ゴエモン もののけ双六
【ごえもん もののけすごろく】
| ジャンル | ボードゲーム |  
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| 対応機種 | ニンテンドウ64 | 
| メディア | 128MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | コナミ | 
| 開発元 | コナミコンピュータエンタテインメント神戸 | 
| 発売日 | 1999年12月25日 | 
| 価格 | 7,800円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ゴエモン風味の『カルドセプト』 初心者でも分かりやすいシステム
 反面、戦略性はいまひとつ
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| がんばれゴエモンシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
コナミの人気アクションゲーム『がんばれゴエモン』シリーズのN64版最終作。
ジャンルをアクションからボードゲームに変更した、番外編とでもいうべき作品であり、開発は外部開発チームのKCE神戸が担当している。
物知りじいさんの元に送られてきた一通のラブレターと「もののけ」を封印したお札が巻き起こす騒動を収拾するべく、おなじみの四人組が活躍する。
特徴
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基本的にはマジック・ザ・ギャザリングのような対戦カードゲームと、モノポリーのようなボードゲームの融合、と考えれば分かりやすい。
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すごろくの要領でマップ上を移動して止まったマスに、お金と「もののけ」を封じたお札を消費して自分の「もののけ」を召喚していく。
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使用するキャラクターの番が来た時に以下の順番で行動を起こしていく。
 1.山札からお札を1枚引く
 2.とくしゅふだの使用の有無
 3.サイコロを振り、出た目の数だけマップ上を移動。途中でマスが分かれる分岐点に来た場合は移動先を決めて進む
 4.もののけの召喚・移動・レベルアップ・もののけの回収のいずれか1つを行える
 止まったマスにもののけが居なければもののけを召喚することが出来る。
 召喚をせずにすでに配置しているもののけを別のマスに移動させたり、配置済みのもののけにお金を支払うことでレベルアップし、能力をアップさせることも可能。(最大5レベル)
 止まったマスに自分が配置しているもののけが居たら、手札として回収することが可能。回収すると状態異常が回復し、毎ターン体力が回復するようになる。
 5.自分のもののけを選び、攻撃範囲内にいる敵のもののけに戦闘を仕掛ける。
 6.行動終了。手札が8枚以上ある場合、7枚以下になるようにおふだを捨てる。
 
 
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相手が召喚した「もののけ」のいるマスを踏んだ時や、自分の「もののけ」を召喚したマスの隣に相手の「もののけ」がいる場合などに、お互いが召喚した「もののけ」同士のバトルが発生。自分ももののけを召喚して戦うが、もし召喚しない場合、プレイヤーは敵「もののけ」の強さ分のダメージを受けてしまう。
 もののけには攻撃範囲が決められており、敵の攻撃範囲外より攻撃を仕掛けた場合は遠距離攻撃となり、その戦闘では相手もののけから攻撃を受けなくなる。
 バトルではお金を消費してせんとうふだを1枚選び、戦うもののけのサポートを行える。
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バトルで相手の「もののけ」にダメージを与えて体力を0にすると撃破。この時、与えたダメージが相手の「もののけ」の残り体力より上回った場合は貫通ダメージが発生し、この貫通ダメージによって相手の体力を0にすれば勝利となる。
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行動終了時に所持金がマイナス場合は破産となり手札か
マップ上の味方もののけを売るなりして所持金を0両以上にする必要がある。また、体力を半分にする方法もあり、この方法を取ると破産した額に関係なく所持金が必ず1000両になる。
 
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全員が行動すると1ターン終了。また昼と夜の概念があり、4ターン毎に昼と夜を繰り返す。
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…とまぁ此処まで読んでいただければ分かる通り、かの名作『カルドセプト』と非常に共通点の多い作風となっている。一応、以下に記したような相違点は見られるが。
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カルドセプトは土地をレベルアップさせるのに対し、本作はもののけ自身をレベルアップさせられ、土地ともののけの属性が同じなら召喚時にレベルアップが行われる。
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カルドセプトは総魔力(資産)を一定以上蓄積した状態でスタート地点に辿り着けば勝利…つまり資産さえ十分なら無闇に戦闘する必要はないのに対して、本作はあくまで相手の体力を削りきらなければ勝利できない為、積極的にバトルを発生させなければならない。
 山札が切れたとしても山札切れで負けにはならず、捨てたおふだ全部を山札として戻す。
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今回のラブレター騒動による物語は全部で7話。おふだの呪いによって巻き込まれたキャラクターを正気に戻しつつ、犯人を追跡していく。
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物語を進める他、最大4人まで戦える対戦も出来る。両方とも、順位に応じてごほうび札を貰えるので、それを集めてデッキを強化していく。
 
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ストーリーモードで条件を満たすと隠しステージが解禁される。
評価点
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複雑さを廃した、分かりやすいシステム
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『カルドセプト』シリーズにみられる複雑な要素は少ないため、初心者でも理解しやすくなっている。
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本作ではもののけを召喚する際にはもののけのお札とお金以外の要素を要求されず、またもののけの種類によって戦闘時に使用できるお札(アイテム)に制限がある…といった縛りも存在しない。制限があるとすれば、置けない土地や時間帯によってはもののけ自身が召喚出来ないくらいである。
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もののけやお札の能力に関する説明も非常に簡潔、且つ分かり易いものとなっている。
 
 
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キャラクターへの愛着がわきやすい
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ストーリーモードではゴエモン・エビス丸・サスケ・ヤエのおなじみ四人のうち一人を選んで進めていくことになるし、敵キャラもクロベエ・カブキ・タイサンバとこれまたおなじみの面々である。更には殿様までもが敵キャラとして登場する。
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本作オリジナルキャラも存在するが、ゴエモンシリーズの世界観にうまくなじんでいる。この辺りは「本物の龍神様」から「異星の巨大兵器」まで揃った多様なキャラクターと、そうしたぶっ飛んだ設定すら許容してしまう個性的な世界観を保持する人気シリーズならではといったところか。
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またキャラクター毎に、召喚したもののけのステータスに補正がかかるという仕様がある。
 
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音楽・演出面での評価
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新規曲の他、過去の名曲がうまくアレンジされており、特に大江戸、竜宮城、オバケやしき、ジゴクのBGMは高評価を受けている。
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各キャラクターの有利な時のBGMもそれぞれ用意されており、既存キャラは過去曲のアレンジ、新規キャラについては新曲が用意されている。全キャラ分のBGMを聞くべくプレイ回数を重ねたユーザーも多いのではなかろうか。
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こちらはカブキやラスボス、そして隠しキャラの有利BGMの評価が高い。
 
 
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もののけに関する評価点
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もののけのデザインは日本妖怪をゴエモン風にアレンジしており、一部のもののけは可愛らしいと好評。
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これらもののけをコレクションしていくというカードゲームならではの魅力も余す所無く盛り込んでいる。
 
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本作に登場するもののけの総数を『カルドセプト』シリーズのクリーチャーと遜色無い物にするためか、相当節操なくあちこちから名前を引っ張ってきている。
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その結果「鬼」「河童」などのメジャー級妖怪から「否哉(いやや)」「逆さ柱」「五徳猫」なんてドが付く程にマイナーな妖怪達まで勢揃いする事となった。妖怪についての知識に自信があるならば、本作に登場するもののけの元ネタをどこまで知っているか試してみるのも面白い。
 
 
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低レアリティであっても強いもののけがいる
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レアリティのランクは最も低いCから最も高いSSまであり、最低ランクのCであっても侮れない能力を有しているもののけが存在している。
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Cのライガや滝霊王、Bの鬼は特殊能力こそ有していないが、総ステータスが1400以上と高水準であり、体力・攻撃・素早さのいずれも隙が無い。特にライガはレアリティがCにもかかわらず、全ステータスの値が500となっている。全ステータスが500というのはライガのみで、レベルアップを行えば最終的に全ステータスが900となる。
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鎌鼬は体力・攻撃の値こそ低いものの素早さが700もあり、かつ唯一移動力が3となっている。レベルアップさせれば、マップを自由自在に動き回って相手のもののけを蹂躙する事も可能。これもレアリティはC。
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人魂はステータスは200以下と非常に低いのだが、なんと80%の確率で敵もののけの攻撃を無効にしてしまう。肝心な時に失敗する事もあるが、護身用としては重宝する。しかも攻撃無効の確率が高いにもかかわらず、レアリティはB。
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日照坊もレアリティがBであり、こちらは移動力が0のため召喚したマスから移動できないが、なんと攻撃範囲の数値が3となっており、遠距離攻撃を仕掛けることができてしまう。
 
 
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条件を満たすと解禁されるルール設定の中には、時間帯によってもののけがパワーアップする「昼夜パワーアップ」という項目が存在しており、これをONにしておくと通常プレイでは思いもよらないであろう意外なもののけが活動するようになる。
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レアリティが低いもののけだからと油断していると、特殊ルールによるパワーアップと、せんとうふだによるサポートにより、高レアリティのもののけがあっさり返り討ちにされてしまう事も十分ありえるのだ。
 
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勿論、A以上のレアリティのもののけは総じてステータスが高く、敵もののけの攻撃を反射したりするような特殊効果や、自分の手札のもののけをせんとうふだとして使える特殊効果を有しているものも存在している。
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特に後者はせんとうふだとして使ったもののけのステータスが加算されるため、使い方次第では一方的展開をひっくり返してしまえる程の強化を得られるケースもあったりする。AやSといった高めのレアリティに相応しい性能といえよう。
 
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ほぼ全てのキャラクターにボイスが付いている
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対戦中は色々なセリフを言って、こちらを楽しませてくれる。不利な時の台詞、有利の台詞、勝負挑むor挑まれた時の台詞…等々。
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おなじみの四人組と殿様は『でろでろ道中』と同様のキャスト。クロベエは冨永み~な氏、カブキと本作ラスボス(!)は高木渉氏がそれぞれ演じている。タイサンバも「ピポ」としか話さないのにCV:緒方賢一。
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テンポの悪化が気になる場合は、フリー対戦のみではあるが「台詞無し」に設定すればスピーディに対戦可能。
 
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対戦に参加しない物知りじいさんだけはボイスが設定されていない。一応台詞はあるのだが。
 
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やりこみへのご褒美要素
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個性的な敵キャラクターは、ストーリーモードで勝てば自分で使用可能となる。
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クロベエやカブキ、タイサンバ、果ては殿様を使用して対戦する事だってできてしまう。
 
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本作のクリア率に応じて、ストーリーモードと対戦モードにおいて変更可能なルール設定が増えていく。
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対人戦を楽しみたいのであれば、後述する「キャラクター毎のステータス補正を無しにする」ルールは解禁しておく事をオススメしたい。
 
 
問題点
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戦略性はいまひとつ
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『カルドセプト』シリーズにおいてシステムの複雑さは高い戦略性を求めた結果であるが、初心者でも理解しやすくするために複雑さを抑えた本作では戦略性の低下は止むを得ない部分もある。
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お札同士の強弱がはっきりしているせいで、終盤はとにかく強いお札をつめこんだデッキになりがちである。
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強いお札を使うにはある程度の資金を貯める必要があるのだが、これがいとも簡単に手に入る。最初のステージであれば、条件付きとはいえ軽く1,000両以上は増える。一方で、隠しステージは逆に貯めにくいという少々ちぐはぐな調整になっている。
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資金切れ直前の状態になっても同じ場所をグルグル周回していれば相当なターンを粘ることが可能。勝負がつかないことも多々ある。
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本作で資金切れを起こした場合、まず手持ちのお札や召喚済みのもののけを売却して赤字を埋めさせられるが、売ると不利になると判断したら手札・もののけを売却せずに「体力の半分」と引き換えに赤字を帳消しにし、更に1,000両を入手してしまってもいい。不利であればあるほど赤字帳消しのペナルティが軽くなるという中々に考えられたシステムではあるが、上述の仕様故に余程酷いプレイか、或いは狙って破産しようとしない限りお世話になる機会は無いと言い切ってしまっていいだろう。
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ルール設定により、もののけ売却と手札売却を禁止する事も可能ではある。両方禁止にしてお金重視のルールで遊ぶというのも一興か。
 
 
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キャラクター同士の強弱がはっきりしすぎている
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ラスボスの有するステータス補正が「自身の召喚したもののけの全能力+100」というぶっ飛んだ性能なのはラスボス補正故仕方無いとしても、大半の敵キャラがゴエモン・エビス丸・サスケ・ヤエいずれかの上位互換なのはいただけない。しかも召喚する度に補正がかかるので、ラスボスを使用して回収→召喚→回収を繰り返していれば、それだけでもののけのステータスがどんどん上がっていくという事態に。
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ヤエで一度ストーリーをクリアすると、ストーリーモードや対戦モードで「キャラクター毎のステータス補正を無しにする」というルール設定が解禁される。
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対人戦ではこの「ステータス補正無し」ルールを使用するか、或いは「ラスボス・隠しボス禁止」などのローカルルールを設けるのが無難だろう。
 
 
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全体的にCPUのデッキが弱い
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プレイヤーの年齢層に配慮したのかもしれないが、それを考慮しても弱すぎである。残念ながら難易度変更といった要素も存在していない。
 
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カブキのキャラ付けがおかしい
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何故か本作では「~っス」といった具合の、体育会系敬語を使うキャラ付けになっている。更に復讐に燃えていたはずが物腰がやたらとフレンドリーで、ストーリー上の会話で次のマップへ続く道の場所や騒動の要因がその先にあるらしいことをあっさりと教えてくれたりする。
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この口調は本作限りで、次作以降は従来通りの口調に戻っている。
 
 
総評
「ゴエモン版『カルドセプト』」という印象の拭えない作風ではあるが、ゴエモンシリーズならではの味付けは十分になされている。
特にシステムやルールの複雑さを廃したことで、戦略性の低さと引き換えに、初心者を交えて大いに盛り上がることができる作品となった点は大きいだろう。
シリーズ自体が末期に差し掛かっていた時期だったこともあり、パーティ用ボードゲームとしての知名度ではどうしても『マリオパーティ』等の有名所と比べると一歩劣ってしまい、本作はいわゆる隠れた名作としての立ち位置に収まっているのが惜しいところである。
余談
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本作の前に発売したGBCの『もののけ道中』との連動機能がある。
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もののけ道中側でパスワードを入力すると、パスワードに応じたもののけが出現するようになる。
 
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同社の格闘ゲーム『らくがきっず』で登場したキャラクターが、お札で召喚可能なもののけとしてゲスト出演している。超低確率で他のもののけ同様に入手することも可能だが、パスワードで入手するほうが手っ取り早いだろう。
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ただし、文字数の関係か名前が平仮名表記になっているキャラや、名前が略されているキャラが存在する。
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またどういう訳か「イヌゾ」だけは登場しない。隠しボス的な立ち位置のキャラクターだからだろうか?
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『らくがきっず』からのゲストキャラクターの一体である「あすとろのっつ」は「召喚後、能力値が召喚済の味方もののけの中で最も高い数値に変化する」という性能から本作中最強のもののけであると評されることが多い。
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ちなみにこの「あすとろのっつ」を入手する為のパスワードは「もとしゅやく」…『らくがきっず』それ自体は非常に完成度の高いゲームであった事や、それにも拘らず知名度が低いままに終わってしまった事を考えるに、この自虐めいたパスワードには正直涙を禁じえない。
 
 
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同じもののけをテーマにした本家制作チームの『でろでろ道中』では、妖怪側の立ち位置でありながらゴエモン一行に助太刀する猫娘スザクが登場していた。しかし残念ながら、彼女は本作にも『もののけ道中』にも参戦していない。
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主要キャラであるにもかかわらず影が薄かった事を惜しまれており、こちらにゲスト参戦してほしかったという意見も少なからず見られたという。
 
最終更新:2025年05月11日 12:10