THEXDER
【てぐざー】
ジャンル
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ACT&STG
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※パッケージ写真はファミコン版
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対応機種
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PC-8801mkIISR、PC-8001mkIISR、PC-8801mkII、X1、FM-7、MZ-2500、PC-9801、MSX /IBM-PC、AppleIIGS、Macintosh/PS3(テグザーネオに同梱)、Nintendo Switch
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発売元
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【PC日本版】アスキー 【PC海外版】Sierra On-Line
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開発元
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【PC日本版】ゲームアーツ 【X1】スクウェア 【MSX】コンパイル
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発売日
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1985年4月(PC-8801mkIISR)
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定価
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【PC8801mkIISR】6,800円
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配信
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プロジェクトEGG 【PC-8801mkIISR版】2002年11月1日/2019年11月21日 【MSX版】2005年7月15日/2020年2月25日 【FM-7版】2006年7月4日/2021年6月29日 上記は全てWindows用の復刻版、現在の価格は770円(税込) 【Switch】2023年10月26日/880円(税込)
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備考
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リメイク作のPS3版『テグザーネオ』に同梱された物およびSwitch版『EGGコンソール テグザー PC-8801mkIISR』は、プロジェクトEGGベースのPC-8801mkIISR用の復刻版。
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判定
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良作
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概要
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ゲームアーツの処女作であるアクションシューティング。
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ロボットから飛行形態への滑らかな変形が好評だった。
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発売されたばかりのPC-8801mkIISRのキラータイトルとなった。
ストーリー
巨大な兵器開発船U・D・S・W-0322レイビナ。ある時、航行中に小惑星を発見する。その小惑星はネディアムと名づけられた。やがて調査のためレイビナは接近を開始する。すると、突如磁力線を受けて捕獲されてしまった。身動きが取れなくなったレイビナは、ネディアムを調査。その結果、磁力線発生装置を発見する。さっそく破壊を試みるがことごとく失敗に終わった。そこでレイビナは開発中の新型兵器ハイパーデュアルアーマー「THEXDER(テグザー)」に、命運を賭けたのだった。
特徴
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サイドビューのロボットACT&STG。迷路状のステージで、敵を撃破しながら磁力発生装置破壊を目指す。面数は表16面+裏16面構成、以降は裏16面をループとなり、ゲームクリアに伴うエンディングは存在しないが。ゲームオーバー後に表示されるスタッフクレジット画面がエンディングの扱いとなり。BGMに採用されたベートーヴェンの「Moon light Sonata」は、メインBGMと共に本作を象徴する楽曲となっている。
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テクザーはロボット形態と飛行機形態を取ることができる。
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ロボット形態ではジャンプはできるが空は飛べない。また、ホーミングレーザーを使うことができる。
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飛行形態は自由に空を飛べる。しかし停止はできない。さらに速度がロボット形態より遅く、敵を振り切れない。飛行形態は壁にぶつかるか、進行方向と逆の操作をした時に自動的にロボット形態へ戻る。
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なお、飛行形態の大きさを1マスとするとロボット形態は縦2マスの大きさがあり、縦1マスの通路で行き止まりに遭ったり逆入力をした場合は方向転換するだけである(180方向転換時は横3マス移動しながら旋回するアニメーションが挟まれるが、その間はレーザーが天井に向けて放たれる=真後ろを直ぐには攻撃はできない)。
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攻撃はホーミングレーザーと、緊急時のバリア。
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ホーミングレーザーはよく見る弧を描いて追尾するようなものではなく、ロックした相手に直線的に発射されるもの。発射から着弾までのタイムラグが全くなく、敵との間に光る直線が引かれたようになる。レーザーは、画面内にいる前方180度の全ての敵をロックし攻撃する。その方法は、近いものから順次、全ての敵へと発射というもの。
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このホーミングレーザーはロボット形態でしか発射できない。飛行機形態の場合は進行方向にまっすぐ飛ぶレーザーが出るだけである。
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バリアは発動すると一定時間無敵となる。さらにバリアは接触した敵にダメージを与えることができるが、バリア耐久力が減り発動時間が短くなる。
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テクザーはエネルギーが0となると破壊され、ゲームオーバーとなる。
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このエネルギー、ダメージを受ければ当然減るのだが、さらにホーミングレーザーやバリアを使っても減っていく。無駄な消費は命取りとなる。
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もっともホーミングレーザーのエネルギー消費量は多くはなく、そこまで気を使う必要はない。
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バリアは大量のエネルギーを使用するので、使いどころを考えなければならない。更にはバリアを使わないでクリアするとエネルギー上限+10%とエネルギー+100%のボーナスが付く。逆に言うと、バリア未使用ボーナスを取らない限りステージクリアをしても一切回復しない。
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エネルギーは、エネルギー補充用の敵を破壊する事で補う。この敵をどのタイミングで破壊するかもコツとなる。特定のキャラや隠しキャラを破壊すると上限も増える。上限値は最大で500%。
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ステージは迷路状。
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迷路はほぼ同形状のブロックで構成されている。それが無機質的な雰囲気を出している。
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迷路自体はステージにもよるが、少々複雑。さらに通路の幅が、ロボット形態で入れないほど狭いものがあり、この場合は飛行機形態で進む事となる。飛行機形態はロボット形態より小さく、狭いところでも侵入可能。ただ飛行形態ではホーミングレーザーが使えないため、攻撃は気休めレベル。
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ステージによっては隠しアイテムがある。さらに裏ステージもある。
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敵にはロボットタイプはおらず、更には動かないか体当たりしてくるものしかいない。空を飛んでるものと地面を移動するものがいるが、その動きは様々。またステージによってはボスキャラもいる。
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ステージクリアにあまりに時間をかけていると、どこからともなく大量のミサイルがやってくる。一応攻撃できるが、耐久力が高く数も尋常ではないので大抵ここで撃破される。要は永パ防止キャラ(テグザーは移動ではエネルギーを消費しないため)。
評価点
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当時としては滑らかな動き。また、STGでは一般的だった弾ではなく、レーザーでの攻撃が斬新だった。
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ロボット形態と飛行機形態の変形がスムーズで、注目点の一つとなった。ロボット自体も滑らかに動く。
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独特で爽快感のある攻撃、ホーミングレーザー。
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このホーミングレーザー、連射速度が非常に速く、まさに敵をなぎ倒すという感じの爽快感があった。ただ、大抵の敵は一撃で破壊できないため、何発かレーザーを当てる必要がある。ここで連射速度の速さがものを言う。しかし、数が多いとさすがに取りこぼす。このため攻略には一度にあまり多くの敵と戦わないようにしたり、無視してしまうのも手。また、距離が近ければ壁向こうの敵も狙うため、この無駄弾をどう回避するかも考えどころ(一方で隠れている状態の隠しキャラにも反応するという利点もある)。
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迷路を潜り抜けるための、変形の使い所の工夫。
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ロボット形態と飛行機形態を使い分けながら、迷路を潜り抜けることとなる。また、罠ともいえる仕掛けもあり、それへの対応も考える必要がある。アクションの要素も十分。
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当時のPCシューティングとしては、バリーションの多い敵。
問題点
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ステージが殺風景。
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迷路を形作るブロックは青。そして通路背景は黒。この二色だけが目につくステージは少々淡泊。
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最終目標が設定されているのにエンディングの無いループゲーム。得点も存在しない。
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結果、後述する続編ではテグザーは未帰還という設定になった。
総評
ロボットゲームと言えるものが数えるほどしか出ていない時代。滑らかに動くその姿と変形は、大きな話題となった。また、ゲーム性も良く難易度も手ごたえがある程度。ロボット好きにとっては、やっと出た満足できるゲームだった。
本作の最初の対応機種PC-8801mkIISRはホビーを主眼に置いたパソコンで、この頃に出始めた。そのわずか後に発売された本作は、PC-8801mkIISRのキラータイトルともなった。
続編
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『ファイアーホーク -Thexder The Second Contact-』(1989年 PC-8801mkIISR/MSX2 ゲームアーツ)
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(パイロットを含め)テグザーを置き去りにしつつも辛うじてレイピナは地球に帰還。4年後、ネディアムが地球に衝突する軌道で接近。ネディアムを内部から破壊する為に、テグザーの後継機ファイアーホーク部隊が出撃する。その内の1人(主人公)はテグザーのパイロットのフィアンセの女性であった。
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絵は美しくなり、サブウエポンも使えるようになったが、PC88の最末期に発売された事と他にはMSX2への移植に留まった事などから、テグザーほどのブームにはなれなかった(決して駄作ではなく、出来自体はむしろ良作)。今作は全10面となっており、事件の真相が明かされるエンディングはなかなかに味がある。
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BGMにも力が入っており、PC88版はサウンドボード2にも対応している。また、ステージ曲からボス曲へとシームレスに変わるというマニアックな仕様も盛り込まれている。
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『アリシアドラグーン』(1992年 メガドライブ ゲームアーツ)
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直接的な続編ではないが、ホーミング攻撃(今作は稲妻の魔法)のシステムを継承している。通称「女テグザー」と呼ばれることも。
リメイク
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『Thexder For Windows95』(1995年/Sierra On-Line/Synergistic Software)
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タイトルにもあるようにWindows95専用として海外でリメイクされたもの。当然ながらステージ構成やゲームシステムも原作とはかなり異なる。主な違いはステージが分割制かつパズル性の強いものとなり、武器/燃料/サブウェポンは道中に点在するアイテムを取得する形式になっている。又、マルチウィンドウ機能を利用したステージマップや各種ステータス表示が可能。
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自機であるテグザーも原作と同じロボット形態と飛行機形態以外にタンク形態が追加され、各形態により使用できる武器が異なる要素も追加された。ステージによってはこの3形態の使い分けが攻略に絡んでくる部分もある。
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日本では当時のシエラ・パイオニアからローカライズ版である『テグザー 完全日本語版』のタイトルで発売された。
余談
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後にスクウェアがファミコン移植版を発売。開発はビッツラボラトリー。
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キャラクター描画をスプライトで処理した結果、売りであったPC版のレーザー攻撃が再現できずに単なる自動照準弾となってしまった為、表示可能な弾数や着弾までのタイムラグにより命中率が悪くなり、爽快感が大幅に減少してしまった点や。ステージ数がオリジナルの3分の1にも満たない全5面まで削減されたボリューム不足などにより、見事にクソゲーの烙印を押されてしまい。キングスナイトと並んで当時のスクウェアがクソゲーメーカー扱いされる一因にもなっていた。
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オリジナルを手掛けた五代氏もヘルプで開発に参加していたが、強行スケジュールで何も出来なかったとの事。また、パッケージにはゲームアーツの著作権表記がない事から「ゲームアーツ的には、ファミコン版は非公式もの」とも語っている。
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基本的には全5面のステージ構成を繰り返すループ仕様だが「99面をクリアするとエンディングが見られる」という噂があり、近年のクリア検証で99面をクリアするとBGMがストップし、ごめんね人形(通称ミンメイ人形)が画面一杯に表示される隠し場面(裏技でも鑑賞可)が出て、ゲーム進行がストップする。所謂「キルスクリーン」状態となる事が判明している。
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MSX版はコンパイルによる移植でステージが全10面に削減されてループする形になっているものの、同時発色数や解像度の違いを抜きにしても原作に忠実かつ及第点な移植となっている。
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ステージ構成やサイドスクロールアクションの要素はアタリの『メジャーハヴォック』に影響を受けたと開発者が公言している。
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当ゲーム開発において電話帳一冊分の機械語を入力したという逸話がある。
最終更新:2024年05月19日 19:01