラが多い。とはいえ、結果的に余り埋もれる事もなく、追加キャラも全体的に好評。
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特にラスボスのアンジェリア・アヴァロンは裸ワイシャツの幼女という事もあってプレイヤーに衝撃を与えた。
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見た目通りのわがままな性格の幼女ではあるが、前作ラスボスのミルドレッドの姉として妹を大事にしている面等もあり、『アルカナハート』らしいキャラ付けで人気キャラとなった。
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キャラ追加に伴いアルカナも大量に追加
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アルカナが大量に増えた事で、既存のキャラを使い続ける場合でもサブの選択肢がかなり広がった。
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相性の悪い組み合わせや使いづらいアルカナ等もあり、全選択肢が実用的とは言えないものの、キャラとアルカナの組み合わせで選択肢はかなり大きい。同じキャラの使い手でもアルカナの違いで立ち回りが変わったりする為、変化が楽しめるのも相変わらず。
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アルカナの存在により、目立ったゲームバランスの崩れがない。
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キャラとアルカナの組み合わせの相性はキャラにより当然異なるため、これによりキャラの長所を伸ばし、あるいは短所を補うことが可能。
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はぁと、冴姫、神依、美凰、エルザがスタンダードな性能で使いやすく、リーゼ、舞織、ドロシー、フィオナは癖が強く使いにくい。使い込みとやりこみがモノを言うバランスにはなっている。
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ホーミングシステム
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前作から引き続きだが、ホーミングシステムの搭載は高高度まで含めて画面全体を大きく使っての対戦となる為、他のゲームでは中々味わえない今シリーズ独自の爽快感を味わえる。
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コンボの途中でキャンセルし更なるコンボへ移行したり、敵を吹き飛ばしてからの追撃で空中コンボへと派生したり…と応用次第で様々な運用が可能。それだけに、とっつき辛さもまた生じているが…。(賛否両論点へ
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BGMも好評
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キャラごとにBGMが設定されていた前作とは異なり、今回はステージごとにBGMが設定されている。前作に引き続き作風に合った明るめでノリの良い曲が多い。
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ボタンの追加で誤動作が減った
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Eボタンの追加でアルカナ技が独立した事により、前作のようなアルカナ技を出そうとしてホーミングを出してしまうといった事故は減った。
賛否両論点
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独特な操作感のホーミングシステム
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評価点の通りホーミングシステムは慣れると楽しいのだが、ホーミングシステムによる距離の詰め方やコンボのつなぎ方等は他の格ゲーをやっていると違和感を感じやすく、最初はなかなか慣れづらい。これは前作の時点でそうだったのだが、今作でも特に変わる事はなかった。
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コンボゲーという事もあって勝つ為にはしっかりとコンボを覚える必要もあり、独特な操作性も合わせて好みが分かれる。
問題点
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ラスボスのアンジェリアがかなり強力
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1戦目はアルカナ抜きでアンジェリアだが、突進技を含めて機動力が高く、当て身技でこちらの攻撃に反撃、超必殺技やクリティカルハートは初見殺し要素も持っていて、有利に進めていたのがあっさりひっくり返される事も多い。
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一度勝利すると本気モードになりアルカナのミルドレッドが常在するようになり、更に強力になる。ミルドレッドは常在する代わりに食らい判定を持ち、ダメージを負えば一時的に消えるものの、非常に厄介。
総評
全て女性キャラというインパクトとホーミングシステムが特徴だった『アルカナハート』及び『アルカナハートFULL!』の順当な続編と言える出来。
前作の不便な点が解消され、ゲーセンでも長く愛される格ゲーとなった。
その後の展開
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『すっごい!アルカナハート2 ~転校生 あかねとなずな~』
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『2』のパワーアップ版で、操作キャラが2体(アルカナも2体)、隠しボスにパラセ・ルシアが追加された。
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パラセ・ルシアは登場条件が「CPU戦で1度も負けない」なのだが、上記の通り、CPU戦もなかなかに手ごわい為、会うだけでも一苦労である。そしていざ会ってみると、「ジェネラルの再来」とまで言われる程にトンデモ性能のボスになっており、ラスボスのアンジェリアに楽々勝てるようになっても勝つのは難しい。ただその強さもあって非常に話題になり、挑戦者も多く生まれた。
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キャラの性能も全体的に調整もされた。
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キャラデザが赤賀博隆氏に変更され、それに合わせ全キャラ描き直された。
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しかし絵柄の印象がかなり変わったため、既存の絵柄が好きだった人からはかなり反発される事に。
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他にもアルカナセレクト画面でスタートボタンを押す事でカーソルを隠し、どのアルカナを選んでいるのか相手に見えないようにする事が可能になった。
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トレーニングモードが追加。アーケードの格闘ゲームでトレーニングモードを搭載した事はこの当時で見てもかなり稀で、じっくりと練習しながら対戦を行いたいプレイヤーには画期的なシステムだった。
すっごい!アルカナハート2
【すっごい あるかなはーとつー】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売元
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AQインタラクティブ
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開発元
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キャビア エコールソフトウェア
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発売日
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2009年4月9日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人~2人
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レーティング
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CERO:B(12歳以上対象)
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判定
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クソゲー
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劣化ゲー
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ポイント
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すっごい!処理落ち すっごい!長いロード 通称『ひっどい!アルカナハート2』 『ギルティギアXX AC』と違ってその後のフォローも一切なし
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概要(『すっごい!』(PS2))
上記『アルカナハート2』のアッパーバージョンの移植作。開発(の片割れ)は『デスクリムゾン』を産んだエコールソフトウェアが担当。
バージョンはAC版『すっごい!アルカナハート2』(2.5)に準拠し、数ヶ所が2.6仕様に変更されている。
その移植となった今作はあまりにもひっどい!出来となってしまった…。
問題点(『すっごい!』(PS2))
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処理落ちが酷すぎる。
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本作をプレイする上でまず目につく点。飛び道具を出すだけで遅くなるのは序の口で、キャラによっては通常技を出すだけでラグが発生する。
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特にペトラは銃弾を高速で画面内に反射させるという事もあって、普通に動かしただけでも処理落ちしてしまうほど酷い。
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また、処理落ちの最中は処理落ち速度に合わせてコマンド入力をしないと受け付けてくれない。
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重くなったらあえて入力速度を遅くする対応が必要で、普通格闘ゲームだったら考えられない事である。
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ようは近年のオンライン対戦で回線が悪い状態での対戦で起きる事態である。オフラインの対戦ゲームでは論外と言える。
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ジャギ(解像度が低くなる現象)が酷い。
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キャラクターが歩くだけ、通常技を出すだけでジャギが発生し、キャラクターにモザイクがかかったように汚く見える。
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一部キャラは立ち絵でモザイクがかかる始末。自主規制か何かだろうか?
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更にはエフェクトまでジャギが発生する始末。その酷さたるや、SFC並と言って差し支えないほどにまで劣化する。
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本作はキャラゲーとしての売り(所謂、キャラ萌え人気もあるゲームである。)が他の格ゲーに比べ重要なため、そういった部分には気を使わなくてはいけないのだが、その大事な部分をほぼ見事に台無しにしてしまったがために不満を述べる人間が多数。
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トレーニングモードのCPUがしゃがみ状態のまま中段攻撃をガードすると言う、格ゲーの常識を覆す現象まで発生。
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通常のCPUはしゃがみ状態では中段攻撃をガードできないので尚の事気にかかる。
というかこっちが正常なだけだが…
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音質もかなり劣化しており、AC版のBGMと比べるとかなり厳しいものに
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音声やBGMの途切れ、遅延、オプションのモノラルとステレオの設定が逆と言った不具合もある。
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根本的な話になるが、本作が発売した時のゲーセンでの本体Verは2.6。だが前述どおり、この移植版ではほとんどが前Verの2.5のまま。
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格闘ゲームと言うものはちょっとバージョンが違えば大小なりとも差が生じてきてしまう。最悪それが勝敗に直結する事もあるので、この仕様もおかしいと言わざるを得ないのだ。
このような要素が組み合わさった結果、ゲームスピードは元よりも3倍くらいもっさり感が増えてしまった。本来は超ハイスピードの攻防が売りのタイトルにもかかわらず、である。
格ゲーと言うジャンルではもっさり感を感じること自体がかなり致命的だということも忘れてはならないだろう。
と言うか仕様自体はアーケード通りの仕様に仕上がっているのに、ハード性能不足によりまともにプレイ出来なくなっているのが何よりも致命的である。
評価点(『すっごい!』(PS2))
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AC版からの追加要素
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ストーリーモードのフルボイス化とギャラリーモード、トレーニングモード(前作と同じ時間無制限)が追加されている。
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これ自体はこの時期の格ゲー移植として無難にありがたい追加要素。特にキャラ面での人気もあるゲームの為、シナリオのフルボイス化は嬉しい所。
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パラセ・ルシアに家庭用で挑戦できる点
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上述した通りパラセは出すまでも大変なのにいざ出しても強すぎる事もあって、アーケードでは倒す為に何度も何度もやり直す事になったプレイヤーも多く、その彼女に家庭用ソフトでいくらでも挑戦できるというのは発売時点では非常に嬉しい点だった。
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とはいえ前述の通り基本的な部分で問題が大きく、挑戦できたとしてもアーケードでは問題なかった基本操作で困ったりと素直に喜べないのだが…。
総評(『すっごい!』(PS2))
糞移植の見本とも言えるソフト。
家庭用開発時期の問題か、開発の判断ミスか、いずれにしろPS2での移植を決行した事により、コンボ主体の格闘ゲームなのに処理落ちを考慮しないとコンボができないという惨憺たる結果となった。
見た目の問題以上に格ゲーとしては操作性の問題が致命的である。
AC版がコアな人気があった事や『カイザーナックル』のジェネラル級と称されるほどの隠しボス「パラセ」に家庭用でリベンジしたいといった理由から事前の期待値はそれなりに高かったのだが、発売後の落胆は大きいものとなってしまった。
参考動画
余談(『すっごい!』(PS2))
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発売後のフォロー(修正版やアペンドディスク等)もなかった。
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原因が本体のスペックによるものである以上、どうしようもないと言えばその通りではあるが…。
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前もって公開されていたスクリーンショットでは、ジャギの発生していない綺麗な物のみが公開されていた。
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PS2版の画面を公開する事による悪評を避けるため、AC版の写真をPS2版と偽って公開していたものと思われる。
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内部データ自体は文字通り完全移植であり、劣化の原因はPS2のスペック不足、ないしは移植に際しての調整を施さなかったことにあると思われる。
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前作『アルカナハート』の時点でPS2のスペックをギリギリまで使った移植であり、キャラが追加された本作の移植は無理がありすぎたと言える。
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事実、移植を請け負っていたエコールの真鍋社長がセガの家庭用ハードと心中するとまで発言していたにも拘らず、『MELTY BLOOD Act Cadenza』のDC移植を否定した理由として「思った以上にテクスチャーの容量が大きく、DCの内蔵メモリでは(そのままでの)移植が難しい。パターン等を色々削減すれば無理やり移植できなくもないが、それはもう完全移植じゃないから」と述べていたが、今回は皮肉にも過去に否定していた事を実践してしまった事になる。
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もっとも、あくまでエコールは下請けとして移植を担当しただけなので、不本意感があるのかも知れないが…。
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ただ前作『アルカナハート』でも、家庭用移植の際に新たな不具合・バグが発生してしまった事から、エコールの移植技術力の低さ・デバッグ姿勢の甘さを指摘・批判する声自体は上がっていた。
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同時期にPS2に移植した『MELTY BLOOD Actress Again』では、家庭用オリジナル要素も追加した上完成度の高い移植を行っていたため、「エコールは秋葉を三種類作るのに忙しかったんだろう」と揶揄される事も。
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もっとも、『MELTY BLOOD』シリーズに関してはエコールは販売等を担当し、実際の開発は同人サークル「フランスパン」、そして「TYPE-MOON」が担当しているので実情とは異なっている点には留意しておきたい。
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そんなわけで本作の件で叩きに叩かれたエコールな訳だが、中には「何を今更、『デスクリムゾン』作った会社だぞ」と擁護だか皮肉だか分からないジョークまで飛び出している。
その後の展開(『すっごい!』(PS2))
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悪評はスタッフにも伝わっているようで、アーケード版を開発したエクサムの広報に「そのゲームはらめぇ!」と叫ばれるほど。
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発売からしばらくは本作の稼働状況は独自基板のため芳しくなかったこともあり「(『2』仕様の)パラセ・ルシアと家で戦えるのは今作しかない」「家で瑞姫氏寄りの立ち絵が見られる」「シナリオフルボイス」ということもあって(かなり苦しいが)ファンアイテムとして価値は見いだせていたが、現在はNESiCAxLiveにて本作(と『2』の無印版)が配信されているため、家でやりたいという人以外からは利点が最後の一点のみになってしまった。
最終更新:2023年05月04日 14:59