【まざー】
ジャンル | ロールプレイングゲーム | ![]() 高解像度で見る 裏を見る |
対応機種 | ファミリーコンピュータ | |
メディア | 3Mbit+64kRAMROMカートリッジ | |
発売元 | 任天堂 | |
開発元 | パックスソフトニカ、エイプ | |
発売日 | 1989年7月27日 | |
定価 | 6,500円 | |
セーブデータ | 3個(バッテリーバックアップ) | |
レーティング |
CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加 |
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配信 |
バーチャルコンソール 【WiiU】2015年6月15日/617円 |
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判定 | 良作 | |
ポイント |
現代アメリカを舞台にしたノスタルジックで切ない世界 当時としては先進的な要素が豊富 バランスや難易度はやや大味 |
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MOTHERシリーズ MOTHER / MOTHER2 / MOTHER1+2 / MOTHER3 |
1900ねんだいの はじめ
アメリカのいなかまちに くろくものようなかげがおち
ひとくみの ふうふがゆくえふめいに なりました。おっとのなは ジョージ。 つまのなは マリア。
2ねんほどして ジョージは いえにもどりましたが
どこにいっていたのか なにをしていたのかについてだれに はなすこともなく
ふしぎなけんきゅうに ぼっとうするようになりました。つまの マリアのほうは とうとう かえっては きませんでした。
1988年、アメリカの平和な田舎町「マザーズデイ」で突如起こる不思議な怪事件。
動物は何かに操られるかのように暴れ、墓場から屍が蘇り人を襲い出します。
町はずれに住んでいたとある一家の家でも、物が飛び交い家人に襲いかかる怪現象が起きました。
怪現象に遭遇した一人の少年は、ある決意をします。
手元にあるのは曽祖父の残した日記、地図、ボロボロのバット。そして不思議な力――「PSI」。
家族を守るため、この不思議な事件の原因を突き止めるために。
少年は、勇気を出して冒険の旅にでました。
忘れないで。
合言葉は勇気と友情、そして愛。
任天堂初のコマンド選択型RPG(*1)で、後の『MOTHERシリーズ』の第1作。
現代アメリカの架空の地域を舞台に、1人の少年とその仲間たちが各地で起こる異変の真相を突き止めるため旅立つという、当時としても珍しい現代劇風の世界が特徴となっている。
ゲームデザイナーはコピーライターの糸井重里。氏の手がけるシナリオの小粋なセリフ回し、現代アメリカを表現した広大なフィールドグラフィック、鈴木慶一(ムーンライダーズ)と田中宏和のコンビが生み出したポップでメロディアスな音楽などの斬新な要素で高い評価を得た。
キャラクターデザインはイラストレーターの南伸坊が担当している。
+ | ネタバレ注意 |
+ | 主要キャラクター紹介 |
他にも、当時としては珍しい仕様が多く見られる。
+ | 「コレのどこに意味があるんだ?」といえば… |
ヒントの少なさ
アイテム関連
移動関連
戦闘関連
戦闘のバランスや不親切さは現在でも語り草になるほど大味気味である。
その他
+ | ネタバレ |
現代のアメリカをモデルとしたRPGは当時としては物珍しく、どこかノスタルジックで温かみのある雰囲気が全体に漂っている。
テキストなどの独特の言い回しや個性的なキャラクター達、小粋な演出の利いたイベント、メロディアスで耳に残りやすい音楽など、細部の作り込みの丁寧さに惹かれてファンになる者も多い。
FC時代のRPGという事を考慮してもシステム面でやや不便な点が多く、ストーリーについても容量などの制約上ゆえか説明不足が目立つため人を選ぶ側面もないわけではないが、物語の幹となる「メロディ」にまつわるエピソードは切なく、美しい。
ゲームバランスの悪さなどといった少々目立つ難点がありながらも人を惹き付ける様々な魅力に溢れた、CMのキャッチコピー通りに「名作保証。」の逸品といえよう。
これから赤い帽子をかぶって冒険に出るあなたも「エンディングまで、泣くんじゃない。」
なお、海外では『Earthbound』のタイトルで『MOTHER2』が正式にSNESに移植されているのだが、シリーズの初代である本作品は長らく未発売となっていた(この未発売となったNES版『Earthbound』のROMデータが後に海外に流出し、それを基に海外のファンがタイトルを『Earthbound Zero』に変更したハック版も作られた)。 本作のローカライズが完成した時期が丁度SNES(海外版スーパーファミコン)の発売と重なってしまい、SNES製造が優先されたためにお蔵入りになったといわれる。
こちらのNES版では一部のテキストやイベントの進め方などに変更点があり、国内版にはなかったエンディング(主人公たちのその後)が追加されている。
後に移植されたGBA版『MOTHER1+2』ではこちらのNES版を基にしているようで、変更点は継承されているものの任天堂側は海外版の移植であるとは正式に認めていない。 GBA版では先述の問題点をいくつか緩和・修正もされている。詳しくは当該記事を参照。
2015年6月15日、MOTHERがWii U版VCでリリースされると同時に、海外でも『Earthbound Beginnings』というタイトルでWii U版VCが配信開始された。海外版の公式リリースは初となる。 同作は先述のNES版において変更された点が数多く反映されているため、日本版MOTHERとは内容が若干異なる。
*1 移植作を含めればPC版『地球戦士ライーザ』を原作とする『銀河の三人』が数か月前に発売されている。
*2 主人公の「ぜんそくもち」という設定は1986年公開の映画『グーニーズ』の主人公マイキー。その他、パロディネタは多岐に渡る。
*3 『2』でいうところの「きぜつ」。
*4 ファンからは「ニンテン」とも呼ばれるが、この名前自体はFC版の取扱説明書の画面写真に載っていた名称。当時は自由にプレイヤーが主人公の名前を付けられるゲームにおいては、メーカーの名前をもじった名前で登録した画面写真を説明書に載せることが一般的だった。説明書ではひらがなの「にんてん」だが、公式ガイドブック『MOTHER百科』ではカタカナ表記に統一されている。GBA版の説明書では、『2』の主人公がカッコ書きで「ネス」とされているのに対してこちらは「ぼく」のみ(画面写真では「にんてん」)であり、デフォルト名は厳密には存在しないようだ。
*5 仲間にしなくてもクリアは可能。ただしその場合、もうひとりのおともだち(テディ)を仲間にするためのイベントも起こせなくなる。
*6 トップビューとクォータービューの中間的な描写方法。正面から見たオブジェクトを基準に斜め方向に奥行きを形成することで立体感を演出する手法。
*7 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場するタイムマシン「デロリアン」のパロディ。
*8 作者の『DQ2』のロンダルキアへの洞窟を踏破した際に感じた「思えば遠くへきたもんだ」という感慨から本作の作成のヒントを得ていたとのことであるが、皮肉にも(調整不足の面も含め)ラストエリアの敵の凶悪さが共通することになってしまった。
*9 スポット参戦するテディが即戦力になるレベルで強いため味方に入れておけばレベル上げが楽になる、レベル上げすればこちらも強力なPSIを覚える、中腹の山小屋で無料全回復&セーブができるなど。また、アナのPKファイアーΩ(レベル35習得)さえ覚えてしまえばホーリーローリーマウンテン含む雑魚敵はほとんど一撃で薙ぎ払ってしまえる
*10 ただし、テディは中腹の山小屋の左側の部屋に近づいた時点で発生する強制イベントの後、ロイドと入れ替わりで離脱してしまう。このことを事前に知らないままイベントを発生させてしまうと、同じくNPCとしてスポット参戦しかなりの強さを誇るイヴを仲間に入れるまでは先へ進むのにも苦労することになるので注意が必要。
*11 山の中腹まで辿り着く事が出来れば超強力なNPC「イヴ」がラスボス手前まで同行してくれる。イヴは道中の強力な雑魚敵ですら一撃で倒してくれるので他の3人はひたすら防御と回復に徹すれば滅多に全滅する事は無いだろう。主人公は戦闘から確実に離脱できるPSI「じげんスリップ」を覚えるのでイヴが居る所まで戦闘回避しまくって強引に辿り着くのもあり。なお、ラスボスのギーグは攻略法さえ掴めれば平均レベル20台後半でも撃破可能。
*12 『MOTHER百科新装復刻版』155頁「ロイドとニンテンの旅というのは、性格づけでわけられているのではなくて、ハッキリ弱いヤツが出たときに、自分はその弱いヤツをどうするのか、どうやって二人で歩いていくのかということが、現実に起こるわけです。もともと弱かった自分だけど、いつも立場をつきつけられているわけです。」
*13 直近3年では既存作の移植は除いて1986年6タイトル(すべてディスク)、1987年9タイトル(内ディスク7)、1988年タイトル7タイトル(内ディスク5)。
*14 「マイブーム」等数々の印象的なワードを生み出したことでも知られており、「クソゲー」も彼の考案というのが最有力説。
*15 ポケモンの開発に参加したクリーチャーズは、本作及び続編『MOTHER2』を開発したエイプの実質的な後継会社である。実際、同社の開発実績に『MOTHER2』が載っている。