【ていとくのけつだん】
ジャンル | 歴史シミュレーションゲーム | ![]() 高解像度で見る 裏を見る ![]() |
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対応機種 |
PC-9801 PC-8801 X68000 FM TOWNS MSX2 スーパーファミコン メガドライブ |
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発売・開発元 | 光栄 | ||
発売日 |
【PC98】1989年9月21日 【PC88】1990年11月 【SFC/MD】1992年9月24日 |
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定価 |
通常版:14,800円 Withサウンドウェア:17,200円 |
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判定 | 良作 | ||
提督の決断シリーズ 初代 / II / III / IV |
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コーエー歴史SLG作品 |
光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲームで、第二次世界大戦を扱ったWW2シリーズの第一作である。
当時戦争もののゲームと言えば大戦略シリーズのようなボードゲーム型が基本で、プレイヤーのやる事も戦闘部分のみという作品が多かった。
対してこの作品は、それらに無かった要素を多く取り入れ、「歴史」シミュレーションに相応しい作品として仕上がった。
徹底的にリアル嗜好だったG.A.M制作の初代『太平洋の嵐』の後発として発売された本作品は、いろいろと粗いところがあるものの遊び易さからおおむね好評だった。
これまでのウォー・シミュレーションゲームはWW2に限らずHEX戦のみのボードゲームスタイル(要するに大戦略シリーズのような作品)が主流で、政治・経済・外交・技術開発、さらに陸軍との交渉などにも視野を大きく広げ、史実上の提督たちの顔CGも描かれた本作はこれまでにないものであったことも手伝って、広く受け入れられていった。
輸送や航空機生産などでのリアリティのなさや航空機の扱いが少々お粗末ではあるが、『太平洋の嵐』と異なるこれらがかえってシンプルな面白さを引き出していた。
同時代的に漫画家かわぐちかいじの『沈黙の艦隊』やWW2の架空戦記を扱った小説が流行したことも、シリーズ化の追い風となったように思う(*12)。
そして、当時の主流機だったPC98や88だけでなくMSX2、FM TOWNS、X68000やSFC、MDといった当時のほぼすべてのパソコン・コンシューマー機にも移植され、続編も『IV』まで作成されるほどの人気作であった。しかし…。
Windowsマシンが主流となり、『信長の野望 戦国群雄伝』など、光栄の旧作の中でも人気作品がWindowsへ次々と移植される中、のちに『IV』まで作られた人気シリーズの第一作であった本作が移植されることは無かった。また、2003年以降、コーエーの節目の年に発売された様々な復刻版のリストにも本作が載ることはなく、事実上の黒歴史となっている。
これには理由がある。実は、本作は政治的にリアルで問題となる内容をはらんでいたのである。それらを挙げると……
こうした問題は、歴史を扱う作品で、第二次世界大戦という扱いの難しい時代を扱ったゲームでは多々発生している。詳しい解説は用語集/全般/4の第二次世界大戦を参照
なお、本作のリアル路線は『III』まで引き継がれる(さすがに上記のすべては『II』以降には削られた)が、このころになると光栄は中国にも進出していたこともあって、リアル化内容は大問題になってしまった。
そこで『IV』ではかなり仮想戦記的な内容とした。ゲームシステムの変更もあり、これが賛否両論な作品になってしまった。
現在では新作どころか移植すら発売されておらず、シリーズ自体全く音沙汰がない状態になっている。
*1 もちろん全てCPUに任せてしまうプレイヤーもいるし、それで勝てないと言うわけでも全くない。
*2 当時の光栄作品はこちらの兵力が少ないと友好度や同盟の有無にかかわらず攻め込んでくる仕様だった。
*3 現実世界では現代でも最高速度30ノット(約52km/h)で高速艦とされる。
*4 これは現実も同様で、「陸海相争い、余力をもって米英にあたる」などと揶揄されていた。ちなみにこれは日本だけではなく、アメリカでも同様に陸軍と海軍は仲が悪い。そのため、アメリカ側で始めても陸軍は海軍の足を引っ張ってくれる…
*5 しかも敵戦闘機の迎撃や対空攻撃が強烈であるため、1~2回攻撃するとまともな航空戦力は残らない。
*6 運が良ければ最初の一撃で戦艦4隻撃沈くらいは可能であるが、戦果拡大を狙ってもう一撃しようとするとどんな反撃を食らうかわからない。一撃だけして日本に帰投するなら特に問題は無いが、11月の内政・外交・完全修理などを放棄しているため11月からプレイできるキャンペーンシナリオより不利となる。
*7 ちなみに『II』などでは光栄の公式攻略本でも推奨される始末である。
*8 史実でもワシントン海軍軍縮条約で空母に転用された天城級巡洋戦艦の「赤城」や震災で廃艦になった、空母天城(初代)の代艦として空母に改装された加賀級戦艦の「加賀」、軽巡洋艦として建造するが、軍縮条約を更新しなかった場合、重巡洋艦化する予定で計画通り改装された「最上型」重巡洋艦など命名基準から外れた名称を持った艦船もあるにはあった。
*9 「経験」は勇猛以外の全ての能力に加算される。作戦の低い提督で軍政を行い出すと最初の頃はその失敗率に辟易するが、2ヶ月もすれば作戦は+60され、成功率はかなり高くなる。ただし作戦についてはこの通り実感が得られるものの、他のパラメータについては比較が非常に難しい。
*10 提督は(広義の)艦隊の指揮官への呼称であり、一般的に階級は少将(海将補)以上。
*11 欧州戦線を含めても、重巡洋艦ブリュッヒャーを陸上基地から発射された魚雷により撃沈したオスロフィヨルドの戦いくらいしかない。
*12 一部には第一艦隊を潜水艦で構成して沈黙の艦隊に見立てたお遊びをする者もいた。
*13 旧日本海軍の文化として、士官の結婚を前提としない自由恋愛は禁止だが、芸者遊びに寛容であったため、内地でも金で苦労する海軍士官に娘はやれないと言う娘を持つ親や金で女を買うことへの女性からの反感もあった。