信長の野望 全国版
【のぶながのやぼう ぜんこくばん】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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PC-8801、PC-9801、X1、X68000、MSX、MSX2、FM-7、 Windows 98~XP、ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、 メガドライブ、PCエンジン スーパーCD-ROM2、プレイステーション
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発売・開発元
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光栄
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発売日
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【PC88】1986年12月 【FC】1988年3月18日 【SFC】1993年8月5日 【MD】1993年9月15日 【PCE】1993年12月11日 【PS】1998年1月22日 【Win・コーエー25周年記念パック】2003年8月1日
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プレイ人数
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1~8人
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定価
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【機種共通】9,800円 【コーエー定番シリーズ】1,980円
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備考
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コーエー定番シリーズ: 【PS】2000年8月3日 【Win】2005年7月22日
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配信
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バーチャルコンソール: 【Wii】SFC版:2008年12月24日/1,000Wiiポイント(税5%込) 【WiiU】SFC版:2014年10月29日/823円(税8%込) Steam:2017年1月25日/1296円(税8%込)
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判定
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良作
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ポイント
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舞台が日本全国に拡大 地元大名プレイが可能になった 最大の敵は寿命
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信長の野望シリーズ
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概要
前作との違い
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信長の野望シリーズの第二作。文字通り、今回は全国が舞台となっている。
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前作のマップを踏襲した範囲が織田信長を中心とした近畿・中部の17国モードと、全国を舞台にした50国モードがある。
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本作から各大名の顔グラフィックが登場した。
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イベント時にも対応となるCGや音声が出力され、演出面が強化された。
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ターンの単位は春夏秋冬の1年4ターン。担当大名が死亡するとゲームオーバー。最大の敵は寿命と言われ、一部の大名はじっくり育て上げ盤石を固めてから攻めるプレイが困難になっている。
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敵大名が複数国持っている場合、合戦で大名自身を撃破すれば、その国全てを一気に占領することができる。この作品ではまだ史実イベントとして設定されていないが「桶狭間の戦い」のような戦い方も可能。
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プレイヤーは開墾や治水などの開発を行い国を豊かにし、増えた人口は徴兵(又は攻めて来た兵を横取り)して戦力を強化、隣接する国に侵攻し領土の拡大を目指す。最終的に全ての国を占領すればゲームクリアとなる。ちなみにコマンドは1ターンあたり1つのみ。
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『全国版』は国単位の統治であるため城や城下町それを結ぶ道が存在せず、原則隣接する国なら攻めることができる。そのため開始時に隣接する国が少なく、国力もそこそこある島津や長宗我部などは初心者向けとされた。
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蝦夷の蠣崎家のように他にも隣接国が少ない国は結構あるが、大抵国力が低く隣接国が強いので軌道に乗るまでが大変。
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前作では収入、戦闘力でしか影響がなかった民および兵士の忠誠度が、低いと前者では一揆、後者では謀反を起こされてしまうようになった為隣国などよりも遥かに脅威となる様になった。またこれらのパラメータは敵国にも設定されており、コマンド「忍者」を使うことで低下させることが可能。
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相場に関してもターンによって変動するようになり、米の売買や徴兵時の費用、または借金の借入返済などに影響を与える。これを利用して米の相場が安い時に大量購入、上がったら売りつけ金を稼ぐ。ただし取引するとそのターンが終了するので、手順に気を配ろう。
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今作でも「武将」の概念が存在しないが、各部隊に特徴が付けられて戦闘で国を落とされると無条件で敗北する第1部隊、騎馬隊の第2部隊、鉄砲隊の第3部隊、足軽の第4、5部隊という編成なっている。この5部隊は兵をパーセンテージで割り振ることができるようになり、均等に20%に振ったりオトリ戦法として第一部隊1%、第二部隊99%という極端な配分もできる。
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最も強いのは鉄砲部隊だが、武装度によって割り振り上限値があり、大抵の場合20%までしか編成できない。
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前作では2人までしかプレイできず、大名も織田家と武田家で固定だったが、本作では同時プレイ人数が8人に増加し
全国の大名を選ぶことが出来るようになった。友人と一緒に遊ぶことができるようになったのはもちろん、他の7国をわざと負けさせて取りこむようなプレイも可能。
前作との共通点
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シナリオ開始は1560年。17国モードは舞台も前作と同じ。
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プレイヤーの初期パラメータは固定ではなくスペースキーを押してランダムに決定する。健康、野心、運、魅力、IQの5つで、自分が気に入るまでリトライすることができる。これは後の光栄作品『三國志』『提督の決断』などでも受け継がれた。
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なおパラメータの健康は年齢を重ねるごとに低下していき、低いと病気になりやすく、最終的に老衰で死亡する(三國志の一部の武将のように死期が設定されているわけではない)。コンピュータの大名にも設定されており、これは忍者の暗殺コマンドで下げることも可能であるが失敗すると自分の健康が減る。
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健康を増やすための休養というコマンドもあるが、休養中はずっと委任状態になる。合戦の指揮もできないので、攻め込まれると被害甚大。
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コンピュータの強さを5段階で選ぶことができ、数値が大きいほどCPU大名のパラメータに強力な補正がかかる。
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プレイヤー大名がスロットで出せる最大値の109を超える場合もある。
評価点
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先述の通り、全大名を選択できるようになり日本全国の様々な大名を主人公にプレイできるようになった
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史実では夢半ばで死亡した「信長の全国統一」をゲームで再現できるという歴史ファンには夢のような展開が可能に。
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東北・九州の人も「地元の大名で全国統一」という夢のプレイが実現できるように。
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辺境の大名などは1ターン生き延びることすら難しいという酷い状態の大名もいたが、それでも最初期さえ乗り切れば上記のような「全国統一」も十分可能である。
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このためゲーム雑誌で弱小大名でスタートし全国統一していくという誌上リプレイが連載され好評を呼んだ。
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隠しイベントとして、「本能寺の変」が導入。ある一定の条件を満たすと発生し、信長が敗北すると織田家の領地が羽柴・明智・柴田の3勢力に分裂する。プレイヤー大名だった場合は羽柴家を引き継ぐ。
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条件は「信長が山城にいるときに山城で謀反が起きる」という単純なもので、通常プレイでも起こる可能性がある。
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このイベントが好評だったためか、後のシリーズでは歴史再現イベントが多数盛り込まれるようになった。本能寺の変の発生条件はだんだんと厳しくなり、狙わないとまず発生しないようになっている。
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BGMの追加。特にオープニングの「Overture」は非常に印象深く、後のシリーズにもアレンジして使われる信長の野望を代表する曲となった。
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作曲者は管野よう子。本作以降もシリーズを通して(全てではないが)担当している。また、当時は無名だったが90年代半ばにTVアニメに関わった事で一躍有名になり、以後は様々な場で活躍している。
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当時のSLGはカップラーメンにお湯を注いで食べられる位に1ターンのCOM思考は時間が掛かったが、本作にそのようなストレスを感じる要素はほとんどない。
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MSX版やファミコン版は合戦場がヘクス(六角)構成ではなくスクエア(四角)構成に変わっている。ただし、1列ごとに半マスずつずらして隣接マスを6つにすることで擬似的なへクス構成を再現しているため、バランスはなんら変わってはいない。
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後の作品よりも「委任」や「借金」コマンドが使いやすい。
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委任は「生産」「商業」「軍事」「バランス」の4種類を指定でき、生産か商業なら勝手に兵士を雇うことがないので、敵国に隣接していない国を安心して委任できる。
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後の作品では委任の方向性を指定できなくなったり、内政型の委任をしても勝手に兵士を雇うようになって非効率なシステムになってしまった。
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借金は大名ではなく国別で行われるため、借金→(そのお金で徴兵)→物資全部持って別の国に移動または戦争→カラッポになった元の国を敵国が借金ごと奪ってくれるというテクニックがある。
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後の作品では大名帰属になって使いづらくなり、誰も使わないからか借金システムそのものが消えてしまった。
問題点
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プレイスタート時点で、各国一大名という設定であるため1560年時点では無理がある人物が大名に据えられている。
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元服前である人物も大名にされており特に十河存保や別所長治はなんと6歳…、間違いなく家臣たちの担ぎ上げである。
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他にも最北端の大名の蠣崎慶広は11歳、そして唯一の隣接国で頻繁に攻めてくるのは10歳児でありながら南部から独立した津軽為信である。最北端で小学生に率いられ戦う兵士たち…シュールである。
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また、下総の大名の結城晴朝がなぜか磐城の大名になっている。
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大名は基本的に一代限りであるため、毛利など年齢の高い大名でプレイすると姉小路や一条といった弱小大名以上の難易度になる。
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なおCOMが統一を達成することはまずない。統一する前に死んでしまうからである。
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弱小大名は1ターンを待たずに一揆・謀反・敵国からの侵攻・暗殺で滅亡してしまうことがよくある。
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記録(セーブ)が季節の初めにしか行えない。コマンドを実行しても、実際にセーブされるのは季節が変わった瞬間である。
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まずい結果になってもやり直しがきかない。弱小大名だと、セーブされる前に滅亡なんてことも。
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うっかりコマンドを入れ忘れると、2ターンの間ずっとセーブができないことになる。
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COM担当の大名が本来1ターンに1回しか実行出来ないコマンドを複数回実行する。上記の弱小大名が1ターンを待たずに滅亡する原因でもある。
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参考(0:58から始まる戦争画面左側の部隊編成に注目。1ターン目でCOM担当大名の三好が編成と戦争の両方を実行している。本来はどちらか片方しか実行出来ない。)
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兵士0の国では謀反が起きないバグがある。
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本来は、謀反軍の兵士よりも多くの兵士を置いておかないと負けて国を奪われるという仕様だったと思われる。
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委任で内政指示をしておくと兵士を雇わないという仕様と非常に相性が良く、他国と隣接しない安全国を兵士0で委任しておけばもう安泰である。
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暗殺が強すぎる。どんなに強大な勢力であろうとも、暗殺すれば戦わずして滅亡してしまう。上記の弱小大名が1ターンを待たずに滅亡する原因でもある。
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ただし、相手がIQが高い大名だと成功せず、逆にこちらが暗殺される事もある。
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空白地の獲得手段がフェアにするためかなぜか入札になっている。このため大名を暗殺しても金が足りず入札で負けるなどという事態が発生した。
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隣接地が全て空白地だったり隣接している大名が一つだけだと無条件で独立する。
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今では標準搭載しているチュートリアルが無い。そのためマニュアルを読まないと何から始めてよいか分かり難く、あっという間に滅亡することも。
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当時のPCゲームとしては非常に分かり易くマニュアルを読まず簡単に覚えられるように配慮された操作法とルールであり、光栄のSLGに共通する基本部のシステムとなっている。
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チュートリアルはPS、SSといったコンシュマー機の媒体容量に余裕が出来た頃から採用された機能。本作はそれ以前に発売された作品である。
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同盟・婚姻が使いづらい
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他勢力と同盟するには相手に大金を送る必要があり、序盤の貧乏国が頼れるような代物ではない。資金が潤ってくる頃には兵力も充実してくるので、同盟する必要自体がなくなってしまう。
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同盟したからといって攻め込まれなくなるわけではなく、攻め込まれる確率が下がるというものなので安心はできない。しかも攻め込まれない確率は年々下がっていく。ちなみに婚姻は同盟の強力版であるが、それでも100%攻め込まれなくなるわけではない。
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一度同盟すると破棄できない。序盤に金目当てで同盟を受けてしまうと、後になってから攻め込もうとしても攻め込めなくて困ることになる。
暗殺すればすむ話だが
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もちろんクリアには全国統一が必要なので、同盟国もいずれは滅ぼさなければならない。
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大名の能力が意外と適当
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流石に主要の大名は適切な評価をされている…と思いきや(ゲームレベル1CPU時)、大友宗麟(30歳 知能65)<十河存保(6歳 知能70)<一条兼定(17歳 知能71)<今川義元(41歳 知能91)<筒井順慶(11歳 知能92)<朝倉義景(27歳 知能101)等少々首を傾げざるを得ない設定も見られる。
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一応プレイヤーはルーレットである程度補正がかかるし、コマンドや合戦等で能力が上がるので(ゲームプレイにおいては)よほど高難易度でない限り特に問題はないが。
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本願寺家は一揆が起きない。
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一向一揆を起こす側なのだから当然かもしれないが、税率100%にしても起こさないのはいかがなものか?
総評
初代で築かれたシステムをより洗練し、現在も続いている同作品のシリーズ、および三國志など歴史シミュレーションシリーズの雛形となった作品である。
ソフトの値段が当時の標準的なゲームソフトの価格と比べ、非常に高価であるが値段相応に楽しめると思えた本格的なものであった。
最近作に慣れ親しんだ人にはターンや部隊の概念など現行作品とは非常に異なるため違和感を感じるかも知れないが、故にシンプルでありSLG初心者にもお勧めできる。
その後の展開
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FCに移植されてから5年もの歳月を経た1993年、SFC等への移植ラッシュが始まった。かなり改良されて遊びやすくなっている。
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その場でセーブが行えるようになった。
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1571年、1582年開始のシナリオが追加。
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毛利家などは世代交代し、寿命に困ることがなくなった。
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紀伊の堀内氏善がリストラされ、雑賀孫市が大名になっている。堀内氏よりも25歳も年上なため統一が難しくなった。
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2国以上を支配している大名が増えた。1582年の織田家は18国も支配している。ただし寿命が近い。
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古臭かった顔グラフィックも全て変更。新規大名の分も追加された。
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方言モードが復活。標準語モードとの切り替えができる。
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兵士0で謀反が起きないバグが修正された。兵士0だと即敗北である。
最終更新:2025年04月12日 06:41