※このページでは、PS2『新世紀エヴァンゲリオン2』と、PSP『新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ』について紹介しています。判定は共に「なし」です。



新世紀エヴァンゲリオン2

【しんせいきえう゛ぁんげりおんつー】

ジャンル シミュレーションゲーム
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンダイ
開発元 アルファ・システム
発売日 2003年11月20日
定価 7,140円(税込)
判定 なし
ポイント 『ガンパレード・マーチ』のエヴァ版
1つのEDを除き、旧エヴァのTV版最終話・劇場版の再現に終始
「エヴァ完全新生」「真実はここにある」というPV詐欺?
エヴァ量産機に勝っても補完
使徒戦の不備
エヴァゲーの中ではマシな方
新世紀エヴァンゲリオンゲームリンク

概要

学園生活+ウォーシミュレーションという斬新なゲーム性により、PS後期の傑作として知る人ぞ知るものとなった『高機動幻想 ガンパレード・マーチ』。それを『新世紀エヴァンゲリオン』でやってみた、といった感じのゲーム。
タイトルこそ『エヴァ2』だが基本は『エヴァ』の再現である。詳しくは後述するがオチも完全再現である。

企画原案・シナリオは、『ガンパレード・マーチ』の世界観設定やAI設計を担当したとされている芝村裕吏氏。
氏はエヴァのゲーム化含め手がけた版権作品の多くが不評や批判の的となっているが、エヴァの生みの親である庵野秀明監督が監修に携わっている事もあり、本作のシナリオは従来の作品に比べればまだマシな出来となっている。

特徴

  • エヴァパイロットやネルフ職員のキャラとなって他のキャラと仲良くしたり使徒と戦闘したりする。
    • 一定以上の使徒を倒すとエンディング。
  • 仲良くしたキャラから機密情報を得て裏設定を知ることも出来る。
  • 各キャラには「A.T」というゲージが存在している。これは掻い摘んで言えば「やる気」であり、自キャラの体調管理が重要になる。NPCの場合は好感度という意味合いが強い。エヴァパイロットはこれが高いほうが使徒戦で有利になる。
  • NPCキャラクターは普段はネルフ本部、ミサトの部屋などで勝手気ままに行動しており、NPC同士で会話したり、NPCから話しかけてくることもある。
    • ミサトのマンションをリツコらネルフスタッフやトウジ達がゴチャゴチャと徘徊する光景は中々にカオスである。
  • 戦闘
    • 電力ビルを中心とした移動制限や武装ビルでの武器換装といったシステムが設けられており、これらに利用して使徒を殲滅していく。
    • 第十三使徒以降など勝っているのか負けているのかよく分からない戦況のまま殲滅したケースはイベント戦闘となっており、真っ向勝負で撃破した使徒相手でしかまともには行われない。
      • 第十三使徒は近づくとATがどんどん減っていき、稼働限界を超えるとイベント後に勝利、という流れになっているが、実は力ずくで倒すこともできる。倒したところで何のご褒美もないが。
    • 戦闘に入る前のATがそのまま使用されるため、エピソード的に直接戦闘系が近い時は注意が必要。

問題点

エンディング・設定の問題点

とにかくエンディングの少なさが批判の槍玉に挙げられる事が多い。

  • このゲームには人類補完計画を阻止するifを期待する声もあったが、実際は後述する一つの結末を除いて全て補完エンドなのである。
    • 人類補完計画EDの存在自体は、展開の賛否はともかく、原作再現という意味では間違っていない。問題なのは、こういったキャラゲーにはお約束であるはずのifエンドが殆どない事である。
    • 原作では事実上のラスボスであるエヴァ量産機軍団との戦いに敗北し、シンジが人類補完計画の礎にされる。しかしこのゲームではエヴァ量産機を撃破後、原作通りに復活した量産機を再び撃破することで勝つ事が出来る。だが量産機を倒しても補完される*1
    • 勿論、量産機に負けても補完される。どうしろと。
      • また補完EDにしても各キャラが「ここは…」「どこ行くんですか?」とか一人ずつ言い出し、最後は渚カヲルが「僕は許されるのか」「ありがとう」と自己完結するような終わり方。ぶっちゃけそれらしく作った感が拭いきれない。
    • 選択肢次第ではTV版の補完エンドもある。
  • 明かされた設定もあまりない。せいぜい第二使徒がリリスである事、零号機はコアに魂が無くて3号機のコアはトウジの母親である事を明言したくらいである*2
    • 第一始祖民族の設定については、設定資料やパンフレットなどでもあいまいな名称でその存在がほのめかされていたが、今作においてはっきりと公式から名称が断定されたといっていい。
  • ただし、エンディングが少なすぎるのを一方的に「不備」と指弾すべきかには異論もある。こちらのリンクにある通り、芝村は「原作ありきのゲームである以上、原作を逸脱するわけにはいかない」「ゲームはエンディングが目的ではない」と考えていたようである。
    ゲームの意味は原作と同じ結末に至るまでの過程に見出せ、ということなのだろうか。
    • もっとも、原作にないif展開は多いのにエンディングだけが原作と同じ、というチグハグな状況になってしまっている。また、完全に相反する「エヴァンゲリオン完全新生」というPV・キャッチコピーに引かれて買った人間にとってはもはや詐欺ゲーである。
+ (参考動画)新世紀エヴァンゲリオン2カヲルでプレイpart31

ゲーム性の問題点

  • 使徒戦が原作を再現していない部分がある。
    • これは賛否両論あるが、襲来する使徒の順番がランダム。後に襲来する使徒ほど強くなるので、原作では最初に初号機に倒されたサキエルが強敵となりうる事もある。
    • よって、TV版のシナリオを自力で再現する事がとても難しい。
    • 一部の使徒はイベント戦闘で済まされる。
  • 使用出来るキャラはシンジ、アスカ、レイ、ミサト、加持、トウジ、カヲル、ゲンドウなど多岐にわたる。
    • …が、この内トウジシナリオは量産機戦の直前から始まる*3
    • 隠しコマンドを入力する事によって「補完される心」というシナリオが登場する。これはペンペンを含めた登場キャラ全員に用意されていて、全キャラを主役に出来るコマンドである。
    • ちなみにこれらのシナリオでも最終的には人類補完計画が発動してしまう。というかシンジ、ゲンドウのみで見られる隠しED(後述)を除けば補完を回避する手段は無い
  • 戦闘が「使徒に回り込んでミドルキックをかます」という作業になりがち。基本的にタイマン。
    • その代わりラスボスの量産機×9は強い。綾波が居ないのでシンジ、アスカ、トウジ、カヲルの内の3人しか使えず、他は後述する増援の合計4人で戦う。また一度倒しても復活する*4など。ただしその戦いで手に入れられる量産機の剣は強力。
    • なお前述した通り、量産機に勝っても負けても補完される
  • 原作に登場しない武器が登場し、これらの性能が軒並み微妙な物であるにもかかわらず、実戦配備が決まると作戦開始時にほぼ必ず持たされるようになる。
    • ひとつが敵を足止めできるものの自分自身の移動速度も低下し、攻撃後のチャージ時間(何もできない待機時間のようなもの)も非常に長いデュアルソー。そしてもうひとつが、これもまた重量故か装備したエヴァの移動速度が低下する代わりに、遠・近距離両方に対応したマステマ。どちらも装備すると足が遅くなり、終盤には物語の進行に合わせて強化されてしまう使徒には追い付けなくなる。
    • もちろん装備を捨てることはできるし、エヴァの動力であるアンビリカルケーブルを一時切断するか、それを不要とするS2機関を手に入れられれば移動力も上がるので、装備したまま戦うという選択も取れる。しかしS2機関を取り込めるのは初号機のみであり、CPUに装備を捨てさせることはできない。故に仲間がこれらの武器を装備してしまうと、味方はもたもたして使徒に追いつけず、自分だけで戦うといった状況になりやすい。
  • カヲルや冬月など一部のキャラは走ることができない。キャラの性格を反映してるものかもしれないが、プレイヤーにとっては時間をとられるだけの仕様である。
  • 場合によっては、急にネルフ職員が暗殺されてしまったり、パイロットが死んでしまったりする。
  • コミュニケーションが非常に難しい。
    • 目的の人と仲良くなろうとしても、「プレゼントをあげる」「好意的な受け答えをする」などといった常識的な選択だけを取っていると、CPUは同じ選択に飽きてしまい、評価がなかなか上がらない。うまく評価を上げるには、時には突き放してみたり、わざと違う人と仲良くしているところを見せつけたりといった駆け引きをしなくてはならない。
    • しかし、この加減が非常に曖昧で分かり辛い。場合によっては嫌いなキャラだからと無視ばかりしていても、そのキャラからの親愛度評価が70%を超えてしまったりする。理解に苦しむところだが、原作のキャラの多くは過去や心に問題を持っている人ばかりであるし、もともと原作自体、誰かがうまくいっている状態が続いて自信を持ったりすると「増長」のように描かれ次の瞬間には転落していくような世界であるため、こういう仕様も含めて庵野監督のAIが監修している、と銘打っているのだろうか。
  • シナリオ「アナザーワールド」に全キャラが登場しない。
  • 確かにコミュニケーションは難しく、時には理不尽ではあるが、このゲームの醍醐味といえばそうともいえる。しかし使徒が出現して話が切り替わるとCPUからの評価が急変したり、最後には上述してきたように補完計画発動というタイムリミットを迎えてしまう。
    • それを気にせずコミュニケーションをとことん楽しめるのが、シナリオ「アナザーワールド」だが、ネルフが無い世界観なのか、本部に行くことが出来ず、職員のキャラたちとは会うことができない。オペレーターたちをはじめとして、せっかく原作には無いキャラの掘り下げも成されているゲームなので、もったいない限りである。
      • また、「アナザーワールド」の主人公はシンジ固定である。特定キャラを延々と操作したい欲がある人には、残念な仕様かもしれない。

アイテムの問題点

  • 主人公のシンジが初期装備として「SDAT(音楽プレイヤー)」を所有しているが、これは所有者(NPC)の「何もしたくない欲求」を上げるという効果があり、A.T.を上げる妨げとなる。その上、彼は言うまでもなくエヴァパイロットなのでA.T.が下がると使徒にやられる危険性も増えるし、またカヲルを説得するにはシンジのA.T.が高くなければいけない。
    • ではどうするのかというとSDATをシンジから奪い取って(「アイテムをねだる」等)捨てるのがよい。これをしないとカヲルを原作通りにしてしまう。このあたりはPSP版でも変更されていないため、内向的なシンジの性格を再現しようとした結果であると思われる。
  • アイテムの「指輪」を持つCPUは恋愛行動をしやすくなるとのことであるが、その効果に従って、プレゼントをするようになってしまう。すると、指輪は結局そのキャラの手元から消えてしまうことになる。意中のキャラにこれを渡してべったりしてもらいたい、などと考えていたり、推しカップル同士に渡してそのイチャイチャする様を観測したい、などと考えていたりする人には、頭の痛い仕様である。
  • ネルフ職員(パイロット含む)はネルフスタッフIDというアイテムを所有しているが実は何の効果も持たない。IDが無くても入れるキャラと入れないキャラ(シンジのクラスメイト等)が決まっている。
    • 一部のキャラが持っている上級IDやゼーレIDはあると入れる場所がある。

評価点

  • 釣りエンド
    • 前述の通りどっちを向いても補完EDばっかりだが、一つだけ補完されないEDがある。それがプレイヤーがシンジかゲンドウの場合に見られる釣りEDである。
      • シンジとゲンドウの仲が親密になると、釣りに行くことを持ちかける事が出来る。そして二人は約束通りに釣りへ行き……
        原作では溝が埋まらないまま終わった碇父子の和解を真正面から描いたシナリオであり、読後感の良さから評価も高い。
      • あの親子を仲直りさせるのは骨が折れそうね」とは後の新劇場版:破でミサトが言ったセリフだが、このゲームでも難しい。だが苦労する甲斐はある結末と言えよう。
+ (参考動画)PSP版エヴァンゲリオン2 シンジゲンドウ和解ED

  • 熱い展開
    • エンディングのifは上述した釣りEDくらいだが、そこに辿り着くまでのストーリーのifには、なかなか熱い物が揃っている。
      • 展開次第では参号機のトウジ、四号機のカヲルがそれぞれ仲間になる。原作ではシンジとの共闘展開がなかった。
      • トウジはスーパーロボット大戦シリーズでも仲間になったが、今作でも仲間になれば頼りになる男である。しかも比較的仲間にしやすい(A.T.が低くなると使徒化するリスクはあるが)。
      • カヲルはディラックの海にのみこまれた四号機を召喚して搭乗する。彼はA.T.が非常に高いのでかなり強い。ただしシンジのA.T.が高くなければ仲間にできない。
      • ちなみに、カヲルシナリオを選ぶと初期メンバーがシンジ・トウジ・カヲルになっている*5。というかカヲルシナリオのプロローグでシンジとトウジが二人係りでカヲルを説得した事になっている*6
    • 条件次第でF型装備という初号機のパワーアップ形態が用意されている。そこに辿り着くのは難しいがその分強力であり、苦労する価値はある。
      • インパクトボルトはライフルやナイフなど必殺武器のないエヴァに用意された「必殺武器」である。ガンダムの『メガ粒子砲』からヒントを得たとのこと。
      • このF型装備は『第3次スーパーロボット大戦α』やパチンコに輸入され、後にプラモデルやリボルテックで立体化されたりもした。
    • アニメ版では影の薄かった巨大兵器ジェットアローン(JA)が、エヴァ量産機との最終決戦で助っ人にやってくる。
      • A.T.フィールドは持たずともケーブルが無いのでかなり頼りになる。開発者の時田シロウとエヴァパイロット(シンジやトウジ)の掛け合いもさりげなく熱い。
  • 原作の世界を自由に行き来し、好きなキャラと会話を繰り広げられる点は、原作ありの箱庭ゲーとしては十分な出来。PSP版では、学校の屋上など、更に行けるところも多くなった。
  • 問題点であげたように、CPUとのコミュニケーションは匙加減が非常にきわどく難しいが、それ故にうまく演出をすることも可能である。
    • 普段から仲良くしていたCPUを突き放すと、それを取り返すかのように相手から何度も話しかけてきたりするし、アイテムを差し出して仲直りを求めてくることもある。それらを更に断るもよし、一度距離を取って自分から声をかけて復縁してもよし、徹底的に無視して原作のように後味の悪い生々しい展開にしてもよし。そんなメークドラマがいくらでも出来るので、エヴァの世界観が大好きな人ほど、没頭できる可能性を秘めている。
    • そもそも補完END一直線なことを問題点には挙げたが、結局原作で描かれていたシンジやアスカの持つ悩みとして、「自己の価値観が認識できない」こと、「自己として認識している自分」と「他者から見た自分」が一致しない事などがあり、これらを何とかできない内は、たとえエヴァシリーズを返り討ちにしてゼーレあるいはゲンドウらの補完計画を阻止したとしても、世界は救われたとてシンジたちは救われるとは言い切れない。むしろ使徒が全滅してエヴァが必要なくなった世界で、エヴァのパイロットという価値を失ったチルドレンたちは、余計に自分を見失う可能性も容易に推測できる。
      • 今作ではカヲルやトウジを手にかけて罪を背負わないという道だけでなく、原作でシンジたちが強く欲した誰かからの救いを、プレイヤーの手によって自然に叶えてやれると同時に、エヴァの世界で操作する自分のキャラをCPUが必要としてくれる、という形で、操作キャラやCPUの居場所を作ってやることができる。
      • 非常に抽象的ではあるが、これこそが今作の銘打った「答え」ではないかとも考えられ、その答えも、毎回のプレイで自分やCPUの匙加減で変化していく。「誰にでも答えが見つけられる。だから、2を名乗っていいと思ったんだ」などとパンフレットにはシンジ的な口調で書かれているそれは、こういう部分を指しているのだと思われる。
  • 「誰もが答えを見つけられる」のキャッチコピーに見劣りしない充実した機密情報
    • 「広報公開情報」「一般情報」「非公開情報」「最深度情報」と情報をレベル分けして、用語解説している。(ちなみにガンパレの書籍などでも同じようなことをしていた)
    • 設定の核心にまで切り込んでおり、アニメを視聴すると多くの謎が残るが本作はそれらの謎に対する答えが提示されている。

総評

前述の通り、芝村氏が関わったエヴァゲーの中ではまだ出来はよい方(庵野監督監修なのも大きいが)であり、ゲームとして成り立たない程に破綻している箇所もない。
ifエンディングの少なさ(というか事実上釣りED一本のみ)は問題だが、それ以外の出来は良くも悪くも「エヴァ版ガンパレ」という出来になっている。エンディングを見るのではなく、エヴァキャラを弄る箱庭ゲーとして楽しむのが得策だろう。

ただ、今から遊ぶのなら問題点の多くが改善されたPSP版をオススメする。

+ (参考動画)PS2_新世紀エヴァンゲリオン2_CM



新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ

【しんせいきえう゛ぁんげりおんつー つくられしせかい】

ジャンル シミュレーションゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 バンダイ
開発元 アルファ・システム
発売日 2006年4月27日
定価 通常版:5,040円
メモリアルBOX:10,500円(共に税込)
判定 なし
ポイント 事実上の完全版
個別シナリオと使徒戦の追加
ゲームバランスの見直し

概要(造られしセカイ)

移植元である『新世紀エヴァンゲリオン2(PS2版)』に残されていた多くの問題点に対し、大幅な見直しが図られている。
メモリアルBOXは旧劇場版のUMDがついてきた。

評価点・改善点(造られしセカイ)

  • PS2版の賛否の焦点である「釣りEDを除いてどう足掻いても補完」に対して、各キャラの個別シナリオが追加された。これによってifエンドが大幅に増えた。
    • 初期選択可能になっているもの以外の個別シナリオは、対応する人物との人間関係を一定以上に高めた状態でEDを迎えると開示される。
    • 各キャラのシナリオ毎にクリア条件が設定されており、それを達成することによって個別EDへ行ける(出来なかった、もしくはしなかった場合は汎用ED)。また個別EDでクリアしたキャラが増えるとコンビニに強力なアイテムが追加される。
  • チュートリアルを兼ねたTV版の再現シナリオが追加された。使徒が襲ってくる順序もTV版と同じ。基本的に原作準拠の展開となるので中盤以降の話は重いが、EVA量産機戦に勝利すると辿り着ける個別EDは希望のあるifエンドである。なお、敗北した場合は旧劇場版準拠の補完EDになる。
  • 「エヴァ量産機に勝つ」が個別EDを見る条件になっているキャラも多い。そのため、PS2版であった「量産機に勝っても補完される」という展開が減った。
    • 後味の良い結末も多いが、一方で後味の悪いものや、ちょっと変なエンディングもある。
      • ちなみに、日向や青葉などの展開はPS2版の汎用EDを参考にしたと思われる。また、PS2版の汎用EDも続投している。
+ 個別キャラのルートネタバレ
  • シンジ「使徒、襲来」・「でも、この世界が好き」・「シバムラティックバランス」
    • 左から順に「TV版再現シナリオ」「個別シナリオ」「最後に解禁されるシナリオ」となっている。この内、前者2つは綾波や周囲の人々との絆を再確認するハッピーエンド。旧劇場版の展開を覆し、仲間のために量産機を撃退し、ゲンドウとも和解する結末は釣りEDにまた違う熱さがある。
      • ちなみにこの「使徒、襲来」のEDは芝村が手掛けた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』に使いまわされた。
    • 一方、「シバムラティックバランス」は芝村の手がけるゲーム作品で恒例となっている「設定ガン無視でパラメータを改変したゲーム性重視のやりこみシナリオ」であり、前作同様補完EDのみ。
  • レイ「レイ、心のむこうに」
    • ゲンドウの呪縛から解き放たれ、自由意思のままに行動することを選ぶ。
  • アスカ「脆いところにくちづけを」・トウジ「心のありったけを」・ゲンドウ「人類補完計画」
    • これらは全て補完ED。いずれも本人達にとってはハッピーエンドだが、きっちりサードインパクトは発生している。
    • ゲンドウに関しては、自身の目的が人類補完計画であるので必然的といえるし、そもそもPS2版の時点で個別EDを持っていた。彼には釣りEDがあるので、補完を回避したいならそちらをということだろう。
  • ミサト「女の戦い」
    • 使徒および戦自との戦いを切り抜けつつ、ゲンドウの企みをも突き止めサードインパクトを阻止する。
    • こちらも本人の目的は達成しているのだが、プレイヤー視点でハッピーエンドと受け取れるかは微妙なところ。
  • 冬月「見果てぬ白昼夢」
    • コンビニで買ったアロマオイルを使い、シンジの母親で教え子のユイの夢を見て消耗していく。最終的に白昼夢を見すぎて冬月は1人でLCL化する。
  • リツコ「女は炎」
    • ネルフの男達(+マヤ)を籠絡していき、最終的にゲンドウに靴を舐めさせる
  • マヤ「若草の頃」
    • 青葉との交流を経て潔癖症を乗り越える。
  • 日向「曖昧な空」
    • ミサトのために機密情報を提供して会合を続ける。
  • 青葉「コバルトスカイ」
    • かつてのバンド仲間の助っ人を買って出る。
  • 加持「VS.ゼーレ」
    • 「俺達の戦いはこれからだ」(原文ママ)。いわゆる打ち切りエンド。
  • ケンスケ「夢から覚めれば」
    • エヴァのパイロットになることを夢見てネルフの機密を探り、チルドレンがどういう人間か*7を知ってしまう。ネルフ職員の父親からも制止されるが、それでもエヴァのパイロットになりたいと願う矢先に3号機パイロットとなっていたトウジが戦死する。自分の考えの甘さを悔やむケンスケだが、彼が次のパイロットに選ばれることを阻止しようとした父親が始末されたことを匂わせる結末。そしてケンスケは「念願」のエヴァのパイロットに選ばれるが…(直後にエンディング)。知りすぎた者の末路であるゆえに、皮肉に満ち溢れている。
    • 余談だが、後に発売された新世紀エヴァンゲリオン バトルオーケストラでもケンスケは一人だけ救いの無いエンドである。大した理由も無いのに自分から危険に首を突っ込もうとする彼は、活躍すればするほど破滅に近づくということなのだろうか。
  • ヒカリ「春を見たヒト」
    • トウジとのラブコメ展開。また、トウジの妹も登場する。
  • カヲル「折れた翼」
    • カヲル(アダム)が実は宇宙人であることが判明し、第一始祖民族と共にエヴァと使徒を連れて宇宙へ旅に出ていく。「計画が頓挫したゼーレざまぁw」という声もあり。
  • ペンペン「ニンゲンの手がまだ触れない」
    • いわゆるおまけシナリオ。アイドル犬のぬいぐるみの懸賞に応募すべく、ミサトのマンションでジュースのシールをひたすら集める。だがEDで驚愕の事実が発覚する。
  • キャラごとに活動できる時間帯が設定された。活動可能時間は全員共通で18時間(例えばシンジなら01:00になると強制就寝、07:00に起床するまで時間が進む)。
    • PS2版では眠気などの体調をアイテムで回復させれば不眠で活動可能だったので、自由度が減ったと取るか現実的になったと取るかは判断の分かれるところである。
    • この強制就寝時間(小アラウンド)にはPSP版の追加イベントが発生することも多い。
  • キャラによって固有の技能が設定された(EVAパイロットならシンクロ技能など)。
  • 他者が自分をどう思っているかだけでなく、他者が自分含む他者にどう思われているかがわかるようになり、自分も他者をどう思っているかがわかるようになった。
  • 行ける場所が増えた。
    • 公園などは一見意味がないようにも思えるが、プレイヤーを好いているキャラクターは、追いかけてマップ移動をしてくる。ふたりっきりになりたいとか、ネルフとは関係ない自然の中で話をしたいとか、あるいはひとりになりたいとか、そういう演出をしたい人にはありがたいところ。
  • 会話の選択肢がとても多くなった。
    • PS2では「軽く挨拶」「見る」「他愛もない話」「尋ねる」「近付く」「アイテムを差し出す」ばかりになりがちだったが、今作では「天気の話題」「仕事の進捗」「楽しそうな雰囲気を指摘」「宿題をしてきたか尋ねる」などここに列挙すればキリがないほどに実に多くの選択肢が選べるようになった。
  • ネルフ本部に入れるキャラは最初から白兵技能の訓練をする事が出来るようになった。
  • インパルスシステムが追加された。これは「行動するために必要なポイント」である。例えば話しかける、アイテムを渡すなど行動をする際にインパルスを消費する。
    • ガンパレ経験者には「発言力」のようなものだと言えば解りやすいだろうか?
    • これはA.T.が低いと溜まりやすくA.T.が高ければ溜まりづらいので、計画的にA.T.とインパルスのバランスを配慮する必要がある。A.T.が高くてもインパルスが足りなくてそっけない態度しか取れないことなどもある。
    • 面倒になったという意見もあるが、これによって選択肢の選び方にもゲーム的な戦略性が生まれたという意見もある。
  • 冬月やカヲルなど、PS2版で走れなかった人も走れるようになった。
  • PS2版ではイベントのみで終わってしまっていた使徒と、実際に戦えるようになった。
  • 使徒襲来までの時間がわかるようになった。
  • エヴァの強力な武器であるマゴロクソードや、各シナリオをクリアしていく度に追加されるアイテムなど、救済処置も増えた。
    • マゴロクソード自体は本編未登場ながらファンの間でも人気が高い武装で、前作において登場しない事を惜しむ声も多かった。
    • マゴロクは訓練をしまくれば早い内に出す事が可能。ぶっちゃけこれがあればマステマとデュアルソーは要らない。
    • シナリオをクリアしていくと次々と隠しアイテムが追加されていく。具体的には所持金を増やす(無限使用可)、インパルスを回復する(無限使用可)、体調が悪くならない、全ての技能がMAXになる、全員の好意や関心、ATを引き上げるなど。どれもこれも凄まじい効果である。だがこれらを全て解禁するまでには手間はかかるので、周回プレイ用のアイテムを割り切れる。
    • 当然これらを使うかはプレイヤーの自由意思に委ねられている。使いたくなければ使わなくてもよいが、サクサク進めたい人にとっては遊びやすくなった。
    • ラスボスであるエヴァ量産機はPS2版だと凶悪な敵だったが、PSP版ではマゴロクがあれば楽に倒せるようになった。

問題点・PS2版から削除された点(造られしセカイ)

  • オープニングムービーは未収録。エンディングテーマも原作のものではなくなった。
  • マップ内に他に誰もいない時に特定の場所を調べても、アイテムを入手できなくなった。
    • なお、PS2版では学校の教卓からHな本を入手できた。このアイテムは操作キャラが未成年だと購入できないので、NPCが偶然入手したものを譲ってもらうことでしか入手出来なくなった。
  • キス、視線逸らしのカットインが削除された。
  • 使徒の特定の攻撃に対する「防御」ができなくなった。
    • 使徒アルミサエルの融合(即死攻撃)が防御不可に。
  • ポジトロン・スナイパーライフルの弾数が3発、ポジトロンライフルの弾数が2発と、設定ミスなのか前作と入違っている。
  • 体調が悪化しないアイテムをCPUに持たせると、挙動がおかしくなることがある。
  • CPUが他のCPUに連続で話しかけることが多々あり、そのせいで彼らのインパルスがどんどん下がっていく。
    • たとえばアスカやミサトと仲良くしようとしても、放っておけばペンペンと延々話し続け、自分と話す頃にはインパルスも殆どゼロで、何を話しても無視されてしまう…ということが起きてしまう。
    • 自分のインパルスはコンビニで売られる周回ボーナス的アイテムで回復できるものの、CPUのインパルスを回復させる術は限られている。なので目的の人物と仲良くなるためには、各話の最初に誰とも話していないところを狙ってべったり張り付く必要がある。この点は不便なだけでなく、PS2にあった駆け引きの要素を失わせているともいえる。
      • ただし目的の人物のインパルスが空になったら次の目的の人物のところへ行く、という流れになりやすいため、裏を返せば色んな人と話をしようと思える仕様ではある。
  • CPUの思考が単純になった。今の心境を表すエモーションがステータスに追加され、直前のやりとりの結果を受けてこれが変動していく。それに合わせた言動を行い、且つ可能な限り人に好かれるような受け答えを心がければ、簡単に評価が上がるようになった。
    • この点はゲームとしては単純明快だが、原作の持つ心理描写の濃さや人間関係の複雑さとは、一歩引いてしまったようにも取れる。PS2版にあったような駆け引きはインパルスに管理されるようになり、メークドラマは困難となった。インパルスがゼロになったキャラは他者に冷たくなり、エモーションやA.Tも悪化し、結果としてインパルスを回復していく。回復したところでプレイヤーが近付き、優しくしてエモーションを回復させてやる。そんなやりとりの余地は残っているが、上述のCPU同士がやたら話しかけ合う問題もあり、理想はなかなか実現しない。
      • この点は、本作が答えをエンディングに見出しているからなのかもしれない。こじつけかもしれない、自己満足かもしれないが、自分で答えを見つけるならPS2、ファンの多くが夢想した平和なエンディングや原作になかったイベントを見るならPSP、といったところだろうか。
  • 「アナザーワールド」のシナリオがなくなり、使途やエンディングのタイムリミットを気にせずコミュニケーションを楽しむ、といったことが不可能になった。使徒が襲来せず次の話にならないということは、インパルスをリセットすることができないということにもなるため、「アナザーワールド」が実装されなかったのだろう。

総評(造られしセカイ)

事実上の『エヴァ2』の完全版である。「ifエンドが皆無」という前作の最大の欠点が解消され、他の問題点も軒並み解消されている。
今から遊ぶのならこちらをおススメする。

余談(造られしセカイ)

  • このゲームのAVGパートを劣化させて使いまわしたのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』。
    • 新劇場版の内容を全く取り入れていない上、EDすらも使いまわしという体たらくである。
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最終更新:2023年10月13日 13:25

*1 撃破後のイベントで倒したはずの量産機がまた復活する。

*2 本作の登場以前は「零号機のコアは綾波のクローン」「参号機のコアはトウジの妹のサクラ」とする考察が一定の支持を得ていた

*3 後述の「補完される心」でトウジを使用すれば最初から使える

*4 というか復活してからが本番。

*5 なぜか零号機はロストしているためレイは使えない。ただしPSP版ではレイもいる

*6 カヲルシナリオではカヲルが第3使徒、つまり最初に襲来した使徒のため、最初の戦闘から参号機が出撃した形になっている。

*7 母親がエヴァのコアにされている