月あかりランチ OZ sings, The last fairy tale.
【つきあかりらんち おず しんぐす ざ らすと ふぇありー ている】
ジャンル
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ADV
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対応機種
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Windows XP/Vista/7
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売・開発元
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EX-ONE(エックスワン)
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販売元
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ホビボックス
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発売日
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初回限定版:2013年5月31日 ※ダウンロード版も同日発売
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定価
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初回限定版:8,800円 ダウンロード版:6,800円(共に税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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120個 |
ディスクレス起動
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可能
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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良作
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EX-ONE作品 真夏の夜の雪物語 / フツウノファンタジー / 真夏の小さな恋物語 / 月あかりランチ
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概要
合同会社エクスのゲームブランド「EX-ONE」より発売された作品で、ファンディスクを含めずに見るとブランド3作品目となる。
ゲームエンジンには「ういんどみる」などを抱える、有限会社アレスの開発した『CatSystem2』を使用しているのはこれまでの作品と同じ。
原画・キャラクターデザインは高階@聖人氏、メインのシナリオはサイトウケンジ・深山ユーキ・代瀬涼の3氏、BGMは羽鳥風画・OdiakeS・難波 研の3氏がそれぞれ担当している。
本作の予約購入で生天目仁美氏の歌うOP主題歌「月あかりFAIRYTALE」とtheta氏の歌うED主題歌「After Graduation」のそれぞれフルバージョン・インストゥルメンタルバージョンも収録されているサウンドトラックが貰えるキャンペーンが行われていた。
本作の設定やストーリーはライマン・フランク・ボーム著の児童文学作品である『オズの魔法使い』の影響を色濃く受けている。
ただし、それに関して明かしてしまうと直接・間接の違いこそあれネタバレに繋がってしまいかねないので、このページではそういう要素があるという説明にとどめ、詳しいことは記載しないので、悪しからずご了承願いたい。
ストーリー
ある日、志貴晴彦が目を覚ますと、そこは深夜の学園だった。
その場にいた少女たちに 「星影学園」 であることを聞いた晴彦は、そこが外に出られないうえに夜しか存在しない不思議な学園である、ということを知らされる。
ここには色々な世界から来た四人の少女がいて。
晴彦は彼女たちの教師となり。
そんな彼女たちの願いを叶えて、卒業させる。
そうしなければ、晴彦も元の世界に戻ることは出来ない。
突然現れた “魔女” を名乗る少女は、晴彦にそう告げた。
戦争で人が戦い続ける世界から来た少女、水際フユ。
機械が人間社会をすべて支配する世界から来た少女、皇夏乃。
魔物と人が戦う、剣と魔法の世界から来た少女、アブリル=ポワッソン。
そして記憶を失っている少女――アキ。
晴彦の教え子たちは、一癖も二癖もある少女たちで、その考え方も、価値観も、意識も、すべてがバラバラだった。
教師としての勉強はしていたものの、実際になるつもりのなかった晴彦は、そんな彼女たちの教育に四苦八苦することとなる。
そこで、自分を追い立てるためにも晴彦は宣言した。
「俺がお前たちの願いを叶える、オズの魔法使いだ!」
※Getchu.comの商品ページより一部手を加えて転載。
作品構成
本作のヒロインは4人おり、プロローグを読み終えたあとで攻略ヒロイン(ストーリー)を選択して読み進めていく。
どのストーリーにもルート分岐に関わる選択が1つあり、その選択でグッドエンディングとバッドエンディングに分岐する。
4人いるヒロインの内、アキのストーリーは初期状態ではロックされており、彼女のストーリーは他3人のグッドエンディングに到達しなければ開放されない。
それぞれのストーリーにおいてグッドエンディングに到達するとそのヒロインのおまけ18禁シーンが開放され、アキのストーリーのグッドエンディングに到達すると、最終的にヒロイン4名のおまけ18禁シーンがそれぞれ2個ずつと、サブに位置する女性キャラクターとのおまけ18禁シーンが開放される。
キャラクター紹介
主人公・ヒロイン
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志貴 晴彦 (しき はるひこ)
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本作の主人公。
至って普通の常識人であるため、非日常的なことに対して耐性は低く、時として混乱してしまうことも。 自身のためだけでなく、同じように星影学園に飛ばされてきた少女達を学園から元の世界に戻すべく教師として奮闘している。 しかし、まだまだ教師としては未熟なため、教え子となる少女達に教わることもあれば、振り回されてしまうことも。 特に、教え子の1人であるアブリルや魔女の1人である西野さんには何かに付け弄り倒されている。 真っ向から教え子にぶつかっていこうと頑張るが、どこか空回りしてしまうことも少なくない、熱血漢でお人好しな性格。 得意とする科目は歴史と国語。
基本的に晴彦の台詞にボイスはないが、晴彦以外の視点に切り替わった時や一部のシーンでのみボイスが再生される、所謂パートボイスとなっている。
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水際 フユ (みぎわ -)
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ヒロインの1人で、晴彦の教え子。
生まれた時からずっと戦争が続いている世界からやってきた。 感情の起伏がほとんど存在せず、あくまで生き延びるためにもっとも合理的な選択を重視する。 身体能力が飛び抜けて高く、常人のレベルをかけ離れて、もはや超人的。 更に戦闘能力も高く、生き抜くための知識やサバイバル能力にも長けている。 中でも銃の扱いに秀でており、使っている銃は元いた世界で数多の修羅場を潜り抜けてきた相棒とも呼べる物。 戦争が続く世界で生きてきたためか、晴彦の授業も不可解なものでしかなく、生き延びる上での必要性も見出せずにいる。 そのせいか、何かと「何故でしょうか」と口にすることが多いが、解らないなりに晴彦の自分とは異なる考え方や彼の授業を理解しようとはしている。 得意科目は物理や数学。
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皇 夏乃 (すめらぎ なつの)
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ヒロインの1人で、晴彦の教え子。
機械が人間の生活全てを管理し、他者と触れ合うこともない代わりに争いごともない世界からやってきた。 明るく元気で、自分の感情には真っ直ぐ突き進むタイプ。 好奇心の塊のような存在で、星影学園に来てからは今まで触れることがなかった自分以外の人間の事やそれ以外にも様々な知識を得る機会が増えたことを喜んでいる。 機械製作の腕前はピカ一で、皆をサポートする道具など様々な機械を瞬時に作り上げることが出来る。 晴彦のクラスのムードメーカーであり、皆からも可愛がられている。 「べんきょーになるね!」が口癖。 得意科目は科学と化学。
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アブリル=ポワッソン (Avril Poisson)
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ヒロインの1人で、晴彦の教え子。
剣と魔法が存在するファンタジーのような世界からやってきた。 元の世界ではある国の王女様であるからか、たおやかで余裕を持った態度を常に崩さず、気さくに学園の生活を楽しもうとしている。 腰には細剣を下げており、流石に規格外のフユほどではないが、戦闘能力に秀でている。 星影学園や魔女に関しての謎や秘密にも興味津々で、謎を解くために独自に動いたりとアグレッシブな面も持つ。 クラスでも他の皆を引っ張るリーダー格で、周りをよく観察した上で発する言葉の一言一言が的をよく射ている。 何事も楽しもうとする気質なようで、面白い反応を返す晴彦やハルのことを弄ることもしばしば。 「面白いかと思いまして」が口癖。 得意科目は歴史と外国語。
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アキ
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ヒロインの1人で、晴彦の教え子。
記憶を失っており、自分の名前も、星影学園に来る前のことも思い出せない。 気が付いた時に手元に古びた本を持っていたものの、勿論それを持っていた理由も解らないでいるが、常に大事に持っている。 「アキ」という名は呼ぶ名前がないと不便と言うこともあり、彼女の願いを受けた晴彦が他の面々との繋がりから一種の験担ぎのような案配で付けた名で、彼女自身も結構気に入っている。 物静かで口数も多くないが、晴彦やクラスメイトのことをよく見、気遣える心優しい性格。 他者と話す時はどこか一歩退いた感じで話すことが多いが、晴彦に対しては砕けた感じで話し、魔女の1人であるミナミさんには敬語で話すことが多い。 晴彦が教師として皆を元の世界に戻す事を決意させるきっかけとなったのも彼女の一言であったり等、晴彦にとっては教え子の1人というよりは精神的な支えになっている部分がある。 一度決めたことは決して諦めたり退いたりしない頑固な面も持ち、大人しそうな見た目に反して、結構な無茶をすることもある行動的な一面を持っていたりする。 「大丈夫?」が口癖。 社会全般を得意科目としている。
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サブキャラクター・魔女
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ハル
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学生時代の晴彦と同じ姿、名前を持つ少年。
考え方も得意とする科目もやはり学生時代の晴彦と同じ。 同じ名前を持つ人間が2人もいるとややこしく面倒という理由から「晴彦」という名前から「ハル」と名乗ることにしている。 強気で偉そうな、怖いもの知らずな雰囲気があり、弱気で迷うことも多い今の晴彦はどこか羨ましがっている。 夏乃からタイムパラドックスの起こる可能性を聞かされたことで互いに悪影響を及ぼしかねないとして、そしてある種の同族嫌悪のようなものからかどこか互いに積極的に関わろうとしない節がある。 一応、歴史と国語を得意科目としているが、大体の授業では寝ていることが多い。
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西野さん (にしの-)
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魔女の1人で、星影学園の購買部で色々なものを取り寄せたり、売ったりしている。
晴彦をこの世界に呼び寄せた張本人であり、自分の目的のために彼を教師役に据えた。 明るく元気でノリが良く、細かいことは気にしない大雑把な性格。 その性格を同じ魔女であるアズマさんから度々注意されているが、当人に直すつもりは全くない。 星影学園の特性からか、様々な世界を見ることが出来、晴彦の世界からも様々なネタを拾っては晴彦に無茶振りをして楽しんだりしている。 下ネタも気にしないどころか、晴彦の教え子達に積極的にいかがわしいことを教えていたりすることもあるため、晴彦にとっては頭痛の種になっていたりもする。 何故かフユに対してだけは名前ではなく「戦闘人形」呼ばわりすることが多い。 魔女としての能力は「人形使い」で、動物のぬいぐるみや人形などを作っては見せびらかしに来ることもあり、得意な科目も図工。
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アズマさん
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魔女の1人で、学園内を晴彦の教え子達同様に制服姿で徘徊している。
クールできつい性格で、顔を合わせば容赦のない一言を投げかけてくる。 その一方で何かと絡んでくる西野さんに対してうんざりした素振りを見せつつもどこか付き合いの良さや優しい面を見せたりといった部分も見られる。 だが、基本的にはあまり他者と関わり合いになりたくないのか、あるいは喧しいのが苦手なのか、あまり彼女に絡もうとすると露骨に嫌がられる。 晴彦は彼女のことを「風紀委員」みたいなものだと勝手に思っており、実際にその評価が似合っている。 魔女としての能力は不明だが、学園と他の世界との出入口を管理していると噂される。 得意科目は数学。
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ミナミさん
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魔女の1人で、クラスの副担任として晴彦や教え子達をサポートしている。
元々は教師をしていたが、晴彦の宣言を受けて感動したということで、サポート役を買って出ている。 物腰穏やか、優しく丁寧で争い事を好まない性格をしており、とても聞き上手。 晴彦も教師としての相談を持ちかけることもあれば、その笑顔に癒してもらっている。 グラマーな女性だが、彼女自身は下ネタや破廉恥なことに対して免疫がほとんどないため、そういったネタを良く振る西野さんに赤面させられたり狼狽えさせられたりすることもしばしば。 魔女としての能力は占いで、最近は占星術にこっている。 彼女の占いはほぼ100%当たるもので、占ってしまえばそこで出た結果が未来でほぼ確実に起こってしまうため、晴彦達には無闇に自分に占ってもらおうとしないように忠告し、そして自分の占いが悪い結果にならないように願っている。 得意科目は語学全般。
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北山さん (きたやま-)
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魔女の1人で、養護教諭をしている。
魔女と呼ばれてはいるが、れっきとした男性である。 保健室でコーヒーや紅茶、お茶菓子を振る舞い、憩いの場を提供することに余念がない。 普段の立ち振る舞いも一歩引いた落ち着いた大人の男性のものである。 しかし、ノリのいい部分もあるようで、アブリルや西野さんなどのネタ振りに対して冗談ながらも男色の素振りを晴彦に見せることもあり、晴彦を震え上がらせることもある。 魔女としての能力は「魔術」で、怪我などの治療もその魔術で行える、頼れる存在。 得意とする科目は歴史と物理。
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用語紹介
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長くなるのでクリックで参照
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星影学園 (ほしかげがくえん)
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異世界にある学園で、周囲は森に囲まれており、その敷地の外に出ることは不可能。
学園はあらゆる手段を持っても破壊することは出来ず、フユは晴彦達に会う前に銃などを用いて破壊を試みたものの、失敗に終わっている。 一日中夜であるため、月明かりが届かない場所や、明かりが灯っていない場所は非常に暗い。 学園にいる人物の心情の変化や機微を汲み取って季節を変化させたり、入れる教室が増えたりなど、不思議な部分が非常に多い。
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魔女 (まじょ)
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人智を越えた力を持つ者を指す呼称。
男性である北山さんが魔女と呼ばれるのはこれが理由。 普段は理性が働いて自らを律することが出来るので人を「食べる」事はないが、後述のランチタイムの間は凶暴性や本能的な衝動が理性を上回ってしまい、人を襲ってしまうこともある。 これ故に、元々争い事を好まないミナミさんは晴彦に「くれぐれもランチタイムの間は魔女に出会わないように気をつけ、出会ってしまったらすぐに逃げて欲しい」と頼んでいたりする。
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ランチタイム
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星影学園の深夜0時から1時までの間のこと。
正確には「月影の刻 (つきかげのとき)」と呼び、あくまで「ランチタイム」は通称だが、作中でももっぱら通称で呼ばれている。 この間は魔女達が理性を失い、更に学園内には「影」と呼ばれる存在が徘徊し、晴彦や教え子達に襲いかかるようになる。 教室や部屋で大人しくしている分には襲われる心配はないが、ランチタイムの間でなければ現れない施設があり、その施設にこそ教え子達の願い、ひいては卒業に繋がるヒントがあるため、卒業のためにはリスクを承知でランチタイムに探索を行わなければならない。
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影 (かげ)
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ランチタイムになると学園内を徘徊するようになる存在で、人間に襲いかかってくる。
獣や人などといった形を取り、それらの影がそのまま形を持って動いているように見えることから「影」と呼ばれるようになっているが、正式な呼び名は不明。 個々は大したことはないが、数を揃えてこられると一転して厄介な存在となる。 物理的な攻撃が通るようで、フユやアブリルはその武器と戦闘能力で、夏乃は作ったメカなどの攻撃能力などで対処しつつ、独自に調査に動くこともある。
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「オズの魔法使い」の写本
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晴彦達がランチタイムの中で見つけた図書館の一角で発見した本。
それぞれのヒロインらのプロフィールが物語仕立てで描かれており、ヒロインらと親交を深めることでそれに合わせてページや記述が増え、彼女たちの願いや抱える問題などが明らかになる。 晴彦が普段管理しているが、記述された内容を利用してランチタイムに罠を仕掛けたりなどといった悪用に繋がりかねないため、「魔女には決して内容を見せないように」と晴彦はミナミさんから厳重に注意をされている。
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評価点
丁寧に紡がれているストーリー
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一部、自身のルート上とそうでない時とで描写が大きく異なっていたりなどする個所があり、内容が内容なのでそこに違和感を覚えてしまう可能性は否定出来ないが、全体的には丁寧に物語が作られており、それぞれのヒロインのストーリー1つで見ても、ストーリー全体で見てもしっかりとまとめられている。
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こういうタイプの作品の場合、最終ルートとしてロックされているヒロインのストーリーが微妙で終わりよければの逆を行ってしまうということも往々にして見られるが、本作に関しては、最終ルートであるアキのストーリーはそれまでのルートでの伏線や謎を回収しつつ、1つの物語としてもしっかりと完成させている。
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バッドエンディングの終わり方にしても、作中の展開であれば選んでもおかしくはないであろう選択から分岐するもので、そちらも本筋から外れるから適当であったりやりたい放題であったりということもなく、流石にすっきりとはしないが、話の流れとしては納得のいく終わり方となっている。
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多少強引であったり突拍子もない部分もあるが、過程も丁寧に書かれているため、少なくとも破綻しているといったレベルに違和感を覚えることはないだろう。
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ただし、アキのストーリーのエンディングに関して、色々な意味で強烈なツッコミ所があり、そこまで強烈ではなくとも、それ以外の所にも引っかかりを覚える部分はあるのでそういうのが気になる人には少々辛いかも知れない。
良い意味で個性が立っているキャラクター達
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個々の好みの問題で受け付けないキャラクターなどはいるかも知れないが、少なくとも、作品を読み進めるのが苦痛になるような不快感を煽ったりするようなキャラクターはいないと言えよう。
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上に書いたように、『オズの魔法使い』に登場するキャラクターをモチーフとして作られている本作の各キャラクターも、元となるキャラクターの特徴を残しつつも上手くアレンジを施してあり、ガワだけを変えた流用ではなく、ちゃんと1人のキャラクターとして個性が立っている。
システム周り
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これはシステム周りに定評のある『CatSystem2』を採用しているだけあって、細かいカスタマイズが可能になっている。
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ただ、セーブなどのメニューに入るのにワンアクション余計に必要な所は人によっては引っかかりを覚えるかも知れない。
音声・グラフィック
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BGMは本分をわきまえつつも質の高いものとなっており、作中の雰囲気を一層盛り上げてくれる。
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声優陣も棒読みや演技力不足を感じさせない、質の高い演技を見せてくれる。
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個々のイメージがあって、それとはちょっと違うということはあるにしても、明らかなキャストのチョイスミスレベルでの違和感を覚えることはないだろう。
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グラフィックも基本的には質が高くまとまっており、立ち絵や服装の種類があることもあって、キャラクターをより魅力的に描いていると言える。
問題点
ストーリー
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最終的にはすっきりと読み終えることが出来るストーリーの作りにはなっているのだが、アキのストーリーという終着点に対して、他の3人のヒロインのストーリーが単なるアキのストーリーの伏線張りに利用されているように感じられてしっくりとこなかったり、最終的なものはともかくとしても、程度の差こそあれ、シリアスな雰囲気が最後の最後まで続くため、雰囲気が合わないと読み進めるのが辛くなる可能性がある。
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少なくとも鬱ゲーではないので、最後まで救われない終わり方をすることはないのだが、特に物語はハッピーエンドで終わってナンボという人には、アキのストーリーまで全て読み進めないと、どうしても他の3人のストーリーはそのストーリーのヒロインはともかく、その周りという意味ではどこか救われない終わり方になっているため、不満を覚える可能性もある。
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また、アキのストーリー自体も、悪く言えばありきたりの終わり方を見せる部分もあるため、肩透かしを食ったように感じる者もいるようである。
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学園の中という限られたフィールド上の物語なので仕方ないかも知れないが、ストーリー上、もうちょっと詳しく描いて欲しいと思える部分が飛ばされてしまっていたり、せっかく恋人になったというのに、その後の描写があっさり目になってしまっているという指摘も出ている。
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特に18禁シーンの入れ方が、終盤になって無理矢理突っ込んだと感じられてもおかしくないものもあり、逆に「無い方が良かったのでは…」という印象を抱いてもおかしくはない。
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プロローグに割きすぎて個別部分が割を食っているとする意見も出ている。
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実際、プロローグの部分では比較的丁寧に追っていたものが、個別で似たような展開になるとあっさりと流していたり…というのも見受けられる。
グラフィック
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基本的な立ち絵などは綺麗に纏まっているのだが、一枚絵となると絵が崩れているように感じられるものがちらほら散見されるため、不満意見が出ている。
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アキルートの最後の方に出て来る一枚絵の晴彦などはあからさまに絵が崩れてしまっており、最後の最後で少々微妙な気分になってしまいかねない。
誤字脱字が多い
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サイトウケンジ氏の関わった作品だともはやそういうものだと受け入れるしかないのか、本作でもやはり誤字脱字がかなり目立つ。
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発売直後に配信された誤字脱字などの修正を行ったパッチを適用してなお目立つので、流石にチェックが甘すぎると言わざるを得ない。
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酷いと、ある場面で再生されるキャラクターの台詞と実際にテキストウィンドウに表示される文字が1文字とはいえ違っており、聞いていて違和感を覚えてしまいかねない。
パロディネタ
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本作の世界観だとあまり挟む余地が無さそうに思われるかも知れないが、西野さんは暇潰しと称して別の世界を覗いて仕込んだネタとして、パロディネタを挟んでくる。
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ヒロイン勢は設定的にそれに対応出来ないため、西野さんがそのネタを振るのもほとんど晴彦だけになることもあって、絶対数としては少ないのだが、作品の世界観を考えた際に程度の差こそあれ、パロディネタは単純に浮いてしまいかねない。
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サイトウ氏と言えばパロディネタがつきものではあるが、この作品においては、世界観という意味合いでも自重した方が良かったのではないだろうか。
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なお、後述する発売前のカウントダウンではヒロイン勢にもパロディネタを言わせていたりする。
おまけ18禁シーン
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基本的には本編とは別に繰り広げられるもので、文字通りのおまけである。
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しかし、いくらおまけとはいえ、晴彦が度を超えた変態に感じうるような言動を取るものがあるため、それを「おまけなんだからこれ位はあり」と受け取るか「おまけだからっていくら何でもやりすぎ」と受け取るか…などで印象ががらりと違ってくる。
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ただし、その辺を気にしなければ、このおまけ要素が用意されていること自体は評価されている。
総評
部分部分で引っかかりを覚えうる要素や多少の詰めの甘さは見られるが、全体的に見れば丁寧に作られた作品である。
不思議な星影学園の世界観と作品を彩る上質のBGM。
個性が立った魅力的なキャラクター達に彼らに命を吹き込む声優陣と、そのキャラクター達を丁寧に描いたストーリー。
しかし、全体を見た際にこの作品にしかない、特筆すべき長所というものは正直な所無いと言わざるを得ない。
だが、飛び抜けたものこそないが、作品を彩る様々な要素が高いレベルでまとめられており、結果として高い完成度を実現した作品であると言えよう。
そのため、一点特化型と違ってある種の地味さは拭えない作品であり、そういう意味では埋もれてしまい易い作品となってしまっているのが惜しまれる所である。
余談
2014年10月17日に『EX-ONE コンプリートセット』がDMMで7,800円のDL販売開始。
『フツウノファンタジー』『月あかりランチ』『真夏の夜の雪物語』『真夏の小さな恋物語』が収録されている。
発売前カウントダウンについて
本作でもやはりサイトウ氏がういんどみるにいた時からの定番のネタが使われている。
しかし、初出の『祝福のカンパネラ』のカウントダウンでは出オチに使われていたものも、直球ではなくやや変化球をかけたものとなっていたりと、多少の変化は見られる。
とはいえ、流石に使い古されてきている部分もあるネタであるため、いい加減それらから離れた方が良いのでは…といった意見も見受けられるようになっている。
最終更新:2022年02月21日 10:40