悪魔城ドラキュラ
【あくまじょうどらきゅら】
| ジャンル | アクション |  
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| 対応機種 | X68000 | 
| 発売・開発元 | コナミ | 
| 発売日 | 1993年7月23日 | 
| 定価 | 9,800円 | 
| 判定 | 良作 | 
| 悪魔城ドラキュラシリーズリンク | 
 
概要
ファミコンで登場した『悪魔城ドラキュラ』のX68000リメイク版。
タイトル名は同じであるがベタ移植ではなく、ほぼ完全新作なゲーム内容(ただしストーリーやキャラ設定は全く同じ)。
一部ステージやボスはファミコン版を踏襲している。
初代『悪魔城ドラキュラ』『悪魔城伝説』『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』と並んで、初期ドラキュラシリーズの最高傑作に挙げるユーザーも多い。
特徴
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3ブロック構成の全8ステージ(24ブロック)。ループ制で周回ごとに難易度は上がっていく。
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基本システムはファミコンシリーズとほぼ同じ。しかし、シモンの性能に調整が加えられた。
 
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大抵高い難易度として知られる本シリーズだが、高級PCであるX68Kの所有者というコアなユーザーに限定されたこともあり、更に上げられたシリーズ最凶難易度。
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難易度は弾数や敵数が多い等の目に見える形で高いわけではない。
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実のところ、FC版『悪魔城ドラキュラ』と難易度的に大差はないという話もある。
 
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SFC版ほどではないが、シモンの性能が高い。
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ジャンプ中の方向転換が可能。ジャンプするタイミングを間違えたら引き返すこともできる。
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ジャンプ中は斜め下や真下に鞭を振れる。敵を飛び越えながら攻撃したり、移動しながら蝋燭のアイテムを獲得できる。
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新サブウェポン「薬草」の存在。
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ハートを10個も消費するが、いつでもライフ回復ができる。
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ハートを大量に貯めておけば、力押しで苦手なボスに勝利することもできる。
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ただし、薬草は蝋燭からは入手できず、敵のドロップや2面のジプシー頼みとなる。
 
 
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ゴシックホラーを基調とした耽美な雰囲気から一転してホラー色の強いビジュアルとなった。
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明らかに人間を材料にした実験室や拷問部屋や人形部屋など、悪魔城内部の描写もホラーを意識した物が多くなっている。
 
評価点
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シリーズでも初見殺しの多さは屈指だが、AC版のような理不尽さはない。敵やステージギミックはパターンが分かれば何とか突破できるようには作られている。
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また初代悪魔城ドラキュラの反省点を活かし、各ボスに一定の攻撃を与えるとボス自体に無敵時間が設けられるようになっており、ハメが効かなくなっている。
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発売年代を考慮すると異様、現代でも高レベルのグラフィック。
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X68Kという高性能機だからこそ実現できたクオリティだけあって、同年代ハードでは再現できないものでもあった。
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前述の実験室や拷問部屋はかなりグロテスク。ホラー好きな人にはたまらないが、苦手な人は恐怖を覚えるほど描写が細かい。
 
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高レベルMIDI音源のBGM。
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X68Kの内蔵音源、LA音源、GS音源のそれぞれに専用のアレンジが施されているという豪華仕様。
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既存曲からはお馴染みの「VAMPIRE KILLER」「Bloody Tears」の他、初代の3面BGM「Wicked Child」が採用されている。
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「Moon Fight」「The Tower of Dolls」のような、後の作品にアレンジとして登場するほど評価が高い新曲もある。
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最終面では「シモンのテーマ」が流れるため、主人公や演出とマッチしており、展開が盛り上がる。
 
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ハード性能を生かした豊富なギミックや演出。
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XVI以降の高クロック機種や上位機種であるX68030でプレイすると、背景などの動きが滑らかになる様に調整されている。
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X68000の内蔵時計機能を利用した背景の変化なども存在する。
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6周目に突入すると背景の演出がほんの少し変化する。
 
問題点
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シリーズの中でも特に高い難易度。操作性が悪いという訳ではないので純粋にプレイヤーの腕が試される。
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いらないサブウェポンを取らされる事故が高頻度で発生する。
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本作はなまじサブウェポンのドロップ率が高いので、注意しながら進まないと敵が落としたサブウェポンを取ってしまいやすい。これ自体はプレイヤーの集中力の問題でもある。
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だが、コウモリ、メディウサヘッド、のみ男は迎撃が難しい敵である上、低耐久故に接触すると消滅し、アイテムを落とすことがある。よって、これらの敵を相手にした場合、ダメージを受けた瞬間、無理矢理サブウェポンを取らされてしまう危険性がある。
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万が一いらないものを取ってしまった場合、攻略パターンが大幅に崩れ、場合によってはミスが確定する。
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しかし、このドロップ率の高さを利用して、1面ののみ男無限湧き地帯で薬草が出るまで粘り、最後まで使い続けるといった攻略法もある。
 
総評
1993年という、PCEやSFCが主流の時代と考えると、高品質のMIDI音源や、オーパーツのようなグラフィックに度肝を抜かれる。
それだけなら音楽やビジュアルが美麗なだけの珍しいゲームで終わっていたところだが、そこに多彩な演出やギミック、何より悪魔城シリーズの肝である難易度の高いゲーム性を付与する事で、高い完成度を誇る名作となっている。
これらが5.25インチフロッピーディスク2枚(MD・SFCで言えば16MビットROMにあたる)に収録されていたことには、驚きを禁じ得ない。
5.25インチ1枚の最大容量は1.2MB。「スタッフの腕とハードのスペックの両方が凄ければ、ROMの容量など関係ない」という事実を見せ付けた、渾身の1作である。
その後の展開
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当時は高級機で買える人が少なく、現在はもはや非常に入手困難である一般的ではないX68kという機種とゲームソフト。移植も長い間されなかった。
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X68kは現存する数が少なく、媒体がフロッピーディスクなのでロード時間も現代のゲームに比べると長め。
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家庭用移植が実現するにはプレイステーションの登場を待つこととなる。
 
 
移植
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『悪魔城年代記 悪魔城ドラキュラ』(2001年 プレイステーション)
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ハードが次世代機に移行したこの時代にようやく移植が為された。
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ただし、ベタ移植ではなくアレンジモードなどを搭載したアレンジ移植であり、オリジナルモードのゲーム内容も完全移植とは言えず、若干の変化・劣化部分が見られる。一部ステージでは音飛びバグが発生する。
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BGMのアレンジも賛否両論。アレンジBGMは全体的にシャワシャワと騒がしく、シリーズ特有の雰囲気などは薄く、ゴシックホラー調の画面からは完全に浮いてしまっている。
 ただしサウンドトラックCDはこのアレンジに加えてオリジナルのX68k版における3パターンがすべて収録されており好評を得た。
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パッケージイラストは表は変えられているものの、一応X68k版のシモンイラストをそのまま流用したリバーシブル裏ジャケットもあり選択可能な感涙仕様。
 
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年代記は音飛び問題での再販中止が災いして若干品薄になったこともありなかなか値崩れしない。オリジナルであるX68k版にいたっては、某大手中古ショップで値段の付けられない激レア非売品としてショーケースに展示されるほどである。
 
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アレンジモードに登場する小島文美氏によって新規でデザインされたシモンに関しては原作からかけ離れた美形キャラクターという事もあってか賛否が分かれている。
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2014年2月12日に、PS版である悪魔城年代記はゲームアーカイブスで配信された。
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PSPやPS3でプレイした場合、上記の音飛びは見られない。
 
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本作の騒動以降『悪魔城年代記』シリーズは本作限りで打ち切られたと思われたが、後に年代記はPSP『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』で年代記からクロニクルにタイトルを変更し発売された。アレンジと移植だった年代記と違ってXクロニクルでは『血の輪廻』のリメイクと移植になり、さらに別作品の『月下の夜想曲』も収録された。
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その後、しばらく今作の新たな移植は再び長らくの間作られていなかったが、株式会社 瑞起より発売されたx68kの復刻ハード『X6800 Z』の対応ソフトとして今作とクォースのカップリング移植となる『悪魔城ドラキュラ・クォース DELUXE PACK』が2024年5月30日に発売される事が決定した。
余談
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X68000版の開発はプログラマー2人、デザイナー2人という少人数で行われ、デザイナーの1人である矢田凡成氏のインタビューでは少人数プロジェクト故、企画やスケジュール管理も兼任する体制だったことを述べている。また、ディスク内のドキュメントファイルには全員X68000での開発は初だったことやテストプレイでの難易度は「難しいが頑張ればノーコンティニューで1周は可能」などが書かれている。
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X68000の専門誌「Oh!X」でのインタビューでは「一番良かったのはFDS版だと思っていたのでそれを踏まえる形で作った」こと、「6周目の遊び背景などの部分は開発者各々が勝手に入れてしまったので情報を共有しておらず、マスターアップ前に各々自白の上、問題があるものは削除した」ことが述べられている。
 
最終更新:2024年12月17日 07:30