ブレス オブ ファイア 竜の戦士
【ぶれすおぶふぁいあ りゅうのせんし】
| ジャンル | RPG |  裏を見る
 
 
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| 対応機種 | スーパーファミコン ゲームボーイアドバンス
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| メディア | 【SFC】12MbitROMカートリッジ 【GBA】32MbitROMカートリッジ
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| 発売・開発元 | カプコン | 
| 発売日 | 【SFC】1993年4月3日 【GBA】2001年7月6日
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| 定価 | 【SFC】9,800円 【GBA】4,800円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:B(12才以上対象) | 
| セーブデータ | 3個 | 
| 配信 | バーチャルコンソール(SFC版) 【WiiU】2014年9月10日/823円
 【New3DS】2017年8月23日/823円
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| 判定 | 良作 | 
| ブレス オブ ファイアシリーズ | 
 
概要
カプコンが手掛けるコマンド選択型ターン制バトルRPG。
主人公はドラゴンの力を持つ「リュウ」という名前の少年。ヒロインは「ニーナ」という名前の翼の少女。という恒例や、
非人間の仲間キャラ、個人アクション、釣り等々、
後のシリーズに受け継がれていく多くの要素の基礎を作った作品である。
ストーリー
太古の昔、竜の一族が世界を統治していた時代に現れた、邪悪な女神ミリア。
争いを好み人々のあらゆる欲望を叶えるミリアの力を巡り、竜の一族を二分してかつて戦争が勃発した…。
世界の半分が焦土と化したこの「女神戦争」は、白竜族の勇者が仲間と共に、六つの「女神の鍵」でミリアを封印することで終結する。
戦争終結から数千年後、白竜族の末裔達が暮らす村ドラグニールで生まれ育った主人公の少年リュウは、姉セイラらと共に慎ましくも平穏な日々を過ごしていた。
竜族達はかつての過ちを悔やみ、その強すぎる力を自ら封印した…はずであったが、その平穏はもろくも崩れ去る。
再び世界の覇権を握るためミリアの封印を解こうと目論む黒竜族が、手始めに障害となりうる白竜族を排除しようと襲撃してきたのだ。
村人達を守るため黒竜族に単身立ち向かうセイラ、しかし敵の親衛隊長ジュダスに力及ばず敗れ、帝都へ連れ去られてしまう。
セイラの術で難を逃れたリュウは、姉を救出することを決意し、焼け落ちた故郷から旅立つのだった。
評価点
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ヒロイックであり、悲劇的でもあるシリアスな王道ファンタジーストーリー。
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ただシリアス一辺倒ではなく、適度に挿入されるギャグやコミカルな演出が全体のバランスを保っている(この特徴もシリーズに共通)。
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それらはドラゴンボール風のマヌケさ、名古屋弁の村などのイベントで楽しませてくるのみならず、メタ的にプレイヤーの心理をからかうようなギミックや道具などで驚かせてくれる。
 
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各社よりドラクエ風RPGからの脱却が試み始められていた中、あえて王道を踏まえつつ新たな潮流に挑んだことは多くのゲーマーの心をつかんだ。
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当時の剣と魔法のファンタジーは、まだまだ「主役ははっきり純粋な人間と分かるデザイン」が王道中の王道で、それを外れるものはファンシー系・ダークファンタジー系が大半であった。主人公・ヒロイン共にファンタジー然としたモチーフ折衷の亜人獣人、かつ、メインストーリーは「悪を倒す」という王道路線は異色の世界観に類したが、見事な成功に導く魅力があったと言って良い。
 
 
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多彩でバラエティあふれるキャラクター。
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仲間となる8人のキャラは全員種族が異なる。
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パーティキャラ以外にもバラエティあふれるNPC(黒竜族ゾーゴンという悪人に惚れてしまった音楽の国の王女、幼馴染である四天王カーラに憎まれた青年エランなど)がいる。
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これらの点はII以降にも受け継がれていく。
 
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各キャラに用意されている「個人アクション」。
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それぞれのキャラには「釣り」や「狩り」「鍵開け」など個別のアクションがあり、プレイに幅をもたせている。
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後述の隠し要素の中にはこの個人アクションを活用するものが多くあり、やり込み要素を強めている。
 
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合体システム
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仲間の1人「ダンク」は上述の鍵開けなどのアクションとは別に、特定の味方キャラ2~3と合体して姿を変える能力を持っている。戦闘力が飛躍的に強化されるだけに留まらず、これによって個人アクションが強化されたり、新しい個人アクションを使えるようになったりする。
 
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個性的なダンジョン。
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トラップだらけのダンジョンやパーティの周囲だけ見えなくなる仕掛け、画面がぐるぐる回る仕掛けなど、どれも趣向が凝らされており飽きない。
 
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当時としては描き込まれたグラフィック、アニメーションするキャラ達。
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戦闘はクォータービューの見下ろし画面であり、リアル寄りの高頭身キャラや巨大なモンスターがアニメーションしながら戦う。
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テイストはファンタシースターIIに近く、後述のエンカウント率や移動速度を含め、参考にしたのが窺える。
 
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当時のファイナルファンタジーなどの戦闘アニメが2~3頭身で剣をピコピコ振っていた時代、「さすがストIIのカプコン」と言わしめるほど滑らかに動く。
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後に定番となり「リアルすぎて引く」とまで言われたゴキブリやハエなどの敵キャラもここから発展したと言える。
 
 
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物語を彩る珠玉のBGMの数々。
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まずバリエーションが豊かで、多くの町や村に専用の曲が用意されている。
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民家に入ったり買い物を始めるとさらに別の曲に変わるという力の入りよう。
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物語の進行具合により戦闘曲、フィールド曲まで変化する。この方式はシリーズの定番となった。
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それでいて一曲一曲のクオリティが高く、質と量を両立している。聴く機会の多いタイトル画面、戦闘、フィールドの曲に特に名曲が集中している。
 
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豊富な隠し要素
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フィールド上やダンジョンの片隅に何気なく落ちている最強武器や、前述の個人アクションを活用して入手する隠しアイテム、合体能力を伝授してくれる師匠など、小ネタが満載。
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既に通過した場所にも新たな仲間が加入した後に行ってみると新しい発見があったりするので、ストーリーが進んでもあちこち回ってみる楽しみがある。
 
問題点
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エンカウント率が高い。
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一応「まもりけむり」というアイテムで敵の出現率を0にできるのでマシではある。しかし一部強いボスもいるため、「まもりけむり」を使いまくってレベルを上げないとボス戦が悲惨なことになる。
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なお、IIではこの欠点が更に強化されてしまっている。
 
 
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移動速度が遅く、ダッシュも無い。
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上記のエンカウント率の高さと相まって、移動にストレスを感じやすい。大鳥で空を飛べるようになった場合はフィールド上に限るが早く移動できる。
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GBA版では移動速度が上昇するダッシュ機能が追加され、移動速度に関する問題点がやや解消されている。
 
 
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移動呪文が使いにくい
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ドラクエシリーズの「ルーラ」にあたる移動呪文「ヒュール」が町の中では使えず、いちいち町の外に出なければならない。
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特にシナリオ上で以前訪れた町に戻る展開が多いため、上記の移動速度の遅さと相まって非常に面倒。
 
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序盤のパーティメンバーの蘇生方法がわかりづらい
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大半のRPGではHP0になった場合(戦闘不能)に教会など蘇生する施設があるのだが、本作ではそのような施設はなく宿屋に泊まるだけで回復可能で、RPGに慣れているプレイヤーは戸惑った意見が多数。
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VCの説明書には施設による戦闘不能の回復方法が詳しく載っていないため、より誤解を生んでしまった。
 
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戦闘がやや単調。
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戦闘システムとしてはオーソドックスなドラクエ系ターン制バトルであるが、それだけに単調さは否めない。
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魔法使いキャラ2人以外は、レベルアップしても殆ど魔法を覚えず、育成の楽しみが乏しい。特に中盤までは魔法攻撃をほとんど使えないため「ひたすら殴り合う→HPが減ったら回復」くらいしかすることがない。
 
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今作の攻撃魔法は完全ダメージ固定のため(弱点や耐性で多少増減するが)、結局「1番強い魔法を使い続けるだけ」ということになりがち(リュウの特殊能力である「竜変身」中の攻撃に関しても同様)。
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終盤のボスのHPは16000や25000といった万単位のHPを持っており、味方が与えられる最大ダメージは999なので確実に単調な長期戦となる。
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GBA版ではボスのHPは全体的に低下しているものの、万単位のHPを持つボスの低下量は数千程度なので、長期戦になることは避けられない。
 
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味方が全滅してもゲームオーバーにはならず、所持ゼニーの数割を失いつつ最後に立ち寄った竜の社に戻されるだけで獲得したアイテムや経験値は全滅当時のままになっている。
 
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「装備すると被ダメージが2倍になる」という罠アイテムが複数存在するが、名前からは判別できない。
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特に「いぬがみのかぶと」は、入手時点の装備アイテム群よりも1ランク上の性能である事や、ギリアム専用装備アイテムである点、彼が仲間になるダンジョンで拾える事からギリアム専用の強力な装備と思われがちで、事前情報無しで本作を始めたプレイヤーの殆どが騙されてしまった。
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一応「狗神」が極めて危険かつ残酷な邪法の類である、という知識があれば名前から危険性を察知できる要素はなくはない。とはいえ民俗学の知識に容易くアクセスできるようになった現代でもマイナー寄りなジャンルの知識であり、ましてや発売当時では余程のマニアか民俗学者ぐらいしか気付けなかっただろう。
 
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一方「のろいのかぶと」という防具には名前と裏腹に呪いがかかっていない。装備には行動力が低下する「おもさ」のパラメータがあり、この防具はそれが非常に大きいため「のろく」なってしまうという駄洒落である。
 
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ダンクの合体形態は4種類存在し、1つずつ入手していく形になる。それぞれ合体相手が異なる仕様だが、各形態の扱いのバランスは良いとは言えない。
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最初に入手できる形態「シャイアン」は強力だが、次に登場する「デボ」は水中でしか合体できない。しかも入手後はほどなく水中から脱してしまうし、シャイアンも水中で普通に使用できる。
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それから時間をおいて終盤入手できる「ランクル」は、入手してしまえばすぐに最強合体形態の「ぷかぎゅる」を取りに行けるので、あとは隠しアイテム探しぐらいにしか使い道が無い。その隠しアイテム探しも、「ランクル」を使うところは数えるほどしか…。
 
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パーティメンバー8人に対し戦闘参加人数は4人までだが、最終盤にもなると、合体に参加できないリュウ、ニーナ、ディース、そしてぷかぎゅる状態のダンクというパーティでほぼ固定されてしまう。
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残ったモグは最後に加入する上HPが低くて死にやすいためお荷物になりやすく、ずっと2軍のままで出番は個人アクションの「穴掘り」をするときだけということも。
 
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敵ボスの強さのバランスが微妙。
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序盤の難敵として知られる「マッスル」などしっかり鍛えて対策を立てないと厳しいボスがいる一方、ほとんど苦労もせずあっさり倒せてしまうボスもいる。
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大半のボスに「根性値」というHPが尽きても根性で戦い続けるという値すなわち第2形態が設定されており(ただし戦闘は一旦終了せずに戦い続けるため、補助魔法の効果はそのまま引き継ぐことになる)、ボスによってはこの根性値が異常に多い上に発動すると攻撃が激化するものがあり、格差に拍車をかけている。
 
 
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キャラクターの掘り下げが薄い箇所がある
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ストーリーは各キャラクターを順番に掘り下げる方で進行していくものの、掘り下げが行われるのはそのキャラの加入直後だけで、ストーリーの進行と共にキャラの存在感がどんどん薄く、扱いが雑になっていく。
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例としてギリアムやビルダーは、旅について来る当初の目的がストーリーの途中で解決するにもかかわらず、解決後もそのまま旅について来る。
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ニーナの記憶喪失する場面があるが、どのようにして記憶喪失になったかの説明がほとんど明言もされておらず、戸惑ったプレイヤーも多い。
 
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町の中に、アイテムも無ければ住人も居ない、空っぽの家が多い
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システム上無意味で、単に探索のテンポを削いでいるだけである。背景を賑やかにするなら中に住人やアイテムを配置するか、いっそ入口の無い家にしてしまった方がよかったという声もある。
 
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真エンディングを見るための条件が分かりづらいという批判もある。
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上記で隠し要素を評価点として上げたが、本作は真エンドとバッドエンドの二通りの幕引き展開が存在し、ゲーム内にそれとなくヒントはあるものの、真エンドの存在に気付かないままのプレイヤーも少なくなかった。
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完全な寄り道で習得する隠し特技が真エンドへの必須条件となっており、ラストバトルで使用することで展開が分岐する。バッドエンドルートの場合ラスボスが最終形態へと変身せずに非常に味気ない幕引きとなってしまう。
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この真のエンディング関係の記述自体が全くない攻略本も存在する。
 
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さらに、この真のエンド条件の特技は合体中のダンクや戦闘不能のキャラがいると発動できないという仕様や、変身前のラスボスへのトドメに放ってしまった場合、ラスボスのHPが尽きたにもかかわらず最終形態に移行しない上に戦闘が終了しないバグがあるため注意が必要。
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そのうえ、真エンドルートの場合は、ラスボス最終形態も味方側も双方非常に打たれ強いため、HP全回復アイテムを複数持ち込めば負ける要素は無く、ゲーム的には大詰めではあるものの単純作業感が否めない。
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直前のジュダス戦では即死魔法ワースを使用し装備対策をしなければ普通に倒されるため、初見ではラスボスよりも強いと言われることも。
 
 
総評
『ブレス オブ ファイア』の第1作として、後のシリーズに受けつがれる数々の要素の基礎を作り上げた。
カプコン初の本格RPGとしてかなり力を入れて細部まで作り込まれており、王道ファンタジー作品としても完成度が高い。
また、豊富な遊び要素によってやりこみも充実している。
一方で戦闘バランスの悪さなど、一作目ならではの荒削りさももちろん存在する。
余談
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『ブレス オブ ファイア オフィシャルコンプリートワークス』において、『SFC版I』から『V』までキャラクターデザイナーは同一人物であった事が判明している。当時はPS版『III』以降やGBA版リメイクで絵柄が変わったために「別の人が描いたのか?」という問い合わせがあり、絵師が驚いたというエピソードまである。
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北米版はカプコンではなくスクウェアが発売元になっている。
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本作のサントラは当初リリースされなかったが、tanomi.comの企画によりシリーズ5作品を網羅したサントラBOX『ブレス オブ ファイア I~V オリジナル・サウンドトラック スペシャルボックス』として2006年3月31日に発売された。
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しかし、エンディング曲「偉業」がバッドエンディングでの短いバージョンのみを収録というミスをやらかしてしまっている。
 
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2023年9月29日からは期間限定ホームページの『カプコン超選挙』の「レトロゲーム」のコーナーで、2024年5月31日まで無料でプレイすることが可能。
その後の展開
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八雲ひろし、ハヤトコウジの両氏によって2度コミカライズされている。
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後にGBAに移植される。グラフィックが一新され(これには賛否ある)、通信を使ったアイテム交換や中断機能が搭載された。
最終更新:2025年06月13日 10:12