遊☆戯☆王デュエルモンスターズIII 三聖戦神降臨
【ゆうぎおう でゅえるもんすたーずすりー とらいほーりーごっどあどばんと】
ジャンル
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カードゲーム
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対応機種
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ゲームボーイカラー(専用)
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(EAST) アイ・ティー・エル Konami Software Shanghai
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発売日
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2000年7月13日
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定価
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4,500円(税別)
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ポイント
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生贄召喚や効果付きモンスターなどいくつかの要素がOCGに近くなる 前作からのさらなる改善 パーツを組み合わせて強力なモンスターを作り出せ
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判定
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良作
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遊☆戯☆王 関連作品リンク
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概要
ゲームボーイ『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』シリーズ第3弾。
バトルシティ編の序盤までと真デュエルモンスターズで古代編で出てきたキャラクターが登場する。
前作からのカードも引き継ぎ全800種類のカードが扱えるようになった。
ルールがオフィシャルカードゲーム(OCG)に近くなった。
新要素
いけにえ
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モンスターにレベルが設定されており、レベルに応じてフィールド上のモンスターを1~2体生贄にする必要がある。
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レベル5以上で生贄が1体、レベル7以上で2体必要になる。
ふせ
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OCGでいう裏側守備表示。
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相手がこちらの守備モンスターを見抜くことがなくなった他、モンスター効果(後述)のトリガーの役割もある。
こうか
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起動効果モンスターが登場。上記のふせ状態であれば1度だけ効果を使用できる。
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相手モンスターを破壊する攻撃性の強いモンスターや、自分の場にモンスターを特殊召喚してくれるユニークなモンスターなど、効果は様々。
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効果モンスター化したカードには《時の魔術師》や《カタパルト・タートル》など、原作でもおなじみのカードも数多く並ぶ。
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なお、モンスターの効果の中には再度ふせ状態にする物も存在し、1デュエルにつき効果を2回発動させる事も可能。
コンストラクションモード
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入手したパーツ(上半身と下半身)を組み合わせてモンスターを作るモード。
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完成したモンスターはデッキに入れることができる。組み合わせ総数は9800種類にも及ぶ。
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レベル・ステータス・コスト・種族・召喚魔族は組み合わせごとに変わる。レベルは3〜6、コストは最低で20、ステータスは攻守ともに2000が最高値。
召喚魔族の追加
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神魔族が追加。どの魔族とも優劣関係がなく弱点となる魔族がない。攻撃力と守備力による純粋な殴り合いになる。
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ただし、コストはすべて255。主に儀式モンスターが該当する。
融合関連
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融合したモンスターはそのターン攻撃できない制限が追加された。
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手札でカードを融合できるようになった。
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手札で融合したモンスターをそのターンに召喚することはできない。また、通常モンスター扱いになるためレベル5以上なら召喚にいけにえが必要。
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また、手札融合で作ったモンスターカードは「ふせ」状態で場に出す事ができず、最初から表側表示扱いとなる。
基本ルール
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1ターンにカードを1枚ずつドローするにようなった。
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制限枚数が採用され、同名カードはデッキに3枚までとなった。
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所謂「制限カード」の概念が取り入れられるようになった。《サンダーボルト》や《ブラックホール》といった強力なカードはデッキに1枚しか入れることができない。
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ドロー枚数やデッキ投入数に制限が設けられた事により、前作・前々作の《火炎地獄》のみを40枚積み込んだバーンデッキのような極端なデッキ構成は不可能になった。
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CPU戦でも先攻、後攻がランダムになった。
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前作まではプレイヤー側が必ず先攻だった事により、デッキの内容にもよるが一方的な攻めが出来てしまいCPU戦の単調化を招いていたが、本作ではほぼ不可能になった。
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その他いけにえ、こうか、ふせの新要素については上記に記述。
評価点
前作からの改善点
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カードリストが見やすくなり、ページ移動も早くなった。
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前作まではページ番号が表示されておらず、移動にも時間がかかり不便であった。
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CPU戦の大幅改善
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CPUが魔法カードを使用してくるようになった。罠カードや効果モンスターの効果までは使用しないが、CPU戦において相手の魔法カードを想定した駆け引きが増えたのは大きな進歩と言える。
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前作までのCPUは一定のカードプールから毎回ランダムにカードを選んでデッキを組んでいたが、本作では毎回決まったデッキで挑んでくるようになった。
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魔法を使うようになったことも手伝い、デッキコンセプトがより明確なものになった。昆虫族モンスターを展開しつつ《森》フィールドや各種魔法での強化を狙ってくる羽蛾や、高守備力のモンスターで固めたエクゾディアデッキを使用してくるレアハンターなど、全体的に原作再現度も向上している。
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ゲームとは直接関係ないが、デッキが固定になったことで攻略本のキャラ別攻略ページがちゃんと役に立つようになった。
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一部を除いた儀式召喚の簡易化
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前作での儀式魔法は3体の生け贄全てが指定のモンスターでなければならなかった上、
指定対象がカードのテキストに一切明記されていなかった
ため、単に面倒なばかりか攻略本なしでは使用すらままならないレベルで扱いにくくなっていたが、本作では一部例外を除き生け贄3体のうち1体が指定モンスターであればよくなり、テキストにも指定モンスターが明記されるようになった。
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また、使用後に儀式魔法が消滅することもなくなった。
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ただ、前作比で相当に改善はされたものの、根本的に使い勝手が良くなったかというとそういうわけでもなかった。詳しくは問題点を参照。
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強化魔法関連の調整
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前作までの強化魔法の効果は1段階につき攻守×1.6と乗算で適用されていたが、本作では1段階につき攻守+500と加算での適用になった。
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フィールドによる強化は1.3倍のままだが、強化魔法と併用しても素のステータスをベースに適用される。
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前作のように《巨大化》とフィールド魔法だけで容易にワンショットキルを決めることは不可能、というか通常の攻撃によるワンショットキル自体が不可能になった。
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また、《巨大化》そのものも1枚あたり1段階強化に弱体化された上制限カード扱いとなった。
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コスト関連の調整
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デッキキャパシティとデュエリストレベルが上がりやすくなった。DCはCPU戦では勝敗に関わらず1戦あたり5上昇し、デュエリストレベルはDCが3上がるごとに1上昇する。
単純計算で前作の4倍近い効率でデュエリストレベルが上がるようになり、高コストのカードもデッキに投入しやすくなった。
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前作で高く設定されすぎていた一部魔法カードのコストが大幅に下方修正された。デュエリストレベルとDCの上がりやすさも相まってデッキ構築の自由度が上がり、比較的早い段階から様々な戦術を試せるようになった。
カードイラストがより原作やOCG寄りに
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《クリボー》などより原作に近いイラストになった。他にもOCGに既に出てるモンスターはそれに近いイラストになっている。
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また、カラー専用となってグラフィックの質も向上した。
パスワード仕様の改善
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今作のパスワード入力はデフォルトの時点で解禁されていて、初期段階でパスワードの入力が可能に。また、パスワードを入力してもデッキキャパシティが減らなくなった。
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1枚しか登録できないのは変わらないが、好きなカードをすぐに入手できるのは便利であった。
モンスターの多様化
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OCG同様上級モンスターの召喚には生け贄が必要となり、「ノーコストで容易に展開できる下級モンスター」と「ディスアドバンテージを負う代わりにステータスで優位に立てる上級モンスター」という差別化がなされたことで、戦略性がより向上した。
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加えて効果モンスターが実装されたことにより、「攻撃力・守備力の高低」以外にもモンスターの価値が生まれ、戦術の幅が広がった。
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反面、これらのルール変更には手放しで「カードパワーのバランスの改善」とは呼べない部分もある。詳細は後述。
OCGとの差別化点となる効果モンスター達
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モンスターの効果はいずれも独自のものが採用されており、OCGとはまた異なるカードプールでの対戦が楽しめる。
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デッキ外から《硫酸のたまった落とし穴》を仕掛けられる《トラップ・マスター》、ターンが経過するごとに自動的に進化していく《グレート・モス》関連のモンスター等、ゲームならではの処理が入るカードも。
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フィールドを荒野に変える《カース・オブ・ドラゴン》、《青眼の白龍》へのサポート能力を持つ《ホーリー・エルフ》、恐竜族メタの効果を持つ《炎の剣士》等、原作準拠の効果を与えられたモンスターも多く、プレイング次第では原作でのシチュエーションを再現することも可能。
サウンド周りの強化
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GBC専用ソフトになったことによる容量増加の恩恵もあってか、前作までに比べて収録されているBGMが大幅に増加。特に決闘中や会話シーンのBGMはステージ毎に個別のものが流れるようになった。
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闇デュエリスト達に至ってはキャラ毎に専用のBGMが設定されているという気合いの入った作りに。
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一部BGMはPS版「封印されし記憶」の収録曲をGB音源で打ち直したものになっている。原曲の雰囲気を損なわない良質な8bitアレンジになっているため、聴き比べてみるのも一興。
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加えて前作までのようにSEが鳴った際にBGMが途切れたり、攻撃の演出が入るたびにBGMが切り替わったりしなくなり、プレイしながらでもじっくりとBGMを楽しめるようになった。
コンストラクションモード
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コンストラクションモードで任意の種族・召喚魔族の下級1900〜2000打点のモンスターを好きなだけ作れるようになり、デッキの強化が格段に楽になった。
強いカードのパスワードを知らなかったり、ドロップ運に恵まれなかったりするプレイヤーでも、ある程度パーツさえ集めてしまえば打点不足で困ることはほぼなくなるので、キャンペーンモードで足踏みしてカードをかき集めているうちに飽きてしまう…ということは起こりにくくなった。
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当然と言えば当然だが、本作のキャンペーンモードはコンストラクションモンスターの存在を前提に難易度調整されている節があり、かなり早い段階から敵が下級1000打点を超えるようなモンスターを使うようになる。
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元々頭数の少なかった雷魔族や幻想魔族の強いモンスターを手軽に作れるようになったことで、本作では召喚魔族間の格差がかなり改善された。
属性相性によるメタの張り合いが激しくなり、どのようなバランスで各召喚魔族を組み込んでいくかもデッキを組む上で重要な要素になった。
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対戦環境では《地雷蜘蛛》《進化の繭》をまとめて対処できる炎魔族、とにかく突破しづらい《ビッグ・シールド・ガードナー》に刺さる風魔族の需要が高め。そこに炎魔族への逆メタとして水魔族を加えたり、《闇晦ましの城》対策に幻想魔族を入れたり……と構築の幅はなかなか広く、考える楽しみも大きい。
コレクション要素の改善
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前作や前々作では入手不可能なカードや入手条件が厳しすぎるカードが存在していたが、本作では基本的に全てのカードがキャンペーンモードでドロップするようになり、やり込み次第では1本のソフトで全カードをコンプリートすることも可能になった。
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一部ドロップ率のかなり渋いカードも存在するが、パスワードである程度はフォローが可能。
賛否両論点
カード間のパワーバランスの問題
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各種ルールの整備により「ステータスの高低と相性関係で殴り合うだけのゲーム」からの脱却を遂げ、カードゲームとしての戦略性は大きく向上したものの、全体的なバランスはなお荒削り。
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上級モンスターが総じて不遇。コンストラクションで好みの種族・召喚魔族の攻撃力1900〜2000の下級モンスターを好きなだけ作り出せるうえ、《地雷蜘蛛》《進化の繭》《ダーク・エルフ》《ビッグ・シールド・ガードナー》《闇晦ましの城》等、それらと同等以上に強力な下級モンスターも少なからず存在するため、生け贄を捧げてまで召喚する意義がかなり薄くなってしまっている。
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同様に生け贄ルールが採用されて間もない時期だった当時のOCGでも似たような現象は起きていたが、いくらステータスが高くても弱点を突かれれば即破壊されてしまう上、CPU戦では《サンダー・ボルト》や《心変わり》、対人戦でも《サクリファイス》系列のモンスターや《ウイルスカード》等の手軽な除去・コントロール奪取が飛び交う本作の環境では余計に上級モンスターのアド損ぶりが際立っていた。
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明確に採用の余地があったのは、生け贄1体で召喚できるモンスターとしては最高の攻撃力を持つ《闇魔界の覇王》や、全モンスター中最高打点かつ弱点を突かれない神魔族の《青眼の究極竜》、強力な効果を持つ《カタパルト・タートル》くらい。
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コンストラクションモンスターが強すぎる。召喚魔族間の格差を埋めることに大きく貢献しているのは確かなのだが、同時に下級モンスターの打点のラインを大幅に引き上げており、上級モンスターや低ステータスの下級モンスター達の存在意義を脅かしてしまっている。
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コンストラクションモンスターのコストはステータスと無関係に設定されており、攻守ともに2000に迫る数値でありながらコスト20前後に収まっているものも少なからず存在する。そのためコスト面ですら採用する意義を持てない下級モンスターも多い。
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「融合の素材に使えない」「巨大化以外の強化魔法に対応していない」等の欠点はあるが、前者は召喚酔いのせいでそもそも融合モンスターがかなり扱いにくくなっていること、後者はフィールドによる強化でほぼ事足りてしまうことからあまり欠点として機能していない。
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コストの設定にもかなり不均衡がある。モンスターのコストは基本的に攻守の合計値をベースとして決められているため、一方に偏ったステータスを持つモンスターが軒並み性能に不相応な低コストに設定されている。
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代表的な例は《地雷蜘蛛》と《ビッグ・シールド・ガードナー》。前者は攻撃力、後者は守備力について下級最高値を誇る強力なカードだが、偏ったステータスの恩恵でコストまで異様に安く、DC制限ルールの対戦でもそこまで無理なくデッキに投入できてしまう。
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種族間の格差が大きい。上で触れた通り強化魔法によるステータス上昇量が+500で固定、かつ攻撃力1900〜2200程度の下級モンスターが主力となる本作の環境では、コンストラクションも絡めて特定のフィールドの恩恵を受けられる種族で固めたデッキを構築するのが基本になる。
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そのうち、《地雷蜘蛛》《進化の繭》が強化の対象となる《森》に対応する植物・昆虫・獣・獣戦士族、《闇魔界の覇王》《ダーク・エルフ》《闇晦ましの城》あたりを強化でき、かつ《闇晦ましの城》の効果でも張り替え可能な《闇》に対応する悪魔・魔法使い族は優遇気味なポジション。
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その一方、恩恵を受けられるフィールドが存在しないにもかかわらず《海》で弱体化する機械族と《闇》で弱体化する天使族はかなり不遇な立場に置かれてしまっている。
融合が使いづらい
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手札融合の使い勝手が悪い。手札で融合を行なった上で通常召喚の手順を踏む必要があるため、上級モンスターを手札融合で作った場合場に出すためにさらに生け贄を要求されてしまう。
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下級モンスターを作るにしても、突き詰めていくと能力・コストともにコンストラクションモンスターに劣るため、わざわざ融合を狙う意味はほとんどなくなってしまう。
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ならばフィールド上での融合はどうかというと、例によって除去・奪取の激しい本作の環境では召喚酔いのリスクが重く、やはり扱いづらい。
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DMシリーズの簡易な融合システムには、「単体で活躍の場を見出せないような弱いモンスターでもワンチャンスで起死回生の切り札になれる」というOCGとはまた異なる魅力があったため、その魅力が大きく削がれてしまったのは惜しいところ。
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とはいえDCの制限が厳しくコンストラクションパーツも十分に揃っていないキャンペーンモード序盤では融合モンスターも非常に重要な戦力で、DCを制限しての対戦でも低コスト・高打点の《ドラゴン・ゾンビ》から作り出せる《双頭の雷龍》等が切り札となりうるため、システムとして完全に形骸化してしまったわけではない。
ゲーム後半戦の展開
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本作におけるキャンペーンモードではステージ1、2こそ原作漫画におけるバトルシティ編の流れを辿る構成になっているが、漫画の連載途中でラスボスも明瞭で無い時期に開発・発売されたためか、ステージ3に入ると突如古代エジプトへとタイムスリップ。海馬の前世である神官・セトや千年アイテムの力で世界征服を目論む悪の大神官・ヘイシーンなど、PSの『封印されし記憶』に登場した過去のデュエリスト達と戦うというあまりにも唐突な展開が待ち受けている。
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本作にはペガサスが登場しないが、どういうわけだか
彼に代わってヘイシーンがトゥーンデッキを使ってくる
。漫画雑誌の編集がモデルだからだろうか。
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ラスボスのカード魔神(と真の姿)も何故か《地雷蜘蛛》や《ゲート・ガーディアン》等迷宮兄弟のカードを多用してくるが、ヘイシーンほどのミスマッチ感はないかもしれない。
問題点
敵が制限を無視してくる
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上でも触れた通り、本作からは一部のカードがデッキに1枚しか投入できない「制限カード」として扱われるようになった。
にもかかわらず、キャンペーンモードのCPUの中にはこの制限を守らずにデッキを組んでくる者が少なからずいる。
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ステージ1の時点で遊戯がしれっと《ブラック・ホール》を2枚積みしており、ステージ2でもレアハンターが《サンダー・ボルト》を3枚積んでいる。
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遊戯は生け贄が必要な《ブラック・マジシャン》関連のカードを除けば低打点のモンスターしか出してこず、レアハンターも後述する通りプレイングがお粗末なせいでデッキコンセプトが破綻しがちなので、この2人はまだそこまでの脅威ではない。
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問題はステージ3以降で、ほぼ例外なく全ての敵が《心変わり》《サンダー・ボルト》《光の護封剣》等の凶悪な制限魔法カードを3枚積みしてくるようになる。
クリア後に登場する闇デュエリスト達に至ってはこれら全てを3枚積みしているのがデフォルトで、かなり不公平感のあるデュエルを強いられる。
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特に光の護封剣は、使用後に場に残らず効果だけが継続するという挙動になっているため
一度発動されると遅延を解除する手段がなく
、非常に厄介。
3枚連続で使われて9ターンの遅延になったりすると、負けなかったとしても単純にストレスが溜まる。
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とにかく何を出しても次のターンには消し飛ばされるか奪われている、という状況が頻発するので、それを前提に立ち回る必要が出てくる。基本的に除去される心配のない罠カードや、奪われてもあまり痛くない低攻撃力・高守備力の壁役などをうまく活用すればなんとかなりはする。
パスワード関連
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ラスボスを5回倒すと「秘密のパスワード」を教えてもらえるが、その正体は「エンディング(スタッフロール)を見られるパスワード」。神のカードが入手できると思ってがっかりしたプレイヤーも多い。
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前作ではラスボスを倒すたびにスタッフロールが流れており、勝利数稼ぎやカードのドロップ狙いの周回を行う際にテンポを著しく悪化させていたため、この仕様そのものはそこまで悪いものではない。が、後述する通り神の登場を期待させるようなタイトルもあいまって肩透かし感は否めない。
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ちなみにパスワードさえ知っていれば良いので、ゲーム開始後にいきなりスタッフロールを見ることもできる。
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ラスボスを倒すと5人の闇デュエリスト(闇遊戯、闇獏良、シャーディー、マリク、カード魔神-真の姿-)と戦えるようになるが、このうちデフォルトで戦えるのは闇遊戯のみ。他4人はそれぞれに対応するパスワードを入力すると闇遊戯と入れ替わりに登場するという仕様になっている。
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このパスワードはゲーム中で確認することはできず、発売後に当時のジャンプの誌面や攻略本に載せられていた。そのためジャンプや攻略本を買っていなかったプレイヤーはWebか口コミで情報収集しなければ闇遊戯以外と対戦できなかった。
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2023年現在でもこれらのパスワードを載せているサイトは多数存在しているため、今プレイするならWebで検索すれば容易に見つかる。
神のカードが登場しない
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タイトルがいかにも三幻神が登場しそうな雰囲気ではあるがエンディングに石版が映るだけである。
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当時の原作でもまだ謎に包まれた存在でもあり、製作段階において出すに出せなかった部分もあるのかもしれない。
儀式召喚が弱い
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前作に比べて条件は緩くなったものの、強力な下級モンスター達が幅を利かせている中で
生贄を3体も要求される
のは単純にディスアドバンテージが大きすぎる。さらに指定モンスターの召喚にまで生け贄が必要になる場合もあり、結局使い勝手の悪さはそう変わっていない。
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その上、本作の儀式モンスターは
単体でデッキに入れて通常召喚することが可能
であるため、わざわざ厳しい条件をクリアして儀式召喚する意味は限りなく薄い。
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一応儀式モンスターは単体だとコストが最高値の255に設定されているのに対し、儀式魔法はコスト0のためデッキには投入しやすい。
ただし、前述の通り本作はDC周りがそもそも緩いためにこれも利点としてはあまり機能していない。
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流石に儀式魔法の存在意義がなさすぎると判断されたのか、次回作では全バージョンで儀式モンスターが使用不可カード扱いとなり、プレイヤーは直接デッキに投入することができなくなった。
もっとも儀式魔法そのものの使い勝手の悪さは相変わらずだったので、結局ほぼ使われることはなかったが。
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そもそもの問題として、本作の儀式モンスター達の多くは近いレベルの上級モンスター達と比べてそこまで突出した強さは持っていない。何ならフィールド効果で強化された《地雷蜘蛛》やコンストラクションモンスターで殴り倒せてしまう程度のものが大半。
召喚魔族の弱点を突かれないという点を差し引いても、根本的にデッキに採用する理由は薄かった。そこに面倒な条件と余計な生け贄まで必要となってくれば使われないのは当然である。
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例外と呼べるのは上でも触れた《青眼の究極竜》と、召喚権を使う以外はほぼ《心変わり》と同様に扱える効果を持つ《サクリファイス》くらい。
しかし前者に対応する《究極竜の儀式》は他の儀式魔法と違い
《青眼の白龍》3体を生け贄として指定
しており、とてもではないが使えたものではない。後者もノーコストで場に出せる下級モンスターだからこそ強いのであって、生け贄を3体並べる手間を考えると明らかに割に合わない。
CPUのプレイングミス・デッキ構成の問題
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上で触れた通り魔法を使うようになるなど、前作までに比べて改善されたCPUの思考ではあるが、それでもまだ色々と穴は多い。
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プレイヤー側の場に一切モンスターがいない状況で
何故か《サンダー・ボルト》を空撃ちしてしまう
ことが時折ある。
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伏せカードをほぼ警戒してこず、罠があろうがおかまいなしで攻撃をしてくる。ただ、上述の通り本作のCPUは《サンダー・ボルト》や《心変わり》で頻繁にこちらの場をガラ空きにしてくるため、こうでもないと対策しづらいところはなくもない。
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上級モンスターを召喚する際、それよりも強力な下級モンスターを生け贄にしてしまうことがある。特に顕著なのはラスボスのカード魔神で、コンストラクションモンスターでも殴り負けする攻撃力2200の《地雷蜘蛛》が脅威となる一方、
デッキに積んでいる上級モンスターが全員攻撃力2000未満
のため、せっかくの《地雷蜘蛛》を生け贄にして有利な盤面を自分から崩してしまうということがよくある。
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上で触れた通りレアハンターはエクゾディアデッキを使用してくるが、なんと
エクゾディアパーツをそのまま場に出してしまう
という大ポカを結構な頻度でやらかす。本作の彼はエクゾディアパーツを各1枚しか積んでおらず、1枚でも場に出した時点で特殊勝利の芽は潰えてしまう。
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闇デュエリスト達はいずれも強敵揃いだが、上級モンスターと魔法に偏ったデッキ構成が祟って割と頻繁に事故を起こす。
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特に闇遊戯は原作再現を優先したデッキになっている関係で非常に重い上に下級モンスターが軒並み弱く、下級モンスターを適当に殴り倒していたらいつの間にか勝っていた、という流れになってしまうこともよくある。
CPUの長考化
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UIやキーレスポンス周りの改善が行われた反面、CPU戦ではルールが複雑化した影響なのか思考に時間がかかるようになり、デュエル全体でのテンポは前作よりも悪化している。
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もっさりしたテンポの弊害として、
敵に除去魔法を使われた時のSEが心臓に悪い
。
総評
さらなる改善によって、些細な点から重要な対戦部分まで快適化し、ルールがOCGに近づき親しみやすくなった。
極端で大味なカードバランスや一部ゲームテンポの悪さなど無視できない欠点はあるものの、前作までの問題点の多くにメスが入れられ、カードゲームとしての戦略性も大きく向上している。
GBシリーズの中でも屈指の完成度を誇る作品と言えるだろう。
余談
特典カード
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予約限定として《デュナミス・ヴァルキリア》、初回特典として《インセクト女王》が付属。
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さらにOCGのカードが特典として付属。8種類中3枚封入。
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通常版では《磁石の戦士α》と《磁石の戦士β》には、パラレルレアが存在した。
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《キラー・スネーク》は永久コンボなどで悪用されるようになり、OCGで当時は禁止カードとなったが、後にエラッタで制限カードに戻り、現在は無制限。
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その他にも《サイバティック・ワイバーン》や《万能地雷グレイモヤ》など当時はそこそこ強力だったカードも収録された。
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一方、儀式モンスター《ガルマソード》と専用儀式魔法《ガルマソードの誓い》は必ずセットで入っており、当たってしまった場合は悲惨である。
大会
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各店舗などで小規模の大会が行われた。大会はデッキキャパシティが1000までの制限を設けているため、強力なカードを詰め込む事ができない。低コストで高火力のある《地雷蜘蛛》や、1ターンでグレート・モスへ進化する《進化の繭》といった昆虫族モンスターの採用率も高く、森魔族及び昆虫族対策も視野に入れているプレイヤーも多かった。
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上位入賞者にはOCGのカード《ブラック・マジシャン・ガール》が贈呈された。
コンストラクションモード
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上記のように9,800種類にも及ぶコンストラクションモンスターの中でOCG化を勝ち取ったのが《スフィラスレディ》である。
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ただしモンスターデザインは何故か別物になっている他、特に見るべきところのないカードのため、実戦で使用されることはまず無いと思われる。
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その他、OCG化こそされなかったものの、次回作に続投されたカードが合計7種存在している。《スフィラスレディ》も次回作にも参戦したカードの1枚である。
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その後
21年
の時を経て《ライトローミディアム》がOCG化された。GB作品のゲームオリジナルカードがOCG化されるのは《ソニック・ジャマー》から18年以来である。
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更に1年後、《コーンフィールド コアトル》と《ミラー ソードナイト》がOCG化された。種族は
OCG初登場となる
幻想魔族である。
海外版
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GB遊戯王シリーズの中では唯一この作品のみ海外版も発売されている。米名は『Yu-Gi-Oh!: Dark Duel Stories』。
同梱カードも変更されており、初回版では英語版《青眼の白龍》・《ブラック・マジシャン》・《封印されしエクゾディア》のシークレットレア仕様で、通常版では英語版《ホーリー・ナイト・ドラゴン》・《サラマンドラ》・《硫酸のたまった落とし穴》が封入されている。
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ゲーム同梱版のシークレットレア加工には通常パック封入版とは異なり日本と同じ格子状となっている。
次回作
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とうとう神のカードが使えるようになったので、当時としては期待していたプレイヤーも多かったのだが…。
最終更新:2024年04月09日 00:25